2009年9月14日 (月)

マカロニ ③

Dscf1645

お店の外は、太陽が真上を越えて建物の大きな日陰を作り始めていた。
さっきよりも大勢の人で賑わってきて、たまに大きな笑い声があがる。それが少し怖い気がする。
真ん中にいる人はよく平気だなぁ。私があの場に出されたら怖くて一瞬ではじけ飛んでしまうかもしれない。
小さい頃のお祭りは、スゴク楽しいと思えたけど今そう感じてしまうのは、私がいかに人目を避けなきゃならなかったかってことなんだろうね。

Dscf1648 「何のお祭りなんですか?」

「うーん いわゆる夏祭りなんだろけど、時間によっては神輿が出たり、夜は盆踊りもあるよ。それだけじゃなんだから昼間はいろんなイベントしててね。毎年、大道芸人も来るんだよ」

「ふーん」

「こういうの好き?」

Dscf1605 「人の多いところ、苦手なんですよ。…慣れてないので」

「じゃ、ここ離れよう。おいで!」

彼についてわき道の方へ─
高い建物が多くて、コロン(連れの石の魂)と待ち合わせてる大きな看板が見えなくなった。
行った先は車がたくさん停まってる。ここ駐車場?
その中の1台のところへ彼は、歩いていった。

「えっ?私…そんなに遠くまでは…sweat01

「そんなに走らないよ。少し気分転換さ。まだ時間、充分あるじゃない」

「そうですけど…」

Dscf1822

断わる理由も思いつかなくて、隣に乗る。
大丈夫かな…今何時だろ。どのくらい経ったかな?

Dscf1929_2 車は駐車場を出て、ゆっくり通りへ出て行った。
お祭りの店がたくさん並ぶ通りを過ぎると嘘みたいに歩く人がいなくなる。
街じゅうの人が、さっきの通りに集まっていたみたいだ。

甘い香りの漂う車の中…聞いたことのない音楽…。
高い建物が後ろへ走り去る様子は、映画を見てるみたい。
いつも空の上から見る地上は、みんなゆっくり走っているように見えるのに車の中からだととても速く感じる。
当たり前なのかもしれないけど、それが私だけの発見みたいでなんだか嬉しくなった。

002424 「なに?」

「はい?なんですか?」

「笑ってたよ」

「そうですか?sweat01ちょっと嬉しかったんで…」

ヤバイ! 景色が流れるのが早いから…とか言うのは変だよね。
それにしてもこの人、私が幽霊と知ってもなんとも思わないのかなぁ…
もしかしたらこの人も幽霊だったとか…。

Dscf1945

「あのーっ幽霊とかどう思います?」

「…どうって別にねー。たまに友達と心霊スポットへ行ったりするよ。夏とかには…」

「心霊スポット?」

「幽霊屋敷の噂があるとことか、地縛霊がいるらしいとことかね」

「自爆霊ですか…」 なんだそら…gawk

002085 失敗とか多い私は、たしかに自爆霊に違いない。
そういうのが集まるところでもあるのかな?

それにしても、本当は、私が幽霊だってこと信じてないんだろうか?
そういえば昼間から街中をフラフラして、マカロニグラタンを食べる幽霊なんて私だけかもしれないsweat01きっとそうだよ。despair

「そういうところで幽霊を見たことあるんですか?」

「ないよ!話ではずいぶん聞いたけどね。結局“きもだめし”だから。ホントに出たら行かないよ。呪われちゃたまんないし」

「えーっ“呪い”だなんて…sweat02

ヒドイこというなぁ…元は同じ人間なのに…angrysweat01

「良く行くの?ああいう廃墟みたいなとことか」

「へ?」

行くのかなぁ…行くというか夜は、回りが見えないから屋根のあるところで休んでるだけなんだけど…。まさか普通のホテルに泊まれるわけじゃないし…。

「いや…行かないです。sweat02幽霊もいろいろだと思いますよ。そんな気味の悪いものじゃ…」

「そういや、ナギサちゃんも幽霊だったよね?」

「でも半人前だし、あまり幽霊に向いてないですけどね…」

「幽霊にも資格がいるの?死ぬのも面倒なんだなぁ」

「落第もできないんですよ」coldsweats01

「ははは…♪試験も何にもない♪ってか」

「ハハハ…sweat02

それって、妖怪じゃないかなぁ…
生きてる人のフリしてここにいる私も考えると人に化けるキツネやタヌキと一緒なのかも。

…やっぱり私が幽霊だってことは、本気にしてないみたいだ。
だよね…。私も「トイレの花子さん」とか怖いなぁ…と思ってたから。

自分がそういう身になったら、むしろ生きている人のほうが怖くなってしまったようだ。その「怖さ」というのは、自分がどんな目で人から見られるかということで、人のことが怖いわけじゃない。どこか“仲間はずれ”にされている気持ちと似てて、スゴク孤独な空気に縛られる感じがするんだ。

Dscf1975

あれ…? 気がつくと、景色から高い建物がほとんど逃げ去っていた。

「どこまで行くんですか?」

「どこか行きたいとこある?」

「いえ…近ければどこでも行きます…」

「うん、わかった」

コロン、何してるのかなぁ…
さっきのお祭りのどこかにいたんだろね。一緒に行けば良かった…。

Dscf1940 車は、スーッとスピードを落として左へ…

「ここは?」

「ちょっと休んでこ」

「はあ…」

地下室みたいなところに車を止めて、言われるまま付いていく…
昼間なのになんだか薄暗い…オバケ出そう。(自分がそうか…)
彼がうっすら明るいところのガラスの棒みたいなのを取ると廊下がパッと明るくなる。

Dscf4525

「あーっ青空!」

天井や壁一面に白い雲が流れる青空が…これは、絵だよね。でも青空を見たら少し安心してきた。動かない雲 焼けることのない空…

「ここだよ」

「あ…はい!」

 バーッ

Dscf4513 ドアから入ると水道の勢いよい音が聞こえた。隣にお風呂場があるみたい。
ふーん…こんなとこ初めて。
いつも夜休ませてもらう空家とは大違いだね。
どこからかかすかに音楽が聞こえる。

「部屋はそっちだよ」

「はーい」

えーっなに?この部屋!薄暗くて窓がない!
外が見えなくてどうするの???
中は部屋いっぱいの大きなベッドと テレビと 椅子と小さなテーブル
そんなもの…

002885 「あのーっ…ここ、なんですか?」

「えっ?なにって…ホテルだけど?初めて?」

「たぶん…ですね…」

「…まあいいや。ゆっくりしてこうよ」

「…」

変なとこだなぁ…そんなに広いところじゃないし…

枕元にスイッチがたくさんある。
入れてみたら部屋が明るくなった。
こっちは何だろ?

「…続いてのニュースは、また行楽シーズンの痛ましい事故です…」

わっsign02 テレビか…
ベッドの端に座って、しばらく見てた。何のことを言ってるのか全然分からないけど…
─とバスタオルを腰に巻いた彼が部屋に入ってきた。sweat01

002286 「テレビに夢中だったから、お先に使ったけど、お風呂入れるよ」

「えっ?」sweat01

「今日は、朝から暑いしねー」

「はあ…」

お風呂に入ることになった。まだ昼間なのに…
なにしてるんだろ私…今日は変な日だよ。
とりあえずお風呂には、入らなきゃならないみたいだし─
大きな鏡のある前で服を脱ぎだした。

impact「えーっsign02sweat01

002886鏡に映る自分を見てビックリした。

「私って─こんなにオトナだったんだ…」

何をいまさら…って感じだけど、こんなふうに自分の体を見たのは初めてだった。
いつも大して考えもしないで人に化けたりしたけど─

「どしたのー?」

「いいえーっsign01なんでもないですーっsign03sweat01

000080ともかく─
自分が自分じゃないことを思い知った気がした。
なんだか…なんだか…なんだかすごく恥ずかしい…sweat01

鏡を見ながら思わず手で顔を覆った…
指の隙間から見えるのは…見えたのは… 『あぁっsign01
爪の色がすっかり変わってる。
まずい!時間じゃないか! いつの間に時間が経ってたんだろ!
早く元に戻らないと、この体から出られなくなる!

あれ?いくらなんでも遅いな…「ちょっとーまだ上がらないのー」
あれ?いない!あれ?あれれっ?逃げられた?

Dscf1747

「すっかり、お待ちさせたでしたsweat01ナギサーン。大盛りでお待ちですか?」

「ううん。そうでもないよ─」

「お楽しみかったらしさです。笑わせた人がたくさんあったから」

「ふーん…良かったですね」

「ナギサンは、何をおこなってたんでしょうか?」

「私?いや…sweat01何もしてないよ」

「だから ご一緒したきたら良かったのにですより…」

「うーん…そうだね。次はそうするよ…」

「なんだか、お元気が台無しですね。ナギサン?」

「そんなことないよっ。sweat01 もう行こsign01暗くなってきたから」

Dscf1742

赤から紫色に変わり始めた夕日の下で、相変わらずにぎやかな音がしてる。
夜が怖くない人たちの笑顔は、大人も子どもも、どれも同じに見えた。

Dscf1178 今日のことはコロンには黙っておこう。
何言われるかわからないから…

それにしても勝手に逃げちゃって悪いことしたな…
でも、おいしかった…マカロニ

Youtube 「マカロニ」 Pafume

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2009年9月 3日 (木)

マカロニ ②

Dscf1642

「飲み物は?」

「い…いいえsign03水でいいです」sweat01

「じゃ…それで」

「かしこまりました。アイスコーヒーおひとつ、マカロニグラタンがおひとつ。以上ですね」

「はい」

002011_2まいった…sweat01
うっかり大声で言っちゃった…sweat02

「もしかして、お腹空いてた?」

別にお腹が空いていたわけじゃない。
目の前のことと頭の中が別のことを考えていたんだ。

「は…ははははは…sweat01すいません。つい…何年も食べてなかったので…sweat01

「えぇっ?」

「いや…食べてます。飴くらいは」

「飴だけ?」

「い…いやsweat01食べてます。人間だから…」sweat01

うっわ~話せば話すほどボロが出てくるよ…sweat02
今すぐにでも逃げ出したい。
向かい側から、ジッと私のほうを見てる。
怪しまれてるかな…私が本物の人かどうか…

Dscf1620

「ところで、この辺の人?」

「いえーっ旅の途中で、ちょっと立ち寄っただけなんです。友達が見たいものがあるとかで…」

「そっか、お祭りだしね。その友達ってのも女の子?」

「はい。今日は…」

「今日は?」

「いやいやsign01今日もですsweat01

マズイぞ!絶対マズイ!sweat01sweat01
なにか話を変えないと…

Dscf1522

「あの…あの、あなたは何者なんですか?」

「ナニモノってかい?そう…たぶんキミが待ってた人」

なに?ちょっと待てよ!名前が同じとしても、この人が私のカズ君のはずないよ…
もしかしてコロンが私を騙そうとしてるのかな?…いや、そんなはずは…
待てよ…落ち着けナギサ!混乱してると相手の思うツボだ。sweat01
普通に振舞わないと…普通に…

「私もそう思います」

「へぇッ!話が早いね」

その気になれば何とかなるもので…何とか話に慣れてきた。
車がどうとか仕事がどうとか、よくわからない話をズーッと聞かされたけど、何となく返事をしていれば勝手に話してくれるから楽だな…

Dscf1518

「幽霊?」

ドキッとしたsign03sweat01 店のどこからか、そう聞こえた。
少し離れている席の女の人らしい…。
背を向けているけど、私の正体を見破ってるのかな?
それとも私の変身がヘタで正体がバレバレなのか…sweat02

「お待たせいたしました」

Dscf1176

懐かしい香り─
小さい頃の…生きていた頃の…思い出の香り。
フツフツと香りを立ち上らせる黄金色のマカロニグラタン…
しばらく見とれていた。

「食べてていいよ」

Dscf1188「…あ…はいsweat01 いただきまーすsign03

アチッ…アチチチチ…sweat01

「そんな、あわてることないのに…」

「すいません!死んでから、しばらくこういうの食べてなかったので…」

「えっ…? もしかして…ナギサちゃんてさ、幽霊さんなの?」

あ…sweat02 しまった…。グラタンに夢中になって自分でバラした…。sweat02

Dscf1550 「なんか変わってる子だなぁって思ったよ」

「ごめんなさい…騙すつもりじゃなかったんですけど…」sweat02

「でも、こんなカワイイ幽霊なら歓迎だけどね」

「怖くないですか?」

「うん、いろんな人と知り合ったことがあるよ。マリー・アントワネットの生まれ変わりだーとか、実は金星人なんだーとか…他にもいたかな」

「金星?」

私みたいなのの他にもいろんな人がいるんだ。
それにしても幽霊が怖くなさそうな人に驚いた。

「でもさ、幽霊って昼間でも大丈夫なの?」

「始めは…幽霊になった頃は、陽に当たると溶けちゃうと思ってたんですよ。でも違うってことに気がついて…それから風に乗っていろんなところを旅してきました」

008013_2 「風?自分で飛ぶんじゃないの?ユラユラ~って」

「いやぁsweat01風船じゃないんですよsign03

「ハハハ…」

「へ…エヘへ…」sweat01

自分が幽霊だということにズッと引き目を感じていたけど、話を聞いてもらうと、今まで縮こまっていた気持ちがほぐれてきた。

「やっぱり幽霊になるってのは、この世に未練とかあるのかなぁ」

「無いですよ。私は…。気がついたら幽霊だったし…それに始めは、そのことにも気がつかなかったけど。でも…悔しいとか、悲しいとか、そういう気持ちでいっぱいになっちゃってる人もいました。スゴク可哀そうで…」

「えっ?えっ?impactえぇぇっっsign02

また向こうで女の人が大声を出した。sweat01
あれ…?

Dscf1125

「騒がしい店だなぁ…食べ終わったらどこか他所で話そうよ」

「はい」 …向こうの人たち…どこかで会ったような気がするなぁ…。

(つづく)

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2009年8月24日 (月)

マカロニ ①

Dscf1807

「ナギサーン 地面に降りませんか? 空ばかりで たくさん つまらないです」

Hands1 「えっ…あっ…そう?」

相変わらず言葉のヘタな『石』…。私が教えてるから仕方ないけど…。
今は時計の姿で私の左手に巻きついているコロンさん─ 
旅の道連れになった「石」のことをそう呼ぶことにした。コロコロ転がる石だからコロン。
石といっても、お地蔵さんだったけど。元から名前は無いそうだし、付けられた名前も知らないらしいから。
言葉に慣れていないコロンさんは、私を『ナギサン』と呼ぶ。
「ナギサ さん」じゃなくて「ナギサ ん」
別に「ナギサ」でいいんだけど…

「どこか…行きたいところ、ありますか?」

そう言っても風任せだから思うほど好きな方へ行けるわけじゃないけどね。

「群れの 人達のいる地面 いいですね」

「えーっそれはちょっと嫌だなぁ…sweat02

「何だから ですか?」

「いや…誰かに見られたらヤだなーって…sweat01

Dscf6821

風に乗って青空の中にいる私は、これでも幽霊だ。
人に見られたりするのは、好きじゃない。
怖がったり、驚いたりされるから…
要領のいい幽霊なら、そう簡単に見られることもないだろうけど、わたしはどちらかと言うと「へたっぴ」だから、やたら見られたりする。

Dscf1690 「ナギサン ホントは 人に見られたいじゃないですか? 本当は 見られたくないじゃなくて。 ワタシ 見られない しかできない ですから」

う…鋭いこと言ってるかも…
確かに仮の体を作って中にいるときは堂々としてられるけど、今のまま人目に出るのは、すごく怖い…
心だけの存在のような私は裸同然ということになるだろうか。
だから見られそうな気がしてオドオドして、かえって人目につくのかもしれない。

「ちょっとだけですよー。ならいいけど…」

「はい ガッテン 承知でした」

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風の進む先にてっぺんがキラキラ光る塔のようなものを見つけて、そっちへ向かってみる。
思ったとおり街の方にやってきた。いざ街へ入るとなると、なんだかドキドキしてくる…。
とりあえず、なるべく人目につかないところを見つけないと…大きな看板が見える。
あちこち剥がれ落ちているみたいで網のようなものをかけてある。とても古そうな看板。あそこならそれほど見られないかな…

Nagisahawaii 「ここで待ってるから行ってきていいですよ。いつまでにします?」

「そね。5時 どうですか?」

「えっ?sweat01かなりあるじゃない」

「短くですか?」

「いや…別にいいよ…sweat02

コロンさんは「待ってました」とばかりに私の腕から離れて形を人の姿に変えた。
今日は─ 女の人の姿 
「石」だから男女の区別は、無いらしいけどホントのところどうなんだろう…

Dscf1615 「ナギサンも 来るといいよ。 見える姿なら 恥ずかしい ナイね」

「でも、私幽霊だから…sweat02

「暗いだな。いつも空飛ぶだから 上昇志向 ですよ」

ヘンな言葉知ってるなぁ… 石のクセに軽いし…

「うん…考えとく。ここに飽きたら降りてみるよ」

コロンはニコッと笑うとビルの谷間に飛んでいった…
いつもは、あまり動きたがらないから左腕に巻きついたままだけど、こういうときは動きが早い。前に「人間 見るの好きです。大盛りで…」とか言ってたけど

「あっsweat01 時計が行っちゃったsign03

忘れてた…sweat01 どうしよう。時間が分からないとどこにもいけないや…。

Dscf1779

Dscf5390 しばらく空を飛んでいたけど遠くまで行くわけにも行かないので結局、街に戻ってきた。
ビルの間に挟まれたところを人がたくさん行き来して、どこからか楽しそうな笑い声も聞こえる。 …私も下を歩いてこようかな…
少しくらいなら仮の体降りれば大丈夫だよね。でも、あと何時間あるかなぁ…

人気のない薄暗い通りを見つけて、体を造った。
街の中は、道から車が締め出されていて、人が大勢車道を歩き、あちこちになにやら人の塊があった。それを見ているだけで不安になってきた…
さっきの通りには、全然人がいなかったのは、皆ここにいたからかな?
どうやらお祭りかなにかのようだ。

ドキドキする…sweat02体があるからホントに胸がドキドキしてる…

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Dscf1581 空のこぼれ種と 緑の食べ残しと 大地の吐息
そういうものをかき集めてこね上げた私の体。それでも人と同じように動く。
ドキドキとは、しているものの「体」という鎧の中から外を見ている安心感があるから、すぐにでも逃げ出したい気分も少しは薄れるよ。
でも、すれ違っていく人が急に立ち止まり
「おや?キミはホントの人間じゃないな」と聞いてきたらと思うと、ちょっと憂鬱だ…。

「ちょっとキミ?」

000153impactうわあぁぁっっsign02sweat01

振り向くと知らない男の人sign03
嫌だ…正体バレたっっ?

「すっごい驚き方だね。こっちが驚くよ!」

「あ…すいません…。あの…なにか?」

「何か探してるの?」

「いえーっヒマなんでー。ただブラブラと…」 普通にしないと…普通に…sweat01

「だったら、そこの店で少し話しようよ。外は暑過ぎるしさぁ」

Dscf1627 「でも…」

こまったなぁ…sweat01 でも幽霊とはバレていないようだ

「誰かと待ち合わせ?」

「はい…友達と5時に向こうの通りのビルの屋上で…」

「屋上?」

「いえsign03ビルの中ですsweat01

「5時なら、まだまだじゃん。適当に時間つぶしにもなるでしょ?」

「…はい、少しなら…」

Dscf1584

理由が見つからず、言われるままにその人に付いて近くの店に入った。
うーん…困ったな…sweat02

000643 「いらっしゃいませー」

「ふたり!」

「2名様ですね。こちらへどうぞ」

うっわーっsweat01 こんなところ初めてだ…。

「こちらのお席へどうぞ。 お決まりになりましたら、そちらのベルでお知らせ下さい」

なんていうんだろ…お店の中、外国みたい…。
明るくて、なんだか天国みたいな気がする。
よく夜を過ごす空家とは大違いだなぁ。

000640 「なんにする?」 向かいの彼がメニューを私に手渡す。

sign02 ナニこれsign03 写真載ってないsign01文字ばっかりだ…英語まで書いてある。sweat01
小さい頃、両親と3人で大きいレストランへ行ったことがあったけど、あそことはずいぶん違うなぁ…そういえばあの時、何を食べてたんだっけ? うーんと…sweat02

「名前聞いていい?」

「ま…まだ決まってないですsign03sweat01

002086「いや…それはゆっくりでいいよ。君の名前の方さ」

「あっ…ああ…私ナギサです」
 
なんだ…ビックリした…sweat01すごく、ぎこちない私…sweat02

「素敵な名前だね」

「はい…ありがとうございます…」

「…僕の方は聞いてくれないの?」

「ご…ゴメンナサイ!sweat01 お名前は?」

「カズヒロ!」

「なにsign02…」

008003 この人もカズ君と同じ名前sign01
私の行く先には「カズヒロ」って名前の男しかいないの?

「…いや、ステキなお名前です」

「女性にそんなこと言われたのは初めてだなぁ。すごくありふれてると思うけど」

「そんなことないです!たぶん…絶対…」

     ミーッ…

「なにsign02 何の音sign03sweat01

「オーダーしないと…まだ決まってなかった?」

…忘れてた。sweat02

「お決まりですか?」

「アイスコーヒー!ナギサちゃんは?」

えーっ! えーっ!sweat01 どうしよう…sweat01sweat01
あ…そうだsign03思い出したsign03

「マカロニグラタンsign03

「えぇっsign02

Dscf0910

     (つづく)

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2009年8月 9日 (日)

廃墟の歩き方Ⅳ 『ちいさな頃から』②

Dscf0329

「へーっここ遊園地かなにか?」happy01

virgo「いえ…ラブホです…」

「えっ?ランボー?」catface

virgo「ラブホですよ」sweat01

「らぶ…。あっあぁ~っsweat01ラブホテルね。なんだ…変なとこーっtyphooncoldsweats01

Dscf0265 変なとこって…sweat02
しかし、廃墟嫌いと言いつつ、ケロッとしてるなぁ。
自分で来たいって言った手前、仕方ないだろうけど。

「良く見たらスペースシャトルの形だ。キレイな時だったら来ても良かったねぇ…」happy01

virgo「…」

「こういうところ、良く来るのぉ?」happy01

virgo「いや!ラブホは行かないですsweat02

「はぁ?廃墟のことだよ」coldsweats02

Dscf0305 う…墓穴掘った。sweat02なんか調子狂うなぁ。down
なんていうか、いかにも理解のなさそうって感じの人と来ると、私もこんなところで何やってるんだろ…って気がしてくる。
師匠だったら、私が言ったことに的確にリアクションしてくれるけど、趣味が違うからなんだろうけど。
師匠は聞き上手だよ。やっぱり…
あ~っ神経が疲れてくる…down

Dscf0290virgo「営業していた頃は、まだ上水道が来てなくて地下水汲み上げだったそうです。それが近くの道路工事の影響で水が上がらなくなったと聞きましたよ」

「それでこんな有様に…中、見れれる?」smile

なんだか美玖さんのほうが乗り気だなぁ…
彼氏と廃墟へは行ったことがあるらしいから慣れてるんだろけどね。
好き嫌いは感受性の差なんだろう。
シャトルルームの中でも割と中がきれい目なところを選ぶ。
と、言っても、どこもかしこも木片や誰かが放り投げた室内電話や消火器とかの備品も散乱している。
いつから放ってあるのか知らないけれど消火器は、破裂することもあるらしいからなるべく近づかないようにしてる。

virgo「気をつけてくださいよ。頭の上とか…」

Imga0237

Imga0236「わーっ汚ったないsign03でも広いんだなぁ…。こっちは、お風呂だsign03腐ってるーっsign03sadsweat01

virgo「…」

こう、わかってくれそうな人だったら「ここがいい!」とか「ここはキレイだね」とかも言えるけど今日の場合は難しいなぁ…。私が私らしくなくなる。

Dscf0249

「どのくらいやってるの?」delicious

virgo「えっ?何がですか?」

「こういうところに来るのをさ」wink

virgo「そう…5年くらいになるかなぁ…始めは同じような趣味の人を知らなかったから、ずーっとひとりで…」

「ふーん…でも今は、理解ある彼氏がいるからいいよね」happy01

virgo「へっ?誰sign02…まさか師匠の話sign02

「うん」wink

virgo「ち…ちょっとぉsign03sweat01なに言ってるんですかsign02勘弁してくださいよsign01sweat01

「だってぇ、こんな怪しいところに一緒に来れる人ったらそうじゃないのぉ?」smile

virgoimpactないないsign03ないですsign03かんぐり過ぎですってsign01sweat01

「もう外へ行こ。なんだか空気がスゴク重たい感じがするよ…ここ」bearing

ふーっ。sweat01いきなり何を突っ込んでくるのさ…あ~っ早く帰りたいsweat01

Dscf0272

Dscf0229 シャトルを出て、管理室と通常ルームのつながる棟へ。
真っ暗なボイラー室を通り抜けるとき、美玖さんが背中にピッタリ張り付いてきた。
反対側の客室の棟はいくつか部屋が並んでいるけど端から2部屋は内装作製中に工事中断して、柱とかが剥き出しのまま。
たぶんシャトル棟だけで用が足りたので全てを完成させずに営業していたんだろう。
一番手前の部屋もボイラー室から直接繋がっているので客室ではなく、乾燥室に転用していたようでタオルや浴衣が散乱して、天井には物干しがたくさん。
のこり3部屋が客室として使われていた。もっともひとつはガレージのシャッターが閉まったまま壊れているので『開かずの間』と化している。

Dscf0283 「ずいぶん人が来てるんじゃない?あちこち壊されてるけど…」catface

virgo「たぶん、肝…」 マズッsweat01

「なに?」gawk

virgo「いや…sweat01 危ない危ない…sweat02

Dscf0308

「小さいころさぁ…小1くらいの時かなぁ!捨て猫を拾ってさ、真っ黒いけど目がビー玉みたいにキラキラの子猫。近所の子とこんな狭い階段のある空家の2階で飼ってたことあるよ。その頃、私んち社宅だったし、他の子の家もダメだったから…」despair

Dscf0315 virgo「そうですか…」

「カワイかったんだぁ。すぐ死んじゃったけどね…っていうか殺されたんだけど」despair

virgo「えぇっ?」

「みんなの秘密基地にしてたけど、ひとり男子がさぁ、じぶんの兄ちゃんに教えちゃったのさ。後で白状させたけど…。その子達、行ったみたいで“黒猫は悪魔の使いだ!”って寄ってたかって蹴り殺しちゃったらしい…見つけたときはもう、ボロボロで冷たくなってた。あんなやつら呪われてしまえばいいのに!」pout

virgo「…sweat01

「それからこんなとこ来なくなったよ…」gawk

そういうことあったのか…
ないとしても普通は、廃墟好きにならないだろうけど…

Imga0249

「もういいや…帰ろうsign01think

virgo「なにかに…なりました?」

「うーん…よくわかんないsign01私には、さっぱりさぁ…」happy01

その横顔からは、廃墟が好きだとか嫌いだとか、そういうことは読み取れない。
意外とスッキリしたような表情ではあるけど…
ただ、ここに来てみた─それだけなのかもしれない。

Dscf0268

「このシャトルがホントに飛んでいったら私たちの街の上だよね」happy01

Dscf0345 朽ちかけながらも整然と並ぶシャトルは確かに街のほうを向いている。
夜なら、空と地上の星に挟まれる…ここは天と地の境目がわからなくなる景色なのかも…
でもシャトルは、静かに…ただ静かに空を見上げるだけ
鳴り物入りで打ち上げるスペースシャトルとは違うから…

「たまに…アツシも誘ってあげて」bleah

virgo「いいんですか?sweat01

「うん!たまにならね。アキさんの彼氏と3人なら構わないよ」delicious

だから…sweat02違うって…sweat01

Dscf0306

Dscf0301 eyesweat01「あーっビックリした…sweat01人が来るとは思わなかったよーっsweat01sweat01

watch「そうですなんですか?人間はいろんなとこへ来るあるますね…」

「そう…“あるます”だよ…heart

Youtube/JUDY&MARY『小さな頃から』

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2009年8月 5日 (水)

廃墟の歩き方Ⅳ 『ちいさな頃から』①

Coffee

virgo『幽霊?』

『う…疑うの?アキさん』pout

virgo『いや…そういうわけじゃなくて…』

『ホントにあの時見たのさ!annoyあの炭鉱で…』angry

Dscf9574

美玖さんに相談があると言われ週末、街で会うことになった。
久々の青空の下は気温もグングン上がり、通りは歩行者天国。夏のイベントでごった返している。どうも人の多いところは私の性に合わない…sweat02
待ち合わせた美玖さんは、この前、写真の師匠である神さんと行った山奥の炭鉱跡で偶然出会った。
彼氏に連れられてそこに来た美玖さんは『廃墟趣味』ではないらしく、あの草深い森の中では当然のごとく不満そうで…。
途中、ちょっとしたことから機嫌を損ねて遺構と樹木でうっそうとした森の奥を突っ走って行方不明になってしまった。しばらくして無事、見つかったけれど…

後日、その美玖さんが師匠を通じて私に連絡してきた─
まさかとは、思ったけど…

『名刺を見つけたの。アツシの部屋で。神っていう人の…それで連絡してみたんだ…』think

Nagisamiku なんの気なしに会ってみて、幽霊の話とは驚いた。sweat01
悪いけれど私は幽霊を信じる方じゃない。というかまったく信じてなどいない。
信じてたら廃墟など絶対行かないよ。
しかも、あの時に見たって…あの時は、まっ昼間じゃないのさ。

『すぐ近くにいたんだよ!はじめは、なんだろ?って感じだったけど、振り向いて“大丈夫ですよ”とか話してきてさ…』coldsweats02

virgo『えぇっ…?sweat01…で、どんな感じでした?』

『うーん…白っぽくて少しユラユラしてて…影っていうか…そう、若い女の人の影に見えた!』gawk

virgo『女?』

『そう!若くて…ワンピって感じ』catface

virgo『…sweat01 

古い炭鉱跡に昼間っからワンピースの女の霊?それは誰も信じないでしょ…sweat01まいったなぁ…

Dscf9533

『信じてないっしょ?』gawk

virgo『いや…そういうわけでは…』sweat01

『ホントは、私も今になったら本当のことだったか怪しくてさ…。幽霊じゃなかったら宇宙人かなぁ…』despair

Dscf9516virgosweat02その…あの、彼氏の人には話したんですか?そのこと…』

あの森の中で私と師匠、美玖さんとその彼氏、4人が右往左往していたのは、ついこの間のこと…
その日以来、雨の日が続いて思うように探索はしていない。
彼女ともそのときぶりだけど、神経質そうだったあの子が私に会いたいと連絡してくるとは思わなかった。

『そうなのさ!』sad

わっ!sweat01なんだ急に!

『あの日以来、ああいうとこ行かなくなったんだよね。アツシ…ひとりでも行かなくなったみたい。前は、ちゃっかり計画してて当日発表みたいなー』despair

virgo『それは、まあ…ああいうことのあった後ですからね…』

『映画とか…ショッピングとか…連れて行ってくれるんだ。郊外へ出かけたって「また?」と思ったけど全然寄らなくなった』think

virgo『それはそれで、良かった…んじゃないですか?』

『…』 despair

Dscf9521

美玖さん…黙ってしまった…。
返す言葉に失敗したかな?
師匠に今日、美玖さんと会うんだと話したら…

shadow『気をつけてくださいよ。あの子、神経質そうだから…』

virgo『大丈夫です!師匠より女の扱いには長けてますから』

shadowそ・れ・が!イカンのですよ。話すときは、しっかり噛み砕いてからにしたほうが…』

virgo『買いかぶらないで下さい。これでも私、ご飯は、しっかり30回噛むんですよ!』

shadow『会話の話ですよ。それに、それを言うなら“見くびらない”です』

やっぱり師匠にも来てもらえば良かった!sweat01
用事で札幌へ行くって言ってたけど確信犯だなぁ…
なんだか、緊張してきた…。sweat02
お腹空いたなぁ…緊張するとお腹空いて来るんだよ…
あーっこの暑いのに熱いグラタン食べてる子がいる。変なヤツだなぁ…

Dscf9426

『ねぇ!ちょっとアキさん!聞いてるの?』coldsweats01

virgo『あ…はい!聞いてます!』sweat01

『で…ものは相談なんだけどさ!どこか知ってる廃墟に連れてってsign03happy02

virgo『えっ?えっ?impactえぇぇっっsign02bomb

思わず大声が出て、回りの視線が一斉にこっちへ…sweat02
美玖さんもグラタン女もキョトンとした顔で私を見つめてる…
うわぁーっ恥ずかしい…sweat01
美玖さんが急に思いもしないことを言い出したからじゃないかーっsign03sweat01sweat01

『私、廃墟なんか嫌いだよ!でもさ…ああいうところでアツシは幸せそうな顔を見せてくれたのさ。今でも笑ってくれるけど…違うんだよね。なんだか自分にウソ付かせてるみたいなのさ…』despair

virgo『はあ…』sweat02

『一緒に行ってても“こんなとこ嫌だ”って感じで見てたから、アツシの感じるものをわからなかったんだなぁって…。そういうのを理解したい気持ちもあるんだけどアツシ行こうとしなくなっちゃったし。ああいうことのあった後だから私から言えないし…』think

この前、グチってばかりいた子とは思えない。
今時、こんな理解力のある子、いないじゃないか。
私もこういう理解ある彼氏欲しいなぁ…廃墟趣味に理解のある…sweat01

Dscf9572 virgo『愛してるんですね…』

『へへっ…sweat01 まあね…』smile

virgo『で…いつ行きます?』

『明日でも、どう?時間ある?』coldsweats01

virgo『明日sign02

『アツシ、明日まで仕事で出張だからさ。近いとことかないの?』bleah

virgo『いや…あることはありますけどね』sweat02

弱ったなぁ…師匠もいないし…
近場か…近いとこ…ないことはないけど…sweat02

Dscf0266

virgo『こんにちはーっ』

おやぁ?またあんたかい!物好きだねぇ…こんなとこばっか来てたら嫁の貰い手なくなるべさ』

virgo『だいじょうブイです!すいません今日も見てきていいですか?』

ああ!怪我だけは、しんようにね。あんなとこだしさ…。また写真かい?』

virgo『いえ!今日は見るだけで…。あっちのバリケード、大きくなってましたけど、また誰か来てたんですか?』

Dscf0267 師匠と一緒に来たことのあるこの廃墟は、ずいぶん前に閉鎖されたラブホテル跡。
高台の突端にあるので上水道の充実していなかったころに近隣の道路拡張工事の影響で地下水脈が変わり、地下水を汲み上げられなくなったのが閉鎖の原因とも聞いている。
この廃墟に隣接している裏の道は一見、ここの道のように見えるけど、まったく無関係で、奥にある家の私道だ。心霊スポットの噂もある場所だから夏になると肝試しの連中が毎夜のように来るらしい。
事情を知らない人が奥の家をホテルの廃屋と思って勝手に覗きに行くことがあったんだそうだ。
そういうこともあるので、ブログに場所のことは載せられないし、時々来る情報照会のメールも丁重に断わるようにしている。

『この前の連休あたりからね。ボチボチ出てきてるよ…annoy

virgo『あまりひどかったら通報した方がいいんじゃないですか?』

『いんや、そこまで迷惑こうむってるもんでもないし…ウチのもんでもないからさ』

Dscf0328 心霊の噂もあるここは、夏場になると肝試しのハッテン場になっているらしい。
噂の信憑性は、近所で聞いて回っても「そんなこと初めて聞いたよ」と言ってたくらいだから、やっぱり怪しいんだろう。
それでも冷やかしの連中は良く来るらしく、中はずいぶんと荒らされてる。それとは別にこっそり不法投棄していく人も相変わらずいるみたい。
他にも銅線の窃盗目的で来る人もいるらしく、あちこちの電線が切断された跡がある。
天井裏にまで入った痕跡もあったし…

Dscf0262

『ずいぶんかかったね。面倒なの?』gawk

virgo『いえ!世間話ですよ…。ホントにいいんですか?』

『…うんsign03think

今まで、いろんな廃墟を見てきたけど、こんなに気が重いのは初めてだ…
とりあえず、近場と言えばここしか知らないし「心霊の噂」だけは黙っておこう…

(つづく)

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2009年4月12日 (日)

廃墟の歩き方Ⅲ 『ら・ら・ら』④

Dscf6893

【前回までのあらすじ】 
大好物のクリームコロンより廃墟が大好きなサブカルOLアキ(virgoA型)は、週末に師匠と仰ぐコア廃墟サイト『廃墟楓』を運営する先輩、神氏(shadowA型)と大きな炭鉱跡へ行きました。

同じ頃、別ルートからもカップルが一組。その彼女の方・美玖(AB型)の方は、ホントは『廃墟』は大の苦手。彼・敦(B型)の方は、廃墟を撮るのが大好き。写真を撮りに行くのを怪しいと疑っていた美玖の『いっしょに行きたい!』発言を趣味の一致と早合点していたようで週末デートも半分廃墟巡りに…。
そんな二組が廃炭鉱の奥深くでニアミスしましたが、些細なことから美玖の廃墟嫌いが爆発…廃墟の森を奥深く駆け出して行ってしまいました。

そんな事件の最中、風の背に乗って空を行く幽霊少女『ナギサ』(血液型なし)
海へ向かう風に乗れなくて、辺りをウロウロしていました。
そこで目に入ったのが廃墟の樹海をさまよう美玖の姿。
それともうひとつ、近くをうろつくクマ(たぶんO型)の影。
『このままじゃ危ない!』
クマを説得しようとするナギサですが、クマはとっても頑固…。さて、どうしたものでしょうか

Dscf1805

「アツシ…」weep
そもそも私の疑り深い性格のせいなんだな…
それに嫌なら『行きたくない』と言えばいいのにそれができなくて…
だからって、少しは察してくれてもいいじゃないsign03
普通はこんなところに来たい人なんかいないじゃない…
幽霊とクマくらいしかいなさそうなところだし…。
それにしてもアツシのほかにも同じ趣味の人がいたなんてビックリした。
一緒にいたあの子までそうとは思わなかったよ。

Dscf1692_2

Dscf1751 『ねえーっsign01クマさーん…やめましょうよ…』

『うるさいなsign03カスミのお前には関係ないだろsign02

『それはそうですけど…どうなるか知ってて見殺しにしたら私、一生後悔しちゃいます』

『一生って、お前1回死んでんだろsign02

『あっそうかsign01クマさんナーイス突っ込みィsign01へへへ…』

Dscf6874_2 『ドやかましいsign03いいかげん行かないとバラバラになるほど吹き飛ばしてやるぞsign01

『でも、あの人襲っちゃうと鉄砲を持った人間がたくさん来てクマさんのこと探しますよ』

『なんで人間だけが特別なんだsign02俺にとっちゃあシカも人間も同じ食い物だsign02ノコノコ縄張りに入ってくる奴のほうが悪いsign03

『じゃあ…私が替わりに食べられるようにしてあげますから、それでどうですか?』

『…今はインスタントは食いたくねえなsign03

うーん…このクマ、すっごいムカついてきたぞannoyangry

Dscf1796

                         プップップー

virgo「あっsign01合図ですsign03車のところで見つかったようですよ」

「いや…プップップだから車にはいなかったようです…」

そうか…師匠に確認した私が間違えてどうするsweat01

「このことで、やっとわかりました。僕は美玖に甘え過ぎてたんだなぁって…」

Dscf1747  virgo「えっ?」

「解ってはいたんです。美玖がこういうところがキライだってことは…でも、美玖の好きな時間を作れば僕もこういうところへ来る時間を作れるって思ってて…それが結果として美玖に引き目を負わせていたんだなぁ…。僕は単に自分のエゴのために恩着せがましいことをしていただけなんですよ…僕は最低だsign03

virgo「はあ…」

「何が自分に一番大事かってわかりました…」

Dscf1744 virgo「あなたはやっぱり優しい人ですよ…」

「やっぱり、ここでジッとしていられないsign03もし美玖がピット(穴)にでも落ちていたらsign03

virgo「あっsign01待ってくださいsign03私も行きますsign01

「いやsign03僕の問題です。20分待っても何の合図もなかったら警察に連絡してください。お願いしますsign03

あ…行っちゃう…sweat01

Nagisa_on_ruin_2

「クマさーん?ホントはそんなにお腹空いてないんじゃないですかぁ?」

「しつっこい奴だなキサマ…annoyいいかげんにしないとしまいには怒るぞsign03

「私もいい加減に分かってもらえないと怒りますよsign02クマさんのためにも言ってるのにsign03

「分からなかったら何だというんだsign03 …あsign02

Nagisa_brake

           「ヒーッsign03sweat01

Dscf1746 あーっ…gawkあっという間に逃げちゃった…
なにさーっsign01弱虫impactpunch
ともかく何とかなったんだからいいやgawk

「なに?」 向こう側の音は…動物の声?

アツシかもしれないhappy02

「えぇっ?」 な…何?あれ…coldsweats02

「あれ…sweat01 もう大丈夫ですよcoldsweats01」 もしかして見えてる?

Nagisa_and_miku

「ギャーッsign03出たーッsign03shock

あら…sweat02行っちゃった…やっぱり見られたcrying 
昼真っからこんなに見られて…私、幽霊向いてないのかなぁsweat02

Dash

「今の声はsign03ミクーッsign03どこだーsign03

virgo「えっ?見つかったsign02

遠くからものすごい悲鳴とともに人間とは思えない勢いで美玖さんが走ってくるのが見えた!

「ミクーッsign03こっちだsign03

virgo「行ってsign01カメラは預かっておきます」

「あっsign01お願いします!ミクーッsign03

うっわーっsign01ものすごい勢い…。 あのままふたりがぶつかったらバラバラにはじけ飛んでしまうくらいスゴイ…sweat01

Dash2

「アツシィーッsign01アツシアツシアツシアツシィーッsign03

「ミクミクミクミクーッsign03

「怖かったよ怖かったよォーッsign01離さないでよォーッsign03crying

「ゴメンsign01こんなとこ連れてきて今すぐここから出ようsign03

Dscf1827

shadow「おっsign01見つかりましたかsign03良かったぁ」

virgo「いいにゃー。私も彼氏ほしい…sweat02

shadow「こんな私もフリーですけど?」

virgo「そうなんですか?お互いがんばりましょうsign03

shadow「…sweat02

Dscf1809_2

「あっ…風向きが変わったね…」
ここで足止めされてる場合じゃないや。とりあえず海を目指そう。
木立を吹き抜ける風に乗って再び空へ上がる。

「おや?あれはさっきの…。 彼氏とはぐれてたんだ…いいにゃーっheart01
私もこのままカズ君のところまで飛んで行こうか…
でも、どこにいるか知らないんだったなぁ…sweat01
とりあえず海行こ…coldsweats01ラララ~ッnote

Dscf1741_2

それぞれの恋模様 それぞれの想い
一陣の風が運んでく
行きつ、戻りつ、行き着くべき場所へ
ずっとずっとずっと、一緒にいようね…

Youtube『ら・ら・ら』大黒摩季

※この物語はフィクションです。廃炭鉱は実在しますが、登場する人物そのほかは実在するものではありません。深読みしないように。。。
また、現地の照会はいたしかねます。たぶんcat

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2009年4月 9日 (木)

廃墟の歩き方Ⅲ 『ら・ら・ら』③

【前回までのあらすじ】 
廃墟がスイーツより大好きなサブカルOLアキ(virgoA型)は、週末に師匠と仰ぐコア廃墟サイトを運営する先輩、神氏(shadowA型)と炭鉱跡へ来ました。
一方、別ルートからは、もう一組のカップル。その
彼女・美玖(AB型)の方は、ホントは『廃墟』が大の苦手。彼・敦(B型)の方は、廃墟を撮るのが大好き。物事を深く考えない性格なのか、週末デートも半分廃墟巡りのようです。
そんな二組が廃炭鉱の奥深くでニアミスしましたが、些細なことから
美玖の廃墟嫌いが爆発impact…廃墟の森を奥深く駆け出して行ってしまいました…

Dscf1691

virgo「あの…携帯で呼んでみたらどうですか?」

「あっそうか…いや…ダメだ…ここは圏外です」

私のもダメ…この山奥にエリア拡大ってのも妙な話だけど、これじゃ意味無い…

virgo「とにかく、手分けして…」

shadow「闇雲に動くのはやめたほうが良いですよ。近くにいるかも知れないし。とにかく、こっちまで迷い込んだらコトですから少し冷静になりましょう」

Dscf1819

「あれ…ここどこ?」coldsweats02

表に飛び出してガムシャラに走ったけれど、落ち着いてきたら自分が来た方向もどっちかわからなくなった…
相変わらず、遠くにボロボロな建物は見えているけど、どれも同じにで、方角も分からない…

「アツシぃ…」weep

私、迷った…? どうしよう…

Dscf1813

「あれから…どのくらい経ちます?」

shadow「30分くらいになりますかね」

「美玖がヘタに動いていたらマズイな…」

virgo「そうです!いくらなんでも迷ってたら気が付いてるでしょう!」

「おーい!美玖―っ」

virgo「ミクさーん!」
これは私のせいだなぁ…責任感じるよ…。

Dscf1811

あ~っ完全に迷っちゃった…どうしよう…

「アツシー!アツシーッ!どこーッ!」sad

困ったなぁ…困ったなぁ…ずいぶん歩いたけど、道がどっちだったかも分からない…
鳥になれたらこんなところからすぐに逃げ出せるのに…
こんなことになるならはじめからハッキリ「行きたくない」って言えば良かった…
でも言えなかったな…アツシの夢中な姿見てたら…
それにしても疲れたよぉ…どこかで少し休もう…

Nagisky

そんな地上の騒ぎなど意に介さないほど青い空。
海を目指して風の背に乗っている女の子がひとり。

「ズンタカター♪ズンタカターッ♪海!waveうみ!もうすぐだよーっscissorsheart04

ところが思い通りにならないのが風。海の方へ向かう風がなかなか吹いてくれないようです。

風任せの旅もメンドーだなぁ…降りてどこかの車に乗せてもらおうか…
でも、まだ木の海の真上。走っている車どころか、道も見えない。

「木が多すぎるんだ。少し低いところを行こう」

低いところは、山や木の影響があるので風も不安定だけど、今日は穏やかだから大丈夫だよね。
山の中なのに小さな家が点々と見える。
おや?緑の中に誰かいるみたいだなぁ…あんなところで何してるの?

Dscf1796

「ミクーッ!」

virgo「おかしいですね。聞こえないのかな…」

shadow「もしかしたら、車のところへ行ってるかもしれません。もしやということもありますから様子を見てきます」

Dscf1741_2 「そうですね。お願いします…」

shadow「見つけたらクラクションを鳴らしますから」

virgo「いなかったら?」

shadow「いたら『プー』で、いなかったら『プップップ』にしましょう」

virgo「プーとプップップですね」

笑いそうになったけどそういう状況じゃない…

shadow「それと、なるべく音を出すようにしてください。まさかとは思いますが…」

virgo「え?クマでも出るって言うんですか!」

shadow「ここは、シカがたくさんいるって聞いてるんですよ。でもズーッと痕跡も見ないので…。こっちの気配でいなくなったのかもしれませんけど、万が一のこともありますから…」

Dscf1738

ここはどの辺なんだろう…
どっちを向いても同じような風景。気のせいか回りは山ばかり…

「そうだ!ケータイ!」mobilephone

圏外…!なんてとこだろ…bearing

ガサガサ…

なんだ?今の音!coldsweats02

「アツシ? アツシなの?」

音のした方を見たけどなにもいない…薄暗い林と何かがあったコンクリートの跡が見えるだけ…
こんなところにいるのは、シカかクマくらいだよね…
クマ…! だったらどうしよう!
ジッと林の方を見ていた。風かもしれないけど草が揺れて見える。
なにか…なにかあそこにいる?
クマだったら見つからないようにしないと…気味悪いけど、あそこの廃墟に隠れてよう…

Dscf1745

「おや?動き出した…。 あ…もう一人いる。…人じゃない?クマだ。あのままじゃクマと鉢合わせになるよ」

Dscf6874 「う~んシカの奴らすっかり見かけなくなったな…。待ち伏せしやすいところだったが、そろそろ他のところへ行かないとダメか…」

「あーっどんどん近づいていくsign01そっちに行っちゃダメだってsign03sweat01

「ん…?獲物の匂いがするな。まだマヌケな奴が残っているようだ。ヒヒ…」

「あのーっsign01クマさんsign03ちょっと待ってくださいsign01

「んッ?なんだお前は! どこかで見た奴だな…」

「あーっ?いつかのクマさんですね…。生まれ変わったら食べてやるとか言われてたんだ…」

「思い出したぞ!あのときのカスミ女だな!相変わらずカスミのままなのか!」

「カスミって…sweat02 私、ナギサですよ。thunderここで何してるんですか?」

「俺は今、忙しいんだ!annoy獲物がいるんだsign03

「獲物って…この先にいるのは人間ですよ」

「だからなんだsign03

「なんだって言われても…」

うーん…ヤバイなぁ…。やっぱりあの人を狙ってるのか…

Nagisaruin2

                                (つづく)

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2009年3月22日 (日)

廃墟の歩き方Ⅲ 『ら・ら・ら』②

Dscf1769

【前回までのあらすじ】 
廃墟大好きOLアキ(virgoA型)は、週末に師匠と仰ぐ廃墟サイトの先輩、神氏(shadowA型)と炭鉱跡へ来ました。
一方、この場所へ別ルートから別なカップルも入っていたのです。ところがその彼女・美玖(AB型)は、口にこそ出さないものの『廃墟』は本当は大の苦手。彼・敦(B型)の方は、その心のうちを察することができず、廃墟を撮っているつもりが廃墟に気を取られていて彼女のことが気に止まりません。
そんな二組が廃炭鉱の奥深くでニアミスしてしまいました…

Dscf1729 『なんだかさぁ全然、理解できないよね。こういう趣味…』gawk

virgo『ええ…そうですね…sweat01

『薄気味悪いし、汚らしいし、虫はいるし…前は一緒に来なかったけど、どうも行動が怪しいから「連れてけ」って言ったら、それから開き直っちゃって…』

virgo『でも…こういうところって滅多に見られるものじゃないし…sweat02

『これって粗大ごみみたいなもんじゃない!誰からも見放されてさ、わざわざ草をかき分けて来るほどのところとは思えないよ。そうでしょ?』pout

virgo『まぁ…sweat01そうですよね…』
どうやら私も師匠に無理やり連れてこられてるのだと思っているらしい。
カメラの調子が悪くてバッグにしまってたからなおさらそう思われたかな…
それにしてもバッテリーの調子が悪いのにはまいったなぁ…目の前にこんな凄いところがあるのになぁ…

Dscf1695

shadow『このタイプのレンズのボケ足が、これまた良いんですよ…』

『へぇ~っ検討してみます』

いっや~っ…sweat02
思ったとおり話が長引いてきた。bearing
『退屈だよねぇ…座れるところもないし。ホント、デリカシーないって言うか…そっちも大変でしょ?』

Dscf1747 virgo『は…はい… たまにならまだしもね…sweat01

『いつもじゃないんだけどさ、ちょっと遠出したら「当然の権利」みたいによるところを決めてるし、その間なんかこっちのこと放ったらかしだもの…』gawk

virgo『はっきり言ってみたら良いんじゃないですか?』

『言えるなら言ってるよ…ダメなんだよね。近頃はストレス感じてる…』weep

virgo『それじゃ良くないでしょう?言わないとわからないこともあるし…』

『うん…そうなんだけど。でもさあイキイキしてる顔見せてくれるのは、こういうところだけなのさ…。そっちはどうなの?』

Dscf1761 virgo『ええっ?sweat01そう!ヒッドイですよぉ!映画1本連れってってくれないし、毎週のようにですよ。こういうところ!』
…つい、相手に合わせてウソをついてしまった…sweat01

『よくガマンできるよね』gawk

virgo『いやぁ…問答無用ですよ。「次行こう」とか「早く行こう」とか興奮しまくって鼻血ブーです』
これは自分のことだな…ハハ…sweat01

『あの人、そうは見えないのにね…それに比べたら私はまだ甘いんだなぁ…。でもさあ、一緒にいてもひとりっきりみたいなのさ…なんだか…』think

shadow『アキさん?なに話してるんですか?こっちに来てくださいよ』

えっ!ちょっとぉ師匠sign03sweat02今、話を振られるのマズイよぉsign03sweat01

shadow『えっ?なに?どうしたんですか?へんなポーズして…えっ?違う?なんですか?はっきり言ってくださいよ』

virgo『あのアノあの…sweat01ちょっと外の空気吸ってきますぅ…sweat01カビ臭くて具合悪いんで…ハハハsweat01
いっやぁーsign01師匠のバーたれっsign01空気読めsign01空気sign03

shadow『そうですか?それほど感じませんけど…むしろさわやかな…』

virgo『一緒に行きませんか?話長そうだし…』

『はい…』delicious

Dscf1766

ピコピコ…

virgo『あ…sweat02

shadow『アキさん!あれ?そういえばカメラは、どうしたんですか?』

virgo『あっちゃあぁ…mist
バッテリー生きてたのか…スイッチ切ってなかったみたいだ…sweat02

『カメラって…』

shadow『そうだ!アキさんのカメラ見せてもらえますか?あれがまた良いものなんですよ』

『あんたも…? …なの?』coldsweats02

virgo『ははは…sweat01 はい…実は…sweat02

『私をだましたの?』coldsweats02

virgo『いいえ…sweat01決してそういうわけでは…sweat02
ヤバイ…どうしよう…sweat01

shadow『あれ?どうしたんですか?』

Dscf1792

…なにさぁsign01どいつもこいつも廃墟sign01廃墟sign01廃墟sign01って!まともな人間いないのsign02bearing

『ちょっと!美玖…?どうした?』

『いやあぁぁぁっっっsign03もう嫌だぁぁぁっsign03こんなの耐えられないsign03crying

Dscf1730 virgo『待ってsign01どこに行くのsign02
ヤバイsign03ヤバイことになった…sign03山の奥の方へ行っちゃったsign03

shadow『あれっ?なにがあったんです?』

virgo『師匠のバカぁっsign03impact

『マズイsign01連れ戻さないとsign03
彼氏の人はあわてて後を追って走っていった。

virgo『私も行きますsign03

『美玖ーっ!おーい!』

Dscf1800

見渡す限り人の足跡を感じないフキの海に埋め尽くされた炭鉱跡。
どこへ消えたのか、既に彼女の姿は見えない。
この緑の中に一瞬にして飲み込まれたみたいに…
その真ん中で、彼はただオロオロしていた。
いったい…いったい、どこへ行ったんだろう。
たぶん…ここにいる誰にもここの土地勘はないと思う…。

shadow『はて?なにかマズイこと言いましたか…?』

                   (つづく)

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2009年3月20日 (金)

廃墟の歩き方Ⅲ 「ら・ら・ら」①

Dscf1776

「えーっsign01まだ先があるのーっsign02coldsweats02

「うん…こんなに奥深いとは思わなかったなぁ。さすが炭鉱だよ!ほら、向こうにもホッパーが見える。スッゴイなあ…」

Dscf1712 『スッゴイなあ』って…sweat01 知ってたんじゃないのsign02annoy
せいぜい1、2箇所かと思ってたら何?この森は…次から次にボロボロな建物が出てくる。
ひとつの中に入って彼がシャッター音を響かせてたら『向こうにもあるよ』って次々渡り歩いていく。
黙って後を付いてきたけど車を止めた道はとっくに木立の向こうで見えなくなった。gawk

「大丈夫なの?ちゃんと戻れる?」

「うん!来たときの通り、辿っていけば大丈夫さ」

「なんだか…クマでも出てきそうなとこじゃない?」shock

話しながらならクマも寄ってこないんじゃないかなあ…」

「かなあ…」とか言うけどクマに聞いたわけじゃないじゃん!
あ~っ…それにしてもどこまで行くんだろ… あっ…また向こうにもある…shock

Dscf1711

Dscf1716 virgo「スッゴイですねえ!heart02師匠ーっ!入口んとこのゴミの山見たら正直メゲましたけど。これはもう鼻血ものですよお!」

shadow「うん!大願成就です!うちからじゃここまでは滅多に来られませんしね。途中の街でポジフイルムを調達できなかったのが残念でしたけど…」

virgo「夕べ、ここのことを調べたら『クマの生息域なので単独行動はしないこと』とか警告を載せてるところが多かったですよ。出るんですか?ここ」

shadow「出たという話は聞かないですけどね。これだけ人里離れるとありえないことではないでしょう。エゾシカでもいれば少しは安心なんですけどね」

virgo「そうなんですか?」

shadow「シカも用心深いからクマの気配のあるところには近づかないそうです」

virgo「あっ!師匠!向こうにもnoteホッパーホッパー!heart04

shadow「はいはい順番にね」

Dscf1722

「ちょっとおーsign02happy02

「なに?」

「今の聞こえなかったsign01wobbly

「何が?」

「獣の鳴き声みたいな…さかってるみたいな…」shock

「いやー、聞こえなかったけど」

Dscf1821 確かに聞こえたよ!coldsweats02 風なんかなかったし…
クマの声は聞いたことがないけど、テレビか何かで聞いたけど木の上のサルが人間が来たのを威嚇するみたいな声が聞こえた気がする。

「こんな人も滅多にこないようなところまで来てヤバくない?」

「そうでもないみたいだよ。結構あちこちに足跡もあるし…」

そういわれて下を見ると、湿った粘土状の土の上に靴跡がたくさん見える。
こいつみたいなもの好きが他にもいるんだろうか…
それよか、私のソールもすっかり泥だらけだ…トホホ…泣きたいよ。crying

「あそこまで行ったらとりあえず今日は戻ろう。これ以上行ってもキリ無いみたいだし」

「ホント?わかった」happy01

彼の指差す向こうにひときわ大きい建物が見える。
ともかくあそこまではガマンだ…catface

Dscf1728

virgo「師匠ってクマと遭遇したことあるんですかあ?」

shadow「いや!ないです。でも、新しいフンを見たことがあるし、何かが近くにいる気配も感じたことがありますよ。その時は、さすがに深入りできませんでしたけど…」

virgo「ここって遺構がたくさんあって嬉しくなっちゃいますよォsign03正気を失いそうsign01

Dscf1725 shadow「倒産ではなくて閉鎖ですからね。場所によっては国有地だったから閉鎖のときに原状回復でほとんどの建物を解体したところもあるようです。この辺りは、まだ地権は保有されているのでしょう」

virgo「あっ!あっちの大っきいsign03すぐ行きましょうsign01

shadow「話、聞いてませんね…。やれやれ…」

virgo「えっsign02何か言いました?」

shadow「いや!アキさんもカメラの腕が上がったなぁって…」

virgo「もっと言ってください!私、褒められて伸びるタイプですから」

Dscf1753

bearingあーっシンドイなぁ…。どうしてこんなところをサクサク進んでいけるんだろ?カメラとか三脚とか持ってて…。
同じ道を戻ることを考えただけで、うんざりだなぁ…とにかくここで終わりらしいから、この辺で待ってよ。

  ガサガサッ!

        「えっ?なに!」coldsweats02

Dscf1750

virgo「あ…あれっ?」

shadow「どうしましたか?」

virgo「あの…いや!後で話します…」

あれーっ?なんでバッテリー切れるんだよぉ!おっかしいなぁ…こんなはずじゃないのに。
やっぱりフイルムカメラも持ってくれば良かった…
ん…?

virgo「師匠sign03なにかいますsign01今、あそこでなにか動いたsign03

shadow「シッ!静かに…」

Dscf1736

何かいる!壁の向こうに…!coldsweats02
どうしよう!私ひとりだ。ヘタに動いたり騒いだりして、もしクマだったら…
どこにいる? あっ!あそこだ!
手を振ってみよう。
離れ過ぎてて全然気付いてくれない…weep そうだ!何か投げてみよう。
この棒でいいか…それっ!
あーっsign01 impact当たった…coldsweats01

「痛っ!なんだよ危ないな!」

Dscf1754

Dscf1774shadow「あれは人ですよ。『痛っ』て聞こえた」

virgo「誰か住んでいるんですか?ここに」

shadow「いや…同業ですね。静か過ぎるし、心霊系でも昼真っからは来ないでしょう。かすかにシャッター音もするようです」

virgo「さすが師匠!年の功!」

shadow「褒めているんですか?それ…」

virgo「もちろんです!師匠も褒められて伸びるタイプです。さあ!行ってください!」

shadow「なんか変だなぁ…」

Dscf1789

「ギャーッッッッsign03助けてぇーッsign03shock

「何だ!どうした?」

shadow「決して怪しい者じゃありません!」

virgo「そうです!怪しく見えても実は違います!」

shadow「どういう意味ですか?それ…」

virgo「ははは…sweat01頭悪いんで上手く言えないんですよ」

「どちら様ですか?」

shadow「いや、僕らもここを撮りに来ただけで…驚かせてすいません」

「そうですか。こんな場所で同業と会うのも珍しいですね」

同業? なんだコイツら!pout
死ぬほど驚かせて何のんびりしてるんだ!
あ…壁に寄りかかったから服が汚れたよ。トホホ…crying

virgo「ゴメンね。驚かせるつもりじゃなかったんだけど」

「いえ…大丈夫です…」gawk

Dscf1727

shadow「どこかサイトやってる方ですか?」

「いいえ。単に写真が趣味で撮るだけですよ。サイト運営してるんですか?」

shadow「はい『廃墟楓』というのを…」

「あーっ!良く見てますよ!すごいですよね。あの写真技術は!」

shadow「本当ですか。それは嬉しい! これ…私の名刺で、今後ともよろしくお願いします」

「いやっ!これはご丁寧に…仕事用で失礼ですが、こういう者で…」

angryなに? こんなとこで名刺交換? 信じらんない!
嫌だな… なんだか長引きそうだ…

Dscf1708

「ねぇsign03お互い大変ですね…」gawk

virgo「えっsign02何が?」

「変な趣味の男と付き合ってるとさぁ…sweat02うんざりするよ…」sad

virgo「えぇっsign02あ…sweat01そ…そうですよね…確かに…」

そっかぁ、この人は趣味じゃないんだ…
まいったなぁ…『私もそうなんです』とか言えないなぁ。これじゃ…

                        (つづく)

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2008年12月27日 (土)

廃墟の歩き方Ⅱ『ウォーホルの家』

Wea

「えーっsign02やっぱりぃsign03

車が、急に減速したと思ったらUターン。
今、通り過ぎたばかりの脇道へと入っていった…。

Dscf9092 そうだ…そうだったんだよ。 そう思って然り!sad
札幌一泊で楽しませてもらったんだから、こういうのも「有り」か…
そういう話は、してなかったから今回は、ないものだと安心してたのに…

行きは高速に乗ったのに、帰りは違う道。
出発した時間も早かったからどこかへ寄るもんだと思ってたら、なんと『廃墟』かい。好きだなぁ…sweat02
今日知り合ったばかりの相手に、こんなところに連れてこられたら完璧に犯罪の前兆だよ…

入り込んだ道は舗装になっているけど、背の高い雑草が多い尽くさんばかりに倒れこんで、車のボディをパラパラと叩いていく…
私の不安をよそに気分上々の運転手。
少し奥に入ったところの脇にプレハブのような小屋が建った広い場所を見つけて停まる。
その小屋は、場所に不似合いなバスの待合室かと思ったら、中に地蔵のようなものが見えた。shock

Dscf9093

「ちょっと行ってくるから、待ってる? 15分…30分くらいかなぁ」

ち…ちょっと待ってよ…sweat01
ホラー映画とかの設定だと、こういう場所にひとり残されると、必ず恐ろしい目に遭うんだ。いきなり最初の犠牲者とか…
そんな場所ではないと分かっていても頭に妄想は、湧き上がってくる…

行くsign03一緒に行くよsign01

「ホント?じゃあ、行こう!」

なにやら嬉しそうに笑った。

Dscf9086 そそくさとトランクルームから、旅行中積みっぱなしだったバッグを降ろして用意を始めた。三脚だのカメラバッグだの手袋だの…
用意周到だ… これは、絶対確信犯。

車で、今上がってきた道を歩いて降りていくと、雑草に埋め尽くされた二階建ての家が見えてきた。
庭が、この雑草の山だと人がいなくなってずいぶん経つだろう。
Dscf9006 雑草の繁殖力はすごい。
舗装面を割ってニョキニョキ伸びている。
私どころか前で家を見上げる彼の背丈さえもすでに越えていた。
もし、この藪の向こうに誰かがジッと潜んでいてもたぶん分からない。

こんなとこ、幽霊屋敷に見えてもイキな郊外レストランなんかには絶対見えない。
いったいこういうところの何に惹かれるんだろう。
部屋で『廃墟』の写真集を見つけてパラパラながめたりしたけど、
その魅力と言うか、傾倒するものがあるかどうかは、私には全然わからない。

Dscf9075

それにしても大きな家だな。
うちの近所でこれほど大きい家の主だと、それなりの会社の部長クラス以上だろう。
こんな郊外だと、土地の予算が安く済む分、家にお金をかけられるのか…

Dscf9126 「ここから入ろう」

コイツは雑草を踏み分けて入っていった。
まいったなぁ…それでもジーンズだっただけましか。
それならそうと始めから言ってくれればいいのに…
もっとも始めから知っていたら、準備以前に文句を言うが…
それが分かってるから、行き当たりばったりみたいなマネもするんだろうな。

「そこで待つのー?」

「いやsign01行くってsign03angry

草とか、そのへんのものに触らないように踏み分け道へ入っていくと
彼はもう玄関口にいて中の写真を撮っていた。

「開いてたの?」

「うん!開いてた!」

映画の中で一見誰も住んでいないような容易に入れる家は、曲者なんだ。
絶対何かの罠があって、そこにノコノコ入っていく若者は、人の皮を被ったサイコな男の手によって、たちどころに犠牲者になる。shock
それは無いにしても、コイツの部屋で読んだ廃墟のなんたらいうタイトルの本にも書いてあった─

「廃墟と言えども許可なく立ち入ることは不法侵入にあたることがある」

だからといって、いまさら後戻りもできない。
クモの巣とかがないか確かめながらついていった。

Dscf9043

「うわーっ広いっ!」

玄関と言うより、ひとつの部屋だね。
50人分の靴くらい悠々並びそうだ…
ここだけでも私の部屋の半分以上の広さがあるよ。

Dscf9041 「ほら!この光と闇のコントラスト。良い感じと思わない?」

手前の階段が上の階から差し込む光で輝いている。
奥の居間らしいところは薄暗くて、天井から板というか布切れみたいなものがたくさん垂れ下がっていた。これは、夜見たら明らかに幽霊に見える。

いうなれば“失意の中”から見いだした希望というのかなぁ…
あれ、なに共感してんだろー私…coldsweats01

Dscf9034

ガサガサガサーッ

Dscf9052_2うわっ!うわうわうわーっ!coldsweats02

「何かいる!何かーっ!もう嫌だーっ!」happy02

後の部屋からスゴイ音がした!
彼も驚いたようだが、意外と冷静に部屋の様子を伺う。

「ちょっとーッやめなよー。もう行こう!」sad

Dscf9051 「シーッ…」

部屋の中は、ダンボールやら襖の戸やら何かの置物が雑然と積まれていて中に入れる感じではない。

「たぶん、犬か猫だよ」

犬や猫が玄関の戸を開けて入るわけないじゃん…
それに、猫ならまだしも犬だったらヤバイよ!

「追い詰めたりしなけりゃ大丈夫」

「えーっなんでわかるのさ?」angry

「冬に入ったところで、大っきいタヌキと鉢合わせになった時はさすがにビビッたことがあるなぁ…野生のタヌキ見たの始めてだったし…」

「もし噛まれたら狂犬病とかエキノコックスになるかもしれないよ」coldsweats01

「いや!エキノコックスは噛まれてうつるわけじゃないと思うな。狂犬病だって今の日本にはないらしいよ」

それにしたって噛まれりゃ痛いじゃないさ…。
私の重大な問題は、コイツにはさしたる問題ではないらしく乾いたシャッター音を響かせながら2階へ上がっていった。

Dscf9050

「ちょっとー!黙って行かないでよ!」wobbly

さっきの部屋から
またガサッという音がした─

Dscf9071_2  「おーっ!こいつはすごいな…来てごらん」

「なに?」catface

窓の上の壁にビッシリ何かが並んでる。
タバコの箱─?
部屋は引っ越したあとみたいにゴミひとつなく、きれいに片付いていて
そこの壁だけが異彩を放っていた。

「アンディ・ウオーホルって知ってる?」

「いや…」gawk

「マリリン・モンローとかエルビス・プレスリーの色使いが大胆なのとか、スープの缶やコーラのビンをたくさん並べたポスターを描いた人だよ。描いたって言うかシルクスクリーンっていう版画の一種なんだよ。それと感じが似てるなぁ…ウォーホルって人間的であるより人工的で感情のないような造形をしていたんだよ。始めはそうではなかったようだけど、コマーシャリズム的な社会情勢の中で広告の仕事をしていて、画家の個性の入らないような表現になっていったんだよ

「…よくわかんない」coldsweats01

「ユニクロのプリントTで缶の絵の持ってたっしょ。あれ!あの絵を描いた人」

「あ…あぁ!あれね!思い出した!このタバコもそうなの?」happy01

「いや!これは違うけどさ。整然と並べてるイメージがこんな感じだなって…」

Dscf9067

なんだ良くわかんない話…
しかし、大きい家だけあって2階も広いなぁ。
こんな立派な家、朽ちるままにして…
ここに着くまでの間、コンビニどころかちょっとした店すら全然なかったから、不便なところではあるんだろう。

Dscf9038 「ここにいた人は、どこいっちゃったの?」

「さぁ…この辺りは畑ばかりだから農業かな。たぶん後継者の問題とかで離農したとか…」

「でもタバコの箱を並べてるような人は、いたってことでしょ」

「うん。でも今の世の中、農業も大変だから継いでくれるとは限らないし、親も継がせる気にならないこともあるそうだよ」

「どして?」catface

「あれ!原油価格高騰だよ。トウモロコシからバイオ燃料を作るとかで穀物相場がすごく上がったんだ。親戚の酪農家で家畜の飼料価格の上昇で大変らしい。飼料とか畑の肥料もほとんど輸入らしいから」

「ふーん。でも、この家が空き家になったのって今年や去年じゃないんじゃない?」

「それはなにか事情があったんだろうね…景気に関係なく、無くなる企業や閉める店ってあるから」

Dscf9073

窓から見える風景は、ほとんどが藪ばかり。
太陽は、変わらず輝いていて、緑もまぶしいのにさ…

Dscf9074元は、キレイに整備されて庭に色とりどりの草花も植えられていたんだろうね。
「永遠」なんてないんだと思うけど、こんな終末的な景色はいたたまれなくなってきた…。

「大丈夫?」

「うん…なんだか鬱になってきた…」

「そろそろ降りよう」

コイツは、好き好んでこういうところに来るけど、鬱な気分にならないんだろうか。
私には見えない何かが見えているんだろうと思うけど…
どこからか見つけてくる廃墟の本やPCの「お気に入り」にも廃墟なんとか見たいなタイトルみたいなサイトがたくさんあるところを見るとコイツだけの趣味じゃないんだと思うけど。

Dscf9077 あれ…いないsign01置いてかれたsign03wobbly

あわてて下へ降りると階段前の部屋で壁を撮っていた。
和室─畳の部屋だ。それも広い!客間っていうのかな。

「思ったほどここは古くないのかもしれないね。ほら!」

指差す先の壁にポスターがあった。
L'Arc~en~Cielの…雑誌の綴じ込み付録のような。

Mixi_dscf9045

Mixi_dscf9044 「10年も経っていないみたい」

「うん…」

「何があったんだろうね」

「さあ…」

知らない時代の遺物ならいざ知らず、リアルに知っていたものに出くわすのは、なんだかショックだ。

「なんだか見てたら寂しくなってくるね…」

「そうだね」

「寂しいの好きなの?」

「そういう意味じゃないけど…感情って楽しいこととか、嬉しいことばっかりじゃなくてさ、悲しいこととか寂しいことも求めるんだよ。人としての心を失わないためにさ。テレビや映画がコメディばかりじゃないみたいに…心の痛みっていうのは意外と経験していないのかもしれないから敢えてそれと向かい合うと、そこに美的なものすら感じるんだと思うんだよ。闇があるから光がわかるみたいにさ。ネガティヴなものがあるからこそのポジティヴっていうか、そんな気持ちだよ」

ふーん なかなか言うじゃないか…think

「あと、居間の方見たら、もう行こう」

「うん」

Dscf9056

天井板が力なく垂れ下がった居間。

ここで家族団らんもあったんだろうね。
何人家族かもわからないけど、家族がいなくなってから家は悲しさのあまり自分を傷つけたような、守るべきものがいなくなった自暴自棄からヤケクソになったようなそんな気がする。

「勝手口が開いてたから、さっきの猫か何かはそこからはいったみたいだよ」

Dscf9057

「あれ?あれって…ピアノ?」

Dscf9065 向こうの部屋の壁際に大きな家具が見えた。
そこは部屋ではなく、隣の床の間に続く縁側のようなところ。
外の立木が風に煽られて当たったのか、誰かがワザと割ったのかガラスが粉々に飛び散ってる。

やっぱりピアノだ。
小さいころ親にねだっても夢は叶わなかったものが、当然のようにここにあって埃にまみれている。
そっと蓋を開けてみると鍵盤も惨めに薄汚れている。

Dscf9061 カシューン…
後から 乾いたシャッターの音が鳴り続けている

ポーン…
いつか 忘れてきた夢の音 
その音に乾いた音は鳴り止んだ
夢が現実に勝った気がした…

ヒューマニズムがコマーシャリズムに対して1本取ってやったような…
それほど大げさじゃないけど

なんだかね…

Dscf9062

Dscf9072_2夢は生きるための心の糧
喜びはそのためのビタミン

悲しみや寂しさは─ほんのささいなミネラル
ささいだけれど無くていいものではない

そういうものなのかもしれないね…

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2008年10月26日 (日)

カタオモイ…

Dscf6914

心のふれあいは温かい そうあるべきです 本来は。
温泉もまた然り  だから心に浸み込むのです。

どちらも五感を通して、心地よくしみわたる…

そして温泉へ行くことは愛情に似ている。
相思相愛の状況に…
ただし、そうではなくなった「片思いの湯」のお話です。

Dscf6915 「温泉」 漠然と入るけれど、地の底で「お湯」が滾々と存在していることが不思議に思う。
火山やマグマの影響で地下水が温められているということは知っているけれど、そこまでもぐって見てきたわけじゃない。
小さい頃、家族で泊った温泉宿の駐車場にお湯の湧き出している穴を見つけて、寒い日なのに地面からお湯が沸きあがってくるのが不思議でたまらなかった。

不思議なものは、いつしか普通 そして当たり前に。
当たり前にあるものは、いつしかその価値を見失う。
水も 空気も 愛情さえも…。

夜空見上げ 立ち上る湯気に 
浮世のしがらみを忘れて
理想も屁理屈も絡め取らせて一緒に飛ばそう
湯は絶え間ないように懇々と沸き続ける
愛のように まさに愛があるべきように

でも 誰のためって訳じゃない そんな大地の温もり

Dscf6918 日本人 おそらく誰しもが温泉好き。
大きなホテルには 大きな宮殿を思わせるような大浴場
小さな温泉宿は 思考を凝らした自然と一帯の情緒

ブームは「湯」を「温もり」を愛して止まない人々を
小さな温泉宿、いわゆる「秘湯」と呼ばれるところにさえも足を向けさせる。

このところ 目新しい温泉も目に付くようになった。
「手湯」 「足湯」 そして「源泉かけながし」という言葉も聞かれるようになった。
すべての温泉が本物じゃなかったこともあったから…
その湯もいろいろあって 冷まさないと入れないほど高温の所や
加温しなければ適温に満たないところもある。
それが本物かどうかは別として加温を必要とする温泉も意外と多いことに気が付く。

Dscf6928

Dscf6939 原油価格高騰
その煽りで閉館を余儀されなかった湯があちこちに存在する。
そんな時代的犠牲が温泉の現状を炙り出したようです。
入浴には温度の満たない湯や温泉とは呼べない冷泉まで
ボイラーで加温して温泉として成り立てた。
後の世が分かっていたなら「まちづくり」は決して足枷にはならなかっただろう。
ブームとは言っても維持費の高騰に見合うほどの収益増も実らずに図らずも
温泉もどきは、窮地に陥り
温泉であっても細々と続いた秘湯宿でさえ、少しづつ姿を消していく。

Dscf6950

Dscf6924 地の中にあるものが
また 地の中にあるものに翻弄される。
なんだか妙ですね。
でも地の底の問題じゃなくて
地上にいるものの問題なんです。

Dscf6932

Dscf6937 どんな秘湯も専門誌に載るなどして情報を聞きつけた人は訪れる。
クマが出そうな人里離れた山の中の天然温泉でさえもシーズンには絶え間なく人が訪れるみたい。
情報に山の深さは重要じゃないんだなぁ…

湯は滾々と沸き続け
疲れを癒し 冷えた心を温める
湯気は優しくその場所を指し示していた。

Dscf6911

Dscf6916 閉められた湯場
やり場のない温もり
立ち上る湯気は龍の如く「癒すべきもの」を求めて城を遡っていった。
そうせざろうえなかったかのように…

行き場のない「癒し」が、やがて宿の「毒」となり 静かに建物を蝕み始める。
かなわぬ愛が自らを傷つけるように…

湯浴の乙女は寡黙な龍の怒りで湯場が廃れゆく様を物悲しく見届けねばならない。
それが 由々しき勤めに生きてきた彼女の 悲しき定めでもあったから…。

Dscf6946

この温泉は解体され更地になりました。
冷泉とはいかないまでも加温の必要があったため原油価格高騰のあおりで閉鎖を余儀なくされたわけです。
現在、国からの補助を受けて再開発の計画が持ち上がるも国や町の財政状況を考えると再開発は負担であるとか、もっと資金投入すべきことがあるとかいう住民感情も無視できません。
町では住民説明会などを得て町の資源活用と活性化を説得しています。
計画では数年後に生まれ変わった温泉がここに現れることでしょう。
そうなっても湯を愛する人たちが「行きずりの愛」で終わらないようになって欲しいものです。

Dscf1929  ここから消えてしまった湯浴の乙女。 
目に浮かんだ雫は湯気だったのか
それともそれは…

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2008年4月29日 (火)

ハッカ飴 ─言えなかったこと─

あの日からもう、10年。
この家の有様を見るとナギサの家もどこかへ引っ越してしまったろう。
一度も行ったことのないナギサの家(だったところ)に入ってみた。

バキバキッ… 「うぁっ!」 ブヨブヨにふやけた床を踏み抜いてしまった。
「痛ってぇ~っ」 見上げた天井から空が覗いていた。

Dscf6170

Dscf3913 台風か何かにやられてしまったのか窓は、ほとんど吹き飛んでいる。
そのせいで、あの頃は薄暗かった部屋の中が明るい。
朽ちかけた壁にナギサが描いた絵が残っている。確かにここにいたんだ!

でも、どこ行っちゃったかなぁ…ナギサ。 意外と近くで暮らしているのかも知れないし、僕と同じようにどこかの学校へ通っていて、ここにはいないのかもしれない。

「苗字も聞いておけばよかったな… まてよ、おばちゃんがたぶん何か知っているか!」

Dscf3915 「どうだった? 思い出は見つかったかい?」

「はい ありましたよ ところで…うちの隣に同じくらいの歳の『ナギサ』って子がいましたね」

「あぁー 確かにいたよねぇ…お父さんに聞いたのかい?」

「その子って今は、どちらのほうへ?」

「可愛そうにねぇ…まだ小学生だったのにお亡くなりになってさ…」

「えっ?! 亡くなった? 病気、悪くなったんですか?」

「病気? 病気ではなかったよ。あれは天気は良かったんだけど波の高い日ににさ…波にさらわれて…私もあの日、出かけるのを見ていたから一言、声でもかけておけばねぇーって今でも思うよ…」

Dscf6169

その話の経緯はこうだった。
ボクと同じナギサは、やはり両親が共働きの家で近所に遊び友達がいなかったのでいつもひとりで遊んでいた。
海が好きな子で、天気が悪い日でもなければ毎日海で遊んでいたけど、晴天にかかわらず海の荒れていたある日、波にさらわれて命を落としてしまった。そのとき小学3年生。

そんな家の不幸があってから両親の中はナギサのお葬式の後、険悪になっていき父親は家からいなくなってしまった。しばらく母親の方は閉じこもり気味の暮らしをしていたそうでオバサンが様子を気にしていたが、いつからか見掛けなくなり、1年ほど待ってから保証人の母方の親御さんに連絡を取り家をあらためたそうだ。
そこには小さな仏壇と遺骨の箱がそのまま残されていたらしい。それでも遺影だけは持ち出したらしく、なかったらしい…
写真があれば確認できたんだけど。

「あの子のおじいちゃんに当たる人が来てね『可愛そうに…可愛そうに』って遺骨の箱を泣きながら撫でているのを見たら私ももらい泣きしちゃってさ…溜まってたお家賃の話なんかできなかったさ…あの奥さんも可愛そうでねぇ『お前が殺したんだ!』なんてご主人から責められてさ…何度も止めに入ったよ。だからカズちゃんが遊びに出るときは、特に注意してたんだよ。うるさいと思ったろうけどさ」

Dscf6181

とても可愛そうな話だ… でも、何かおかしい…
僕の知っているナギサとは、えらく違うような気がする。

「オバサン? 僕はナギサちゃんに会ってますよね」

「そんなことないよ!あんだけの事件だったんだからちゃんと覚えているさ。事故はカズちゃんの来る前の年で、カズちゃん家が引っ越した後に向こうの親御さんに来てもらったんだから…カズちゃんの入ってたところから見たらちょうど奥の部屋の押入れの裏にお仏壇があったのさ」

Dscf4758 「???」 えっ?いったいどうなっているの? 頭が混乱してきた。
病気 自転車 夜の海 学校… いろんなことが頭の中でグルグル回っていた。

「ハッカ飴…」

「えっ? ハッカ?そういえばあの子は、ハッカ飴が好きだったねぇ 私があげたら、えらくお気に入りでね。 お仏壇を開けたときなんか床にいろんな飴がバラバラこぼれ落ちるほど詰め込んであったよ…お母さんのせめてものお詫びだったかねぇ… そうだ!思い出した!ちょっと待って…」

おばさんは何かを思い出したようで家の中に駆け込んで行った…
僕の知っているナギサは、いったい誰だったんだ?

「これさ、これこれ。なんか処分もできなくってねぇ…」
その、持ってきたものというのが…

Dscf7053 「これ、やるよ!記念に!」

「えっ? これカズ君の宝物でしょ?」

「だから! いつか返してもらいにくるよ!」

そうか…ナギサって…あの頃には既に…

「わたしが、一番嘘ついてるかもしれない… カズ君!わたしホントは…」

Dscf6150

涙が出てきた
ひとりぼっちで暗い部屋にいて寂しかったんだなぁ… ナギサ…ナギサ!

Dscf7084 「ホント可愛そうな話だよねぇ… そんなふうに思ってくれる人がいたらあの子も浮かばれるよ」

「これ…もらってっていいですか?」

「私も困ってたからねぇ…何とかしてあげてちょうだい。 私からもお願いするわ」

Dscf6172

Dscf7154 オバサン家をおいとましてから、またあの家に向かう。
まだ、やり残していたことがあった。
ポケットからハッカ飴をつまみ出して、いつもナギサと話をした押入れの上に置いた…

「遅くなったけど約束どおり来たよ。ナギサ!」

今やボロボロの廃墟になってしまった思い出の家から、なんの返事も返ってこなかった…。
あの日々が夢だったのか現実だったのか今にしてみるとよくわからない…でもナギサに預けたこの箱が全てを証明している。僕とナギサの約束のこと…

「バイバイ ナギサ! また会おうね!」 

静まりかえる家を後にする時、かすかに風が通り抜けていった。
一瞬ハッカの香りがしたような気がした…。

Dscf6160

_mg_0222 ポケットの中には今も
ハッカ飴のかけらがひとつ
王様と王女様みたいな
ボクラの恋がなつかしい

夢の中 日々の中 どこにいても いつも
夏の日に僕を戻す ハッカ飴のかけら
秋が来て冬を過ぎ 春の風を越えて
きっとまた夏は来る キミがいなくなっても
そして いつかボクらは気づくだろう
宝物の行方に…

バイバイ…        「ハッカ」/エレキブラン

End

「アリガト… カズ君…」

cat「ハッカ飴」内の使用画像に関して 北海道廃墟椿 のカナブン師匠にご協力いただきましたことを感謝申し上げます。happy01

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2008年4月27日 (日)

ハッカ飴 ④

Dscf6146

Dscf7022 「カズくーん、どしたの?」  「え? なにが?」

「なんだか元気ないみたいだね…悩んでるみたい。わたしのこと?」

「いや!ぜんぜんないよ!そんなこと…」

父さんから聞いた引越しのはなし…

「まだ、決まったことじゃないから…」

そう言ってたけど、どうやら今度の土曜日に決まったらしい。
いつもそうさ。子どもは黙ってついていくしかないんだ…子どもだから…
家の中は、もう段ボール箱がいくつか積まれていた。

まだ、ナギサには言ってない。
言えなかった。突然、奇跡が起こって魔女の呪いが解けるみたいに全ての悩みが消えてしまわないかなーって思っていた。

Dscf7045

「昼間、カズ君のところ、なんだかゴトゴト騒がしいね」

「あぁ?母さんが片付けでもしてるんだろ。昼過ぎにはパートに行ってるから」

Dscf6869 ナギサも薄々感じてるのかな?
でも、ホントのこと言ったらどうなるだろうか。泣いちゃうかな…意外とあっさりしてたりして…

「あのさぁ…」  「なーに?」

「…あ…えーっと、また行こうね。海…」

「うん!行こうね!」

「カズ君?」  「えっ?」

「ありがとう わたしのために…」

「いや なんも…」

心の中の塊が重さを増してきた。 痛いくらいに…

Dscf4774

Dscf6779 ナギサと話すのが辛くなってきて学校から真っ直ぐ家に帰らず海辺で時間を潰すことも多くなった。
大家のオバサンにもあまり海で遊ばないように言われてたけど…
帰ってもドロボウみたいに物音をたてないで静かにマンガを読んでいないふりしてた。
声をかければいつもナギサが返事してきてたから、押入れの壁のすぐ向こう側でナギサが待っているかと思うと、そっちを見る気にもなれない。

でもボクは、このままどうしようってつもりなんだろう?
話をすることもなく、あさっての土曜日には、黙って幽霊みたいに消えるつもりなのか…
ただ、話のつづきを知っているマンガをずっと読み続けている。

「カズ君…」  「うわぁっ!!」

「ごめん!帰ってくるの見えたし、玄関あいてたから…」  「あ… あぁ…」

ボーっとページをめくっていたらナギサがいつのまにか目の前に立っていた。

Dscf6846 「ずいぶん片付いたんだね」  「…」

「こないだ、カズ君のママと大家のオバサンの話聞いてたから知ってたよ。引越しのこと…」

「ごめん…」

「ううん気にしないで。カズ君優しいから言えなかったんでしょ。その気持はわかるから…」

「反対したんだ!でも…」  「仕方ないよね」

全部バレてた。最低だ。ホントに幽霊みたいに消えてしまいたい。

Dscf6840 「カズ君、ホントに楽しかったよ。すごくいい思い出ができたから」

「…ナギサのこと、またひとりぼっちにするのかと思うと辛かったんだ。」

「ありがと 大好きだよ!カズ君」

ナギサは、照れくさそうに笑った。

「でも、嘘ついてたよ。」

そう言うとナギサは、顔がまじめになって… 泣いてた

「わたしが、一番嘘ついてるかもしれない… カズ君!わたしホントは…」

「いいよ!言わなくても!」 なんとなく聞いちゃダメな気がした。

「言わなくても…」

「ごめんね…」 女の子の涙には、男はかなわないなぁ…

しばらく部屋の中が静かになって、すごく耐えられなくなってきた。
なにか言おうとして回りを見てて、カードの箱が目に入った。

Dscf7056

Dscf7041 「これ、やるよ!記念に!」

「えっ? これカズ君の宝物でしょ?」

「だから! いつか返してもらいにくるよ!」

「うん…わかった。待ってるよ!ずっとここで…わたしこんなのしかないけど…

そういってナギサはポケットからハッカ飴を出した…

Dscf7021

Dscf3946 「カズ!用意できたか? そろそろ行くよ!」

「みじかい間ですがお世話になりました。」

「いーえ!なにもお構いできなくてね。なにかあったらいつでも連絡ちょうだいよ。ここで出会ったのも縁なんだからね。」

「いやぁーうちのカズを見てていただきながら…」

「子どものことはね…前もいろいろあったから気になるんですよ。うちの子もとっくに手を離れたからカズちゃん可愛くてね…」

「それでは、そろそろ長旅になるので… カズー! どうした?」

「今いくよー!」

手間取ってた。最後にナギサになにか言おうとしたけど。呼んでも返事がない。いつもなら向こう側で待っていたみたいに返ってくるのに…

「ナギサ? ナギサ!いないの?」 出かけたのかな…?

「カズー! 早くしろー!」 もう時間だ。仕方ないな…

家を出ようとしたとき、一瞬振り返った。 「バイバイ ナギサ!」

「なにしてたんだ?!」 「なんにもしてないよ!」

Dscf3964  

 

「バイバイ… カズ君…」

(つづく)

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2008年4月26日 (土)

ハッカ飴 ③

夜の海 街灯の明かりが かすかに水面を見せている
月が静かに輝やくこんな時間には、不似合いなふたりが昼間よりずっと短くなった浜辺で波の音を黙って聞いていた
打ち寄せる波は明るい時のワクワクする感じじゃなくて、届かない何かにたどり着こうと、もがいているように見えた。

Img_0219

_mg_0260 「いいねー 海!」

「えーっ? なんも見えないよ」

「見えるよ。カズ君にも見えるよ!きっと」

「そっかなー…」
暗闇に目が慣れたとは、いっても暗がりの黒い海。波が時おり、白っぽく浮かぶ…

「小さい頃、保育所の帰りにママと毎日海に来てたんだ。波が何度も浜にザーって来るのをずーっと見てるとさ…。海って命のある生き物なんだなぁーって思ったよ。カズ君は思わない?」

Dscf7983 「うーん分かんないなぁ…オレ…ここに来るまで山の中みたいなとこばっかだったから海は珍しかったよ。貝殻とか外国の字の書いてあるビンとか変わったもの見つけてさ。海の匂いも今まで知らなかったし…ずーっと住んでたら飽きちゃうんだろうけど」

「飽きることなんてないよ。本で読んだけど海は命の始まったところだから体の中には海がふるさとだって気持ちが残ってるんだって。だから、みんな海は忘れないでいて、最後には海にいって海とひとつになるんだよ。川が海に向っているみたいにさ…」

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Img_0230 「うーん なんだか難しくてわかんないや…」  「そっか…だろうね!」

「頭悪いっての? でも1個だけわかったことがあるよ」  「なーに?」

「ナギサが渚(なぎさ)にいる」  「あはは… そうだね!」

なーんか すっげぇ自分らしくないことを言っちゃった…。でも 壁1枚間にあるときは、平気でいろいろ言えたのに なんか頭と口がかみ合わない気がする。

「自転車に乗る?」 「うん!」

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後にナギサを乗せて夜の海岸通りを走る。二人乗りだけどペダルは、すごく軽い。街の明かりからグングン離れていくと真っ暗で見ずらかった景色も見えるようになってきた。水平線のほうに眩い光を放った船が浮んでいる。遠くに遊園地がぽっかり現われたみたいに…。

Img_0159 「寒くない?」

風を受けて走っていると腕が冷えてきた。腰に巻きついたナギサの腕も冷え切っているみたいだ。

「だいじょうぶだよ カズ君の背中あったかいねー」 「そっかなー」

「うん やっぱり生きてるんだ…」 「なんだよ変なこと言って」

しばらく走っていたら、なんとなく地平線が輝きだしてきたようだ。

「もう明るくなるね。そろそろ帰らなきゃ」

「うん。そうだなー」

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夜の冷たい風がこたえて鼻水なんか出てきたりもしたから Uターンして、うちに戻った。
まだ時間があるんで、ナギサにコレクションを見せた。
集めてたシールとかカードなんかを。女の子に見せても分かんないと思ったけど、なんか感心してるのか「ふーん」ってマジマジと見てた

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Dscf6158 「学校の教科書見せてくれる?」 「いいけどつまんないよ」
ナギサに教科書を見せているうちに少し眠くなってきた。

「いいなー勉強」 「別にいいことないよ つまんないし」

「カズ君らしいよね。私には憧れだけど学校…」 「……」

「あれ?眠くなった?」 「ん…少しね…」 でもいつのまにか…

「おやすみ 今日はありがとう」

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Dscf6176 「カズちゃん まぁー布団も被らないでゴロ寝して…」

「あ…オバサン!」 すっかり明るくなっていた。

「ご飯食べに来ないから 見に来たんだけど 大丈夫かい?」

「はい…あれ?ひとり?」

「まだ寝ぼけてるのかい? 早くおいでよ」

そっか、ナギサは帰ったんだ。
押入れに行って呼んでみたら返事はなかった。やっぱり眠てるんだろな。

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Dscf6113 「ただいまカズノリ」 「おかえりーっ」

「ひとりでちゃんとできた?」 「うん…まぁね!」

「カズノリ! 良いニュースだ。もう引越ししなくてすむかもしれないよ」

「えっ?ホント!」

Dscf4732 「うん 向こうで知り合った人から良い話があってな。会社の専属を紹介してもらえるかもしれないんだ」

「へー父ちゃんやったな!」

「連絡が来たら仙台まで行くことになるけど、そのあとはもう、めんどうなことは無くなるよ」

「えっ? そんな…また引越し?! イヤだ!! 行きたくない!!」

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目の前が真っ暗になった。月のない夜みたいに…

(つづく)

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2008年4月23日 (水)

ハッカ飴 ②

でも、不思議なんだよな。ナギサの家。
病気ったって、女の子ひとり家に置いてさ
全然物音がしないっていうか ほかに人がいる感じがしない…
よっぽど遅いんだろうか?
知りたいと思うけど、病気のことなんかも聞きずらくて…

だからナギサのこと 「囚われのお姫様」 そんな風に思ってた

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Dscf7020_2 「ハッカばっかじゃ飽きるだろ? ラムネやるよ!」

「うん ありがと!」

相変わらず押入れの隅の小さな穴のやり取り。
たまにナギサの指に自分の指が触れることがあった。 柔らかいけど冷たい指先。

ナギサを見てみたい。思いっきり蹴飛ばせば壁ごと外れるだろうけど、父さんにすっごい怒られるだろうな…

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Tsubakia_2 「ねぇ!自転車でどこまで行ったことあるの?」

「うーん…遠いとこなら古いトンネルの辺りまでは行ったなぁ…かなり走るよ。古い船とか投げてあってさ。でも近くの浜に降りたりするから、そんなに遠くまで行かないことのほうが多いよ。近頃じゃトラック走ってるから母さんうるさいし。」

「いいなぁ… 海行ってみたい…」

「全然ないの?」

「あるよ! でも最後に行ってから何年経つかなぁ…」

「そんなに行ってないんだ?! すぐ近くなのに」

すると、もう何年も家から出ていないってことなの?

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Img_0227 「…うん 行ってない… 行きたいな…」

「…そんなに悪いの? 病気…」

「ううん 今は全然平気だよ! でもね…」

「出られるもんなら、連れてってあげられるのに…」

なんだか 会話がぎこちなくなった。

「…連れてってくれる?」

「エッ?」

「でも 夜しかダメだな…わたし…」

Img_0248 「いいよ 夜でも。 親が留守の時にでも」

「ホント? いいの?」

「約束する」

「ありがとう! え~っ楽しみぃ なんだかドキドキしてきた…」

ボクもかなりドキドキしてた。

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「ホントに大丈夫なの? ひとりで…」

「大丈夫だって…もう3年だよ。」

「ずいぶん頼もしいな。しかし、一泊でも帰ってくるのは夜になるぞ」

「平気だって!危ないことしないし、ちゃんと留守番できるよ

「そんなに言うなら大家さんにもお願いしておくけど…」

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チャンスは、けっこう早く来た。親戚の結婚式に父さんたちは、出掛けるらしい。
そのことを父さんたちがテレビを見ている間にこっそりナギサに知らせた…

Dscf6156 「ナギサ? ナギサ?」 

「えっ? どしたの?」

「今度の金曜に父さんたちでかけるよ」

「ほんと? やったね!」

「何時ころ出かけるかわかんないけど…そっちは?」

「うん! だいじょうぶ」

「大家のオバサンとこで、ご飯食べてくるから出られそうになったら声かけてよ」

「わかった!」

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_mg_0279 「たくさん食べてきなさいよ!」

「うわ~!焼肉だ!すっげぇ!」

うちじゃ家族みんなが揃うことってめったにないから焼肉なんてホントに久しぶり… つい調子にのって動けなくなるほど食べてしまった。
帰り道、隣を見ると電気がついていない。

「どこか行ってるのかな?」

自分ちに入ってゴロゴロしてると、お腹がいっぱいになったせいで眠くなってきた…

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Nagisa 「カズ君! カズ君!…」

「う~ん…なに~?」

「カズ君! わたし! ナギサだよ!」

「えっ?!」  一発で目が覚めた。

隣にナギサ…だよな?…女の子が座ってこっちを見ていた。

「ナ…ギサ?」

「うん! 始めましてだね! 声かけたんだけど、返事がなかったから…ごめんね起こして」

「いやー寝ちゃったぁ…今何時?」

「もう12時過ぎちゃったね。 これからで大丈夫?」

「うん 目は覚めた」

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Zitensya 宵闇の外、自転車小屋からそうっと自転車を引っ張り出す。

港に停泊している船の灯

遠くで犬の遠吠え

夜空に少しかすんだ月が見えた

みんなもう寝ているから 見える家の窓は暗い
昼間とは別世界の感じがするよ

波の音を包む闇のところどころで街灯が虫を集めて賑わってた

「これ、ブレーキの音うるさいからこのへん離れてからね」

「うん!」 月灯りに浮かぶナギサの白い顔が、すごく嬉しそうだった。

(つづく)

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2008年4月22日 (火)

ハッカ飴 ①

ハッカ飴は夏のかけら 汗ばむボクらも溶けてゆく
王様と王女さまみたいな ボクらの恋は実るかな…

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ハッカ飴を見かけると手を伸ばさずにいられない。
その水晶みたいなかけらの中に思い出が閉じ込めてあるようで、つい光に透かしてみる…そんな癖がある。

Uni1「あっらぁ~カズちゃん! 見違えちゃってぇ~ すっかり大人になったねぇ!」

「もう20歳ですよ 10年ぶりくらいです」

「ご両親はどうしてる? お元気なの?」

「はい!やっと仙台のほうで住み家が落ち着きました」

「転勤が多かったからねぇ 落ち着けてよかったわぁ カズちゃんは今どうしてるの?」

「今、大学生ですよ。夏休みなんで久しぶりにこっちを回ってみたくて…」

うちは、親父の特殊な機械のオペレーターの仕事の関係で引越しが多かった。
今だと親父の単身赴任って時代だけど、うちはいつも家族は一緒で小学生のころ、短い間だったけどここにいたことがある。
そのときお世話になった借家の大家であるオバサンは、白髪も増えたけど元気なところは変わりなく安心した。
あのころは、両親とも仕事だったので、遅くなるときはちょくちょくオバサンの家でご飯を頂いたことも、この間のようだ…

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Dscf6154 「あら そう 今日はどこへ泊まるの? うちで良かったら…」

「宿、取ってるんですよ …それにしても まだあの家残ってるんですね」

「もうあんなにボロだから、役場からも言われるし、うちの人にも危ないから処分してって言ってるんだけどね…すっかり物ぐさになっちゃったもんだから…」

「ちょっと覗いてみていいですか?」

「いいけど 崩れそうだから気をつけなさいよ。遊んでた子が怪我したこともあったから」

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Dscf6175  ボロボロの2軒続きの借家の手前の部屋がうちの3人家族が入居していたところ。覚えのある落書きがあった。
10年程の間で、こんな竜巻にでも見舞われたみたいに変わり果ててしまった…。
父さんの現場の仕事は、1~2年くらいで、もう引越しみたいな暮らしが長かった。でも、オバサンに、ずいぶん可愛がってもらったし、海の見えるこの町は特に思い出深い。

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Dscf6177 それと ここでは特に思い深い出来事があった。
ちょうど小学3年生に上がる頃、この町に来て、新年度早々に回りが「見慣れないやつがいる」って視線がグサグサッと刺さってくる感じが嫌だった。
それなりに話しかけられもしたけど、なんだか億劫がって、会話もあまり続かず、当然クラスの中でも孤立した感じになるのも当然。

「どうせまた引っ越すんだし…」

Dscf4733 そんな気持が友達を作るのを避けていたのかもしれない。
だからもっぱら、オバサンにもらったお下がりの自転車で海辺へ行って遊んでばかり…
やっと自転車に乗れるようになったのにこんなに思いっきり走れることは、今まで無かったから嬉しかった。
でも当時、工事のトラックの往来も多くなり、学校の生徒との事故もあったことから、少し控えるように言われて、家でひとりでテレビを見たりマンガを読んだりで過ごす日も多くなった。

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Oshiire 初夏のある日、押入れの奥に積んである本の山を崩して選んでいたら隅の壁に穴を見つけた。ネズミでも開けたんだろうか?向こうから、うっすら光が漏れてくる。
隣を除いて見たい気になって、押入れの中で寝そべってその穴から向こうを見てやろうとしたけどうまくいかない…悪戦苦闘しているうちに突然、

「そこに誰かいるの?」

「ぅわっ!」 
急に壁の向こう側から声がしたので、ビックリして体が跳ね返った。

「誰かそこにいるのね?」

「え…? いや、何もしてないよ」

「別に怒ってないよ…誰なのかなーって思って…この穴からこっちを見えてたでしょ?」

「なにも見えなかったよ!!」

「ほーら やっぱり見ようとしてたんだぁ」

Kamome

声の感じで、同じ小学生だと思った。

Dscf6182 「お前誰だよ!」

「わたし ナギサ! 君は?」

「…カズノリ」

「『よろしく』っていうのも変だね。顔も会わせてないのに… カズ君、何年生?」

Dscf6173 「4年だよ」

「じゃあ 同じだ!」

「えっ? 何組?」

「わたし…学校行けないんだ…  病気だから…カズ君、よく海に向かって自転車で走ってるね。よく窓から見てたよ…」

「ふーん 病気か…大変なんだなぁ…」

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「ねぇ? たまにこうして話し相手になってくれる?」

「俺がそっちに行こうか?」

「ママが鍵してるから帰るまで出られないんだ… それに…わたし明るいところに出ちゃダメだし…」

「いいよ 話し相手やるよ!」

「ホント?嬉しい これ、お近づきの印ね!」

隅の穴から小さな白い指が覗いてこっち側に何かを置いた。

「なに?これ?」

「ハッカ飴 わたしの大好物!」

「うん ありがと!」

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それから押入れ越しの奇妙な友達関係ができた。
むしろ、その時が楽しみで学校からいそいで帰ってくるようになり、学校のことや前に住んでいたところのことなんか沢山話した。
俺ってこんなに喋るやつだっけ?というくらい。
ナギサはいつも楽しそうに聞いてた。
あまり自分のことは話さないけれど、いつも家の中にいるから話すことはあまり無いんだなって思ってこっちは聞かなかった。

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でも ナギサってどんな子なんだろう? 頭の中で想像が膨らんでくる。
窓越しに顔を見るくらいできないことなかったと思うけど、その時は思いつきもしなかった。

(つづく)

※一部の画像を『北海道廃墟椿』カナブン師匠より御提供頂きました。 

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2008年3月11日 (火)

けっこん しようね

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Dscf4555 行く道も戻る道も、かつて学校があった痕跡や暮しの亡骸が点在する土地。
かつては、たくさんの農家が田畑を耕して家畜を養っていたことでしょうが、町勢資料を見ると驚くような営農戸数激減地帯。

現在は大規模育成牧場(いわゆるメガファーム)があるほかは、離農してほかに生業を求めた家が数軒。あとは静かな自給自足の暮しを楽しむ人々がいるだけです。
この地域を貫く道にはロマンチックな名が付けられていますが、起伏にとんで景観の素晴らしい風景とうらはらに寂しい現実が雪の重みでパタパタと崩れ落ち、追憶の骨格を晒していました。

Dscf4554 戦後の帰農軍人の団体が入ったことで形成された集落に学校が作られたのは昭和26年のこと。入植は早くも予想に反して学童数は少なかったようです。
その後子どもの数も徐々に増加。昭和29年に新校舎落成。
しかし昭和41年には併置中学校とともに閉校。かつての面影は欠けた校門とグラウンドの痕跡のみ。この手前と先の学校も現在は閉校し他の施設などに転用されています。

この辺りには、子どもはいないのか?
どれだけ僻地と言われていても夏休みとかには、どこかへ向って自転車で走る子の姿をみかけたものですが、今はどんな所の子でも家の中でゲームに嵩じているようです。
そうは言っても、ねこんもゲームと無縁の世代ではありません。今の子どもほどシニカルではありませんでしたが…

そんなことを思いながら、かすかな春の気配はすれども人の気配は少ない道。高台を辿る道の脇、道から少し下がった場所に赤茶けた錆色を反射する屋根が見えました。
雑木に埋もれかかったそこは、ちょうど高台の張り出した所にあり、夏場の草や葉が茂る頃なら人目につくことは全くないであろう場所です。
かつて、引きこみ道であったであろうあたりを確かめながら歩いて降りていくと家畜舎の跡。

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Dscf5291_2 ブロック作りのため、時代遅れというほど古い感じもしませんが、比較的飼育頭数の少なそうな建物。
穴の空いた輸送缶が転がっていて、これで牛乳の搬出をしていたころなのでしょう。
70年代中期頃からバルククーラーという低温槽設備が普及し始めたので、その辺の時代のボーダーラインに位置していたと思います。

使い古した衣類 ほぐれた藁の山 打設したコンクリートの床に残る足跡…
当たり前のように残る暮らしと人の跡。そして給餌槽の牛が舐め削ったコンクリートの凹み……?

視線の先に意外な一角がありました。

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Dscf5296 小さな子供用の椅子が2脚。どうやら「ままごと」で遊んだ痕跡ですね。
手前の椅子の脇にある台がキッチンでしょうか…大きな鍋も据えられている。
かき集めてきた食器は不ぞろいですが、テーブルとおぼしき板の上の湯のみ茶碗(?)は揃いのようです。
奥の錆びついたオイル缶がパパの書斎か職場そのものをあらわすのかもしれません。

「ままごと」はひとりでは成立しない。暮らしが中心だから。
そしてパパが帰ってくるところから始まる。家業がなんであってもパパは通勤している人なんだね。
子どものベッドはないから、まだ新婚の家庭なのかな?

Dscf5290_3 でも、ここで遊んでいた子たちはどこから来たんだろう?高台からずっと離れたところに家が見えるから、そっちから来ていたのかな。
少なくともここの家の子ではないように思います。廃墟化後の痕跡らしいので…

ここで愛の暮らしのシュミレーションが繰り返されながら、こんな会話もあったのかもしれません…

 

ねえ! おとなになったら けっこんしようね

うん! けっこんしようね おにいちゃん

 

まだ、世界が家から高台までだったころ…

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