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2008年3月30日 (日)

蒼い戦士たち ③

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あの日の朝、リョージと僕は駅のホームにいた。
上京の手はずがつき今日、新千歳まで迎えに出ているプロダクションの人と合流する。

興奮して夕べは眠れなかった。電車の中で仮眠すればいいだろうと当分戻ることのない部屋を朝まで整理してた。

リョージはすっかりテンションが上がっていて、服装もすっかりロッカーを気取っているかのように皮のパンツとジャンパー。サングラスも新調したようだ。

Dscf5340「これから行く所は北海道と違うんだぜ…」

「わかってるさ! 別に変じゃないだろ? ナチ!」

ナチがひとりで見送りに来ていた。
ヒロとタクには、あのもめた日、以来会っていなかった…

「うん…でもリョージのイメージには、ちょっとねー」

「似合ってないってのかよ!」

「そんなんじゃないけどさ…違和感っていうか、今までそんなリョージ見たことないから…フフフ…」

「笑ってんじゃねェや! デリカシーねーな!」

それはそうだ 今まで破れジーンズに同じTシャツをローテーションで着てたリョージが、いかにも真新しい皮の上下なんだから…

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間もなく2番線ホームに入る列車は 新千歳経由札幌行き スーパーおおぞらです…
アナウンスの後、程なくホームに列車が入ってきた。

「先、乗ってるぜ…」
ギターケースとバッグを取るとリョージはそそくさと乗り込んでいった。

Dscf5335「じゃあ 連絡するから…」

「うん…」

「卒業したら、こっちにこないか?」

「うん…考えとく…」

「そっか…」

昨日まで普通に話せていたのに今日は、始めて出会ったみたいな、ぎこちなさを感じる。

「シゲオ!席どこだ? 早く来てくれよ!」
先に乗ってるとか言って、意外と気がきく奴と思っていたが考え違いのようだ…

「今行くよ! …じゃあ向こうに着いたら連絡する」

「うん…元気でね」

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 戸口に立って見つめ合っていたけど、ナチはどこか伏せ目がちだ。

RRRRRRRR…

「がんばってね」

「うん! ナチも…」

Dscf5311プシューッ  言いかけたところでドアが閉まる音で途切れてしまった。
上げた手がふたりの言葉を代弁した。

席のほうへ行くとリョージは、ようやく席を見つけて悦に入っていた。

「グリーン車かー 初めてだぜ、こんなの」

数時間後には飛行機の中。
ホームでうつむいているナチの姿に後ろ髪引かれる想いがする。
やがて動き出す特急列車。ナチの上げる手に応えるがガラス1枚向こうが映画を見てるように別世界の気がした。

「あれ? あれタクじゃないか?」

「えっ?どこに? 出発のことタクは知らないよ! これるわけないだろ!」

「まぁそうだけど…勘違いかもしんねぇな…階段のところにいた奴がタクそっくりだったけどよ…」

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それから、今日までヒロやタクどころか、ナチにさえ一度も連絡を取ることはなかった…
向こうについてから時間の流れ方が一変した。今までは時間が無いと騒いでいても時に隙間があったのことを改めて感じた。
それに思っていた以上にめまぐるしい世界に翻弄されて、自分を見失ったようだった。

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夕食の時、母さんに聞いた。

Fb074「そう言えば 高校まで同じだった●●さんとこの那智って子 今はどうしてんの?」

「あー なっちゃんね。結婚したって聞いてたけど…1年…2年になるかしらね。大学卒業間近だったけど中退して…」

そうか…数年の間、街並みは変わらなくてもいろんなことは、ずいぶん変わったんだな…
約束も守らなかった僕にそれを責める資格なんてあるはずもない…

「シゲオ、ヒロユキ君のところには顔出してきたのか? うちでも豆腐の配達を頼んでるから帰ってくることは言っといたよ」 父さんがそう言い出した。

「えっ? いや…今日は別なところにいってたんだ 明日行って来るよ。 母さん 明日も車貸してもらえるかな?」

「いいわよ。用事はお父さんに頼むから それより久しぶりの休みなんだから もっとゆっくりしてよ」

「父さん ヒロユキ 何か言ってた?」

「うん 『そうですかー久しぶりっスねー』 とか言ってたよ」

 

 

Dscf5310豆腐屋の朝は早いそうだ。
ヒロのところも3時くらいからその日の仕込みをしている。
まだ『RUINS』の活動中にヒロの父親が倒れて豆腐屋の経営が危うくなり、ヒロの母さんは商売は続けるということで経費節減ということもありヒロがそれまで勤めていた会社を退職して手伝うようになっている。
だからデビューの足がかりができたときは、すごく後ろめたかった。

それにしても早く来すぎたか…店の車がないから配達に出てるんだろう。
とりあえずいくあてもないからしばらくここで待つか…
タバコを取り出して火を点けかけたとき…

コンコン… 

顔を上げると横のウインドウにニッと笑ったヒロが立っていて、思わずタバコを落としそうになった。

「おい!うち見張って何やってんだよ 入んな!」

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「営業車は、車検に出してきたとこだよ」
事務所の脇に懐かしいベースが立てかけてある。

「今でもやってるのかい?」

「あぁ!…っていっても近所の高校生に教えてるくらいだけどな 言っとくけど今でも腕は落ちてないよ」

Dscf5696ベースを取ると懐かしいナンバーを弾き出した。ヒロのベースは、アタックが特徴的でアンプに繋いでいなくても体に響いてくる音だ。

「タクのところは行ったか?」

「え…あ…あぁ…昨日行ったよ…」

「じゃあ もう知ってるな?」

「おおよそのことはな…」

「タクの嫁さんのことは?」

「…いや…」

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「そうか…知っといたほうがいいだろな お前も一番知りたかったことだろうし…タクの嫁さんてのはナチなんだよ」

「え?」

変わっていないと思った様々なことが、実は自分以外の全てが変わってたってことに気づくことになった…。

(つづく)

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2008年3月24日 (月)

蒼い戦士たち ②

Dscf6529 「ただいま…」

「あらー シゲちゃん おかえりー 電話くれれば迎えにいったのにー」

「いやー こっちに来る便の時間がはっきりしなくってさ…」

「すっかり垢抜けしたよねー 都会の人みたいで…」

「そんなことないさ… 母さん、帰ってきてすぐになんだけど 車貸してくんないかな?」

「いいけど…疲れてないの?」

「いや飛行機と電車で仮眠してたし、友達に会って来たいんだ 夕方には戻るよ」

バッグを下ろすと車の鍵を受け取った

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音好きが集ったバンド「RUINS」は、大方のバンドと同じようにコピーから始めた。DEENやその他の楽曲、ほとんどはリョージが「これ、やろーぜ」ってかんじで。
目立ちたがり屋のあいつだから、パンクとか激しいものが多かったと思う。
僕は前からオリジナル曲をやりたいという欲求があって、少しづつ書きためたり、いじったりしていた。
高校も卒業してそれぞれが就職したり、家業の手伝いになったがバンドは相変わらず続いていた。僕は経理の資格もあったので親父のコネで事務系の仕事。リョージは宅配便のバイト。ヒロは家業の豆腐やで、タクは実家が酪農だった。

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学生の頃より練習の回数は減ったけど、いちお社会人ということで門限はないようなものだったし、僕も一人暮らしを始めたりしたのでむしろ時間は自由だった。
学生の頃から付き合っていたナチは、地元の大学へ進んでいて半同棲みたいな生活だったので練習もいつもいっしょに来て、ちょっとしたマネージャーみたいだった。
そして写真が趣味で部活も写真部だった彼女が「RUINS」の名付け親だ。

Fb142 「ルインズ? どういう意味?」

「具体的いうと…廃墟ってことなんだけどさ…」

「なんだよ?暗いなー それほど退廃的じゃないよ」

「それは先入観だってばさ! 廃墟ってさ、本来の存在意義を失って、ものの本質を出してるんだよね たてまえとか見栄のない姿っていうかさ…」

それまで学生時代から意味も無くつけた『下克上』ってバンド名はあったんだけど、なんか右寄りっぽくてみんな嫌になって、かといってこれってのも思いつかなかったからナチのいう「RUINS」になった。語感は悪くなかったし…下克上よりはずっとよかった…

Pna017 「せっかく曲を書いてるんだからみんなに聞かせてみれば?」
ナチにそう言われて練習の合間ににちょっと披露してみた。
ベースのヒロは「それ、いいんじゃないか? やってみようや」と興味をもってくれた。
リョージはあまり乗り気ではなかったが、自分のソロ部分があるとかえってその気になるほどで、オリジナルに力が入れられるようになった。
自分がノートに書いた曲がメンバーの中で、あれこれいじられて本物の音になったときは、感動だった。その頃はまだ、荒削りだったけれど…
いつも口数の少ないタクが一番、飲み込みが早くて、すぐ完全な音を叩き出したのには、正直驚いた。兄貴の影響で小学生の頃から洋楽とか聞いててドラムも叩いていたから体に感性が備わっているんだろう。

オリジナルをやり出すと、コピーがメインのバンドにも独特のカラーが出てくる。月イチくらいの対バンライブでも手ごたえを得られるようになり、単独でも過ぎるほどと戸惑うような客入りは嬉しかった。

そう、その頃には、口に出さなくともメジャー志向があったんだ…
自分達の力を試してみたくて、かなり手痛い出費(特にずっとバイト生活のリョージには)だが300枚程度のシングルCDを自主制作。スリーブの写真はナチが趣味で写真をやっていたのでみつくろってもらった。

「えーっ? アタシんでいいのー? たいしたもんないよー どんなんがいいのかなー」

「いやー 写真のこと俺、全然わかんないからさ…なんとなくタイトル曲のイメージでさ…頼むよ」

「なんか 難しーね でも探してみるよ」

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こうしてみんなの力をひとつにして出来上がったCDは、ぼくらの宝物になった。
上機嫌のリョージが顔でバラ撒いたのがほとんどだったけど、枚数が少ないこともあって販売分はほどなく完売した。
「もっとプレスしても良かったよなー」

僕は、十数枚をいろんなプロダクションへ送った。
うぬぼれも少しはあったかもしれないけれど自分達の力をためしてみたい…そう思っていた。期待半分 ダメでもともと半分で…

04phaj34 RRRRRRR…

ある休みの日の朝、といっても10時はとっくに回った頃、1本の電話が入った。

「ねぇ シゲ 電話だよ…」

「ん…? あぁ…」

横で一緒に眠っていたナチに起こされて電話に出た。

「はい…●●です…」

「おはようございます シゲオさんですか? 私、▲▲▲プロモーションの■■という者です。●●さんから『RUINS』のデモを頂いておりましてお電話させていただきました」

 

一瞬で目が覚めた。

 

 
反射的に裸のままベッドの上で弾け飛んで正座した。ナチもビックリして目を丸くして毛布にくるまって縮こまった。

「はい! わざわざありがとうございます!」

「大変興味を持たせていただきました。上の方に持ち込んだりしていたので、返事を差し上げるのに遅れましたことをお詫びします。都合の良い時に直接お伺いしてお話をさせていただきたく存じますがいかがなものでしょうか?」

Dscf5488 「はい! いつでも結構です!」

詳しいことはみんなの都合を聞いてから連絡すると言うことで話を終えたが、興奮が収まらない…

「何の電話?」

「東京の音楽プロダクションさ! やったよ! 夢のようだ!」

「そう…おめでとう」

それから皆に電話をかけまくった。
リョージが一番喜んだようだ。

「おー! やったな! とうとう俺たちの時代だ! 今日は午後から早退するから前祝いしようぜ!」

Dscf5441_2  ヒロとタクは、ことの重大さが分からないようで、ちょっとそっけなかった。

ようやく気が静まって落ち着いてきたとき、ナチがいつのまにか帰ってしまったことに気がついた。
この日から微妙に何か、かみ合わなくなったんだろう。
夢を見たかったんだ
でも、夢中になりすぎて、いろんなものを忘れてしまったようだ…

Ek081 今回の帰省は、ずっと心の底にあったしこりを振りほどきたい気持があった。
いざ、来てみると決心が鈍る。とりあえずヒロとタクには会っておきたい。

デビューの算段がついた頃、ヒロが言い出した。

「俺はプロになる気ないよ 家業ほったらかしにできねぇしさ」

「お前 何言ってんだよ今更! チャンスじゃねえか!」
リョージが即刻キレた。

「話進めてんの お前とシゲオだけだろ!」

「ちょっと待ってくれよ! 確かにヒロの話も聞いてなかったよ でも好きなんだろ?音楽は! それに売り込みには反対してなかっただろ?」

Ek062 「別にメジャーが全てじゃないだろ? 今のまんまで俺は満足だよ! デビューするなんて少しも思わなかったさ。だからって何でも犠牲にできねェよ 俺には!」

「タク! お前はどうなんだよ!」 火の付いたリョージはタクまであおりだした。

「俺も…行けないよ…」

「何だよ! 何言ってんだよ! 貧乏臭い牛飼いずっとやってんのかよ?!」

タクは黙って上着をつかむとスタジオを飛び出して帰っていった。

「シゲオ! お前は逃げねェだろ?!」

即答できなかった。
リョージの肩越しに耳を押えてうずくまるナチが見えた…

 

 

「いたしかたないですね…補充はこちらに来てから選抜ということでぜひともお願いします。全面的に私が皆さんを押していることもありますので…」

この頃には、ヒロとタクを無視するように話は進んだ。
ナチも僕のところには、ほとんどこないか来ても早めに帰ってしまうようになった…

そのわだかまりの清算をしたいのが今回の目的なんだ。
でも、ずっと会って何を言おうかと考えてきたが、この日を迎えてしまうと躊躇してしまう。
とりあえず、タクが一番話しやすいんじゃ…と思い、郊外へ車を走らせる。

2、3度ドラムセットを運ぶのに来たことがあった。タクは次男坊だったけど兄貴は大学に行った先で就職してしまい帰ってこなくなったことからタクが暗黙の了解で酪農家の跡取りになってしまったようだ。
夏の訪れがおそいとは言え、初夏の香りもしてくる北の大地の風景は、植え付けも始まったばかりのようで緑色の細い筋が走るのが目立つ畑がほとんどだ。
やがて緩やかなカーブの先にタクの農場が見えてきた…

 
 

「あれ…?」  様子がおかしい…

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Dscf3551 枯れた雑草の目立つそこに人や家畜の気配はない。
車を止めて牛舎へいってみるとやはりもぬけの殻だった。
荒れて物が雑多に散らばっている。
農機具は、あちこちに点在しているけど、どれもツル性の植物に絡まれて放置された亡骸のようだ…
サイロは虚栄のシンボルのように虚ろに立ち尽くしている…

Dscf3583 「なんで…?」

家の方も戸口まで雑草がはびこって人のいる様子はない。呼び鈴を押してみたが電気が通っていないらしく音すらしないようだ…

何かの冗談のような気もして、近所へ聞きに行った。

「▲▲さんね…もう辞めて2年になるわ ものすごく乳値が落ち込んでたからねぇ きっぱり牛は見限って野菜に切り替えたんだけどそれも原価割れして、にっちもさっちもいかなくなったみたいなのさ… お嫁さん迎えたばっかりだったんだけどね…」

Dscf3573「今はどちらへ?」

「親御さんは市街の方で暮らしてるけど、若夫婦は札幌の方へ出たみたいだよ。まだ若いから何でもできるっしょ 小さい子もいるから大変だけど…」

そうか タクも大変だったんだな…
結婚したのも知らなかったよ。
ヒロに聞けば詳しいことも知ってるだろう…
衝突したヒロには、いちばん会いずらかったけど、今はそういうわけにもいかない。
この3年の間にみんな何かを相手に戦っていたんだ…

でもその間だけの誤解は、できることなら解いてみたい…

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(つづく)

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2008年3月17日 (月)

蒼い戦士たち ①

聞える 目を閉じると
魂が揺れるほどの歓声が…

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聞いていたDEENのアルバムの最後の曲 「蒼い戦士たち」がイヤホンから流れだしたころ、車窓の景色は故郷の色が濃くなり始めてきた。
この景色を見るのは実に3年ぶりになる。

Dscf5558 3年前もこの眺めを見て旅立った。数年程度では、どこもほとんど変わってはいないようだ。それでも新鮮な気持に心躍るのは、いかに自分が故郷を忘れていたかということなんだろう。

高校の頃から続けていたバンドの傍ら、ダメモトであちこちに送っていたテープが、某プロモーターの耳にとまるという幸運に恵まれた。
夢に見ていながら、夢にも思わなかった現実。
でも4人の仲間の気持は、それで分裂してしまった…

僕とリョージは夢行きの電車に乗り
ヒロとタクは自らの意思で残ることにした

Dscf5342 僕らは、ちょうどリズムとメロディが分断してしまったかのようだった。
上京後は今まで思いもしないことを色々経験した。プロモや売り込みの取材で気の休まる余裕もない毎日ながらも、それが講じて爆発的とは言わずも3年で思っていた以上の評価を得られたのは喜ぶべきだっただろう?

ここに至るまでには「勝つより大事なこと」「負けるより悔しいこと」の体験。
そしてリョージも自分の進むべき道に軌道修正して僕の前から消えた。
それも辛かったが、それ以上にいつも頭の片隅にあって自分を苦しめてきたことがある

自分は『裏切り者』なんだ… ということ

Dscf5337 そんな気持がいつも脳裏にあったから今回の帰省もどこか後ろめたい。
改札を抜けてから駅の南口でそそくさとタクシーへ乗り込む。ここに来てまでそうするほど顔が売れていると自惚れたわけじゃないけどサングラスをしながらも目線がうつむきぎみになってしまう。

「●●の方へお願いします」

とりあえず懐かしの我が家へ…
春とはいっても日陰には名残雪の塊がポツポツ目に付く風景。
それを一生懸命砕いて路上へばら撒く老人は、通行の迷惑など意に介していないかのようだ。

車は、隣町へ至る橋を越えて眼前に見覚えのある砦が見えてきた。
主のいない砦。いつかそこへ皆で入ったことがあった… 

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「いいよなー ドラムは荷物が少なくってよー 棒っこ2本だもんな」

「なんだよ!自分の相棒連れられないモンの身になっていってんのか? うっとうしいなら表に立てかけとけよ!」

ヒロが入口にベースのヘッドを引っ掛けてグチり、ドラムのタクがやり返す。

「シッ!ちょっと静かにしとけや…騒ぐとこじゃねぇんだからよ。ムードねーだろ?」

住宅街の狭間に鎮座する無人の要塞。そこに入ってみようと言い出したのは、リードギターのリョージ。
先陣をきって中へ入り、後に続くリズムパートをたしなめる。
一番遅れて周囲を気にしながら中へ入る僕がシゲオ。その頃からボーカルと若干ギターを弾いていた。

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Dscf3416 練習場の帰りによく見かけていたその砦は、倒産したアミューズメント施設。
川近くにそびえ立つ要塞のようでいつも気になっていた。
現役の頃に一度、親といっしょに来た記憶がある。
往年は、近隣や郊外からも若者が連夜集い、いわゆるナンパスポットだったそうだ。当時でも終焉の日から10年を越える。

創始者は、畑違いの業種から娯楽業界へ参入し、一代で地域にグループを展開して当時は地元で最も成功した人として賞賛された。
バブルとは無縁と思えた北海道でも、今考えてみると大いに恩恵は受けていたのだろう。多くの金融機関が当時、これらの砦を築き上げることを可能にしていたのはやはり、当時の時勢だったようだ。

いまや「夢の跡」となった砦に行ってみようとリョージは言い出した。

Dscf0935「何かこう現実離れしたとこから、ひらめきがあるかもしんねーからよ。」
それを真に受けたわけではないけれど、ヒロもタクも反対しなかったので寄ってみる事にした。倒産した当時は裁判所の管理下に置かれたが、今は依託管理先もわからない。
ただ荒らされていくだけの無防備な要塞になってしまったようだ。

駐車場は、隣接する家の窓から丸見えなので正直ビビる。それよりも間近に来てみてアスファルトのひびをこじ開けるようにして伸び上がる雑草に囲まれ、音も無いまま虚ろに立ち尽くす巨大な二棟を見たときの威圧感は、初めて経験した。
これが交通の激しい通りに面した場所とは信じがたい。

「シゲオ!何してんだよ 早く入れよ!」

「あ… あぁ…」

入ったところに見える白亜のシンボルタワー。サイバーな感じがあるけど、よく見るとスクラップ部品を使っているようだ。奥には、思ったよりゲーム機とかのモノが残っている。ただし、ガラスが割られたり、部品が剥がされたりで、その壊されようから人が随分入ってきたことは想像できる。
散乱する利用者カード 景品獲得の記念写真、相性テストの判断結果…思い出は無造作に色あせる。
バラ撒かれたゲームコインは「これが全部、お金だったら…」というよりお金の価値が空しく感じるような光景だ。

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Dscf4213_4 「いやーっ俺の部屋に置きてぇな これ、電気入れりゃ使えるかなぁ…」

「タクの部屋6畳だろ? 入んねーって! 牛舎に置くんか?」

「牛舎は余計だろ?! 豆腐屋が何言ってんだよ!」

「やめれって!平和な会話できんかな! まったくお前らよー」

火花を散らすふたりの声ににイライラしたリョージがカラオケのカウンターを物色しながら、ふたりより大きな声で怒鳴る。

Dscf0929_2 ヒロとタクはいつも喧嘩腰の話をする。
いつもどちらかが 「辞める!」と言いださないかといつもハラハラしていた。
大抵、神経質なリョ-ジがたしなめる役に回り、最悪の状況は回避できていた。

「全部残っているかと思ったけど、結構運び出されたりしてんだなぁ」

「そらそうさ 倒産が決まる前に情報が取引先に伝わるらしいから、裁判所の管理に落ちる前に業者があわてて回収するんだとさ」

リョージは、おかしなことに情報が早い。そのためかバンドの活動も先頭に立ってやってくれる。結局のところ親分肌なんだな。

一触即発な関係ながら6年一緒にやってきた。

(つづく)

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2008年3月11日 (火)

けっこん しようね

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Dscf4555 行く道も戻る道も、かつて学校があった痕跡や暮しの亡骸が点在する土地。
かつては、たくさんの農家が田畑を耕して家畜を養っていたことでしょうが、町勢資料を見ると驚くような営農戸数激減地帯。

現在は大規模育成牧場(いわゆるメガファーム)があるほかは、離農してほかに生業を求めた家が数軒。あとは静かな自給自足の暮しを楽しむ人々がいるだけです。
この地域を貫く道にはロマンチックな名が付けられていますが、起伏にとんで景観の素晴らしい風景とうらはらに寂しい現実が雪の重みでパタパタと崩れ落ち、追憶の骨格を晒していました。

Dscf4554 戦後の帰農軍人の団体が入ったことで形成された集落に学校が作られたのは昭和26年のこと。入植は早くも予想に反して学童数は少なかったようです。
その後子どもの数も徐々に増加。昭和29年に新校舎落成。
しかし昭和41年には併置中学校とともに閉校。かつての面影は欠けた校門とグラウンドの痕跡のみ。この手前と先の学校も現在は閉校し他の施設などに転用されています。

この辺りには、子どもはいないのか?
どれだけ僻地と言われていても夏休みとかには、どこかへ向って自転車で走る子の姿をみかけたものですが、今はどんな所の子でも家の中でゲームに嵩じているようです。
そうは言っても、ねこんもゲームと無縁の世代ではありません。今の子どもほどシニカルではありませんでしたが…

そんなことを思いながら、かすかな春の気配はすれども人の気配は少ない道。高台を辿る道の脇、道から少し下がった場所に赤茶けた錆色を反射する屋根が見えました。
雑木に埋もれかかったそこは、ちょうど高台の張り出した所にあり、夏場の草や葉が茂る頃なら人目につくことは全くないであろう場所です。
かつて、引きこみ道であったであろうあたりを確かめながら歩いて降りていくと家畜舎の跡。

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Dscf5291_2 ブロック作りのため、時代遅れというほど古い感じもしませんが、比較的飼育頭数の少なそうな建物。
穴の空いた輸送缶が転がっていて、これで牛乳の搬出をしていたころなのでしょう。
70年代中期頃からバルククーラーという低温槽設備が普及し始めたので、その辺の時代のボーダーラインに位置していたと思います。

使い古した衣類 ほぐれた藁の山 打設したコンクリートの床に残る足跡…
当たり前のように残る暮らしと人の跡。そして給餌槽の牛が舐め削ったコンクリートの凹み……?

視線の先に意外な一角がありました。

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Dscf5296 小さな子供用の椅子が2脚。どうやら「ままごと」で遊んだ痕跡ですね。
手前の椅子の脇にある台がキッチンでしょうか…大きな鍋も据えられている。
かき集めてきた食器は不ぞろいですが、テーブルとおぼしき板の上の湯のみ茶碗(?)は揃いのようです。
奥の錆びついたオイル缶がパパの書斎か職場そのものをあらわすのかもしれません。

「ままごと」はひとりでは成立しない。暮らしが中心だから。
そしてパパが帰ってくるところから始まる。家業がなんであってもパパは通勤している人なんだね。
子どものベッドはないから、まだ新婚の家庭なのかな?

Dscf5290_3 でも、ここで遊んでいた子たちはどこから来たんだろう?高台からずっと離れたところに家が見えるから、そっちから来ていたのかな。
少なくともここの家の子ではないように思います。廃墟化後の痕跡らしいので…

ここで愛の暮らしのシュミレーションが繰り返されながら、こんな会話もあったのかもしれません…

 

ねえ! おとなになったら けっこんしようね

うん! けっこんしようね おにいちゃん

 

まだ、世界が家から高台までだったころ…

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2008年3月 8日 (土)

カメラ!カメラ!カメラ!

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カシュ-ン… カシュ-ン…

Dscf1003誰もいない廃墟の中に響くシャッターの音
力なく伸びきった空気が一瞬、縮こまる

カメラの目は不思議だ
同じ場にいながら後でその画像を見ると
自分の見ていたものと違うような気がして
不思議な気がする

カメラは人類の発明の中で一番優れたものだ

自分は見ていただけ
カメラは時間を切り取った…

 

 

ギギィーッ…

音を忘れた場所にいて、急に床がきしむ音にびっくりした。
あわてて振り返ると人が…。

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あ…すいません。 いちおー断って入ってるんです…

いいんですよ。 ところで、ここで何してるんですか?

いや…写真撮ってます。 こういったところが好きなので…

こういったところって?

まぁ…いわゆる「廃墟」っていうものなんですけど。こんな風な崩れかけた建物とか廃線の橋脚とか、工場施設とかなんですけど…そういうのを撮って回ってます。

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廃墟ってどこがいいんですか?

どこかって…どこなんでしょうね…何となくですよ。

変なものに取り付かれそうじゃないですか?怖くないんですか?

怖いって…昼間来てますし… 昔はそんなこと思ってましたけどね。今は全然考えないです。山奥の廃屋で冬眠中の熊を見て逃げたことありますけど。怖かったのはそれくらいでしょうか。あータヌキにも階段ではちあわせになったことありますよ。動物園とか剥製では何度も見てましたけど生は初めてでしたね。ついで言うとヘビも嫌です。車のアンテナに巻きついてたんで、3mくらいの棒を持ってなんとか追っ払いましたけど、口開けてました。

そういうところが好きだったら借りて住んでみたらいいんじゃないですか?

いやーちょっとー…極論言いますね…みもふたもないですよ。そういうこと言うと空手使いますよ。

極真でもやってるんですか?

いや…冗談です。冗談! やってませんって!
住むとか何とかは、それが家とか建物だって考え方だからですよ。それを自分とか他の人とか同等の「存在するひとつのもの」と思ってみたら違って見えるんじゃないですか?

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Dscf1010 えーわかんないなぁ…

洋楽聴いたって対訳がないとチンプイですけど「いいなぁ…」って思うじゃないですか。
それと同じで「廃」な空間に身を置いていると、 意味はともかく癒される感じってあるんですよ。個人差はあるでしょうが。

でも、不気味って感じもあるでしょう? そっちのほうが強いんじゃないスか?

不気味って言うけど、かつて暮しや賑わいのあった生きた場所だったから、それは感じるでしょう。夜道を歩いていて自分の靴音が反射して聞こえてきただけで、勝手に気配を感じるようなものです。
本当にそんな悪霊みたいなものがいたら、人間よりも敏感な鳥や虫なんか全然寄り付かないでしょう。

すると「廃墟」は死んでいるから「屍」ってことになりますか。

それは少し違うかなぁ…死んだってより停止してるって例えのほうが合ってますよ。

「癒し」っていうけど、それはどこから来るんですか?

そうですね。まず日常の時間とは隔絶されたところがあるから、動かない静かな空間は瞑想的ですよ。それにまず、物欲や人間関係のしがらみに開放された場所って感じますから、無心になれるんですよ。日々の中で、何も考えないでいられることって、そうそうないですからね。 だから好きなんですよ。 無理強いはしませんけど。Dscf1011

へぇ~ でも、勝手に入ったりしたら、いくらなんでも怒られるでしょう?

ですから…近くに住んでいる人がいたら挨拶するんですよ。500円くらいの菓子折りなんか持って。「お願いします~」って…
それは変わり者とは思われますよ。「こんなボロ撮ってどうするの?」とか言われますから。
持ち主じゃなくても一応ことわっておいたら、自分に何かあったら様子くらい見に来てくれると思います。近くに車がいつまでもあったらだけど…。
そういうことしておくと「うちでカレー食ってけや!」とか言われてごちそうになることもありましたけど。
さすがに人里離れてたら断りようがないですけどね。

Dscf1019 それで…食べてくるんですか? 廃墟でカレーを。

だから~その廃屋のご近所でですよ。ようするにー 離農跡なんですよ。そこは!元の主はいないんですけど、土地は近くの農家が畑にしてるんで、家もそこの所有ってことです。
無断で入ったりして見つかったら、そりゃー怒られますから始めに断るんですよ。
そういうステップを踏むと異常にやさしいんですよね。帰りに「新ジャガ(新物のジャガイモ)」を抱えるほど持たされたりして。
そういうことがあると単なる廃墟回りでも人情の温かみ感じるんですよ。またこなくっちゃなーって…でも昔話が長いんで臆します。

ふーん 何だか面倒っすね… Holgashot

さっきから色々聞いてきますが、お宅いったい誰ですか? おっきいカメラと三脚持って…

わたしですか? わたしは、廃墟を司る「神」です。

(アホか? こいつ…)

色々聞かせてもらいましたから、ご褒美に街でコーヒーでも…

宗派違いそうなので遠慮しときます…さよならー

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2008年3月 5日 (水)

ルナ・シーの筆感

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ねこんの住む北海道の道東は冬季間、冬型高気圧が安定するために比較的晴天が続きやすいところです。季節の変わり目にその気圧配置が変わると大雪に見舞われたりするすることも数度ありますが、今年の1月は記録的な晴天続きだったそうです。

それゆえに冷え込み、特に朝は放射冷却現象も働いて尋常ではありません。
公式には-15℃~18℃といったところですが、家の露天気温計は-25℃~30℃。
物件探しもしっかり防寒対策をしたうえで挑むのですが見えない触感が肌を刺激してきます。突き刺すというよりも重さをかけてくるみたいに…

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Dscf4783 ただし、この季節の透き通るような空気感は例えようもありません。刺激的に彩られた夏の早朝を柔らかく見せる霞と双璧をなすシャープな感覚。
異空間への入口を思わせます。

この時間は、自分の感覚も洗練されていくようで、やみくもに探すときよりも好物件との出会いは多い気がします。
カーラジオは、深夜番組からいつのまにか聖なる時間へ入っていました。

「次は ●●市の ●●さんからのリクエスト 『聞け、イスラエルよ、我らの神、主は唯一の主なり』 です」
うーん コル・ニドレイ(贖罪日の祈祷歌)かな… 朝には似合うよね…
道は、だだっ広い平野から起伏の豊かな土地へ入り、木々は刺々しく樹氷の鎧を装う。

通りかかった高台の木立の間に小屋が見えた。起伏の激しい土地には耕作適地もあまり無く、見渡す限りのところに他の家も見あたらない。
ラジオの祈りはいよいよ佳境に差し掛かかる。

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Dscf4790 急斜面になかば獣道と化した取り付け道らしきものを見つけて上っていくと高台の上は思ったよりも広く開けて道側の大きな小屋と住宅がひと棟づつ。和の家であってもこんな銀世界に佇む姿はどこか聖なる雰囲気がしてきました。

廃屋は、頑なに窓やドアを板かトタンで厳重に目張りしているものも多いけど、分節操に玄関や勝手口が開かれているところも見かける。ここもそんな感じ。それは誰かが訪れていたということなのだろうか?

ソファーや冷蔵庫、ポット。決して古いとは言い切れない家具と不似合いなジュークボックス、そして店舗用と思えるコーヒーの販促棚。なんとも奇妙な光景。
障子には訪問者のものらしいサインが見える。「どこからきたの?」

Room

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Dscf4795 意外なほど奥の部屋が明るい。屋根がすっかりほころびた青空天井は床の間に聖なる清めの雪を積もらせていた。
家は朽ちていくのではなく、こうして少しづつ土に帰っていくんだ。金属は赤茶けて、壁や柱は黒ずんだ緑に、それぞれの変貌を遂げながら同じ土へと還っていく
終わるものも始まるものも刹那の出来事なんだねーって思います。

ここの主は、「書」の道に志すものがあったようで、その筆になるものがいくつか残されています。「向春に想いが…う…読めない…」達筆すぎるわけでもないですが、読めないですよ。

Dscf4797 額の方は「月を眺めて故郷を偲ぶ」 故郷はどこだったのでしょうか?おそらく道外出身で戦後開拓で入ってきた方か? でも世代的に合わないね。だとしたら親の記憶から端を発することなのか…
そこそこに財をなしながら、故郷の地を再び踏むことは叶わなかったのか、帰るには故郷も変わり果ててしまったか、それは定かではありません。

苦しい時代、月を見上げて同じ月が見えている故郷を想っていたときのことを詠んでいるのでしょう。 そこには誰を残してきたのか…小さな小さな島国なのに想いを結ぶには月を介しなければならなかった悲しい時代のお話。それが子に伝えられ、「書」のテーマになることもあるのでしょう。

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Dscf4810 その時代 旅立ちの日に こんな言葉もあったかもしれません。

「北海道で一旗あげたら、必ず迎えにくるよ…」

月(ルナ)だけが見上げるもの達の全てを知っているのでしょう…祈りも願いも、果たせなかった恋なんかも。

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2008年3月 2日 (日)

夜は僕らをひどく悲しくする

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Dscf4513 小さい頃 大きな空 特にとびっきりの青空の下が大好きで 家の中に閉じこもっているなんて夜、寝るとき以外はできなかったよ

夜は怖いよね 習った覚えも 教えたつもりも無いのに『怖い』ということを覚えていく
それはいわゆる【自衛本能】というものなんだろうね

ひとは 創造力でいろんな見たことのないものを見えるようにしたから『怖い』ということも大きくしてしまったんだ

それを克服できたら 一躍ヒーローなのかな

そうさ だから夜は未知が多いけど 魅力的でもあるんだ

じゃぁ ここみたいに夜に青空はひどく奇妙に感じるよ

いや ボタンひとつで青空を闇夜に変えられるから ここでは誰もが神に近くなれるのさ

 

  パチン     パチン

 

Dscf4520 うん 確かにそうだね でもなんだか 『青空』箱に閉じ込められているみたい
雲が凍り付いているみたいに動かないから…

この空は外の闇を閉じ込めているのさ こちらが外で 外が箱の中
そう考えると すごく自然だ

外が中… なんだかよく分からない…

この世の始まりは全て闇から始まって光が現われたんだそうだよ
始めは闇に刺す一閃の光 それは闇に包まれていて
そこから闇と光は常に包みあうようになったんだ
はみ出したポケットみたいに裏返って…

Dscf4524 戦っているのではないの?

相手を包みあうのさ そうでなければ 夜はひどく悲しいよ

でも闇は ひとりだととても不安だよ

それが夜の魔法なのさ 人恋しくさせるための…
人は胎内の海と暗闇から生まれてくるから闇は愛情なんだね

『歴史は夜作られる』ていうのかな?

うん そんなところさ

Dscf4511 そうなると『青空』はとても可愛そうになるね

『青空』はひとを散らばらせて 夜がまとめるから 出会いの仕掛けなんだよ

そうなのかな…

青空と 暗闇と どっちが好き?

 

 

んー 今は暗闇かな…

 

  パチン

 

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Dscf4517 トゥルルルルル…  ガチャッ

はい?

  あと10分でお時間になりますが 延長なさいますか?

はい

 

 

ちょっと『青空』が干渉してきたみたいだ

ハハハ…

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