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2008年10月26日 (日)

カタオモイ…

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心のふれあいは温かい そうあるべきです 本来は。
温泉もまた然り  だから心に浸み込むのです。

どちらも五感を通して、心地よくしみわたる…

そして温泉へ行くことは愛情に似ている。
相思相愛の状況に…
ただし、そうではなくなった「片思いの湯」のお話です。

Dscf6915 「温泉」 漠然と入るけれど、地の底で「お湯」が滾々と存在していることが不思議に思う。
火山やマグマの影響で地下水が温められているということは知っているけれど、そこまでもぐって見てきたわけじゃない。
小さい頃、家族で泊った温泉宿の駐車場にお湯の湧き出している穴を見つけて、寒い日なのに地面からお湯が沸きあがってくるのが不思議でたまらなかった。

不思議なものは、いつしか普通 そして当たり前に。
当たり前にあるものは、いつしかその価値を見失う。
水も 空気も 愛情さえも…。

夜空見上げ 立ち上る湯気に 
浮世のしがらみを忘れて
理想も屁理屈も絡め取らせて一緒に飛ばそう
湯は絶え間ないように懇々と沸き続ける
愛のように まさに愛があるべきように

でも 誰のためって訳じゃない そんな大地の温もり

Dscf6918 日本人 おそらく誰しもが温泉好き。
大きなホテルには 大きな宮殿を思わせるような大浴場
小さな温泉宿は 思考を凝らした自然と一帯の情緒

ブームは「湯」を「温もり」を愛して止まない人々を
小さな温泉宿、いわゆる「秘湯」と呼ばれるところにさえも足を向けさせる。

このところ 目新しい温泉も目に付くようになった。
「手湯」 「足湯」 そして「源泉かけながし」という言葉も聞かれるようになった。
すべての温泉が本物じゃなかったこともあったから…
その湯もいろいろあって 冷まさないと入れないほど高温の所や
加温しなければ適温に満たないところもある。
それが本物かどうかは別として加温を必要とする温泉も意外と多いことに気が付く。

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Dscf6939 原油価格高騰
その煽りで閉館を余儀されなかった湯があちこちに存在する。
そんな時代的犠牲が温泉の現状を炙り出したようです。
入浴には温度の満たない湯や温泉とは呼べない冷泉まで
ボイラーで加温して温泉として成り立てた。
後の世が分かっていたなら「まちづくり」は決して足枷にはならなかっただろう。
ブームとは言っても維持費の高騰に見合うほどの収益増も実らずに図らずも
温泉もどきは、窮地に陥り
温泉であっても細々と続いた秘湯宿でさえ、少しづつ姿を消していく。

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Dscf6924 地の中にあるものが
また 地の中にあるものに翻弄される。
なんだか妙ですね。
でも地の底の問題じゃなくて
地上にいるものの問題なんです。

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Dscf6937 どんな秘湯も専門誌に載るなどして情報を聞きつけた人は訪れる。
クマが出そうな人里離れた山の中の天然温泉でさえもシーズンには絶え間なく人が訪れるみたい。
情報に山の深さは重要じゃないんだなぁ…

湯は滾々と沸き続け
疲れを癒し 冷えた心を温める
湯気は優しくその場所を指し示していた。

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Dscf6916 閉められた湯場
やり場のない温もり
立ち上る湯気は龍の如く「癒すべきもの」を求めて城を遡っていった。
そうせざろうえなかったかのように…

行き場のない「癒し」が、やがて宿の「毒」となり 静かに建物を蝕み始める。
かなわぬ愛が自らを傷つけるように…

湯浴の乙女は寡黙な龍の怒りで湯場が廃れゆく様を物悲しく見届けねばならない。
それが 由々しき勤めに生きてきた彼女の 悲しき定めでもあったから…。

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この温泉は解体され更地になりました。
冷泉とはいかないまでも加温の必要があったため原油価格高騰のあおりで閉鎖を余儀なくされたわけです。
現在、国からの補助を受けて再開発の計画が持ち上がるも国や町の財政状況を考えると再開発は負担であるとか、もっと資金投入すべきことがあるとかいう住民感情も無視できません。
町では住民説明会などを得て町の資源活用と活性化を説得しています。
計画では数年後に生まれ変わった温泉がここに現れることでしょう。
そうなっても湯を愛する人たちが「行きずりの愛」で終わらないようになって欲しいものです。

Dscf1929  ここから消えてしまった湯浴の乙女。 
目に浮かんだ雫は湯気だったのか
それともそれは…

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2008年10月24日 (金)

テントウムシ祭りと『ブキミちゃん』

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今年の秋の入り口も暑かったです。 とても…
紅葉は来るのだろうかと心配してたけど 

ちゃーんと来ましたよ。お山のほうからね。

Dscf4501 一面の緑の園が 鮮やかな赤や黄色に彩られて
こんなに視界いっぱいの暖色のなのに
寒々と感じるのはなぜだろうね。

緑好きの画家たちは
今年の絵具を使い残せないから
余した色を使い切るために秋が来る。
完成した絵画は、絵具の乾ききらないうちに
どんどん画商に運びだされ
画家は、真新しいカンバスを前に
次の春の構想を練るのだ。

そんな最中の赤い大地を北へ向かう
もう何度も通った道 地図もナビもいらない
山の「赤」に負けない熱い「赤」の牧場めざしていた。

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北海道津別町相生 道の駅から釧路市阿寒方向へ少し走ったところに
『シゲチャンランド』がある。

毎年通うようになって5年ほどだろうか。
もう すっかり顔も覚えてもらって…でもそこの住人の顔はいまだに覚えきれない。

Dscf3959 人には 誰しも『ふるさと』があって
でも 生まれ育った『ふるさと』のほかに
誰しもこころの『ふるさとも』もいくつかあるんですよ。
自分には、この『シゲチャンランド』がそうです。
同じ気持ちの人もきっとおられることでしょう。

紅葉深まる秋とは言えど 暖かい。
この季節
『シゲチャンランド』には秋の風物詩…というか名物の
『テントウムシ祭り』がある。
正直なところオジャマ虫の彼らが大挙して
ランドに集まってくるのだそうだ。

Dscf4502 『いやぁ 今日は、なぜか少ないんだよねぇ。昨日はすごかったぁ…』

気温が下がってくると 少しでも暖を求めるのか
テントウムシたちは陽で暖められた家の外壁にビッシリとくっついてくる。
ウチもそうだけど
日中は下手に家の中に出入りできない。
さもないと春を心待ちにする家族が一挙に増加するからです。

ランドは昼間の開園中、オープンドアなので一般入場者のほかに
紅葉の鮮やかさに劣等感を感じたやつらが山から降りてくるというわけ。

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「毎年ものすごいもんだから シゲもすっかり神経質になっちゃってね…」 
パ-トナーのココさん談

「うちもたくさん来ますけど、天井の隅のやつは『もういいや』って開き直ってますよ」

Dscf3997_2その数はウチと比べ物でないらしく
閉園時間の午後5時から7時まで「やつら」の掃きだしに費やすのだそうだ。
それもすごいね…
なーんにも気にしないのは ランドの住人たちだけ

秋の小春日和の空の下
ボツボツ人も訪れだして
笑い声やら 喚起の声やら 感嘆の声…
数の多さもさることながら どいつも個性が強い。

Dscf3953 訪れだした はじめの数年は
ひとつでも多く見て 写真を撮ろうと躍起になっていたけど
今は ここでゆったり身を置くようになった。
新しい顔や居場所の変わった顔を探したりなんかして…
見に行っているのやら
こっちが見られに行ってるのやら

10月末頃で『シゲチャンランド』は冬の眠りに付く
熱い牧場は白い雪に包まれて
ここの住人たちは長い休みに入る。
今年のシーズンのお客の話なんかしたりしてね。

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帰り際 ショップで、どーも気になった人形があった。

『ブキミちゃん』?

「いやぁ~ちょっと急に縫ってみたんだよね。こういうの作りそうもないって言われちゃうんだけど…フフフ」

うーん ココさん ジュエリーが専門みたいなイメージありますからねぇ…
でも この表情、ブキミというよりとぼけた感じ。

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そんなわけで 気になって仕方なかった『ブキミちゃん』
ウチの部屋でチンマリ座っています。
来年からは、里帰りもさせよう。

シゲチャンランド紹介を含むHP  『Wild Little Garden』 SevenCatさん

今回は『シゲチャンランド』で知り合った親友の『∋(◎v◎)』さんへ送ります。
ランドから離れたところで生活していますが、また元気で会えることを心待ちにしています。  (ねこん)

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2008年10月18日 (土)

コンピューターシティー②

山の中で出会ったコンピューターは、聞きもしないことまでずいぶん話すんだ。
こんな山奥で、よほど一人ぼっちだったのか、お風呂の水があふれ出すみたいにずーっと、ゆっくりと話し続けている─

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21phab24 「だから、街ができるのも僕らの完璧な計算があるからこそ創ることができるのさ。人間が自分で計算していたころは無駄やミスが多くて時間もかかるものだけど、それが解消されて、かつ高度な計算によって強く隙の無い生活空間を築くのが可能になったんだよ」

「ふぅーん…でも、山とか海は関係ないよね…」

21phae26 「そんなことは無いよ。港湾工事だって、海路の計算だってお任せだよ。山の計画的伐採や植林の計画も…高速道路の的確なルートや橋梁だって…」

「えーっと…そうじゃなくて…自然のものは自然のままで出来上がっているんだなっていうか…」

「当たり前だろ!もともとあったんだから。しかし、この世にあるものは全て計算で説明がつくんだよ。」

「計算? うーん…掛け算までしか分からないなぁ…でさ!『この世のもの』っていうけど『あの世のもの』は、どうなんだろ?」

「『あの世』?そんなものは無いよ。非科学的で計算に値しない。」

Dscf1194 ずいぶん強情なこと言うなぁ…でも、壊れてるのに良くしゃべるコンピューターだ。catface

「私って『この世のもの』じゃないってことになるんだけど。それはどうなの?」

「それはどういう意味だろうか?」

「私、『生きていない』身だからさー」

「ありえないね。生命活動を停止した肉体は、それでおしまいだ」

「いや!体は無くなったけど魂は残ってるんだよ」

「思考は脳の中の微弱電流のようなものが回路を巡る信号だ。僕のようにね。思考だけが分離して存在し続けるはずは無い。エネルギー供給さえ行われないのに。それは極めて非現実的だ」

あれーっ全然話が合わないなぁ…。でも私は、こうしてここにいるんじゃないか。分かってもらおうにも見た目も頭も固そうだしなぁ…

Dscf2617 「私とあなたが話してるのは、どうなの?」

「僕は質問に答えてるんだ。入力された質問に対して応える。話してなどいない」

「でもさーっ 私、触ってないよ。それに電気きてないのに話しているのは、おかしいじゃない? 私といっしょだよ!」

「……」

「思わない? それにあっちでも同じようなのを見たけど、あなた捨てられてるみたいだよ。この山に」

「…いや故障だ。プログラム不足なんだ…。そんなことはありえない…僕が君の言葉で悩むはずは無い!」

Dscf5990

「…あれっ?どしたの? 怒った?」coldsweats01

Kairo コンピューターは、ずっと黙ってしまった。
頭をコンコン叩いてみても何も反応しない。

私が存在しないみたいなことを言われたもんだから、ちょっとムキになっちゃったな…
でもさぁ…

「もう!何も言わなくていいよ。お願いだからあなたがいたところを教えて!」

Dscf0503 何も言わない…。
そのかわり─
コンピューターは、1本の光の筋を空に向かってすごいスピードで伸ばした。

「この先が、あなたのいたところなんだね?」

風に乗って光の筋をたどっていくと この光にもひっぱり上げられる力を感じる。
その力に身を任せていくと やがてその中へ引き込まれていった。

「うわーっ!速い!」happy02

信じられないスピードでドンドン進む。
たくさんの光が、目にも留まらないくらい飛び交っていく…

「さすが光通信だ!」なんでそんなこと知ってるんだろ?)

Line

Gd160_l 「さすが今時のは、処理速度が速いなぁ。なんで今までガマンしてたんだろ?」

先のほうで声が聞こえた。
あの声がコンピューターさんの持ち主だろうか。光は声のしたほうへまっすぐ流れて、小さい四角い窓の前に出た。

「ん?なんだこの絵、重いんか?… うわっ!

光に無理やり押し出されたみたいに四角い窓から薄暗い部屋の中に飛び出した。

Gd135_l 「あれーっ?何だ今の…モニター逝ったか?」

部屋には、真新しいコンピューターを前にあわてた様子の男の人がいた。
この人か…あのコンピューターを捨ててきたのは…
どうやら私のことは見えないようだけど…でも、それじゃ話ができないな…

「なんともないか…すっげー光ったな。頼むぜ!ローン始まったばっかりなのに…え…なに?あれ…」

「こんにちはー」wink

Nagisa_shok

「ギャーッ!」

えっ?なに? 倒れちゃった!coldsweats02
まだ用事あるのにーっ!

困ったなぁ…ちゃんと話しておきたいけどこれじゃ……

とりあえず 手紙でも書いておこうか…えーと、何か紙…カミ…coldsweats01

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「…で、不法投棄したのを回収するってんだ。データ抜き忘れて心配になったんだろ?」

Mail 「違うって!あそこに幽霊がいて、俺が置いてったのを見てたんだよ。それで部屋に現れて…」

「なんだよバッカバカしい!んなわけねーだろよ!」

「証拠もあるんだ。その幽霊が置いてった手紙だよ」

「どれ!」

「あのなぁ… まぁいいや!付き合ってやるよ。よりによってそんなとこ捨てて、2回往復したらリサイクル料のほうが安いだろ。ったく…昼飯くらいおごれや…」

YouTube  「コンピューターシティー」 Perfume

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2008年10月12日 (日)

コンピューターシティー①

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「それーっ」

風の背に乗って、牧草畑の牛たちみたいにのんびり流れる雲を追いかけてた。

わざと雲に突っ込んで向こう側で風を乗り換える。

もう そのくらい風の動きを読めるようになったんだよ─

Dscf0495 下は 緑の海。
風に揺られてホントに波が立っているように見える。

行き先は… うーんと…何も考えてないや… 進歩ないなぁ

でも、ここ数日の雨でずーっと「家」の中にいたからね。
青空の下にいるのは気分がいい。

私は「幽霊」だから雨に濡れるわけじゃないけど空が雲だらけだったり、暗い夜は回りがよく見えないからあまり好きじゃない。
夜の街の明かりはキレイだと思うけど。

これって「幽霊」らしくないかなぁ
 「幽霊」って暗いときだけ出てきて驚かせたり怖がらせたりするものだと思っていたけど
自分がそうなった私は人に見られるのも怖いし 夜は屋根のあるところにいたい。
ほかの人はどうなんだろ?
私だけが変なんだろうか。

 

Dscf6012 「おやっ?」

緑の海の中 空き地のようなところで 何かキラッと光って見えた。
下へ向かう風に乗り換えて 回りからしばらく様子を伺う。
何かたくさんおいてあるみたい…

「なんだろ?」

人がいる様子は無いので 降りてみよう。

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なんだかいろんなものが散らばっている。
コンクリートの床みたいなところがあるから家はあったようだ。
でも この散らばり方は、爆発でもあったみたいで嫌な雰囲気がした。

Dscf6015 「あっ! これだ…」 

空から輝いて見えたものを見つけた。
理科室にあった実験に使うガラスのフラスコだね。
教室に入ったことはあるけどまだ実験をする学年じゃなかったし、火薬みたいな臭いとかガラス瓶の標本が怖くて、目に入らないように大きな机の上をジッと見ていた。
何かで丸く焦げた跡や 誰かに宛てた刻み込まれた文字…
ジッと見てて先生の声が聞こえなかったこともあったよ。ずいぶん前のこと…

明るいところで見るフラスコはキレイだ。
他の名前も知らないビンたちも雨水が中に入るのは嫌いなのか机の下でひしめきあっている。

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「ここって、なにかの研究所だったのかなぁ?」 そんな気がした。

Dscf6018 不思議な絵を見つけた。
茶色の板に文字とか丸とか線がいくつも書いてあり、乗り物か家みたいなものが貼り付けてある。
道なのかな?それとも川?もしかするとどこかの地図かもしれないね。
「ゲイジュツ」とかは私わからないし…回りに転がってるものたちは、とても黙り込んでいて話相手になってくれそうもないから、いたたまれなくてそこを離れた。

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Dscf4206_2 道をしばらく歩く。
こんな山奥なのに街と一緒でカチカチの道。
山は、なぜだか何かにおびえてるみたいに静まり返ってた。

クマなんか出ないよね?
そう思ったら回りが気になる…
木立の奥に何かいるような気がしてきた。

いや…何かいるよ 何かが!
木の間から白っぽいものが少し見えた。coldsweats02

しばらく様子を見ていたけど動く様子はない。
怖い気持ちと反対に興味が先立ってそっと近づく…

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「あっ!なんだ。テレビだ!」coldsweats01

そこにあったのは、真っ白いテレビ。
こんなさびしいところにポツンと置いてある。
近くにはバラバラになった機械もあった。
どうしてこんなところにテレビが置いてあるんだろ?

「失礼だな!あんな下賎なものと一緒にしないでくれ?!」

Dscf2643 えっ? テレビじゃないの?coldsweats02

「ごめんなさい…あの テレビに似てるもんだから…」

テレビにしては、かなりツンとしてると思った。

「君には、小難しいだろうけど僕はコンピューターだ。見間違えは勘弁してくれよ。」

「何をするもの?」

Dscf2637 「『何を』だって? いまどき珍しい子だなぁ。何年生さ?」

うーっ なんだかバカにされてるみたいだ…gawk 

「14!」 ということにしといた…

「中学生ならパソコンは常識だろ? 化石級に古い頭の持ち主らしい」

蹴っ飛ばしてやろうかな…annoy でも正直、見たことあるけど触ったことなんかない。

「いや!知ってるよ!知ってます!パソンコくらい!」

「パソコン! パーソナルコンピューターだよ」

とほほ…自爆したweep

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「まぁ 落ち込むことは無い。そんな知能の低い君たちをサポートするために僕らがいるようなものだ。でも基本的な接し方は、勉強しておかないといけないよ。今の時代、僕らと組まないと生き残っていけないんだからね。」

Dscf5989 「でも 私、生きてないし…」gawk

「?…それは、どういう意味だい?」

「だって…幽霊だもん!」

「そんなプログラムは僕にはないよ。どこの国の出身だろうか?」

えっ変なこと言うなぁ…プログラムったって運動会の話なんかしてないのに…sad
えらそうな口ぶりだけど、壊れてるんじゃないんだろうか。このコンピューター…

(つづく)

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2008年10月 6日 (月)

やすみざか

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坂がキツくて長いので 休み休み登らないとならない
ゆえに ついた名が「休坂」

それが真意かどうかは不明だが ここに暮らす人々にこの名で呼ばれ、通り名になった…

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Dscf3296 釧路の坂には面白い名前がある。ほかにも「学問坂」とか「きんぎょ坂」など文学的でしゃれたネーミングの坂があちこちにある。
歌・詩人の石川啄木が北海道放浪期にこの地で新聞社に勤めていたことなどから文学的背景があるからそんな印象を感じるのだろうか。

この「休坂」
釧路幣舞橋の向こう側にあるロータリーから海側へ走る南大通りの脇にある。
歩行者専用道と言っても現在は舗装されているので、さほどキツさは感じないが、往年の砂利道のころ、それも行商のリヤカーなど引いていれば確かにキツそうだ。

Dscf3297 郊外に出ないと地形に起伏が出ない平野地に暮らしているから、こんな町自体が起伏に富んでいて街路がウネウネしているところが面白い。
こんなところは日本中、どこにもあるのだろうけど、広くて見通しが良くても平坦で碁盤の目のような区画の街に生きてきたから近場のこんな街にロマンを感じてしまう。

ドライブがてら何度も訪れたことはあるけれど、自分の足で釧路の路を歩いたことがあまり無かった。
一度、ゆっくり街を散策してみようと一泊の旅に出た。
「旅」の雰囲気が欲しいので宿もいかにも「旅人用」なところを選択してみよう。
書店で何度か手に取ったことのある雑誌『とほ』。

「とほネットワーク旅人宿の会」監修による全国72件。“ひとりからでも泊まれる「旅人宿」ガイド”。

登録宿の特徴は
①リラックスできる個性的な宿
②宿主が24時間常駐する安心清潔な宿
③ドミトリースタイル(男女別相部屋)なので低料金
④旅が好きで、コミュニケーション好きな個性的な宿主

パラパラとめくると主に旅のライダーが利用するみたいだ。荷物を満載したオートバイの写真が載っている。
確かに個性的な宿が多くて、経験したことのない世界が見えそうだ。

今回は釧路ということで、先の坂の名を持つ『休坂』にお世話になることにしました。
この宿、『酔いどれ宿』の肩書き。「酔いどれ?」
まぁ とにかくメールで予約を入れてみます。
翌日返信があり、宿の手配はOK。

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当日、旅路あちこちを見たり、海でビーチグラスを探したりなんかしながら、ゆっくり向う。
目的があっても近場の旅路を急ぐのは、もったいない気がするから…。

でも百十数キロを7時間かけるのは、どうかと思うよ。

脇道入れるともう少しは走っているか…

Dscf3319 「酔いどれ宿 休坂」は休坂の途中にあり、古い下宿屋さんを改造して営まれている。
『カレーや黒魔術』というカレー屋さんを併設して、隠れた穴場らしい。
そのカレーも目当てにしていたのですが…

元下宿屋の建物という話の通り、古いけど懐かしい感じがする。
階段やら廊下に所狭しと並んだ本や飾りの漁具の類。
床板が 「キィ!」 と鳴いたりしてちょっといい感じの雰囲気。
一流ホテルは、自分には不相応だし、ビジネスホテルも無機質だと思う。
学生時代に過ごした下宿もこんな感じだったから、なんだか落ち着く。
部屋は四畳半ほどに造りの二段別途がふたつ。
お風呂は近場に銭湯があるらしい。
まだ、今日の宿泊客は到着してないみたいだ。

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Dscf3376 『今夜、宿泊の皆さんと共同でシャブシャブにしようって話になっているんですよ。よかったら参加しませんか?』

うーん それも悪くないかなぁ…

「そうですね。参加します。ぜひ!」happy01

まだ陽は高かったので釧路の街を歩くことにする。
この街も帯広と同じで大規模量販店が郊外に移り、中心街の活気が沈みがちに感じた。
車の中からは気が付かなかったけど「空テナント」や「売物件」などの貼り紙が多い。

Dscf3304

「住んでみたい都市意識調査」なるものがあって、№1が「札幌」だそうです。
狸小路もひところより休みの日の人出は減ったようです。
郊外型は、どこでも同じということでしょうか…。

Dscf3282 夜、銭湯へ行ってから「シャブシャブタイム」でその日の宿泊者と席を共にしました。
ほとんどが道外からのライダー。
今朝、東京を出てフェリーで苫小牧着、そのまま釧路まで…。
なんだかすごい強行日程だなぁ…

連泊組もいて のんびり近場を巡ったり、漫画読んでいたりするそうです。
ちょーっと『廃墟』の話なんかもしておよそ興味なさそうな話でも食いついてきてくれるんですよね。
一度知り合ったらもう親友みたいで、しばらく忘れていた感じ。

Dscf3312 思ったのは やっぱり北海道の魅力に詳しいのは彼らだってことだなぁ…
自分が知らないことをずいぶん知ってる。
「旅人」だからありのままの北海道を見ることができるんだろうね。住んで当たり前になった景色にも感動できるって言うか…

こんな宿のマスターだからイカツイ風貌からは想像もつかないほど心が柔軟です。
懐の深さを感じるって言うか…

北海道観光もどんどんメジャーになってきて、諸外国からのツアーもたくさん来て、豪華な日本・北海道のもてなしをしてるけど、しょせん一時の贅沢旅行で終わって、その先のリピーターができないとどうなるのかなぁ…
実情は現場の人じゃないので想像できないですが。

Dscf3316

地球儀をクルクル回してやっと見つかるような小さな島国

その突端の北の大地

そこの点にもならないようなところに自分が住んでいる

そして 回りの多くが行ったことのない街で

通ったことのない路

だから とりあえず今のところは

自分には余りある小さな器を見ていよう

…と思う。

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Dscf3292「休坂」の時間は明け方近くまで続いた。

翌朝の予定が3時間ほど遅れたけれど
チェックアウトのルーズな宿の朝 

早出のライダーと挨拶を交わして出発。

心の疲れが一番重たい。

体の疲れは一時のものだよ。 

心の重荷が軽くなれば まだがんばれそうだし

Dscf3290 そのほうが 充実すると思う。

その疲れを

ふるい落とすのも 掻き落とすのも 燻り落とすのも

その人の自由… いちおーね。

旅は面白い。 それは今からでも遅くないし

遠くでなくてもいい

心を晒して 干せるところならば

だから 「休坂」の真意は「体を止めて心を休める坂」なのだと思うよ。

『体』という字が一本荷を降ろせば『休』となるように…

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2008年10月 3日 (金)

眠れるリストランテ

この場を借りてお知らせ:
約2年間何とか頑張って、ご愛顧いただいてきました「ルイン・ドロップ」ですが、このたびマイノーパが著しく不調に陥り、なんでかと調べると『Cドライブ』の空き容量が1%以下という前代未聞のメタボリックに犯されていました。gawk

数か月間、使わないプログラムを捨て続けてごまかしを続けるも、これではデフラグもできないため、大手術を敢行してみました。
でもしかし、使っていてもPCの知識の疎さで難航。3日間投げ気味…。sweat01
機嫌を損ねるノーパをウクレレでなだめつつ、なんとか完了。
やれやれ…難しいものですね。基本めんどくさがりーな自分が悪いのか…coldsweats01

まぁ そんな毎日です…

Art_top

街を外れて北へ向かい走る。 もちろん車で…
やはり乗り物は便利ですね。 夕べ「とほ宿」で知り合った人も言ってた。

「乗り物は人間の偉大な発明だと思うよ」

Dscf3827 それは言えてる。 それだけが偉大だとは言い切れないけど…
こんなボロボロの車でも おおよそ自力では無理なところへも行ける。
とくに この広い北海道、車でも無いと通勤も困る時勢です。

ある意味「車がないと不便」というのは間違いかもしれない。
開拓期の蝦夷地の交通手段は、自分で歩くか馬を使うかしかない。
後に鉄路網も広がっていったそうだけれど、線路路盤は自動車道より施工・維持が楽だったのだと何かで読んだことがある。
それほどに人馬の道はひどかったらしい。
戦後のモータリゼーションの普及は、車道整備にも拍車をかけてどんどん広がる。
それが結果として鉄路の存続に影響して線路は少しづつ消えていった。

Dscf3825

Dscf3832 自家用車の保有率も上がっていき、一家に2台3台もざらというようになって、廃止した鉄路線の代替として走っていた路線バスにも影響をきたして、バス路線すら廃止の風潮もある昨今です。
いまや車、そして運転免許証がなければ北海道の暮らしは成り立たないというのが正直なところかもしれません。

どこまでも続く舗装された快適な道。
でもそれは、地域財政の困窮する現在、維持管理が負担になっているようだ。
Dscf3836 郊外を走ると誰も歩かない歩道のヒビの間からニョキニョキと雑草が茂るのを見ることすら珍しくなくない。
地方交付税に頼りきった暮らしは、その仕送りが減らされていくごとに影を落としていく。
かつて町のキャッチフレーズみたいな感じで「道の舗装率 日本一の町」なんてのも聞いたことがあったけど、今は失笑ものでしかないらしいのか聞かれなくなりました。

「ガソリン高い!」と言っても乗らないわけにいかない。今さらね…
車はドンドンかっ飛んでいく。
1台分でも前に出ないとならないというかのように…

Dscf3856

Sky 心の通わない密室がすれ違う
プライバシーが前に割り込んでくる
個人の自由が不必要に後ろに寄ってくる

道端に夢がそよいでいても
空に希望が浮かんでいても
死角にときめきが潜んでいても

それにまったく気がつかないみたいに
道をなぞって行く。
まぁいいや 彼らとは行き先も辿る先も違うのだから…

Dscf3834

Dscf3837 左右に続いていた田園風景はやがて雑多になって、すでに人里を離れたようだ。
もう国立公園に入っているんだろう。
このあたりは北海道東部にある国立公園で、1934年12 月4日に大雪山国立公園、日光国立公園、中部山岳国立公園、阿蘇国立公園(現・阿蘇くじゅう国立公園)とともに指定された、北海道で最も歴史のある国立公園だそうです。
とは言え、後の指定であることで、それ以前からあったような民家は廃屋となっても木立の奥にその姿を残しています。
徐々に緑は深くなり、樹海の様相をかもし出してきたころ…

「あっ?あぁっ?」

Dscf3857 通り過ぎた道で視界に何かよぎった…
対向車や後続車を気にしながら木立に塗りつぶされそうな道をUターン。
変わった形の大きな建物。
急がない道中でも うっかり見落とすほど雑木でカモフラージュした姿がそこに。

「店? レストラン…?」

看板の痕跡があるのでドライブインだったようです。
国立公園内にいいのかなぁ…と思ったけど、もともと私有地なのか、何らかの条件を満たせば営業できる取り決めでもあるかな?というとこでしょう。詳しいことわからないけど…。

Dscf3839

Dscf3841 見渡す限り緑に囲まれた中で鮮やかなブルーとレッドが目を引く。
形も宇宙ステーションのようで珍しい。
時代は未来志向のPOPなデザインが良しとなってた頃みたいです。

小さい頃、読んでた本では21世紀の生活の場は、もはや宇宙であり
宇宙時代の夢あふれる可能性がきらびやかな夢絵巻で語られていました。
いざ、21世紀になってみたけど…うーん どうなのかなぁ…
偉い人とかお金のある人しか行ってないようですね。
海水から無尽蔵に作られるクリーンな水素エネルギー とか
スペースコロニーの小学校の無重力運動会 なんて
いつになることやら…
とりあえず、自動車社会が延々続いているようです。

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自家用車が普及して 道が整備されると呼応するように「ドライブイン」が増えていきました。
国道や道道だけではなく、流通などを担って交通量の多いところは、どこにでもっていうくらいに。峠道の入口前後には、それらが集落のように点在する風景もよく見られましたが、いつしかそんな商売にも陰りが出てきたようです。

道も川のように何かの拍子に流れが変わっていくようです。
流れが大きくなれば 勢いは増していき、淀みを作ることもない。
流れ自体が変わってしまったり
流れることすら少なくなったり…

高速道路 観光地の衰退 価値観・嗜好の変化 原油価格高騰
いろいろあるね いろいろ…

Dscf3842 ここもそんな風に流れを相手にしていたんだろうけど
流れは ひたすら前に進むことしか見えなくなったようです。
緑の大海原に居を構えて、「道の駅」以前の道のオアシスとして、旅人あるいは仕事の移動中の人たちに憩いと安らぎと暖かい食事でもてなしていたことでしょう。
土地の時間は画一化されすぎたのかもしれないよ。
急ぐことは何かを犠牲にしている。

歩くこと 自転車 オートバイ 車 電車 飛行機
何かを見落として 何かを見失っていく

北海道観光のことが、こう呼ばれていたそうです。

自然一流

食事二流

サービス三流

Dscf3860 確かに一流と比べればそうなのかもしれない。
でも「観光」と「旅」は違うと思う。
そうでなければ、「ユースホステル」や「とほ宿」が成り立つわけがない。
売りが無いから「アットホーム」な雰囲気を売りにしてるみたいな言われ方もしているけど、この一流の自然を道外に知らしめたのは、「旅人」たちだ。
彼らは損得ではなくて、思うままを人に伝えたに過ぎない。

この大地にせわしない旅は似つかわしくない。
人は立ち止まり 行き詰ることで何かを発見してきたんだから。
生き急ぐ必要なんて無いよ。
自分のペースがいい…

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眠れるリストランテ
誰かの思い出の中で
プレートのミートパスタがパチパチと音を立ててる…。

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