GIRLS GO MANIAC
「えぇ~?! なんで、あんたがいるんですかぁ?!」
以前、とある廃屋を撮りにいったときにバッティングしたヤツと、またもや出会ってしまった…
「いきなり『なんで』は、ずいぶんなごあいさつですね…久しぶりの再会なのに…」
「再会って…ち…ちょっとおかしいじゃないですか? こんな遠い所のマイナー物件で鉢合わせなんて絶対変ですよ…あ~っ分かった!あなた私のブログ見てますね?」
「えっ?ブログ開設してたんですか?」
くっそー!こいつ絶対見てるよ。しらばっくれやがって!…何でも載せるもんじゃないなぁ…全く!…ってことは、こいつのコメントに真面目にコメントしてたかもしれないな…え~誰だろ?気持ち悪りィ~!もしかしたらエロいカキコばっかりしてくる『赤座』とかいうやつか?
「あのぉ~あなたどこの誰なんですか?」
「だから、前も言ったじゃないですか。わたしは『廃墟』を司る神ですよ」
ンなわけネーだろ!このタコぉ!こいつが廃墟神ならアタシゃ廃墟ミューズだよ!…いや待てよ、それじゃ同類じゃん!
「いや…神って言われても…」
「とにかく、別に悪意はないですし、ジャマもしませんからフレンドリーにいきましょうよ。同じ『廃墟』を愛するもの同志なんですよ」
「えぇえっ?! …はい…」
うーっこんな僻地まで来たのに何も撮らないで帰れないし、ヘタに怒らせたらヤバイな…完全にストーカーだよ。いや!サイコかもしんないな…全く今日の占い最低じゃん!何が『ハプニングと素敵な出会い』だよ…しかもラッキーカラーは水色って…こいつも着てるじゃないのさ!…なんか具合悪くなってきた…
やっぱり、ひとり探査はヤバイんかな…とにかくこの場は、うまくしのがないと…
えっ?何だろ。神様とか言ってたよ。普通の人みたいだけど…
私はナギサ 旅する幽霊。
夜空は暗いし、風が落ち着つくことが多いので、辺りが暗くなると人がこなさそうな、こんなお家で休ませてもらう。
誰もこないと思ってたのに、夜が開けきらないうちにあの神様だという人が来て、あちこち写真をたくさん撮っていた。
強い光にビックリ! 隠れて様子を見ていたら今度は、あの女の人まで来た。でもあまり仲は良くないみたい…
どっちにしても今は、この家から出られないなぁ…
とりあえず撮ると決めた手前、三脚に愛機をセットした。でも後ろが気になってしょうがない。心霊スポットの噂があるところに入ったときもこんなに緊張しなかったな…
これは、やっぱりリアル恐怖だよ。いざとなったら、この三脚で過剰防衛に出るしかないな…しっかし撮るわけでもなくその辺を物色して何やってんだろ?
「あの…撮らないんですか?」
「いやぁ!ボクは早めに入って撮ってたんですよ。早朝派なもんで!」
そうだよー。撮ってたよ。さんざん… 私撮らないでねー
「そうですか…」 嘘こけェ!待ち伏せだよ 絶対待ち伏せ! こんな道から見えない廃屋で偶然なんてありえない!
「おや?ハガキですよ官製はがき!しかも5円ですよ。今の十分の一だ。45円分切手を貼ったら使えるかなぁ…」
「さぁ?どうでしょうね…」 目もくれないで、とりあえずシャッターを切り続けた。でも注意は、前じゃなくてずっとアイツに向けてたから、いつもよりピタッと絵が決められない。
「ねぇ?お家さん。あの人たち何をしてるの? 女の人すごく怒ってるみたいだし」
「さぁ~こんな老体を撮ってどうしようってのかね…でも、男の方は前にも来たことがあったな」
「へえ~じゃあ知ってる人なんだ!」
「いや…知らないねぇ。何十年ぶりかで人が来たと思ったら、写真機と太巻きみたいな物をたくさん持ってたけど…」
「太巻き?運動会のお弁当に入れるやつのこと?」
「いや!写真機に太巻きは付けないでしょ? どうせならもっときれいな頃に撮って欲しかったね」
うーん教えてもらったとおり、なかなかレアなところだね。いい感じの廃れ具合じゃない。あれ…あの神様はどこだい?…いいや今のうちに撮っちゃお
おっ階段発見!
ギッ… ギッ…
「わぁ~上がってきたよ…どうしよう…」
隣の部屋の奥に納戸があるからそこに隠れておいで
「ハーイ…」
まさか上に潜んでるってことないよね?用心しないと…あっ部屋がある。
「うわぁ~すっご~い!」
とにかく夢中でシャッターを切る。
「なんて言ったっけこれ、なんとかフラッグ?」
げっ、いた…
「すごいでしょーここ。これだけのものが残されているのはちょっと無いですよ」
「?…知ってるんですか? ここ…」
「そらそうですよ。君にここ教えたの僕ですから… いつもカキコしてくださるお礼ですよ」
「うええええぇーっ?! まさかぁ?」
「そう!私がジンです。『神』と書いてジン。だから『廃墟を司る神』なんですよ。先ごろは不躾で失礼しました」
「あの『廃墟楓』のジンさんですか?ちょっとぉーっ人が悪いじゃないですかぁ!」
ジンさんって言えば、私がメールで良く相談とかする人で、写真の師匠と仰いでいる方じゃないか…!
それにしても、なんて謎かけだよ…そんなんわかるわけないじゃん!
あれぇーっ?なんか様子が変だよ…
「あの時は知らなかったんですけど、後で掲示板を見たら『●●近くの廃屋で変なヤツにでナンパされた!』とかあったんで、自分のことだなぁーって。あまり、特定の場所はカキコしないほうがいいですよ。」
うっ…ヤベっ!何でもカキコするもんじゃないなぁ…
「すいません!あの時は、変質者かと思ったんです…」
「ずいぶん露骨に言ってくれますね。空手使いますよ!」
「は…ハハハ…
お詫びにコーヒーでも…」
「喜んで。でも街まで1時間半はかかりますよ」
はあ…やっと行っちゃったよ なんだろね?あの人たち…
「ねえ?お家さん こういうこと良くあるの?」
「ないって…」
※この小話は、フィクションです。登場する人物・サイトは、架空のものであり実際に存在する個人・サイトとは一切関係ありません。また、廃墟内での出会いが素敵なものである可能性はケースバイケースであることをご承知おきください。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
惜しい!ニアミスでしたか(ねこんさんじゃないかも知れないけど)。
「PETAPPA」も面白いですね。ルイドロのヒントが隠れてそうで。
投稿: アツシ | 2008年6月 5日 (木) 01時39分
「ぺタッパ」は、簡易メール用に置いてみましたが、書き込み癖で、日記みたいになっちゃいました。Writeボタンから簡単にカキコできるのでよろしく
投稿: ねこん | 2008年6月 5日 (木) 08時52分