2009年10月 1日 (木)

ルイン・ドライバー

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coldsweats01「ルイン・ドロップ」をご覧の各位様

Webもよくわからないまま早、3年の月日を迎えようとしています。
この間、積み上げたのは300以上の記事数と3000枚を越える画像アップロードでした。
特にこの1年の間は、ブログ容量との戦いで、いつ限界がくるかの不安も抱えていましたが「そろそろどうにかしないと。。。sweat02ということで「ルイドロ」のサブブログを設定することにしました。

そもそも最後に設定してからもしばらく経っているので、要領を忘れてたりです。。。catface

ともかく新ブログ立ち上げということですが、中身的には「ルイドロ」の続きです。
レイアウトなど改善の余地もありますが、それはおいおいに。
「ルイドロ」ももう少しチョコチョコいじってはいこうと思います。

そのようなわけで
「ルイン・ドライバー」ならびに「ルイン・ドロップ」を今後ともご愛顧のほどよろしくお願いします。

「プチ・ドロップ」もよろしくね。happy01

「ルイン・ドライバー」ならびに「プチ・ドロップ」は、左のルイドログループバナーよりお入りください

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2009年8月 9日 (日)

廃墟の歩き方Ⅳ 『ちいさな頃から』②

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「へーっここ遊園地かなにか?」happy01

virgo「いえ…ラブホです…」

「えっ?ランボー?」catface

virgo「ラブホですよ」sweat01

「らぶ…。あっあぁ~っsweat01ラブホテルね。なんだ…変なとこーっtyphooncoldsweats01

Dscf0265 変なとこって…sweat02
しかし、廃墟嫌いと言いつつ、ケロッとしてるなぁ。
自分で来たいって言った手前、仕方ないだろうけど。

「良く見たらスペースシャトルの形だ。キレイな時だったら来ても良かったねぇ…」happy01

virgo「…」

「こういうところ、良く来るのぉ?」happy01

virgo「いや!ラブホは行かないですsweat02

「はぁ?廃墟のことだよ」coldsweats02

Dscf0305 う…墓穴掘った。sweat02なんか調子狂うなぁ。down
なんていうか、いかにも理解のなさそうって感じの人と来ると、私もこんなところで何やってるんだろ…って気がしてくる。
師匠だったら、私が言ったことに的確にリアクションしてくれるけど、趣味が違うからなんだろうけど。
師匠は聞き上手だよ。やっぱり…
あ~っ神経が疲れてくる…down

Dscf0290virgo「営業していた頃は、まだ上水道が来てなくて地下水汲み上げだったそうです。それが近くの道路工事の影響で水が上がらなくなったと聞きましたよ」

「それでこんな有様に…中、見れれる?」smile

なんだか美玖さんのほうが乗り気だなぁ…
彼氏と廃墟へは行ったことがあるらしいから慣れてるんだろけどね。
好き嫌いは感受性の差なんだろう。
シャトルルームの中でも割と中がきれい目なところを選ぶ。
と、言っても、どこもかしこも木片や誰かが放り投げた室内電話や消火器とかの備品も散乱している。
いつから放ってあるのか知らないけれど消火器は、破裂することもあるらしいからなるべく近づかないようにしてる。

virgo「気をつけてくださいよ。頭の上とか…」

Imga0237

Imga0236「わーっ汚ったないsign03でも広いんだなぁ…。こっちは、お風呂だsign03腐ってるーっsign03sadsweat01

virgo「…」

こう、わかってくれそうな人だったら「ここがいい!」とか「ここはキレイだね」とかも言えるけど今日の場合は難しいなぁ…。私が私らしくなくなる。

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「どのくらいやってるの?」delicious

virgo「えっ?何がですか?」

「こういうところに来るのをさ」wink

virgo「そう…5年くらいになるかなぁ…始めは同じような趣味の人を知らなかったから、ずーっとひとりで…」

「ふーん…でも今は、理解ある彼氏がいるからいいよね」happy01

virgo「へっ?誰sign02…まさか師匠の話sign02

「うん」wink

virgo「ち…ちょっとぉsign03sweat01なに言ってるんですかsign02勘弁してくださいよsign01sweat01

「だってぇ、こんな怪しいところに一緒に来れる人ったらそうじゃないのぉ?」smile

virgoimpactないないsign03ないですsign03かんぐり過ぎですってsign01sweat01

「もう外へ行こ。なんだか空気がスゴク重たい感じがするよ…ここ」bearing

ふーっ。sweat01いきなり何を突っ込んでくるのさ…あ~っ早く帰りたいsweat01

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Dscf0229 シャトルを出て、管理室と通常ルームのつながる棟へ。
真っ暗なボイラー室を通り抜けるとき、美玖さんが背中にピッタリ張り付いてきた。
反対側の客室の棟はいくつか部屋が並んでいるけど端から2部屋は内装作製中に工事中断して、柱とかが剥き出しのまま。
たぶんシャトル棟だけで用が足りたので全てを完成させずに営業していたんだろう。
一番手前の部屋もボイラー室から直接繋がっているので客室ではなく、乾燥室に転用していたようでタオルや浴衣が散乱して、天井には物干しがたくさん。
のこり3部屋が客室として使われていた。もっともひとつはガレージのシャッターが閉まったまま壊れているので『開かずの間』と化している。

Dscf0283 「ずいぶん人が来てるんじゃない?あちこち壊されてるけど…」catface

virgo「たぶん、肝…」 マズッsweat01

「なに?」gawk

virgo「いや…sweat01 危ない危ない…sweat02

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「小さいころさぁ…小1くらいの時かなぁ!捨て猫を拾ってさ、真っ黒いけど目がビー玉みたいにキラキラの子猫。近所の子とこんな狭い階段のある空家の2階で飼ってたことあるよ。その頃、私んち社宅だったし、他の子の家もダメだったから…」despair

Dscf0315 virgo「そうですか…」

「カワイかったんだぁ。すぐ死んじゃったけどね…っていうか殺されたんだけど」despair

virgo「えぇっ?」

「みんなの秘密基地にしてたけど、ひとり男子がさぁ、じぶんの兄ちゃんに教えちゃったのさ。後で白状させたけど…。その子達、行ったみたいで“黒猫は悪魔の使いだ!”って寄ってたかって蹴り殺しちゃったらしい…見つけたときはもう、ボロボロで冷たくなってた。あんなやつら呪われてしまえばいいのに!」pout

virgo「…sweat01

「それからこんなとこ来なくなったよ…」gawk

そういうことあったのか…
ないとしても普通は、廃墟好きにならないだろうけど…

Imga0249

「もういいや…帰ろうsign01think

virgo「なにかに…なりました?」

「うーん…よくわかんないsign01私には、さっぱりさぁ…」happy01

その横顔からは、廃墟が好きだとか嫌いだとか、そういうことは読み取れない。
意外とスッキリしたような表情ではあるけど…
ただ、ここに来てみた─それだけなのかもしれない。

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「このシャトルがホントに飛んでいったら私たちの街の上だよね」happy01

Dscf0345 朽ちかけながらも整然と並ぶシャトルは確かに街のほうを向いている。
夜なら、空と地上の星に挟まれる…ここは天と地の境目がわからなくなる景色なのかも…
でもシャトルは、静かに…ただ静かに空を見上げるだけ
鳴り物入りで打ち上げるスペースシャトルとは違うから…

「たまに…アツシも誘ってあげて」bleah

virgo「いいんですか?sweat01

「うん!たまにならね。アキさんの彼氏と3人なら構わないよ」delicious

だから…sweat02違うって…sweat01

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Dscf0301 eyesweat01「あーっビックリした…sweat01人が来るとは思わなかったよーっsweat01sweat01

watch「そうですなんですか?人間はいろんなとこへ来るあるますね…」

「そう…“あるます”だよ…heart

Youtube/JUDY&MARY『小さな頃から』

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2009年8月 5日 (水)

廃墟の歩き方Ⅳ 『ちいさな頃から』①

Coffee

virgo『幽霊?』

『う…疑うの?アキさん』pout

virgo『いや…そういうわけじゃなくて…』

『ホントにあの時見たのさ!annoyあの炭鉱で…』angry

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美玖さんに相談があると言われ週末、街で会うことになった。
久々の青空の下は気温もグングン上がり、通りは歩行者天国。夏のイベントでごった返している。どうも人の多いところは私の性に合わない…sweat02
待ち合わせた美玖さんは、この前、写真の師匠である神さんと行った山奥の炭鉱跡で偶然出会った。
彼氏に連れられてそこに来た美玖さんは『廃墟趣味』ではないらしく、あの草深い森の中では当然のごとく不満そうで…。
途中、ちょっとしたことから機嫌を損ねて遺構と樹木でうっそうとした森の奥を突っ走って行方不明になってしまった。しばらくして無事、見つかったけれど…

後日、その美玖さんが師匠を通じて私に連絡してきた─
まさかとは、思ったけど…

『名刺を見つけたの。アツシの部屋で。神っていう人の…それで連絡してみたんだ…』think

Nagisamiku なんの気なしに会ってみて、幽霊の話とは驚いた。sweat01
悪いけれど私は幽霊を信じる方じゃない。というかまったく信じてなどいない。
信じてたら廃墟など絶対行かないよ。
しかも、あの時に見たって…あの時は、まっ昼間じゃないのさ。

『すぐ近くにいたんだよ!はじめは、なんだろ?って感じだったけど、振り向いて“大丈夫ですよ”とか話してきてさ…』coldsweats02

virgo『えぇっ…?sweat01…で、どんな感じでした?』

『うーん…白っぽくて少しユラユラしてて…影っていうか…そう、若い女の人の影に見えた!』gawk

virgo『女?』

『そう!若くて…ワンピって感じ』catface

virgo『…sweat01 

古い炭鉱跡に昼間っからワンピースの女の霊?それは誰も信じないでしょ…sweat01まいったなぁ…

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『信じてないっしょ?』gawk

virgo『いや…そういうわけでは…』sweat01

『ホントは、私も今になったら本当のことだったか怪しくてさ…。幽霊じゃなかったら宇宙人かなぁ…』despair

Dscf9516virgosweat02その…あの、彼氏の人には話したんですか?そのこと…』

あの森の中で私と師匠、美玖さんとその彼氏、4人が右往左往していたのは、ついこの間のこと…
その日以来、雨の日が続いて思うように探索はしていない。
彼女ともそのときぶりだけど、神経質そうだったあの子が私に会いたいと連絡してくるとは思わなかった。

『そうなのさ!』sad

わっ!sweat01なんだ急に!

『あの日以来、ああいうとこ行かなくなったんだよね。アツシ…ひとりでも行かなくなったみたい。前は、ちゃっかり計画してて当日発表みたいなー』despair

virgo『それは、まあ…ああいうことのあった後ですからね…』

『映画とか…ショッピングとか…連れて行ってくれるんだ。郊外へ出かけたって「また?」と思ったけど全然寄らなくなった』think

virgo『それはそれで、良かった…んじゃないですか?』

『…』 despair

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美玖さん…黙ってしまった…。
返す言葉に失敗したかな?
師匠に今日、美玖さんと会うんだと話したら…

shadow『気をつけてくださいよ。あの子、神経質そうだから…』

virgo『大丈夫です!師匠より女の扱いには長けてますから』

shadowそ・れ・が!イカンのですよ。話すときは、しっかり噛み砕いてからにしたほうが…』

virgo『買いかぶらないで下さい。これでも私、ご飯は、しっかり30回噛むんですよ!』

shadow『会話の話ですよ。それに、それを言うなら“見くびらない”です』

やっぱり師匠にも来てもらえば良かった!sweat01
用事で札幌へ行くって言ってたけど確信犯だなぁ…
なんだか、緊張してきた…。sweat02
お腹空いたなぁ…緊張するとお腹空いて来るんだよ…
あーっこの暑いのに熱いグラタン食べてる子がいる。変なヤツだなぁ…

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『ねぇ!ちょっとアキさん!聞いてるの?』coldsweats01

virgo『あ…はい!聞いてます!』sweat01

『で…ものは相談なんだけどさ!どこか知ってる廃墟に連れてってsign03happy02

virgo『えっ?えっ?impactえぇぇっっsign02bomb

思わず大声が出て、回りの視線が一斉にこっちへ…sweat02
美玖さんもグラタン女もキョトンとした顔で私を見つめてる…
うわぁーっ恥ずかしい…sweat01
美玖さんが急に思いもしないことを言い出したからじゃないかーっsign03sweat01sweat01

『私、廃墟なんか嫌いだよ!でもさ…ああいうところでアツシは幸せそうな顔を見せてくれたのさ。今でも笑ってくれるけど…違うんだよね。なんだか自分にウソ付かせてるみたいなのさ…』despair

virgo『はあ…』sweat02

『一緒に行ってても“こんなとこ嫌だ”って感じで見てたから、アツシの感じるものをわからなかったんだなぁって…。そういうのを理解したい気持ちもあるんだけどアツシ行こうとしなくなっちゃったし。ああいうことのあった後だから私から言えないし…』think

この前、グチってばかりいた子とは思えない。
今時、こんな理解力のある子、いないじゃないか。
私もこういう理解ある彼氏欲しいなぁ…廃墟趣味に理解のある…sweat01

Dscf9572 virgo『愛してるんですね…』

『へへっ…sweat01 まあね…』smile

virgo『で…いつ行きます?』

『明日でも、どう?時間ある?』coldsweats01

virgo『明日sign02

『アツシ、明日まで仕事で出張だからさ。近いとことかないの?』bleah

virgo『いや…あることはありますけどね』sweat02

弱ったなぁ…師匠もいないし…
近場か…近いとこ…ないことはないけど…sweat02

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virgo『こんにちはーっ』

おやぁ?またあんたかい!物好きだねぇ…こんなとこばっか来てたら嫁の貰い手なくなるべさ』

virgo『だいじょうブイです!すいません今日も見てきていいですか?』

ああ!怪我だけは、しんようにね。あんなとこだしさ…。また写真かい?』

virgo『いえ!今日は見るだけで…。あっちのバリケード、大きくなってましたけど、また誰か来てたんですか?』

Dscf0267 師匠と一緒に来たことのあるこの廃墟は、ずいぶん前に閉鎖されたラブホテル跡。
高台の突端にあるので上水道の充実していなかったころに近隣の道路拡張工事の影響で地下水脈が変わり、地下水を汲み上げられなくなったのが閉鎖の原因とも聞いている。
この廃墟に隣接している裏の道は一見、ここの道のように見えるけど、まったく無関係で、奥にある家の私道だ。心霊スポットの噂もある場所だから夏になると肝試しの連中が毎夜のように来るらしい。
事情を知らない人が奥の家をホテルの廃屋と思って勝手に覗きに行くことがあったんだそうだ。
そういうこともあるので、ブログに場所のことは載せられないし、時々来る情報照会のメールも丁重に断わるようにしている。

『この前の連休あたりからね。ボチボチ出てきてるよ…annoy

virgo『あまりひどかったら通報した方がいいんじゃないですか?』

『いんや、そこまで迷惑こうむってるもんでもないし…ウチのもんでもないからさ』

Dscf0328 心霊の噂もあるここは、夏場になると肝試しのハッテン場になっているらしい。
噂の信憑性は、近所で聞いて回っても「そんなこと初めて聞いたよ」と言ってたくらいだから、やっぱり怪しいんだろう。
それでも冷やかしの連中は良く来るらしく、中はずいぶんと荒らされてる。それとは別にこっそり不法投棄していく人も相変わらずいるみたい。
他にも銅線の窃盗目的で来る人もいるらしく、あちこちの電線が切断された跡がある。
天井裏にまで入った痕跡もあったし…

Dscf0262

『ずいぶんかかったね。面倒なの?』gawk

virgo『いえ!世間話ですよ…。ホントにいいんですか?』

『…うんsign03think

今まで、いろんな廃墟を見てきたけど、こんなに気が重いのは初めてだ…
とりあえず、近場と言えばここしか知らないし「心霊の噂」だけは黙っておこう…

(つづく)

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2009年7月26日 (日)

みっつめの朝

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始めの朝は 生れたてきた日、最初の朝
次の朝は ときめきと気だるさにひたすら続く日々の朝
みっつめの朝は…

「今日、泊ってくの?峠は大雪らしいよ」

「えぇっ?!」coldsweats02

Dscf0415 GWの最終日、これから200㎞以上の距離を家まで戻らなければならないというときに友人から驚くことを聞いた。この季節、大雪といっても北海道では、驚くほどのことではない。
自分が通る用事がなければ…
でも、数日前は夏日に近い日もあったことだから、そんなことあるはずないと思っていた。

行きの峠道は緑も芽吹き始め、春の小花もあちこちで見えていた。サクラはまだ峠を越えてはいなかったけど。
だから、とっくに夏タイヤ。ほとんどの人がそうだったと思う。
天気予報で峠が雪といってもチラつくくらいだったし。

「明日、仕事あるから、とりあえず行ってみる。どの程度の雪か解らないし…」

Dscf0416 とりあえず友人と別れて帰途につく。
峠のある町まで、普通に春の夜道。
真冬の大雪と春先の大雪は感覚的にも違いもあるから、降っても数センチかなぁ…でも峠に入ると路面凍結…?

最高点標高1,023mの峠は、急勾配と急カーブの連続で、樹海と高い岩山に囲まれている。それでも重要産業道路であることから末端両町の合意で村道として開通した道は昼夜を問わず通行車が多い。
夏場は霧に悩まされ、冬は、その交通量から圧雪・アイスバーンになりやすく重大交通事Dscf0477 故も多発。近年は、高速道の開通部分が延長されて険しい部分は回避できるようになって、交通量が激減した。
それでも道東への流通を担った道には違いなく、今でも流通のトラックは覆道と長いトンネルの連続する道をグングン登っていく。

峠の町まで近づくと、話の通り路肩に季節外れの雪が目立ち始めてきた。それでも路面は乾いている。

「もしかして行けそう?」

Dscf0474 やがて、進むほどに積雪量はどんどん増えて、峠手前の市街地は、お祭りでもあるのかというほどトラックや乗用車でごった返していた。
峠は荒天のため一時封鎖されており、越えるのは不可能。
少し戻ったところからもうひとつの峠に迂回する道も積雪が及んでいるため冬タイヤかタイヤチェーン装備の車両でなければ無理らしい。
海沿いから遠回りする道もあったけれど、そっちへ回る気にはならない。
「明日、峠が開くまで待つしかないなぁ…どうせ待つなら札幌で待てば良かった…」
そう思うほどに峠の町の夜は早く、すでに全ての店は閉まっている。
その頃は、まだコンビニや道の駅ができる前で、物産館駐車場からあふれた車は、国道の両側に路上駐車。
歩道に乗り上げたり、私有地に入り込んだり、エンジンかけっぱなしで地域住民とトラブルになっている様子あった。

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「この辺じゃ待てないなぁ…」

喧騒の市街地を離れ、暗い道を引き返す。
路面に溜まるシャーベット状の雪の上、時折タイヤが空転しているような気がした。
夜というのはこんなに暗いものなんだと思い返すほど暗い道だった。

街からほどほど外れたところにポッカリとドライブインらしきところが見えてくる。
少しでも峠近くで待機!と言わんばかりに集まった車両は、ここにおらず、大型トラックが数台だけ…

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「とりあえず、ここにしよう…」think

Dscf0425 春の重たい雪が積もるパーキングに車を滑り込ませて、外灯近くのなるべく明るいところに駐車。
エンジンを切ると5月だというのにミルミル車内の温度が冷えてくるのが分かった…タンクの残量を考えるとエンジンをかけっぱなしというわけには、いかないし…。
とりあえず荷物からパーカーやらシャツを引っぱり出して着ぶくれに着込んでみる。気が付くとウインドーは内側から曇りだしていた。

「なんだか情けなくなってきたな…」sweat02

少し、窓を開けると遠くからチョロチョロと水が滴る音がする。

「?」

明かりの中ぼんやりと浮ぶキャンプ場の洗い場みたいなところのひとつが蛇口を開けたままで、下のバケツに水を溢れさせ続けている。たぶん凍結防止のためかな? まだこの辺りはそんなに冷え込むんだろうか…?

Dscf0424 この辺りのドライブインは、「ミツバチ族」とか「ブンブン族」と呼ばれてた道内2輪旅行者が利用する素泊まり宿が多い。
ドライブイン兼なので食事も可能。脇の大きなプレハブ小屋が宿で、洗い場みたいなところも泊り客用のものらしい。
5月では、まだ気の早い旅人はいないらしく宿泊棟に明かりは点っておらず、オートバイも見当たらない。

にわかにドライブイン正面から人が出てきた。
やおら空を仰いでいたその人がこっちを見たかと思ったら、そのままこっちに向かって歩いてくるじゃないか。

Dscf0423 「うわ~ッヤだなぁ…私有地だから出てけ!って言われそうだな…」despair

そばまで来たその人は、こっちが車の中にいるのを覗き込んで、

「どしたの?こんなところで…」

「いえ…峠が通行止めなんで…」despair

「あ~っやっぱり通行止めなったかい!こんな時にこんだけ降ることなんか滅多にないんだけどね」

「はあ…」 早く行っちゃってくれないかな…catface

「ここで夜明かししたらシバレる(凍る)よ。まだ霜も降りるし」

「えぇ…でも、行けるところもないですし…」

「裏、開けてあげるから寝てきな!布団はあるから!」

「いや…でも…」coldsweats01

「お金は、いいから泊ってきな!こんなとこいたら凍死するわ!」

Dscf0442

半ば不安に苛まれながらも強制的に案内される。
鍵を盗りに行ったご主人は、奥のプレハブの中へ案内してくれた。
決して明るいとは言えない照明を点けると両側にドアがいくつか並んでいる。
そのひとつに入ると、どこも相部屋らしく布団が数組並んでいた。
ご主人はポータブルストーブに火を入れながら

「夏休み頃だとライダーでいっぱいなんだけどね。まだちょっと早いんだ」

「なるほど…」coldsweats01

「好きなとこで寝ていいよ。寝る前に火だけは消しといてね」

「はい…ありがとうございます」coldsweats01

「ご飯、食べたの?」

「いえ!大丈夫です!」coldsweats01

「そっかい。じゃあゆっくり休んでや」

Dscf0430 話もそこそこにご主人は引き上げて行った。いつもあるのかな?こういうこと…

ゆっくりと温まる部屋の中。
古い雑誌や文庫本がたくさん積まれている他には、ポータブルテレビがひとつ。
宿というより工事現場の仮宿舎みたい。
でも車内泊が思わず布団でノビノビ眠れることになった。しかもタダで。
布団は冷たかったけれど心地よい眠りに付くには充分だった。

Dscf0457 

「すいませーん…すいませーん…?」gawk

翌朝、ドライブインへお礼だけでも言っておこうと寄ったが、いくら呼べども返事はない。

「出かけてるのかな?」gawk

Dscf0433_2 前日とは打って変わって早朝から温かい春の空。
陽射で融けた雪の雨だれのような音で目が覚めたほど。
駐車場も道もほとんど乾いてきている。
相変らずご主人のいる様子が無いので今度来たときに礼をしようと出発することにした…
建物の壁に「素泊まり1500円」とある。
峠は路肩に雪が積もっていたけれど路面は、すっかり乾いてコントラストが際立っている。
結局、この日、仕事は休んだ。

それから程なく国道は新路線の完成により、このドライブイン前を走る車は激減した。
そのうち…と思っていた自分でさえ、再び訪れたのは何年後になったのだろうか。

長雨がようやくあがった朝 ようやく訪れる。時間は経ちすぎていた。
たった一夜の思い出だけど、この変わりように寂しい。
あの後、ここで何があったんだろうか。
屋根板の剥がれ落ちた屋内でとっくにあがった雨は、まだ降り続いていた。

新しい道は、かくも残酷な結果をもたらすのだろうか…。
いくら「廃墟好き」と言ったって「廃墟」になって欲しくないものもあるよね…。あるんだよ。

はじめの朝は 生まれた日、最初の朝
つぎの朝は ときめきと気だるさにひたすら続く日々の朝
みっつめの朝─ それは 大事な何かが一緒に来なかった朝

Dscf0447 朝は、いつもやってくる。一日をリセットするみたいに。
ある意味、過去への訣別として。
爽やかな朝を繰り返して、時は積み重なっていく。
友達は親の都合で引っ越して 子どもは遠くに巣立ち 親は加速して年老いていく…
歯が抜けていくように不安になって、何かを悟ったようにぼんやりした答が波のように打ち寄せる。
時の重さに気がついて 朝が来ないように祈ったとしても、それは私的な我儘(わがまま)にすぎない。
人の心は、まだまだ繊細です。他の生き物達に比べると。
皇帝も独裁者も神々の名の下にある人も…終わりがあるのは自然の中の約束事。
そんな静かで無関心な朝の訪れは、時として残酷なものかもしれません。

でも朝には悪意も差別も中傷もない…朝ってそういうものでしょう? そうだよね。
無意味に迎えた朝はあっても 無意味に明けた朝などないのだから。

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あの 朝日の後で また会いましょう。

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2009年5月24日 (日)

細身の乙女 ロロ・ジョグラン

Fh000088

南半球にあるインドネシア共和国のジョグジャカルタ近郊にユネスコ世界遺産に登録されている世界遺産、ボロブドール寺院群とプランバナン寺院群。共に1991年に文化遺産として登録されました。
ボロブドールは仏教遺跡として プランバナンはヒンドゥー教の遺跡として
ともに世界最大のものです。

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プランバナン寺院群の付近は、あちこちに遠巻きに見るとタケノコ(アスパラの頭にも見える)のような形の塔が点在していて、住宅も石積みのものが多いため遺跡とそうでないものの境界が『大きさ』のような気にさえなります。

寺院群のうち中心的存在であるプラバナン寺院は古マタラム王国のバリトゥン王(在位898年~910年)による建立と言われる。
古マタラムの王宮もこのあたりにあったと考えられているが、伝染病が流行り10世紀ごろ遷都した。
のちの1549年の地震で遺跡が大破した。しばらく忘れ去られていたが、1937年から遺産の修復作業が行われている。
プランバナン寺院群はヒンドゥー教の遺跡としてはインドネシア最大級で、仏教遺跡のボロブドゥール寺院遺跡群と共にジャワの建築の最高傑作の一つとされる。
   (ウィキペディアより)

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ガイド(現地人案内員)の人の話でも修復作業はまだ続いているらしい。
周囲にはまだ、瓦礫の山が転がっていて、地震で大破したというものをよくここまで直したものです。
外壁のレリーフ部分ならいざ知らず、かなり高度でピースの重いパズルなんだ。

『このあたりに住む皆さんが家を作りたいため、静かにたくさん持ち帰りました』へんな日本語…)

そっかー…それで近くの家も遺跡っぽいのか…
遺跡で作った新築住宅っていうのかな…

Fh000107

プランバナン寺院は現地では『チャンディ・プランバナン』と呼び、またの名を『ロロ・ジョグラン(細身の乙女)』と言うそうです。
確かに細い。遠くからでも目に付くその大きさも現地で周囲を回るとそれほどでもない。
他に高い建物がないということもあるけど、よほど地盤がしっかりしていないとすぐ倒れてしまうんだろうね。

Fh000091

Fh000096 寺院内はさほど広くはなくご神体と呼べる像があって壁は中で火を焚いたのかと思うほど煤が付いたようで黒っぽい。

それぞれに祀ってある神様が違い、ビシュヌやブラフマー、ガネーシャなどの像があります。それと共に神様の乗り物である動物(牛)が安置されていた。

『どうぞ牛の背に座ってください。きっと幸せがありますよ』

Fh000100みんな座っていくようで牛の背はきれいだ。
でも、背に座ってご利益というのもなんだか変な話。。。

インドネシアの主たる宗教はイスラム教で、仏教・回教そしてヒンドゥー教は少数派になります。隣のバリ島はヒンドゥー教(厳密には一宗教ではない)が主たる島だからインドネシア全体は、実にさまざまな信心があることになります。
だから、プランバナンやボロブドールは、地元の人にとって単なる客寄せの見世物に過ぎないのかもしれない。
だから、地元の人々もホリデーのお出かけ感覚で普通にここを訪れるようです。
『東京』とか『横浜』と大きく刺繍したキャップを被った子がたくさんいたなぁ。。。流行ってるらしいけど。それをいったら日本人も意味も知らない言葉を書いたTシャツを着たりするしね。

ところで牛に乗ったご利益というのは『多産』なんだって。。。

Fh000102 これほどに大きな寺院を誇った権力も時代の流れに消えて行き、国の宗教も考え方もすっかり変わってしまったのかもしれません。
道は、ノーヘルメットの二人乗りオートバイが常に過密状態で走っているし、信号機があってもほとんど守っていない。(ほかの車とかが来ていないとブンブン入っていく)
どこにいてもオートバイのエンジン音が聞こえるから、ガムランとかジェゴクのような郷土芸能楽曲の屋外録音は難しいらしい。

こういうインドネシアの社会を見ていると、昭和の高度経済成長期の日本を見ているような気がしました。

ホテルに戻ってテレビを付けるとインドネシア語のラッパーがマイクを持って凄みを利かせていた。こういうのは世界共通なんだな。。。

Fh000104

プランバナン寺院群は、2006年5月27日に起きたジャワ島中部地震で被災。大きな被害を受けたそうです。その後、修復作業が行われていますが、いまだ作業完了していないらしい。
その以前に行った時の画像なので現在の様子とは異なるかもしれません。

Fh000110

うーんsweat02 思った以上に気味の悪い絵になったなぁ。。。coldsweats01
インドネシアでは犬より猫の方が各が上だそうです。

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2009年3月 9日 (月)

忘れられた大きなもの

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はじめて来た海 この海
向こう側のことは知らない いつもこちら側にいるから
向こう側のことを想うよりも その ただただ大きい海をじっと見ていた。
大きいからココロを呑まれたのじゃなくて
同等の塩分濃度を持つという体内の海が
意識とは別に呼応していたような気がする。

Dscf1648 いまでも変わらないこと
浜辺に行くと、必ず拾いものをする。

ちんまりと可愛い 大木の一部だった枝
ギザギザにトンガってたのに 砂に洗われて優しくなったガラスの欠片
骨みたいに真っ白に変色した貝殻
クチャクチャにいじけた塊になった海藻

みーんな海を旅してきたんだよ。
長い短いはあるんだろうけど…

Dscf1647 海に向かって両側が山に挟まれている風な景色のこの浜は、視界をさえぎるものなど、ほとんどないから前も後も景色が大きい。
前は海 後は湖。
その湖は、湖と言うより湿原の一部である沼です。

海と沼の間が数メートルの微妙な砂山で途切れていて、かろうじてお互いのプライドを保っている。
その均整の保たれているところを道(橋)が通っている。
大雨で沼側が急激に増水してくると、線路や道路の保安上その砂山を切って、放流することもあるそうです。

海側の中ほどに海産物加工所やドライブイン等が砦みたいに固まった界隈があって蛸や干し物を軒に並べているのが道からも見えた。
道の反対側には、ここもまた食事処兼業の貸しボート屋がある。
海に連れて行ってもらえたのは3~5年に1度くらいだったから子どもには、さして面白くないような場所だけど動物園以上に楽しかったよ。

Dscf1669 海に足を入れたり海水の塩っ辛さを確かめたのも
ポケットいっぱいに貝殻やビーチグラスを詰め込んだのも
ボートに乗って漕いでみたのも
カニとか帆立とかがたくさん乗ったラーメンを初めて食べたのも
隠れようも無いような空の下で焼肉なんてのも
み-
んな、ここが初めて
子どもの頃の話だけどね…

Dscf1679

Dscf1672 大人になって 自分でハンドルを握るようになり、再び訪れてみたくなった…。
多くの古いものや 新しいもの達が、現れては消えていく世の中で砦は、かろうじて呼吸をしていた。
わずかな数の暖簾しか下がらず、多くの店は乾ききって自ら最後の変貌を開始している。

何か、思い出の骨片でもないかと浜を歩いてみた。
時代はガラスビンからペットボトルへの変化して久しく、もう波に洗われたビーチグラスを見つけるのも難しい。そのかわり、波乗りの上手いペットボトルが小山になっている。

『そういえば、道の向こう側でボートに乗ったことがあったよ…』

Dscf1993

Dscf1997 道の向こう側の小屋みたいな店は、今も変わらずそこにあって、今でもお客さんを待っているようだけど、主が商売をやめてからもすでに長い年月が経って、かつてはあったそこへ降りる道もなくなっている。
車が絶え間なく行きかう道をどうにか渡って近くへ─。
『貸しボート』といってもボートなど何処にも見えない。海へ出たのか沼へ出たのかわからない漁船が緑にまみれている。
船の名から、このあたりで使われていたものには間違いないようだ。

Dscf1995

Dscf1998 おかしなもので、ボートに乗った記憶は、あるのだけれども店の記憶は全くない。
それほどに自分で操れる船に乗ったのが印象的だったんだろうか?
最も近所の子とオールを1本づつ受け持っても上手く漕げなくてグルグル回ってたけど…
それでも余裕のVサインで笑っている写真がアルバムにあるよ。

貸しボート屋さんだと思っていたら、中の厨房や小上がりのある様子から食事も出していたようです。
もっとも建物が小さいから広い場所ではないけれど、窓から湖(沼)を望む食堂。
ボートはどこまで行けたのかなぁ…どっちにしても非力で無理だったろうけどさ。

Dscf1654

この辺りは古い土地の人々の言葉で『カラス』を指すという。
『カラス』というと縁起が悪そうだけど、黒光りする上等な着物を羽織るその姿から昔の人は、神として見ていた。
その神が船で来た人をこの浜へ導いたという。

また、神(自然)からの施しだけで生きてきた狩猟民族の彼らは、神々の手違いでしばらく苦しんだことがあった。
神々は、あわててこの浜に大きな鯨を届けたという。
その時、人々が嬉しさのあまり舞い踊った踊りが現在も郷土芸能として伝わっている。

Dscf2015

相変わらず上の道では、ゴムで弾き飛ばしたみたいに車がかっ飛んで行く。
どこへ行くんだろうね。
どこへ…

Holga_tape 道が良くなって 車も良くなって
見たいテレビ番組も予約録画しておけばOK
ご飯も家へ戻る頃には、おいしく炊き上がっている。
お風呂もボタンひとつで良い湯加減。
朝ごはんの洗い物も自動で完了してくれる。
洗濯乾燥も手間要らず。
ついでに『たたみ』もしてくれないかなぁ…

でも、みんな時間がない。時間が足りない。
あの頃と今の時間の進み方が同じとは思えない。
ここより、ずーっと最先端で新しい娯楽施設がこの地上から完全に姿を消してもここが残り続けるのは単に後始末の問題じゃなくて、
時間の温度差というか、時の包容力というか、そういうことがあるのだと思うよ。

想い出は廃れてしまったの?

いいや… 海も 空も 湖も昔のままだったよ。
変わったのは、その間に少し挟まっているものだけ。

Dscf1996

Dscf2029pola 変わらないものは、とても大きくて
そして、ただただ大きいばかりで
向こう側のことどころか、こちら側のことさえも
意に介しないかのように不変です…

神々は、人を導いた土地から不在になったのか…

神は、決してその御業に無関心などではなくて
見捨てようとしているのは、人の方です。

このボートハウスは『北海道廃墟椿』内の「ボートハウスの宝石」で詳しく触れられています。
合わせて御覧ください。


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2009年3月 8日 (日)

『夏草の線路』 リプライズ

001

『ルイン・ドロップ』を御覧いただいてありがとうございます。
時期的に年度替りの繁忙期ということもあって頓挫中。。。

といっても何もしていなかったわけでもなく
近頃始めたサブ・ブログ『プチ・ドロップ』のほうは、そこそこ更新してました。

だから、本家がおろそかになるんだな。。。coldsweats01

Cuppola 1年ほど前に『ルイドロ』上で公開したストーリー『夏草の線路』を再編して、その連載が終了してところ。
再編なので、大まかな筋はそのままだけど、思い入れというのもあったので返って煮詰めてしまったようです。

北海道帯広市から上士幌町十勝三股を結んだ旧国鉄士幌線
その山岳地帯を縫うように走ったアーチ橋群、そのなかでも『幻の橋』の名で知られる北海道遺産『タウシュベツ川橋梁』と最寄の温泉街糠平が舞台。

『プチ・ドロップ』を公開してるのが、この旧路線跡のある上士幌町で運営されているブログ・ポータル・サイト『かみしほろん』です。
昨年12月にグランドオープンしたポータル・サイトですがよろしくお願いします。

『プチドロ』上では、『ルイドロ』でも公開していない橋梁・廃駅なども取り扱っております。
できましたらサイト・トップから上士幌町長のブログ『竹中町長のまちかどウォッチング』『田舎暮らしランキング』プチッしてくれると嬉しいです。coldsweats01
すみませんね。面倒なこと頼んで。。。wink

そういえば、忙しさに翻弄されてたら『ルイドロ3年目』を忘れてましたsweat01
さあ、ボチボチ動き出しますよ。
いつもごひいきいただいてありがとうございます。
今後ともよろしくheart02

コメントちょうだい…寂しいわ~っweep

※各サイトへのアクセスは、左欄のテキストリンクまたは、本記事中の下線リンクから飛べます。

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2009年1月 1日 (木)

2009年 新年のご挨拶

Shinen

新年 あけましておめでとうございます
常日頃、「忘れ形見紀行 ルイン・ドロップ」を御愛顧くださいます皆様方、ならびに気軽にクリックくださいました皆々様方、厚く御礼申し上げます。
重ねて本年もよろしくお願い申し上げます。

準備期間を含めると『ルイン・ドロップ』もこれで3年目に入りました。
『廃墟趣味』なんて声をあらげて名乗れるほどのものではないのかもしれませんが
こういうことを続けていて、なんとなく新参者というレッテルは剥がれてきたのかなぁ…とも思う今日このころです。wink

当初は、よそ様と同じく、廃墟探訪とそのときの印象を書きつづれてきましたが、ここ1年くらいに廃墟を舞台とした創作という形に移行してきました。

人と違ったことをしたいという、ひねた性格ゆえのことです。
同時に『廃墟というもの』がネガティヴであるとか、サブカルチャー的嗜好というカテゴリーにあることにも疑問がいつも頭にありました。

Sui 『廃墟』は現代遺跡である─

そんな一方的な考えの下、反対側に行ってみよう
廃墟と化したここも、家族の笑顔や働く人の明るい営みがあったに違いない!
と、根拠もさしてない考えで何か表現の仕方を模索してきました。
一方、この世界も識者は大勢いるもので、いくら調べても浅い知識力では到底かないません。

そんな模索が一昨年に連載した『水中メガネ』という創作です。
少なくとも知識量では計れないので楽かな~という逃げでもありますね。coldsweats01

ともかく、この感じでやってみようと…
廃墟の過去ではなく未来を書いてみようと思いました。
また『廃墟』を舞台に「夢」とか「愛」を語ってみたいと大それたことも考えます。
そう考えると『廃墟』というのは、「人から忘れられたもの」という共通点がありながらも性質が違うものがあることに気が付きます。

Pomp 忌み嫌われる場所
ロマンの舞台になる場所
地域の象徴となる建物
町の迷惑者とされる建物
いろいろ見えてきます。

なぜだろう なぜなのだろう think

地域の名士といわれた功労者の家が幽霊屋敷になって
とっくの昔に不採算との名目で廃止された鉄道橋が恋人達のロマンスの場所になる。
矛盾 多くの矛盾があります。
地域活性化の原動力と期待された施設が放漫経営故、負け組の烙印を押され、
時代を大いに支えた町が失速し、生き残りのために立ち上がったときの賞賛は、やがて時代の風で渇ききったとき落伍者の代名詞にされる…

どうしてかな どうしてなのかな think

れっきとした理由はあるんだろう。
でも、なにか忘れていないかな?
期待されて立っていたものの苦悩を…
時代を席巻した征服者が実は、一番孤独な存在であるのかもしれません。

それに明確な答えを出せるほど、博学でも識者でもありませんけど…
これからも自分サイズで、『ルイン・ドロップ』をやっていきたいと思います。
いつまで続くことやらですが。
なにか自分の納得できる答えを探しながら…
それほどに『廃墟』は奥の深いものと感じます。
でも、どこかで言ったことがあります。

『廃墟』がすべてじゃないんだよ─ wink

今の「ルイン・ドロップ」の形にしてから
思うところがあって『ナギサ』という幽霊娘の話を書いています。
『廃墟』に自分を語らせるような超越した話には超越した存在が欲しい…と思い、浜の廃屋を撮っていた時に思いました。
どちらかというと、その存在として『肝心なときにできない子』にしておこうという想いがあります。すぐ泣いたり、情に流されたり、常に気持ちが揺れたり、失敗したり…
必要以上の力を発揮したりということは必要ないでしょう。今のところ…
『ルイドロ』の全てをこの子ひとりで1本に束ねさせよう…みたいなことは考えています。
途中から読んだら良くわからなくなってる気もします。
あまり、説明くさいのもなんなので…coldsweats01

Nagisapoppoya

小さいころ、おばあちゃんの家の近くに住んでいて、たまに遊んだ友だち。
歳はいくつか下で、同じ学校へ通ったはずなのに学校では、会ったことのない子。
後に聞いた話では、9歳で逝ったそうです。
その子が『ナギサ』といいました。
数少ない小さな印象が自分の中で『ナギサ』を生かしています。
その程度の私的でノスタルジックな出来事。 
たぶん…

叶った夢よりも 叶わなかった夢
手に入れたものよりも 手に入らなかったもの
告白した恋より できなかった恋
プッツリと切れてしまったから、なおのこと愛おしいのかもしれません。

1番であるものより2番・3番だったもの、あるいはもっと下のことを考えます。
そのほうが自分に近いからでしょう。
記憶の『忘れ形見』は、そういうもの。
『ルイン・ドロップ』もその程度のもので良いと思います。
自分の中では充分一番。自己満と言われれば、それまでか…coldsweats01
それにしては、思いがけない評価を得たり、好感をいただいたりしたことに感謝申し上げます次第です。むしろ頭が上がらないほどです。
昨年は、『廃墟で愛を語る』と公言してやってきましたが、いかがなものでしたでしょうか?
今年は、とくに「これ」というものは挙げませんが、夢や愛や未来を『廃墟』という間接照明で照らしてみたいと思います。

世の中捨てられるものは多いけど
実は捨てたものではありません。
廃墟もそう─

あなたにとって今年1年が最高の年になることをお祈りします。
大丈夫でしょう。生きてるんだからね。happy01
わたしも もちろん生きています。wink

新年早々おかしな話でしたね。スイマセン…coldsweats01

2009年1月1日 

                     るいん cat ねこん

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2008年12月27日 (土)

廃墟の歩き方Ⅱ『ウォーホルの家』

Wea

「えーっsign02やっぱりぃsign03

車が、急に減速したと思ったらUターン。
今、通り過ぎたばかりの脇道へと入っていった…。

Dscf9092 そうだ…そうだったんだよ。 そう思って然り!sad
札幌一泊で楽しませてもらったんだから、こういうのも「有り」か…
そういう話は、してなかったから今回は、ないものだと安心してたのに…

行きは高速に乗ったのに、帰りは違う道。
出発した時間も早かったからどこかへ寄るもんだと思ってたら、なんと『廃墟』かい。好きだなぁ…sweat02
今日知り合ったばかりの相手に、こんなところに連れてこられたら完璧に犯罪の前兆だよ…

入り込んだ道は舗装になっているけど、背の高い雑草が多い尽くさんばかりに倒れこんで、車のボディをパラパラと叩いていく…
私の不安をよそに気分上々の運転手。
少し奥に入ったところの脇にプレハブのような小屋が建った広い場所を見つけて停まる。
その小屋は、場所に不似合いなバスの待合室かと思ったら、中に地蔵のようなものが見えた。shock

Dscf9093

「ちょっと行ってくるから、待ってる? 15分…30分くらいかなぁ」

ち…ちょっと待ってよ…sweat01
ホラー映画とかの設定だと、こういう場所にひとり残されると、必ず恐ろしい目に遭うんだ。いきなり最初の犠牲者とか…
そんな場所ではないと分かっていても頭に妄想は、湧き上がってくる…

行くsign03一緒に行くよsign01

「ホント?じゃあ、行こう!」

なにやら嬉しそうに笑った。

Dscf9086 そそくさとトランクルームから、旅行中積みっぱなしだったバッグを降ろして用意を始めた。三脚だのカメラバッグだの手袋だの…
用意周到だ… これは、絶対確信犯。

車で、今上がってきた道を歩いて降りていくと、雑草に埋め尽くされた二階建ての家が見えてきた。
庭が、この雑草の山だと人がいなくなってずいぶん経つだろう。
Dscf9006 雑草の繁殖力はすごい。
舗装面を割ってニョキニョキ伸びている。
私どころか前で家を見上げる彼の背丈さえもすでに越えていた。
もし、この藪の向こうに誰かがジッと潜んでいてもたぶん分からない。

こんなとこ、幽霊屋敷に見えてもイキな郊外レストランなんかには絶対見えない。
いったいこういうところの何に惹かれるんだろう。
部屋で『廃墟』の写真集を見つけてパラパラながめたりしたけど、
その魅力と言うか、傾倒するものがあるかどうかは、私には全然わからない。

Dscf9075

それにしても大きな家だな。
うちの近所でこれほど大きい家の主だと、それなりの会社の部長クラス以上だろう。
こんな郊外だと、土地の予算が安く済む分、家にお金をかけられるのか…

Dscf9126 「ここから入ろう」

コイツは雑草を踏み分けて入っていった。
まいったなぁ…それでもジーンズだっただけましか。
それならそうと始めから言ってくれればいいのに…
もっとも始めから知っていたら、準備以前に文句を言うが…
それが分かってるから、行き当たりばったりみたいなマネもするんだろうな。

「そこで待つのー?」

「いやsign01行くってsign03angry

草とか、そのへんのものに触らないように踏み分け道へ入っていくと
彼はもう玄関口にいて中の写真を撮っていた。

「開いてたの?」

「うん!開いてた!」

映画の中で一見誰も住んでいないような容易に入れる家は、曲者なんだ。
絶対何かの罠があって、そこにノコノコ入っていく若者は、人の皮を被ったサイコな男の手によって、たちどころに犠牲者になる。shock
それは無いにしても、コイツの部屋で読んだ廃墟のなんたらいうタイトルの本にも書いてあった─

「廃墟と言えども許可なく立ち入ることは不法侵入にあたることがある」

だからといって、いまさら後戻りもできない。
クモの巣とかがないか確かめながらついていった。

Dscf9043

「うわーっ広いっ!」

玄関と言うより、ひとつの部屋だね。
50人分の靴くらい悠々並びそうだ…
ここだけでも私の部屋の半分以上の広さがあるよ。

Dscf9041 「ほら!この光と闇のコントラスト。良い感じと思わない?」

手前の階段が上の階から差し込む光で輝いている。
奥の居間らしいところは薄暗くて、天井から板というか布切れみたいなものがたくさん垂れ下がっていた。これは、夜見たら明らかに幽霊に見える。

いうなれば“失意の中”から見いだした希望というのかなぁ…
あれ、なに共感してんだろー私…coldsweats01

Dscf9034

ガサガサガサーッ

Dscf9052_2うわっ!うわうわうわーっ!coldsweats02

「何かいる!何かーっ!もう嫌だーっ!」happy02

後の部屋からスゴイ音がした!
彼も驚いたようだが、意外と冷静に部屋の様子を伺う。

「ちょっとーッやめなよー。もう行こう!」sad

Dscf9051 「シーッ…」

部屋の中は、ダンボールやら襖の戸やら何かの置物が雑然と積まれていて中に入れる感じではない。

「たぶん、犬か猫だよ」

犬や猫が玄関の戸を開けて入るわけないじゃん…
それに、猫ならまだしも犬だったらヤバイよ!

「追い詰めたりしなけりゃ大丈夫」

「えーっなんでわかるのさ?」angry

「冬に入ったところで、大っきいタヌキと鉢合わせになった時はさすがにビビッたことがあるなぁ…野生のタヌキ見たの始めてだったし…」

「もし噛まれたら狂犬病とかエキノコックスになるかもしれないよ」coldsweats01

「いや!エキノコックスは噛まれてうつるわけじゃないと思うな。狂犬病だって今の日本にはないらしいよ」

それにしたって噛まれりゃ痛いじゃないさ…。
私の重大な問題は、コイツにはさしたる問題ではないらしく乾いたシャッター音を響かせながら2階へ上がっていった。

Dscf9050

「ちょっとー!黙って行かないでよ!」wobbly

さっきの部屋から
またガサッという音がした─

Dscf9071_2  「おーっ!こいつはすごいな…来てごらん」

「なに?」catface

窓の上の壁にビッシリ何かが並んでる。
タバコの箱─?
部屋は引っ越したあとみたいにゴミひとつなく、きれいに片付いていて
そこの壁だけが異彩を放っていた。

「アンディ・ウオーホルって知ってる?」

「いや…」gawk

「マリリン・モンローとかエルビス・プレスリーの色使いが大胆なのとか、スープの缶やコーラのビンをたくさん並べたポスターを描いた人だよ。描いたって言うかシルクスクリーンっていう版画の一種なんだよ。それと感じが似てるなぁ…ウォーホルって人間的であるより人工的で感情のないような造形をしていたんだよ。始めはそうではなかったようだけど、コマーシャリズム的な社会情勢の中で広告の仕事をしていて、画家の個性の入らないような表現になっていったんだよ

「…よくわかんない」coldsweats01

「ユニクロのプリントTで缶の絵の持ってたっしょ。あれ!あの絵を描いた人」

「あ…あぁ!あれね!思い出した!このタバコもそうなの?」happy01

「いや!これは違うけどさ。整然と並べてるイメージがこんな感じだなって…」

Dscf9067

なんだ良くわかんない話…
しかし、大きい家だけあって2階も広いなぁ。
こんな立派な家、朽ちるままにして…
ここに着くまでの間、コンビニどころかちょっとした店すら全然なかったから、不便なところではあるんだろう。

Dscf9038 「ここにいた人は、どこいっちゃったの?」

「さぁ…この辺りは畑ばかりだから農業かな。たぶん後継者の問題とかで離農したとか…」

「でもタバコの箱を並べてるような人は、いたってことでしょ」

「うん。でも今の世の中、農業も大変だから継いでくれるとは限らないし、親も継がせる気にならないこともあるそうだよ」

「どして?」catface

「あれ!原油価格高騰だよ。トウモロコシからバイオ燃料を作るとかで穀物相場がすごく上がったんだ。親戚の酪農家で家畜の飼料価格の上昇で大変らしい。飼料とか畑の肥料もほとんど輸入らしいから」

「ふーん。でも、この家が空き家になったのって今年や去年じゃないんじゃない?」

「それはなにか事情があったんだろうね…景気に関係なく、無くなる企業や閉める店ってあるから」

Dscf9073

窓から見える風景は、ほとんどが藪ばかり。
太陽は、変わらず輝いていて、緑もまぶしいのにさ…

Dscf9074元は、キレイに整備されて庭に色とりどりの草花も植えられていたんだろうね。
「永遠」なんてないんだと思うけど、こんな終末的な景色はいたたまれなくなってきた…。

「大丈夫?」

「うん…なんだか鬱になってきた…」

「そろそろ降りよう」

コイツは、好き好んでこういうところに来るけど、鬱な気分にならないんだろうか。
私には見えない何かが見えているんだろうと思うけど…
どこからか見つけてくる廃墟の本やPCの「お気に入り」にも廃墟なんとか見たいなタイトルみたいなサイトがたくさんあるところを見るとコイツだけの趣味じゃないんだと思うけど。

Dscf9077 あれ…いないsign01置いてかれたsign03wobbly

あわてて下へ降りると階段前の部屋で壁を撮っていた。
和室─畳の部屋だ。それも広い!客間っていうのかな。

「思ったほどここは古くないのかもしれないね。ほら!」

指差す先の壁にポスターがあった。
L'Arc~en~Cielの…雑誌の綴じ込み付録のような。

Mixi_dscf9045

Mixi_dscf9044 「10年も経っていないみたい」

「うん…」

「何があったんだろうね」

「さあ…」

知らない時代の遺物ならいざ知らず、リアルに知っていたものに出くわすのは、なんだかショックだ。

「なんだか見てたら寂しくなってくるね…」

「そうだね」

「寂しいの好きなの?」

「そういう意味じゃないけど…感情って楽しいこととか、嬉しいことばっかりじゃなくてさ、悲しいこととか寂しいことも求めるんだよ。人としての心を失わないためにさ。テレビや映画がコメディばかりじゃないみたいに…心の痛みっていうのは意外と経験していないのかもしれないから敢えてそれと向かい合うと、そこに美的なものすら感じるんだと思うんだよ。闇があるから光がわかるみたいにさ。ネガティヴなものがあるからこそのポジティヴっていうか、そんな気持ちだよ」

ふーん なかなか言うじゃないか…think

「あと、居間の方見たら、もう行こう」

「うん」

Dscf9056

天井板が力なく垂れ下がった居間。

ここで家族団らんもあったんだろうね。
何人家族かもわからないけど、家族がいなくなってから家は悲しさのあまり自分を傷つけたような、守るべきものがいなくなった自暴自棄からヤケクソになったようなそんな気がする。

「勝手口が開いてたから、さっきの猫か何かはそこからはいったみたいだよ」

Dscf9057

「あれ?あれって…ピアノ?」

Dscf9065 向こうの部屋の壁際に大きな家具が見えた。
そこは部屋ではなく、隣の床の間に続く縁側のようなところ。
外の立木が風に煽られて当たったのか、誰かがワザと割ったのかガラスが粉々に飛び散ってる。

やっぱりピアノだ。
小さいころ親にねだっても夢は叶わなかったものが、当然のようにここにあって埃にまみれている。
そっと蓋を開けてみると鍵盤も惨めに薄汚れている。

Dscf9061 カシューン…
後から 乾いたシャッターの音が鳴り続けている

ポーン…
いつか 忘れてきた夢の音 
その音に乾いた音は鳴り止んだ
夢が現実に勝った気がした…

ヒューマニズムがコマーシャリズムに対して1本取ってやったような…
それほど大げさじゃないけど

なんだかね…

Dscf9062

Dscf9072_2夢は生きるための心の糧
喜びはそのためのビタミン

悲しみや寂しさは─ほんのささいなミネラル
ささいだけれど無くていいものではない

そういうものなのかもしれないね…

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2008年5月11日 (日)

HONOKA

Dscf5791

廃墟に行ってきます─

普通─ こんなこと言ってると変わり者。
確かに人の家のゴミ箱あさっているみたいなことかもしれないね。

「今度の休みも『廃墟』かい?」

「いいとこあったら教えてくださいよ」

会話は成立してるけど どことなくシニカルだね

Dscf5794  

強く地味でいることに飽きて 脆く鮮やかに赤茶けた階段

骨を氷柱みたい溶かし出して 風になろうとするコンクリート

老人のように しわを浮かせて反り返る板壁

Dscf5793

何ゆえに こんなものたちに魅力を感じ、癒されるのか
考えているようで、考えたことがない わかっているようで、わかっていない
いわゆる『骨董趣味』と似たものだろうか?
でも、この取り残された思い出たちは 骨董にはなりえない

骨董というと 手軽な和骨董とか古布とかが静かにブームが続いていて骨董市とか骨董入門みたいな本をチラ見することが多い。買わないけど。
以前、図書館で読んだ骨董の本で、あるお店へのインタビューがあった。

「このお店で一番のものを見せてください」

主が出したものは、これ以上ないというくらいに潰されたコーラの空き缶を納めた額。
のみの市で若者が並べて売ってたそうだ。
その若者いわく、

「自分が美しいと思うものを選んで並べています」

主はその潰れ缶を300円で購入。それが店一番の宝。
骨董の価値観と異なるものがそこにある。

Dscf5797

「こんにちはー すいません あのサイロ撮らせてくださいませんか?」

  「あー? いいけど あんなボロ撮ってどうするの?」

「この家いいですねー 中、見ていいですか」

  「こんな 火にくべるしか能のないもの見るってかい?」

Dscf5810 そう言いつつ 向こうの顔は、ほころんでいたりする。
永久に表に出ることはないであろう歴史を聞かされたりもする。
歴史はあるのに歴史的価値は認められないものたち
その古が開封されるとき現われるのは「愛」の記憶だ。

…言い過ぎだって? そうかもしれないね。

でも考えてごらん。小さい頃からずーっと何気なく見ていたあの角にあった古い小屋が、ある日なくなったら 君の心に穴が空くよ。

それは、愛着があったということ。
愛がないと目的地に到着できない。

Dscf5803

廃墟に行ってきます。

なぜかって?
「好きです」 それだけでいい。 
LOVEだろうと LIKEだろうと「好き」に変わりはないよ

得られるものがあるなら、ホントのところ「廃墟」というのは、ふさわしくない冠だ。

なにも大げさで存在感のあるものじゃなくていいから、そういうものを見つけたい。

Dscf5808

「廃」と書いて「愛」と読め! 

なんちって

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2008年5月 3日 (土)

愛すていしょん

2005年3月『ふるさと銀河線(ちほく高原鉄道)全線廃止決定!

Dscf5126

国鉄の時代から続く路線だったけど利用客の減少で赤字路線となり、廃止となるところを第三セクター化して運行を続けていた。
第三セクターといえばバブル期のテーマパークと同じで多額の融資を受けることが可能だった時代に可能な事業だったと言われますね。バブルバブルって未だに言われるのも可愛そうな気がするよ。
バブルの恩恵ばかりでもないと思うけど。

Dscf5132 ともかく、今のご時世、決まると早い。約1年後の2006年4月21日をもって「ふるさと銀河線」は全線廃止になりました。今の時代、特に減算的なことにおいては、バブル狩りみたいに早いです。

ダイヤとか詳しくないので言えたものではないですけど、各駅停車の小旅行みたいなことを数回したことがありました。
「乗ればどこかに着くだろう」と自分のことには天性楽観的な性格が災いして、今で言う所の秘境駅で降りてしまい、自分の手のひらも見えなくなるような本物の闇に包まれる無人の駅舎で翌朝まで恐々としたこともありました。

Dscf5131 「ふるさと銀河線」もいつか乗っておこうと思っているうちに廃線が確定。そのあとも機会を作れず最後の日を過ぎてしまいました。
こういうことって近くの親友みたいなもので、「いつでも会えるから…」と思ってるうちに二度と会えなくなってしまうってことも無いことじゃありません。

「近くだから会っておこう」 それも必要。

現在、沿線は一部の町では、公売に出した廃レールが意外と高額で落札されたことから、同様の向きが広がるのも避けられないことなのでしょう。
既に軌道に積まれた枕木の山を見かけるところも多くなり、作業は進んでいるようでした。

そんな中、沿線の陸別町が観光資源として単独運行が始まったようです。
あの『銀河鉄道999』のメーテルも健在で!

それは、良しとして
たいていの地区は沿線撤去の方向でしょうか…
今も残る駅舎も「道の駅」になったものや地域福祉館として生まれ変わったり、歴史的建造物として保管されるもの。そして先行きもまだ決まらないままに取り残された古くも新しくもない小さな駅。

そんなひとつに寄って来ました。

Dscf5127

Dscf5131_3 足寄町「愛冠(あいかっぷ)駅」。
ちほく線 全33駅中、十勝池田駅から数えて11駅目で足寄駅の次になります。
名前は知っていましたが、始めて現地に行って驚いた。

「えっ?ブライダル・ブリッジ???」 BBですか? そりゃブリジット・バルドー。
何だか妙な名前だな

愛冠(あいかっぷ)=愛のカップル にかけているそうです。元々そういう意味じゃないだろうけど。
変わった形の駅舎も冠の形にしているというお話です。存続時も
近場で言うと「旧広尾線」の「愛国駅」や「幸福駅」みたいなものです。いわゆる『駅婚』というのが執り行われていたらしい。
わきの東屋には「愛の泉」の名が掲げられる名水が滾々と湧き出してた。

愛の泉は、廃線になっても枯れることはない

Dscf5129 その泉の味は─   無味無臭。
そんな味がたまらなく美味しく感じられるんだよ。人は

人は、その清らかな泉を濁らせたり、枯らせたりもするんだよ。故意じゃなくても…
そうならないためにも泉は常に滾々と湧き続けてなければならない。

簡単そうで難しいこと 自分を潤してくれる泉を探すのは大変だ
ところが、その大変さを感じないのが、感じさせないのが『愛』の時間だよね。

泉を見つけたら枯らせないようにしよう
泉も炎も湧き上がるところは似ている
だから大事にしないと…

Dscf5128 そして それは こころのありかたと おなじ
王冠は ふさわしいところに来る
強いだけじゃもらえないよ
ちょい難しいね。

簡単なこと 難しいこと

かけがえのないこと とりとめのないこと

些細なこと 大げさなこと

そんなことみんな じつは それほど違わないことなんだ
そんな気がする 『愛』の前ではね

どう思う? どう想う…

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ひとつだけ気が付いた
「駅婚」は終着駅では成立しない…よね

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2008年2月27日 (水)

チョコレート・スフィンクス考

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Dscf4925 このところ、重い創作に嵩じていました。

「水中メガネ」「夏草の線路」
くどいかなぁ…と思いつつ 評価は別としてこれはやっておきたいなーっとのことでした。

あまりにも長文なので「飽きられないか?」という心配も持っていましたが思いがけずアクセス数も上がりまして、読んでいただいた方には感謝いたします。
意外とこういうの神経も疲れるものですよ。感情移入するんですね、書いてて…
特に「水中メガネ」に関しましては、想い深い体験談のメールを下さいました方がいらっしゃいました。

Dscf4939 今回は、その方に送ります。
当初、思いつく限りメールで返信しましたが、その後は音沙汰も無いのである程度吹っ切れたのだとお察しします。

必要以上深く干渉するのも無作法と思いましたが、答は見つかりましたでしょうか。
ねこんが借り物の着想で書いた「水中メガネ」は、そんな貴方への手紙だったと思っていただくのは、むしろこちらも望むことです。

Dscf4926 こんな北海道の片田舎のボロ猫が心の封印を解いたのであれば、それは誤解であっても謝罪すべきかもしれません。
ただ 過去は過去として 未来の足枷になってはいけない…と、思います。

Dscf5061 拝見しました貴方の現在を読んで、昔読んだ本を思い出しました。
劇画ですが、伊藤重夫という人の描いた「チョコレートスフィンクス考」といいます。
そこから貴方のたどるべき答えが読み取れたわけではありませんでしたが…
そちらの専門古書店では見つかると思います。
面白みがあるかどうかは、別ですけどそんな印象を持ちました。
だからどうした…ですが。

少なくとも貴方が「ルイドロ」に入ってこられたことは、封印された過去を解こうとしていたのだとも取れます。

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これだけは考えてください

いくら廃れても人も廃墟も決して捨てたもんじゃないということを…

近い将来、心の闇が消えて貴方様に幸あらんことをお祈りします。

                             ねこん

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2007年7月19日 (木)

焼き場にて ②

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Dscf0652  ごみ分別にも種類があります。燃やすごみ、燃やさないごみ、資源ごみ(缶・ビン・ペットボトル・容器包装にかかわるプラスチック、紙類)、新聞類・雑誌類・ダンボール類・紙パック・大型ごみ・危険ごみ(電池〔ボタン電池は含まず〕・蛍光管など)
 行政地区によっては、生ごみも分別対象にしているようです。まめに分別すれば燃やさないごみの場合、3ヶ月は45ℓ袋1枚で充分なまで減らすことが出来ますが、排出基準が行政により若干の異なりがあって混乱があるようです。
 例えばフライパンは、ある町は燃やさないごみの袋に入るのでOK。他方の町は大型ごみ扱いになります。このような手間とわずらわしさから思い込みや曖昧さが目立つ分別になってしまいます。

 覚えることも問題ですが、家に分別用のごみ箱が増える結果となり、収集日が細分化された上、祭日が重なるとごみステーションに置かれても収集されず、ほかの分別物収集日に『収集不可』シールを貼られ置き去りされているのも見られます。だからといって回収する様子もありませんが。

 今やそれ自体が巨大な廃棄物となったごみ処理場。でもその閉鎖は「惜しまれる」ということとは別のようです。最も過酷な労働を担う施設でありながら式典もあるわけではなく、ただ回路から取り外されたかのように時を止め、存在意義を凍結させました。
 勇退とか退官という言葉に縁のない施設。温まることの無い煙突の指差す青空を雲が悠々と流れていきました。その青空も紫外線云々で歓迎されない面もあります。

 人の暮らしに密接しながらその面影は少ない無機質な終末砦。
事務的でドライな印象がありますが、実は最も心を感じる碑が建立されていました。

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Dscf0654  人形供養、針供養、刷毛供養など生活や業種によって人ではないものの労をねぎらう行事があります。神仏とは違う精霊信仰的な印象がありますが日本独自の考えかたではないでしょうか。
 さすれば、ごみとて同じこと。この『大魂碑』が建立されたのもしごく当然なのでしょう。
その当然があったことがどこかホッとする気がします。

ごみは捨てられても心までは捨てていない。 ということですか…

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2007年7月18日 (水)

焼き場にて ①

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Dscf0644 青い空 ポカンと浮かぶ雲 煙突から出る煙が高い空へ飛び立っていく
ここが雲を作る工場だと思っていた頃 その日は既に遠く…
大人になるためにそぎ落としたもの達を空に帰し続けた焼き場はその動きを止めて久しい
みんなが大人になったわけではなく みんなが落としたものが多すぎたのだろうか
赤錆だらけの煙突は大人になって見上げることを忘れていた空を静かに指差し何を語る…

Dscf0647  町のごみ焼却場が停止して数年経ちました。燃やすべくごみがなくなったわけではなく、焼却によって発生するダイオキシン。すでにおなじみの有害物質です。燃焼効率の劣る釜だと、普通の紙程度のものからでも発生するらしい。高規格の焼却炉でないと発生を抑えられないということで町村設備の焼却炉は、ほとんどが適切ではないことになりました。
 もちろんダイオキシンだけではなく、地球温暖化に関わる二酸化炭素の抑制。そしてごみの再資源化など、ごみ処理に係わる情勢は変わりました。
 でもそれでごみは本当に減ったのかというと決してそうではないようです。

Dscf0645  ごみ処理の有料化や分別の行政指導・民間活動により、ごみの排出は減少傾向に向かいましたが今は少しづつではありますが再び増加傾向にあります。
高規格処理施設に搬入している町村はともかく、参入に至らないところは単独で焼却以外の処理が必要になります。
 この町では再資源化に向けたものを覗いては現在、「燃やせるもの」「燃やせないもの」全てが郊外の山中に埋められています。後に高規格処理施設に搬入するようになるようですが、現在の施設の課動力等考えると現状でも手狭になりつつあります。

Dscf0649  この閉鎖された処理施設は稼働中、付近にえもいわれぬ臭気(腐敗臭)もありました。小学生の頃社会見学でここに来たことがありました。臭くて蠅が多いところという印象しかのこっていませんが、今は焼却に使用したと思われる油の匂いが残っている程度です。
 一時は、ごみ排出量軽減対策として家庭用ごみ焼却炉を行政が購入助勢した時期もありました。それらも町条例等によって無料回収などを得て使用禁止となりました。
ねこんの町では『野焼きを禁止する条例』もあります。他所も同然なのでしょう。

 『人類は自ら出したごみによって滅びる』といった報告が専門家に報じられていたのを何かで読みました。少子化も高齢化もそして、地球温暖化もずいぶん前から学者先生の警告として世に出てきましたが、地震と同じように公も民も具象化しないと動かないものなんですね。学者先生の言うことはたぶん正しいのですが、つながるところに繋がらず論文だけが公表されているように感じて、どこか空しい。

(つづく)

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2007年7月13日 (金)

ろこもーしょん★ぶるうす

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 街の中心あたりにある公園です。近くの中学校旧敷地を利用したイベント公園があり、町の初夏の行事が行われています。焼肉の香ばしい煙や地元の「よさこいソーラン」チームの演舞、寄らず離れずにけん制し合う中学生の男女のグループ。まるで季節の風物詩のようです。
 その喧騒から少し離れた所の昔からある公園に1台の機関車が物心ついた頃からここにいます。ペンキがかなり剥げてきていますが、本体は思ったほど破損していません。この勇姿は数十年ぶりに見ました。

Dscf6567  「まだ、あったんだー」
コンクリート製の車体。雨風に晒されてもうここには無いと思っていたのに良く残っていましたね。30年以上は経過しているでしょう。
まめに塗装の塗り替え等をしないとこれほどはもたないでしょう。(あまりしていない風ですが)
 すぐ近くに通称「北向き地蔵」と呼ばれる地蔵堂があり、そのおまつりに子ども対象のイベントがありました。
 男女混合の軽相撲大会(主に小学生)で、勝つと50円。負けても10円の報奨金が出るため腕に自信のある猛者が集いました。ねこんもお金に目がくらんで出場。出場3回、3連敗で二学年下にまで負けるという角界なら引退ものの成績でした。悔しくて離れたこの機関車の運転席で嗚咽していたことを思い出します。

Dscf6569  コンクリートの基礎に固定されているので本来、動くことはないのですが子どもの遊びの中では「動く」機関車でした。でもなぜか、暴走機関車っぽい演出で走っていたような気がします。前を誰かが横切っただけで「危ない!どけろー!」との怒号が飛びます。
 今、この運転席に入ると自分は成長したんだなーと改めて思います。記憶の中で自分に対するこの機関車のサイズが記憶されているようなので違和感がするみたい。

 園内には遊具やモニュメントが点々として芝も手入れされているようですが、子どもの遊んでいる痕跡はすくない。あの頃あった遊具も老朽化や時折ニュースに出てくる遊具の事故の影響で撤去されたものがあるようです。ここに限ったことではありませんが公園に子どもたちの集う場面はあまり見られなくなりました。
 世の中、色々と物騒だし子どもたちも忙しくなったようです。
今はもっぱら暗がりの中、中学生の集う場となっていることがよく見られます。

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 屋根に登って仁王立ちで枯れ枝を振り回し「行け!行け!」と叫んでいた機関車の同じ場所でDSに嵩じている子がいる。そんな風に時代はどんどん変わりましたが、この機関車は良きおじいちゃんのように今も昔も子ども達を静かに受け止めているのでした。

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2007年7月11日 (水)

果てしない大空

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 『ルイドロ』に出すには、ちょいと誤解が生じるかもしれません。
時折、足寄を通りますが一度も行ったことがなかったのでつい…

 あちこちに「千春の家はこちら」と言う趣旨の看板があるので辿って行き着きました。
以前、日曜のお昼近くに放送のラジオ番組「季節の旅人」というのが流れていて、特にファンではありませんが聞けるときは聞いていました。

 根強いファンを差し置いて、松山千春氏の人間像を語るのは、おこがましいところですが人間的に器は大きい人だと思います。自分がねこ茶碗程度の器しか持たないから大きい器に憧れるのかな~。
 新しい歌はよく分かりませんが、ねこんの学生時は大人気で回りのみんなが聞いていた程なので、頭の中に歌が染み付いています。

 今は全国的に幅広い世代に支持されて大御所となりましたが、ラジオで聞く語りはそれを感じさせない、歯に衣着せぬ人なので、そこがまた人気の理由なのでしょう。
 ねこんは、けっこうラジオを聴くタイプなので、早く帰ってきていただきたいところです。野球と競馬の話は分かりませんけどね。

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「生きるのが辛いとか 苦しいだとか言う前に 力の限り生きてやれ」

うーんそれを考えるとまた、辛いかな…?

明日は本筋に戻ります

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2007年7月 4日 (水)

雪割姫 ③

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Map_2

 雪割姫の戯れに春を待つものの中には、せっかちな奴らがいて、姫の歩みを追ってくるように勝手に芽生えを始めだしてきた。
 姫の後ろから足跡形に小さな春がすぐそこまで追ってきている。

  久しく閉鎖状態のコンクリートプラント。建物は既に撤去されていますが、その作業も中断状態。切断されたH鋼、壁が崩れて剥き出しの鉄筋、埋められもしないトイレ、砂を詰めたままのピット、充填物の詰まったまま放置されたドラム缶や消火器等。
 今年に入り、「私有地につき立ち入り禁止」の看板が立ちました。しかし、バリケードがあるわけでもなく、反対側に用事のある人は、老若男女問わず時折、横切っているようです。現在、個人の所有(管理)とされていますが倒産物件らしく、管理が及んでいるとは思えません。途中までの撤去作業も残骸の残り方から、鉄屑の現金化目的で正式な撤去ではない感じがしています。
 残された施設、雑草、立木も多く、道なりに見ると内部の様子は伺うことのできない状態で、不法投棄や犯罪行為の後始末(大量に見かける空のバッグや財布の類)にも利用され、無法地帯といっても過言ではありません。地域の問題として取り上げられているのでしょうが、おそらく治安対策として、効果の期待できない看板というより標識が数枚、立てられていますが、すでに雑草に埋もれようとしていました。
 人間を知らない
雪割姫の目には、これらの遺物もアンコールワットやボロヴドールのように消え去った文明の遺跡として映っていたことでしょう。

 雪割姫が城跡に入ってみると始めて見る壁画があった。これが『人間』の姿だろうか?

「そうではないよ…」 風がささやいた。

Dscf1972_1 ──ここは、人が城や塔の材料を作ったところだよ。

「人?そのひとは何処へいったのでしょうか?」

──何処にもいっていないよ。回りに見える小さな箱の中でジッと春をまっているよ。

「ここには誰もいないのですか…」

──ここはもう、いらなくなってしまったのだろう。さっきの老人も転がっていた連中も人がここに捨てていったのだからね。ここは、いらないものの街というわけさ… 

「『捨てる』とはどういうことなのでしょう。」

──約束と違う返し方をすることだよ。ひとは約束事をいつも溜め込んで忙しいので返し方を忘れたのだろう。

Dscf1962  風は通り過ぎていった。まだ、聞いてみたいことはたくさんあったのだが、そうもいかないようだ。足元に春をねだるものたちの感触を感じたからだ。
 考えることを止めたものたちが累々と横たわる大地とここを去っていった忘れっぽい者たちのことは、また知ることもあるだろう。

 雪割姫は、春を歌う。
それを待ち焦がれていた生命の種が静かにはじけて。すぐに春が大地を覆いだすことだろう。その感触を確認しながら姫は、何か思っていた。
 雪が消えて地上が春一色になれば、自分は眠りに付く。それまでのわずかな間、『人の世』も見て行こうとそう思った。
 そして、次の目覚めの場所はどこになるのだろうか?そんな期待に胸を膨らませながら雪割姫は春の風に乗って、空へ舞い上がる。地上には先ほどの城跡や赤茶けた老人たちが小さく見えた。

 季節の画家たちが新品の絵具箱のふたを開けてこの純白の大地に春を描き出していく、人間の集う小石をばら撒いたようなコンクリートの一角にも…

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季節は差別なく訪れる。人の世のゴタゴタなど知る由もないのだから…

(未完)

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2007年7月 3日 (火)

雪割姫 ②

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Dscf1970  この城跡のようなところには人影は無かった。雪割姫は、いつしかこの小さな探検を楽しんでいたのかもしれない。自分の生きる意味に使命とか宿命とか運命とか、そんなしがらみはなかったのに、いつもと違った目覚めの夢が何か誘惑めいたものをはらんでいたのだろうか…

Dscf1972  城跡というがそのようなものを姫は、それほど見たことがない。
少し覚えているのは、いつかの春の時。こんな感じの奇妙な石積を住処にしていた古木の話を聞いたときのことでした。住んでいたというより生まれながらにそこにいて、すっかりよりどころにしていたようでした。

Dscf3206 ここには、昔たくさんの『人間』がいて、狭い谷間に固まって暮らしていた。
彼らは毎日、決まった時間に集まって穴倉に閉じこもり、黒い石を大事に集めていた。

木を倒し、山を崩しながら黒くて新しい山を作った、自分達の顔も真っ黒にしながら煙が空を灰色に変えていても、楽しくて仕方が無いように笑っていてね…

やがて、空が元の色を取り戻し始めた頃、人間は悲しんで青空を呪い始めた。彼らにとって青空が帰ってくることは山の死を意味するらしく、多くの人間はここから去って戻らなくなった。
我らには、かえって住みやすくなったが、辺りにあるのがその『人間』の城の跡だよ。

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 四角くて穴だらけの壁の中から姫を見下ろして古木は、そう言った。
回りの木や草達は『人間』遺跡を物珍しげに覗き込んだり、拠所にしてのしかかったりしていたが、石の壁自身は姫の語りかけに答えるものではないようでした。古木の話は良く分からなかったが、自分とは違う仕事をする者たちには興味を持ちました。
 しかし、人の計りきれない年月のほんの一時期だけに生きてきた姫にとって人の命はあまりにも短すぎたのかもしれません。

Dscf1990

Dscf1992  ここの城跡には黒い石は見えませんでしたが、ここで生きていた『人間』達は砂や石を集めていたようです。宝物の袋みたいなものも隠してありますが、なぜ大事にしていたのか姫には理解できません。

 白い大地は、姫の心の異変に気がついたようでしたが、ただ黙って見守っているようです…

(つづく)

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2007年7月 2日 (月)

雪割姫 ①

Photo_24

 凍てつく北の冬に春の訪れがやってきた
 『雪割姫』の目覚め
 彼女は雪の中から誕生し、命の調べを歌い、春の訪れを宣言する
 見渡す限り無のような白い大地はその歌で無限の命を現出させていく…

Dscf1947  ただ、今年の『雪割姫』の目覚めは奇妙であった…

 毎年、大地が春色に覆われたのを見届けると姫は再び眠りに付く
 「次の目覚めは、どんなところなのだろう」と期待に胸をふくらましながら…

 「ここは…いったいどこ?」
 雪の白は、いつもと同じだったのだが見慣れないものが回りには累々としています。
 姫は歌うことも忘れて辺りを彷徨いだしました──

Dscf1942  ここがいつからこのような状態になったのかは分かりません。話に聞いたときには倒産していたようで、それが既に十数年前。真意のほどは不明です。閉鎖されたことには、かわりないでしょう。聞いた話と見たものからコンクリートプラントであったようです。
 西は国道に面し、東は一角に工務店がありますが河川が横たわり、南北は、これが奇妙なことに新興住宅地にはさまれた孤立地帯です。
 後に建物は解体された様子ですが、今だ残る多くのもの・新たに加わったもの、それらを「雪割姫」の目線で見て行きましょう…

 姫は、赤茶けた大きな目の男に出会いました。
「ここは、いったいどんなところなのでしょうか?」

Dscf1940

Dscf1943「残念ながら、わたしには何もわからないね…」
 男はかなり老いて目もかすんでいるため、回りのことを全く知らないのだ。
 主人に雇われて長い間、荷物を運ぶ仕事をしていましたが体が思うように動かなくなり「迎えに来るまで、ここで待っているように」と言われ、もうずいぶん長い時間が経っている様でした。時折、血の気の多い若者が来てひどい痛手Dscf1948_1を負わせているようだが、忠実に生きてきた赤茶色で小柄な老人には、黙って受け入れる他になかったようだ。それは、自分の運命を悟っていてのようだがそれ以上のことは語ろうとはしない。
 『生命の息吹』しか知らない姫にとっては、おそらく理解できないことであろう。

   老人に軽く会釈すると姫は先を進んだ。途中、自分が何だったか分からなくなったものたちが固まったり、散りぢりになって一帯にたむろしている。
 彼らは、何も答えず考えることすらも止めてしまったようだ。
 近くには、まだ「春の訪れ」の宣言もしていないのにヒョロヒョロと伸びていたり、ずんぐりしているおかしな植物が気ままに生えている。これも姫の言葉には答えなかった。

Dscf1949Dscf1950  いつしか姫は、この土地のもつ毒気にあてられたのか自分の使命も忘れてしまったかのように雪の荒野の中を彷徨う。
 しかし、ひとつには今まで考えることもしなかったが、自分という存在と宿命に対して初めて向き会ったような気がしていた。
 それは春という季節だけに生きてきた自分への疑問であったのかもしれない。

 やがて、向こうに古い城跡のようなものが見えてきた。

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春の訪れは少し伸びたようです。『雪割姫』の旅が長引いてしまい今年の春は、あわてて始まったようで、いつに無く暑い春でした。

(つづく)

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2007年5月18日 (金)

明日で連載100回です。

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みなさん こんにちは
『ルイン・ドロップ』も2月(仮開設は1月末)から初めて早、100回を迎えます

小学生の頃、意気込んで始めた絵日記も10日くらいしか続かなかったのに我ながら感心してしまいます。これも片意地のなせる業なのでしょう。
 大半は方向を逸脱したような物件やテーマが多い感もありますが相棒のルイン君(デジカメ)がいつも同伴で目に入るとともかくシャッターを切る癖がついて数だけは消化しているようです。

 こういうサブカルチャー界に参入するのは初めてに等しく、それまでも廃墟などを時折、見て歩くことはありましたがネット参入する意思は無く、自己完結の世界でした。
 サブカルといっても奥は深くなっていくもので先日『2ちゃんねる』の「廃墟サイトスレッド」なるものを始めてまともに閲覧しました。思うところは多々あります。「侵入の違法性」「侵入の助長」「サイトの派閥と利権」などそれに関して自分で思うこともたくさんあります。
 その昔、漫画同人誌なるものに関わっていて『萌~!』と言う言葉はまだ出てこない頃ですが、アニメや漫画など内輪での和気藹々たる世界的イメージがありますが、その世界も派閥や利権や憎悪がありました。これはある程度年数が経ち、深みの出てきたどんな世界にもあることなのでしょう。

 しかして、我々の集う、この世界も好きで入ってきたことには変わりないと思います。
人それぞれに入口は違うにしても目指すところは同じであったはずで、同士お互いの非難やけん制を目的にしたわけでは無いと思います。
 始めは純粋に廃墟美を愛でる愛好家であって、決して単なるトレジャーハンターか山師ではなかったはずでしょう。
 刺激を求めるばかりに合法・非合法のスレスレの線にあったことが非合法にどっぷり抉りこみ、それが『凄いだろう!』ではあまりにも空しく感じます。いつか探査に限界がくるか、自分の命運が尽きるでしょう。良心に引っ掛かりがあるのであれば少しでも合法化することは充分可能なのです。

 自分のスタンスの確立以前に我々に驚異と感動を与えてくれるそれらの物件にせめてもの敬意を持って接していくべきではないでしょうか。『ルイン・ドロップ』において、願わくば忘れられた幸福の砦に考える限りの有終の美を現せればと思います。ただ、それにはまだまだ至らぬ技量ですが…

 紹介してきた物件の訪問に先立ち、情報収集・承諾確認に際して、ご理解とご協力並びに過大なるお志(サツマイモやキャベツのお土産、昼食のご馳走など)を頂きました方々にこの場をもって改めて感謝申し上げます。ある意味、こういうことをやっていて良かったなと思いました。

連載100回と誕生日を迎えるにあたり          鯖虎ねこん

新参者の人を食ったような発言でした。お気に触れば、ご容赦のほど…

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2007年5月 9日 (水)

心霊写真

Dscf0364  日頃、『ルイン・ドロップ』をご覧の皆様、ありがとうございます。

 GW明けにめでたくアクセス数5000突破しました。この数字が多いか少ないかは別として自分にとって大きな数字であることには変わりありません。
 日本全国の「廃墟ファン」の皆様に感謝いたします。

 この「アクセス5000突破」を記念して新しいPHアルバム『廃墟ラブホテル●すか再調査』をアップしました。サイドメニューからお入りください。初回調査が今年の元旦ということで積雪のため見えなかった部分を再調査しました。
 枚数が多いので時間があるときにボチボチご覧ください。

 右の写真は某国道沿いにある廃屋です。反対側から建物をあおりながら回りこんでいたので目の前に現われたとき、心霊写真か念写のようで結構引きました。
 これはもちろん『オロ●●ン』のホーロー看板ですが、ずいぶん摩れていますね。
 国道に面しているためこの付近はホーロー看板がとても多い…いや、多かったのかな。近年、略奪か古物商の買い付けでその数が激減してしまっているようです。

 古物マニアの中で「ホーロー看板マニア」という方々も多いようです。自宅ガレージに大量に張り付けているお宅も見たことがありましたが、この手の看板は、こんな摩れた木造の壁が一番似合うように思います。

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2007年4月18日 (水)

わたしの臨死体験

Dscf0114

上の写真は『バッタ塚ドライブイン』そばのレーシングカートの墓場です。

 かれこれ『ルイン・ドロップ』を始めてからの記事の数は70を超えました。
改めて関係各位様およびアクセス頂きました方々にお礼申し上げます。

 思えば、開設初期は『ルイン・ドロップ』で検索をかけてもゲーム関係の情報に検索上位の座を占められ「同じ名前のものって結構あるんだ…」などと感心していましたが現在、この名前では最上位に出現することができました。あったり前かもしれないけれど、すごく嬉しかったりして…

 『廃校』やその他の『現代遺跡』と自分で位置付けしているものを巡って…と、いうより『ルイドロ』をはじめなければ一生行くことはなかったところを訪れて経験したことは、「悲しみ」や「忘却」・「寂しさ」・「懐かしさ」ばかりではなく、「驚き」や「怒り」・「微笑」・「感動」も当然ありました。『ひと』の暮らしや集いのあったところなので当然ですが、『ひと』が去っても消えないものがあることを知りました。それが、例えば『心霊』とか『精霊』といった存在なのでしょう。 その『もののけ』的なものの正体が家(場所)からくるものか、自分の内から発する感覚の見せるものなのか…それはもうしばらく探してみることにしましょう。

 夕べ、『ルイドロ』の更新をしていて、とりあえず記事の入力完了。あとは画像を入れて完成という段になり、急に睡魔に襲われて「とりあえず完成させねば…」とイメージ配置を始めました。
 しかし、うちのネット環境はADSLの圏内でありながら、中継機の能力の問題で今時のISDN。画像1点のアップに5~6分。へたをすると10分くらいかかることもあり、イメージ書込み待ち中についうとうとしてしまいます。
 夢見心地のなか、ふと顔をあげると「おっ完了してる…保存しよう…」

 そして迷わずクリックしたのは『削除』ボタン。ギィヤァアアアァ~…
図らずも臨死体験。
励ましのコメントよろしくお願いします。

ねこん

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2007年4月 8日 (日)

ドラッグ中毒

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※写真と本文は関係ありませんですよ…

 風邪をひきました。たぶん誰かから頂いたものです。インフルエンザではないようですが軽い頭痛が続いて、中途半端な微熱。首筋が重い。夜、布団に入るとやたらと咳が出てくる…決定的なのは覚えも無いのに関節が痛い。
 真冬は、体に防御能力が働くのか、めったなことでは風邪なぞひかないものを…

 仕方が無いので市販の風邪薬なぞ飲むことになるわけですが、この『風邪薬』というやつと、すこぶる相性が悪い。鎮痛剤とか胃薬とかは、何ら問題もないところを『風邪薬』となると規定量より減らしても激効きしてしまうのです。たぶん、成分的に相性が悪いものがあるんだな~と思います。だから製薬メーカーによっては良好なものもありますが、いつもの置き薬が切れると、つい薬のはしごをしてしまい、トリップゾーンに突入します。
 それが幻覚とか気分の高揚なら良いのですが、体がひたすら重く感じてきます。魂に体がもたれかかっているような気分で『頭が重い!腕が重い!足が重い!』で、ドベーっと横になっていると体がスライムみたいに自分の重さで部屋の中を液状に広がっていく気がしてくる…

 仕事中は、ドベーっと横になれないのでドラッグを抜くことになります。こんな宿命を負うのも今時期は中途半端に寒暖を繰り返すので体内時計が時差みたいなものを調整する機能の隙をつかれたんですね。手足が冷え性ぎみなので今日も1日、スキーソックスを履いて凌ぎました。

 とりあえず、今日のところは、お風呂で汗を出して、水分補給して寝ようかと思います。(今は4月7日午後9時)明日には元気になって(この記事の公開時間は午前5時)、予定どうり『はい!今日も廃墟巡礼』していることと思います。

 そうだ、みんな選挙には行くんだよ。間違って自分の名前を書かないように…

※不健康ネタを出すとカナブン師匠にまた怒られてしまうので、このへんにします。
 また、夢の抜け殻の中でお会いしましょう。

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2007年3月18日 (日)

バンザイと牛乳 ②

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 Y君とは、親が同じ常会同士。小学校併設の保育所の頃からいっしょでした。とは言え、この広い北海道では隣の家までもそこそこ距離があります。Y君の家は数件隣という距離なので地元風に言うと数キロ。車なら10分程度の家でもまだ、自転車も乗れなかったねこんには地の果てと同じ印象の距離。自転車をまるで軽業師のように扱う兄(そう思っていました)なら難なく行けたのにマイペースな彼は面倒がって連れて行ってくれることはありません。
 まれに父の用で一緒に行ったこともありましたが、そんなときに限ってY君は留守(入院していた)で残念な思いもありました。

Dscf0669  夏休みのある日、朝からY君の家に行くことになりました。何だかウキウキして、ポケットにはY君に見せようと大事な宝物(畑の脇で見つけた散弾銃の薬きょう!よりによって…)を忍ばせて勝手に軽トラに乗って待っていました。
 Y君の家には人がたくさん集まっています。今まで見たことも無い幌付きの大きなトラックが2~3台。『なんだろう?』
 Y君はちゃんと家にいて、満面の笑顔で『いらっしゃい』と行ってくれた。(今、考えると上品な言葉使いをする子だった) 招き入れられて家に入るとあまり物がなくて、何だかガラーンとしている感じ。大人だけがせわしなく動いている。

 『今日でお別れだね…』でも、その言葉の意味はよく分からなかった…
 大事な宝物を見せてみた。 『凄いもの見つけたね。大事にしなよ。』本当はY君にあげようと思っていたけれど何だか渡しそびれてポケットの中に押し込んだ。
Y君の兄は、ツンとした顔で覗き込んでいる。

Dscf0673  父に呼ばれて外に出た。近所のみんなが1ヵ所に集まっていて、気がつくとY君の一家4人が家の前に並んでいる。
 良く分からない大人の話が長々と続いて、ある大人が凄く力の入った話をしたあと『バンザーイ!』と大声で叫んだ。間髪入れず回りの大人も『バンザーイ!』つられて自分も力なく両手をあげた。Y君一家は大きなトラックに乗り込むと先頭の車から出発しだした。
 Y君に聞きたいことがあったのだけれど大人の影になってY君の顔すら見ることもできず見送った。『夏休みが終わったら聞こう…』そう思っていましたが、これが最後。

 『離農』を間近に見た経験です。この後、数年間同じことが数度ありました。
だから『バンザイ』はとても寂しい気がしてきます。今は身近なところでは結婚式でしか聞きませんがそういう時、場の雰囲気とは別の方に心が向かうのは、こんな経験のなせる業かもしれません…

 Y君の引越し先は、以外に近い所だったかもしれません。親戚筋も近くにはありますし。
でも、いまだに再会はありません。というか、会おうともしなかった。記憶はあの頃のまま、解凍されることを望んでいないのでしょう。

数十年ぶりにこの家に来て、何か思い出せるかなと期待しましたが、記憶に家のこと自体はあまりなかったようです。

『Y君ごめんね 牛乳は飲めるようになったけど、今でも嫌いなんだよ』
そんな罪悪感があったから、会えなかった…?

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2007年3月17日 (土)

バンザイと牛乳 ①

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 『牛乳飲めたんだね、おめでとう!』

今も記憶の底から聞こえてくる言葉… そして、あの笑顔。

Dscf0671  当時、小学校1年生。通っていた小学校は、4クラス…勘定が合わないではありませんか。 それというのも一部が複式学級制で、1-2年・3-4年で1クラスづつ。それでも二学年合わせて12人、学校統合時には全生徒数28名という小規模校。それでも学校が淋しいなんて気持ちは全然なかった。始めっからそうだったから…

 当時、牛乳が大っ嫌いで給食に出たものはもちろんのこと、家でも飲んだ記憶がほとんどありません。しかし、給食委員という使命感に燃えた子(上級生)がいて、『●●ちゃん、残したら昼休み遊ばせないからねっ!』と言われるのが辛くて、机の上の嫌いなものとジッと睨んで時間が過ぎるのを待っていました。「これを飲むくらいなら遊べなくてもいい!」と決めていたからです。

Dscf0672  家が酪農家なのに牛乳が嫌いなのかい? というところですが、肉屋さんの子が日常的に枝肉を見ていたら食べられなくなったみたいなもので、牛舎の牛や堆肥や消毒液などのミックスした匂いと牛乳の味が記憶の中で関連づいて、ダメだったのです。親は必要以上に無理強いはしませんでしたが、給食委員長はそれを許さず、目の前に腕組みで仁王立ちしていたのでした。今ではアレルギーとかの関係でそんなことはしていないでしょうがね…
 こちらは頑として拒否していたので、飲まずにはいられましたが、そのおかげで給食の時間が苦痛で、いつしか給食の他のものも食べるのが苦痛になり、家でも食べなくなり、ちょっとした拒食症というのになってしまったのです。全ての原因を給食委員にするのは少し筋違いというやつですが、その結果として極度の栄養失調と神経衰弱(?)から激しい脱毛症になってしまったわけです。
 回りが気を使ってくれたので、当時の写真などは一切残っていません。

Dscf0668  こんな私を母も心配していて、それがヒシヒシと伝わってくるのを感じて、「このままじゃいけないな」と考えたわけです。

 1学年上の男の子、Y君は体の弱かった子で心臓の手術をしたこともあったそうです。そのため、顔色はあまり良いとは言えず、でも表情の明るい子です。
 もう、完全に匙を投げた給食委員も私には無関心。必死に大嫌いな牛乳を飲む私。誰もこの努力に気がつかない…(かえってそんな自分を見られたくない気もしていた)

 ひとり、気がついていた。Y君がスタスタッとやってきて、満面の笑顔で冒頭の言葉…
 『牛乳飲めたんだね、おめでとう!』
 ドッと涙が出てきた…     (つづく)

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