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2008年7月29日 (火)

ONE(ラブホ牧場の朝)

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青空の下に広がる果てしない田園風景 風に波打つ青々とした草原
思い思いに空と大地のめぐみを食む家畜たちの群れ
鮮やかな色の畜舎

ビビッドな色ながら寛大に癒しをもたらす北海道の夏景色。
健康を景色に例えるとこんな景色もふさわしいと言うと言い過ぎだろうか。
道外の人に言わせると「こういうところに住むと人間ものんびりするんじゃないですか?」というところらしい。
それくらい北海道は広いらしい。道外では同じ景色がずっと続くような場所は少ないらしいから…。

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Dscf0188 でも、道民は意外とあくせくしている。行先が遠すぎるからアクセルを踏んでる。モータリゼーション化で一般家庭の自動車保有率が上がる。
その影響で公共の鉄路や陸路が減っていく。
線路は錆びて、バス停は朽ちかけて緑に埋もれていく。
なおさら車を持たねばならない。ガソリンを入れるために長い距離を走らねばらないという矛盾。都市基盤の分散や集中。内勤業務でも車がないと通えない。
だから「愛」にもガソリンが必要。
ガソリンで愛を語り ガソリンで愛を深め ガソリンで愛を確かめ合う
今言うと贅沢に聞えるね。
人目を忍んで走れ!二人だけの世界に 水入らずの砦は万全のセキュリティと幸福のひと時を約束する。決められた時間の中で…

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この牧場は、生産も飼育も出荷もしない。
利用者が「愛」を育てるための牧場というのが適当です。
今のように大手や系列チェーン展開のラブホではなく、個人経営によるもので大掛かりなギミックは無いようです。

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一帯は国道からさほど離れておらず、同一ホテルが点在する地域。一昔前までは…
ここ同様、廃業や商売替えで姿を消していったようです。
この手は街外れや郊外にあるのが普通の感がありましたが、今は国道隣接や街中や住宅街にも普通に存在しています。

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Dscf0346_2 幾千の夜 数多の朝
長すぎる昼 ひたすら短い夜
止まらない時間

いろんな秘密と思い出を詰めた牧場。
やがて時が来て牧場長も去りました。

語られない思い出
記録されない夢
色あせた愛
忘れかけた言葉

たしかにあった時間
たしかに横にいた人
たしかに覚えてること

それは 「もうひとつ」のことじゃなくて
「ひとつ」だったってこと…

自然の光には縁がなかったここに最高の光が差し込む
光がこんなにきれいに見えるのは この闇があったから
愛おしく感じることは それが もう戻らないから
こんな光景に宗教感を感じるのは
信仰も建物も時が深まると廃れていくモノだからなのか─
美しいものを愛でる心と卑しいとされる心はあまりにも近すぎるから誤解されやすく混同しやすい。

慣れるということは純粋じゃなくなること…純粋を恥じるかい?夢を笑うのかい?

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廃墟ミューズは静かに眠る
「いばら姫」のごとく 緑に埋め尽くされたこの牧場にひとり

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  zutto kokoni iruyo.

※アルバム完成 右欄外からどーぞ 

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コメント

アルバム拝見しました。
私が見逃した箇所が沢山あり興味深く拝見しました。

ポスターのオネーサンの顔があんなにカビだらけになってるとはショックです。

投稿: カナブン | 2008年7月30日 (水) 23時18分

離れに比べるとずっとマシですよ。

投稿: ねこん | 2008年7月30日 (水) 23時26分

ラブホ跡で
茂原女子高生殺人事件を想い出しました。

この事件も、綾瀬女子高生コンクリート詰め殺人事件と比較されるくらい、陰惨でやりきれない事件です。

「コリン星」と揶揄されるくらい、のどかな街なんですがね。

投稿: 桑原 | 2009年2月15日 (日) 18時03分

桑原様 はじめまして

その痛ましい事件のことはニュースなどで伺いました。
ご家族の気持ちを考えると、うかつなコメントもできませんが、一言。
卑しきところ、忌まわしき場所、訝しい家…
解りうる事実と知りえない真実。

国の発展を担った町
町の活性化を託された施設
一個人の夢が形になりつつあった家
それらが、衰退してあられもない噂にがんじがらめになり、
忌まわしき烙印を押されたところはたくさんあるものです。

でも、そこにはかつて『夢』も『笑い』も『愛』も当たり前のようにあったのです。
人の見えない足跡は、そう簡単に消えるものなのでしょうか…
そうではないと思います。

ただ、そういったものをいとも簡単に漆黒で塗りつぶしてしまうのは、やはり人の噂であるのかもしれません。

夢が悲しみに
愛が憎しみに
期待が不安に
歌が恨みに

それは人の心の中のことで
そこは、卑しきことや忌まわしきことが混沌としているわけでは、ないでしょう。

ラブホテルという締め切られた場所は
卑しき場所に過ぎないのかもしれません。
そこでの実なる行為は、なんら口出しできることではありません。
すべてのことが純とも言い切れないですね。
また、すべてが無粋とも言い切れません。
差し引きで無視されるような、ほんの一握りの小さな純があったとしたら、それだけでもそこが存在した意義はあったのではないでしょうか。

いくら世の中が理路整然としたデジタルや諸々の文化に彩られていっても、人が求めて止まない極めてアナログで不条理な心は、解明し尽くされることはないでしょう。

たった1人の人間にまつわるすべてを収めつくすメディアなど作ることはできないと思います。
大まかな記録はできてもです。

どんな物語においても正当性を出すために相反するものが登場します。善ありき善ではないのです。
それを証明するために夢物語は、忌まわしきものを場に晒す。

時代はいつの間にか整合性を失い、アンチにも市民権があるかのように錯覚させるようになりました。
闇にあるものが白日の下に出され、それらも光に順応していく。

世の成り行きで卑しき場所が卑しき形で晒されるのなら
せめて私はそこからパンドラボックスの残りかすを見出していたいと思います。

桑原様の不快な記憶を呼び起こすことになった部分は申し訳なく存じます。

   ねこん

投稿: ねこん | 2009年2月15日 (日) 23時19分

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