廃墟画廊
ホント言うと Uターンするのが すごく苦手。
できないわけじゃないけど 前に道が続いているのに引き返すのがもったいない…と思う。
だから行けるところまで行ってみて
適当な脇道から本道に戻ろうと考えるんですよ。
でも
いけども脇道が見つからなくて、とんでもないところに行き着くこともある。
『地図では国道へ戻る脇道があるんだよね…』
ナビなんて持ってないし 持ってる地図は8年位前の…
「これ以上、行ってもダメだ~」 ってところまで行って
やむなく引き返した。
だけど
戻るんじゃなく 引き返す自分ってのが許せなくて
途中見つけた脇道さらに紛れ込んだ。
ずーっと山の間を縫う舗装道だったからダイジョウブ ということで…
ところが徐々に舗装と砂利が交互して
そのうち工事を途中で放棄したみたいなところへ出て
きれいな舗装とは えらく様子が変わってきた。
路面は雨に洗われて凸凹
土のうまで路面に散乱してる。
…と半分泣きの入ったところで遠くの林に赤い屋根が…。
近くまで行ってみると林に埋もれてて 見るからに廃墟っぽい。
でも人里のいたるところへ出たってことで一安心。
『国道まで●㎞』の表示も見つけた。
とりあえず
あの赤い屋根を 今日最初の訪問ということで…
近づいてみると学校のようです。
手前に地区会館(地域公民館)があってますます学校跡っぽいな。
そこまでは笹ヤブが少し続くので 装備を最小限にして いざ!
校舎らしきものは少し山側へ高くなっているので
手前のここは どうやらグラウンドというところでしょう。
向こう側に『お墓』のようなものがある。
行ってみると平成7年建立の馬頭観音らしい
しかし 既成の墓石に篆刻したものみたいだし
形はあきらかに『お墓』
その碑を横目に校舎を目指す。
今年は何度か「ササダニ」に食いつかれたので
正直 笹ヤブは苦手だよ~
近くまで行くとやはり学校
それも わりと近代的な体育館のようです。
回りに校舎は見当たらないので 体育館以外は解体らしいです。
バタバタバタ…
入ると同時にハトが数羽飛んでった。建物の向こう側から…
そう その先は建物が角から崩落して青空が覗いている。
う~ん、こういうところを見つけるのはハトの方が断然早い。
中は農具の倉庫に使われていたらしく工具や機械が数点置かれている。
でも落葉松の木や笹に囲まれているくらいだから今は使われていないんだろう…
学校の面影としては 生徒用のイスがいくつか投げ出されていた。
記憶は刻まれてやしないかと壁を食い入るようにたどる。
当時の傷らしきものは見えるけど落書きの文字とかは確認できなかった。
1枚の絵があるんだ。
朽ち始めた合板に描かれた卒業記念らしい絵が…
シカとウサギ 故郷の山々
こんな風に朽ち果てる定めなら 作者達にとって描くことが空しい
今や 朽ちかけた画廊はこの1枚絵だけを掲げ、終の日まで営業し続ける。
もう1枚絵があったんだ。
天井から大きく崩れ落ちてぽっかりと開いた壁の向こう
広がる空と緑の絵が…
夏の空 青みがかった雲が流れて
濃いブルーの空が穴のように見える。
なんとなく思った。
バチカン宮殿・システィーナ礼拝堂の天井壁画で
ミケランジェロ「最後の審判」ってのを思い出した。
あの背景も 青空っぽかったね。
神の鉄槌は 天変地異を伴うんじゃなくて
意外とこんな青空の下に振り下ろされるのかもしれないよ。
閉校記念品として保存されるべきだった校旗が寂しく取り残されてた。
真っ赤な 血のような赤 命の色
そして 暖かい色
ミケランジェロ/『最後の審判』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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