« コッペリアの柩 ② | トップページ | 廃墟画廊 »

2008年9月19日 (金)

コッペリアの柩 ③

Dic1

「表に行こ!なんか、にらまれてるから」

私もつい大きな声を出したものだからカウンターの係の人が気になるみたいで、こっちをチョロっと見ていた。
昼過ぎとはいえ、太陽はまだ高い。底を平らにした夏の雲がゆっくり流れていく。

Balet_2 「…で、どうして辞めちゃったんですか?バレエ…」

「え…その話?…聞きたい?」

ナチさんの表情がちょっとこわばった…マズイこと聞いたかなsweat01

Dscf2382「いえっ無理には…」

「別にいいよ。近所に住んでた男の子に『気持悪い』って言われてね頭の中が真っ白になっちゃったんだ。…で、その日のうちに『辞める!』って…『習いたい!』って言ったのも自分だったけど」

「そうだったんですか…すいません」

「いいのいいの!男の子には理解できないんだろうからさ。いつもいっしょに遊んでた子なんだけど、頭はともかくスポーツ万能でさ、特に泳ぎなんか信じらんないくらい凄かったよ。私、劣等感感じてたんだよね。そんでバレエ始めたんかなぁ…あの頃、ただ憧れてて考えなかったけど、認めて欲しかったのかなぁ…自分もできることがあるって」

「残念ですね…」 どうもうまく言葉が出ない…sweat02

Dscf5916

「それがさ!結果的には見せたんだよ。うちの近くで良く探検した廃校でね。衣装も無しの1対1で。」

Dscf4968 「そうなんですか?!」

「うん!感動してくれたよ。でもねー引っ越しちゃったんだ。その後すぐに遠いとこへ…」

「…」

「それで終わり!バレエも探険も」

そう言いつつナチさんは、何かを思い出してるみたいだった…言葉を出せない静かな時間

「あっそうだ!バスの時間だ!ごめん!もう行かなきゃ!ごめんね、つき合わせて…」

「いえっ!私こそ色々教えてもらって…」

「じゃねーっ学校で会おうねーっ!私、A組だからーっ」

Nagisa_nail2 大きいスポーツバッグを肩に背負ってナチさんは駆けていった。時折振り返って手を振りながら…
振り返す私の手をふと見ると爪が緑色に変わってきていた。

もう時間だ…

このところ居候していた家の畜舎の屋根裏でずーっと今日のことを考えてた。

「友達か…でも学校にはいけないよなぁ」

結局ズーッと嘘を付きとおしてしまった。
本当のことなんて何ひとつ言えなかったけど…言っても信じてもらえないだろうけどさ…

Dre とりあえず、明日の朝が来たらこの町は離れることにした。
読みかけだった「ダレン・シャン」は残念だけど、またいつかよそで読むことにしよう。

誰にもホントの気持を出せないまま本を読みふけっている私は確かに『コッペリア』と同じなのかもしれないね。
でもバレエのように華やかにはなれないんだろうね。私は…

…うーん、ダメだ! こんな考え方!

できることならホントの友達になりたいね。ナチさん…

西日がドアの隙間から差し込んで薄暗かったここが一瞬舞台のように輝きだした。…バレエは良くわからないけど光の中で踊ってみる。こんな感じかなぁ…。でもモヤモヤした気持ちがなんだか薄れていくようだった…

Nagisa_ballet2

Pfa023 「ねぇーっフジタぁーっ」

「あのなぁ新井!俺は担任であって友達じゃないんだぞ?そういう呼び方はやめてくれ!」

「えーっ?なにカッコつけてるのさぁ!フジタはフジタじゃないさ!」

「…それでなんだ?」

「そうそう!うちらの学年に転校生来るっしょ?いつから来るんだろ」

「いや、そういう話は聞いてないぞ」

「いるよぉ!昨日会ったもぉ図書館で!もう制服だって着てたしぃ!」

「いないって!お前、数学の時居眠りしてたろ?俺の授業中に夢見ないでくれよ…もう部活の時間だろ?ほどほどにがんばれよ」

「えーっどうなってんのさ?ナギサぁ…確かに会ったよねぇ…?」

Kumo

その頃 ナギサは、風の上
雲の間を飛びながら後ろ髪引かれる想いを押さえ込んでいた…

このふたりが再び出会う日のお話は
また次の機会に

Youtube/ALI PROJECT「コッペリアの柩」

|

« コッペリアの柩 ② | トップページ | 廃墟画廊 »

コメント

お久しぶりです。
最初から伏線として考えられていたぐらいに
『水中メガネ』とリンクされてますねー!
(というか伏線だったのかな)
6月くらいに夢中になって一気に読みふけったのを憶えていますよ♪

ナギサ、本州にも来てくれないかなぁ(笑)

投稿: おおもり | 2008年9月20日 (土) 14時44分

catおおもり様 お元気ですか。
ご察しのとおりです。ヽ(´▽`)/
こんな風に話を繋げていくのが、だぁぁぁい好きだったりします。『水中メガネ』上では『ナギサ構想』はなかったので複線は作っていませんが、別なのでは微妙に複線は用意してあります。
全てとは言わないまでもそれぞれのキャラがシンクロしたりーとかいうことも考えていますが、途中から読む人が『訳わかんねー』にならないように単独で読んでも分かる様にしたいです。

『ナギサ、本州にも来てくれないかなぁ』

そうですよね。今のところナギサは北海道太平洋側をウロウロしています。sweat01
鋭い質問だなぁ…coldsweats01

投稿: ねこん | 2008年9月20日 (土) 15時28分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« コッペリアの柩 ② | トップページ | 廃墟画廊 »