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2010年3月26日 (金)

旅立ち

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Dscf3075 北海道足寄町出身で札幌を拠点に全国で活躍するシンガーソングライター松山千春
彼が23歳の時に発表したベストセラー自伝「足寄より」
その自伝がデビュー30週年にして映画化された「旅立ち~足寄より」
その撮影は、もちろん足寄町で行われた。

自伝の映画化といっても30年の年月は足寄町や周辺の様子もすっかり変えている。
それでも街並みは時代の色を寛容に残していたことから映画のロケが可能だったようだ。
事実、既に閉店しているとはいえ、松山千春がデビュー前から通っていた「喫茶カトレア」もかろうじて残っており、初めて町でコンサートを開いた足寄町公民館も老朽化で閉鎖されていながらも当時の姿を残している。旧足寄駅は面影も無く新築されてしまったことから同じ沿線の赴きある利別駅が変わりに使われた。

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Dscf3058 ところが肝心の松山宅は、とっくに新築されており生家であるとかち新聞社は既に失われていたので、主要な舞台として新たに場を準備する必要があったようだ。
足寄町役場近くにある『千春の家(とかち新聞社)』は、映画クランクアップ後もロケ地として週末・祝日に一般公開されており、中に実際に入ることもできる。
とはいえ、小さな家なので大人数で入ることは難しい。
一般住宅から想像もつかない梯子のような急な階段で撮影クルーが機材を担いでスタンバイしていたかと思うと脅威にすら思えてくる。
ここは、もともと松山家とは無縁の家を映画用に改装したものだが、実に赴き深くて大道具の「汚し」の技術を持ってしても、これだけ人としての息遣いの聞こえそうな家が再現できるだろうかと思う。銀幕上でそれが生かしきれたかはわからないけれど…

Dscf3070 映画撮影の時は、例年に無く雪が少ない年で冬のシーン撮影のため山から雪を大量に運んでくるということもあったそうです。
ともかく映画はいまだに見てないんですよね。自伝も読んでないし…
コンサートのMC録「らいぶ」は読んだことあるけど。
管理の人から熱烈なファンと思われそうなくらい、家のあちこちを撮ってきたけど正直、千春の歌はあまり聴いたことが無い。
聴かなかったんじゃなくて、千春の歌は空気のようで、いつもどこからとも無く聞こえてきた。大好きでいつも聞いていた歌よりも、そういう歌のほうが、ズーッとあとになって心の中に根を下ろしていたことに気が付く。

「千春の家」の管理人さんがこう言ってた。

「ここは、木造モルタルだった家を映画の大道具さんが木造に改修したんですよ」

「えーっそうなんですか?」 それは驚きだ…

もともと、この家自身が持つ歴史の記憶と、もうひとつの人生の記憶を持つところです。

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どこまであるのか確かめたことすらない空の下
錆付いたトタンのほうがこの空のことを知っているようです。
記憶の色は色あせるんじゃなくて
むしろ塗り重ねられていくのだと思う。

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