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2008年8月 3日 (日)

蟹の並ぶ廃屋

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その家は、なぜか一目置いていた。
特に理由も無いけれど雰囲気というか異質な空気というか、そういったものを感じる…
景色の色数が制限される冬場ならともかく、緑の過剰投資が盛んな夏場だとそこに大きな家があるとは思えないほど緑に埋め尽くされている。
遠巻きに見るその光景は、さながら緑の炎のようです。

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トタン葺きの屋根なので旧家というには少し違う趣ですが、家そのものの作りは縁側や雨戸を持つ内地の様相を模したスタイル。
畑の中にポツンと佇み、家人が植えたシャクナゲやツツジも季節には花を広げ、家の栄華の時代を回顧させるようです。

屋敷の外れには湧水槽があり、そこからあふれた水が水場を作り出しそこからミズバショウが大きな花を遠慮なく広げ、オタマジャクシにとってさながら天国。

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現在この家の敷地は土木会社の廃材置場に使われている様子ですが、時折訪れて何かを積み上げていき、反面こことは無関係な人が家を眺めていったりと、不思議と人の出入りが多いところです。
「古民家再生」というのが一時期ブームだったこともあり、その影響で物件に興味があったのでしょう。
不節操に伸びていく防風林が午後ともなると大きな影を屋敷に下ろし、家は不気味な様相をかもし出している。

Dscf6505_2 始めてこの家を見てから10年ほど経つでしょうか…その間、不思議な出来事も。
家の入口上部にある裸電球の外灯が空家なのに付いたまま数日たっていた事がありました。
しばらく無視していましたが、管理しているところが消し忘れているのであろうと思い、出入りするトラックに社名があったのを思い出し、教えておこうと電話してみました。

ところが、相手は…

「そんなことはありません」

「いや、現実に今も点いたままなんですよ」

「いえ、ともかくありがとうございます」

「…?」

Dscf6503なんとも後味悪いじゃないですか?
こうなると悪い癖で、この家を調べてみることにしました。

その結果は後として、台風並みの防風が過ぎ去ったある日、うっそうとした木立の隙間がいつもと違う感じに…
「雨戸が落ちている…」
これは事実確認のチャンスかな─
白樺の木立がはびこる間を縫って軒先へ到達。雨上がりのため薮蚊も多い。縁側の床の崩壊で連なった雨戸が落ちていました。

Dscf6469 入ってみたところ、思ったとおり建具などの廃材が山と詰め込んであり、営みがあった家とは到底思えない様子。
若干、暮らしの跡も見え隠れしますが封印が長かったのか埃が厚く積もっています。
煤で黒ずんだ梁や天井。1階は3部屋程度ですが間取りは大きい。同じ建坪なら今でも豪華な造りでしょう。でもいつごろまで人は住んでいたのかな?

Dscf6473 階段を見つけて上がってみる。撮る写真ほとんどにオーブと見まごう程の埃が写りこみます。マスクでもしておけばよかったなぁ…
Dscf6500当の2階も外灯の成れの果てが屍を晒すかのように横たわる。
階段を上がったところは広いスペースをとってあり、回りを部屋が囲むというような状況。かざりっけのない裸ベニアが壁を渋い色で覆っていた。

手前の部屋は、寝室だろうか。窓は高く外の様子は伺いにくい。家の面した道が木立の隙間からかすかに見えた。壁は何度か張り替えたようで同じ材質でも色合いが異なり、つぎはぎの感じもある。

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Dscf6479隣の小部屋。ここは化粧ベニヤが数箇所使ってあった。
古い飲料水のステッカーやステレオの広告が貼ってある。憧れのオーディオといったところかな?新聞は昭和45年。1970年代です。
その並びの部屋を覗いてみると─

「おぉっ!」 昭和のアイドルがお出迎え。

Dscf6491 西城秀樹・山口百恵・三浦友和・桜田淳子
桜田淳子にいたっては、陽にあたらなかったのか往年の美貌を称えたままですね。何となく合成っぽい写真でしたけど。
こういうものを見ると当時の西城秀樹氏は、シャツや上着に恵まれなかったことが偲ばれます。郷ひろみや野口五郎が見られないことから主に秀樹ファンと思われます。

Dscf6492 なにやらいわくありげな家ですが、調べたところでは、およそ30年ほど前に離農。市街地で暮らしているようで因縁めいたものはありませんでした。
じゃあ、あの外灯は?とも思いましたが、引き込みを無断失敬していたのかもしれません。

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1階へ降りて玄関周りを確認。
玄関も間口が大きい。本家筋だったのかな…

「おや?」

足元に奇妙な鉄板。一斗缶の蓋のようですが、裏面に蟹缶のラベルが連続。これは面白いね。缶詰用のものを再利用したんだ。
古いブリキの車の中に見えるボディの裏側が鯖缶らしかったものを見たことがありましたが、リサイクルは昔からあったのですね。

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今は単に捨てるものが多くなっただけ─という気もします。

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コメント

なるほど、カニ缶の写真はずっと前に見せてもらってましたが、
一目置いてた廃屋だからなんですね。
じゅんこさんの動画はNETで探せば見れますが、抜群のスタイルの良さは昔を感じさせません。あっちの写真を見た感じでは確かに合成っぽいな、これ。

投稿: カナブン | 2008年8月 3日 (日) 23時37分

どこが?というのははっきりしないんですが、不自然に感じるグラビアです。
秀樹の体は本物だと思いますよ。

投稿: ねこん | 2008年8月 4日 (月) 06時24分

うーーん。
カニ缶、どっかで見たんだよなぁ…

投稿: haru | 2008年8月 4日 (月) 18時31分

Mixiの日記に載せたことありますよ。
かなり前だけど

投稿: ねこん | 2008年8月 4日 (月) 19時27分

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