« そしてまた 波音 | トップページ | あたんのバラード »

2010年2月 2日 (火)

ディーゼル

Dscf4374

Dscf4362 小さい頃、初めて見た工場は、地元にある製糖工場でした。
もうもうと水蒸気を上げる大きな建物は、学校よりも大きくて威圧感がありました。
工場に搬入された契約農家で栽培された甜菜(ビート)は指先に乗るほどで、いびつな「こんぺいとう」みたいにガタガタで、育苗後、畑に移植されて夏の太陽の下、大きなカブ状に成長します。
初霜の季節に収穫され、満載のトラックで次々に搬入されて糖分を抽出される。
見た目はカブっぽいけど切り口を舐めてみるとすごく甘かった。

Dscf4371 糖分を抽出された搾りカスも乾燥圧縮されてビートパルプという家畜(主に乳牛)の飼料として出荷されます。切干ダイコンみたいに水で戻して給餌するわけです。
そのほかにもシーズンになると未乾燥の生パルプも供給されることがあり、契約農家が自家トラックでの積み込みに工場入りします。
それで何度か父に付いてこの工場へ来たわけですが、蒸気を吐き続ける稼働中の工場の姿は、爆発寸前に見えて怖くて車から降りられたことがありませんでした。

今も稼働中の工場に入ることはもうありませんが、凍てつく冬の空へ蒸気を吐き出す工場を見ても淡々と感じてしまうのは、やっぱり大人の証拠なんだなぁ…と思う。

この工場の裏を通っていたら古ぼけた機関車があるのが見えた。
場所は工場関係者の通用口のようだけど、動体展示してあるようなので見るだけなら叱られはしないだろうと行ってみた。

Dscf4368_2

ずっと知らなかったけど貨物駅と工場を行き来した工場専用線があったらしい。
専用線だから一般が見たり乗ったりするものではなかったけれど、こんな活躍をする小規模な鉄路もたくさんあったようです。
貨物駅廃止の原因は、たぶんトラック輸送の影響なんだろう。
公園で定期的に塗り替えられる蒸気機関車と違い、古ぼけるままにされているようで真っ黒なSLよりも過去のものに見えた。
それでも古巣の方を向いてのんびりする姿は、どこかしら人間臭くも見えるものです。

Dscf4369

★ホクレン清水精糖工場専用線★
ホクレン専用線は、昭和36年8月工場建設のクワ入れと共に布設され、建設資材の搬入から副資材、製品の入出荷などで活躍し、旧国鉄十勝清水貨物駅の廃止に伴い昭和62年3月21日現役引退になるまで25年の歴史を歩みました。
 ここに保存された20t液体ディーゼル機関車は二代目で、最盛期の扱い量は1日最大500t、25年間で述べ260万tを取り扱い、精糖工場の操業に多大の功績を残した。

Dscf4365 ★機関車略歴★
車種形式/20t液体式ディーゼル機関車
       DL20-HC-1067DMH17C型
製造場所/日本輸送機株式会社
製造月日/昭和37年8月
工場配置/昭和58年11月15日
現役引退/昭和62年3月21日
主要寸法/長 6,750㎜
       巾 2,525㎜
       高 3,460㎜
最大牽引/換算25両以内 100t

|

« そしてまた 波音 | トップページ | あたんのバラード »

コメント

いい錆具合だ!
そういえばそっち方面いったらビート積んだトラックたくさん走ってるもんね

投稿: DOSA | 2010年2月 5日 (金) 10時17分

DOSA様
この車両は、工場の裏手にあって国道からは全く見えないのです。工場と地元の人しか知らないんでしょうね。
こういうものは、道内あちこちにあると思われます。
そんなものをたくさん探して行きたいと思います。

投稿: ねこん | 2010年2月 5日 (金) 22時37分

この記事へのコメントは終了しました。

« そしてまた 波音 | トップページ | あたんのバラード »