« Some small hope ① | トップページ | ススキノ廃屋 »

2008年6月14日 (土)

Some small hope ②

Dscf9292

Dscf9285 「ここは俺の公園だ!さっさと出てけ!!」

大人の姿になれてちょっと気分が浮かれてたら、この人に急に怒鳴られた。
あっけにとられてポカンとしてた。
『立入禁止』のところに入ったのは私が悪いとしても…俺の公園ってどういうこと? 我が物顔で言いたい放題の態度に少しムッとしてくる。おまけに『ババア』まで言われてさ…pout

Dscf9363 「俺のって…公園はみんなのものなんじゃないですか?」

「なんだ?生意気だぞクソガキ!さっさと帰れ!」

えぇっ?今度は『ガキ』? 人のことなんだと思ってるのさ!
そいつは、始めから話なんかするつもりはないって感じで家(東屋)へ上がっていった。

「ちょっと!なんでなんですか?いきなり『出てけ!』って言われても…」

考えてみると私は人のことに首を突っ込みすぎたのかもしれない。
背格好が大人になったから気も大きくなっていた

「生意気だって言ってんだろ!」

Shot2

Leaf そう言ったとたん、手が私の方に飛んで来るのが見えた…
その途端、ものすごい衝撃を胸に感じて後ろに飛ばされた。
後ろにあった木にぶつかって根元に崩れ落ちる。
まだ、青々とした葉がハラハラと落ちる。さっきまで聞えた小鳥のさえずりもピタッと止また。
森の中は風と違うざわめきが起こり始める。

Nagisa_fall 飛ばされた時、木にぶつかった体は痛くはないけれど、心にすごい痛みが走る。こんなこと初めてだ… 

Leaf_fall_down 「え…あ…?」 何か言おうとするけど驚きでうまく話せない…

「ここは俺の森だ!生きてるヤツだろうが幽霊でもここを犯すのはゆるさん!俺を無視した奴も親も先公もここに入ってくる奴は絶対に許さんからな!なんならブッ殺してやる!!」

なんなの?この人…すごく恨みに満ちてて、みるみる心が黒くなっていくのが分かった。

Dscf9361

Dscf9271 「…どうして…?」

「俺は何年も学校で、見に覚えのないことで人間以下の扱いをされてたんだよ。毎日のように殴られたり、金せびられて…親も学校も目の前で起こらないことは信じちゃくれねぇし…みんな無視して助けてくれなかったから…俺の『死』であいつらを戒めてやろうとしたんだよ!ところがあいつらは、無罪放免さ」

あいつら? 殴られる? 金? 無視? 戒め? どういうことなの…
でも、この人がいじめられていたんだってことは、何となく分かった。
俺の『死』で戒めるって…まさか?

Dscf9316 「自殺…?」

「そうさ!ここで首吊った。ここは、俺って亡霊の出る心霊スポットだよ。 死んでんのにまだ、からかいに来るんだよ!バカ共が『肝試し』とか言ってさ!」

「その人たちに何かしたの?」

「やったさ!脅かしたり、失礼な奴は道を壊して怪我もさせてやった!だからここは立入禁止になったけどな」

「それ…違うよ。間違ってるよ…それじゃ何も変わらない!あなたがいじめられたように、この森があなたにいじめられてるんだよ!」

Evil_black

「なに?! 生意気だぞ!ぶっ殺してやる!!」
その人は、みるみる黒ずみだして悪魔のような顔になった
その恐ろしい視線だけでもチクチク刺さってくる

殺す? 誰を殺す? 私を この幽霊の私を殺せるの?
まさか、と思ったけど…

「やめて!」

憎悪に満ちたものが私に向ってきたとき、思わず叫んだ
同時に私の頭の中で何かが「ギンッ!」と音を立てて…

Evil_gost

「あ─…」

その黒い恐ろしい影は、一瞬でどこかへ消え失せた

私は、何かした?   私が、何かした!   私は、何をした?

Dscf9355

森は、ほんの今まで起こっていた恐ろしい出来事を何も知らぬかの様に静まり返っている。どれだけの時間が経ったのか小鳥のさえずりも戻ってきて、何かが終わったことを感じた。

Dscf9358_2  怖かったよ
ホントに殺されるかと思ったよ

危機は逃れたのだろうけどまだ、怖い
私が今、何をしたのかということが…

森は、何があったのか教えてくれない
私は、聞こうともしない

座り込んだまましばらく泣いてた

Dscf8497

暗くなって、町外れの空家に泊まった

「お客さん どうしたんだい?」

「…」 

お家さんが声をかけてくれたけれど、私は部屋の隅で、座ったまま黙って闇を見つめている。
さっきのやつが闇の中から飛び出してきそうな気もしてたから…

Dscf8307「外のことでも話してくれないかい?」

「…うるさい!」

「おやおや、何だか荒れてるねェ…」

「あ…ごめんなさい…」

私もおんなじだ あの人と同じ…
明日は、元の私に戻ろう
朝が来たらきっと…

たったひとつの小さな希望を持って…

You tube: Some small Hope/Virginia Astley

※この公園の木道は実際に老朽化で通行に危険とのことから、数箇所の通行が禁止されています。
ここは、地域の開拓時代を彷彿とさせる原生林と湿地の残る緑地公園です。
不法投棄、樹木の成長による近隣住居の日照不足などの問題はありますが、市内数箇所に残る緑地帯の中でも秀逸の場所です。
 木道が再整備されていないのは、財政難が起因しているのかもしれませんが、実証は分かりません。

※このお話の内容は創作であり、この緑地公園で同様の事件・事故等の過去はありません。

|

« Some small hope ① | トップページ | ススキノ廃屋 »

コメント

なるほど。
本当はわかっているのに、無意識では見えない世界、
聞こえない世界を上手く、ルイドロームに表現していますね。

投稿: カナブン | 2008年6月15日 (日) 22時04分

どーも自分が一番キャラをいじめてるよーな気もします。
いかんなー先は長いのに…

投稿: ねこん | 2008年6月16日 (月) 09時49分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/210516/21590268

この記事へのトラックバック一覧です: Some small hope ②:

« Some small hope ① | トップページ | ススキノ廃屋 »