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2008年1月 6日 (日)

廃墟の秘め事 ①

20000

新年早々累計アクセス20000突破できました。
これも皆様のおかげと探索にも気合が入ります。
ありがとうございました。
そして今年もよろしくです。

昨年から始めて今月末には一周年になります。
自分で読み返すのも面倒なほど、よくもダラダラと書き連ねたものです。
昨年の文字は『偽』。
ルイドロでは『夢』の跡にこだわってきましたが
今年は『愛』にこだわりたいと思います。
『愛』にも色々あります。男女の愛、親子の愛、師弟愛、自己愛…
廃墟に愛はあるのでしょうか?
それはもちろん人の住処なのですから…

それでは、ご一緒に廃墟を愛しましょう。

今回はこんなところから

「ガキのくせに!」と頬を打たれ 少年達の目が歳をとる
悔しさを握り締めすぎた 拳の中 爪が突き刺さる

                  (中島みゆき/ファイト!から)

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意味不明と言われて 不相応だと決めつけられて
どうすればいいのか分かっていても 飛び立てない籠の鳥

ボサボサ頭の外人が「No future for you ! No future for me !」とアジテーション
なんだか良く分からないけど 恵まれてるのに未来を否定することが時代
女の子には恋と夢 男の子には勝利と友情
欲しいとか 欲しくないとかは別にして 手に取るものは決められてた

UFOやノストラダムスの予言に「やっぱり未来なんてないんだ」と根拠のない袋小路 今だけを考えて他愛もないことに夢を追い続ける

でも たかだか十数年の人生経験 踏み出す先も決められず 読んだ本の数だけ人生観が上塗りされていく

お気に入りの一曲やラジオのDJはとても優しい でも すぐそこにある夢に恐怖を感じて摑めない 
ジレンマで今夜もホロホロ泣き明かす

正直なのは心の底からわきあがる今までとは違う感情
必死に蓋をしてもあふれ出す

待って! 待って! 待って! 待ってよ…
体ごと作り変えてしまう心の時限爆弾は既に動き出していた…

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地域の豊穣を見守るお社の近くにその家は佇む。
奇妙なのは、ほとんどの窓に柵が打たれ、ここは何?と思わせたところ。
単に防犯とか事故防止のためだと思われますが造りは旧家風なのに金属製の柵が窓に打ってあるのは違和感を感じました。

家の正面は東向き。そのため南の陽はほとんど入りません。
西陽が住居裏の窓から入りますが山間という立地のため程なく山の向こうへ没していきます。方角が甘かったので当然冬の寒さが尋常ではなかったようです。

Dscf3631 施主として建て方に無頓着だったのか、住宅用地を効率的に生かすため止む無くこの位置を取ったかのいずれかなのでしょう。
ところで、この家の変わった構造は窓の柵だけではありません。細部にこだわりがありました。
入口に回ると玄関先の壁に飾り彫りを施した木をはめ込んであります。玄人仕事ではないようなので、玄関部分はセルフリフォームで後付けしたのでしょう。

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玄関を入るとまず目に入るのが流し台。箱型のコンクリートにタイルを張った旧家に良くあるタイプですが、ここのものは一際豪華なものです。
内側にもくまなくタイルをあしらい、二段構造。向こう側はカーブを描いて高くなり、水はねが飛び散りにくくなっています。こんなタイプは初めて見ましたね。
カントリー風の家に今でも充分マッチするデザインです。廃屋と共に朽ちていくのは非常に残念な気がします。

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Dscf3633 更に流しの奥にはお風呂があります。これは五右衛門風呂で、大抵の旧家では、母屋からは放した別棟で土盛りしたような台座に釜が据えられるものが多いところ、ここでは母屋の中にあり、流し同様にタイルを細かく施して、五右衛門風呂とは思えない完成度の高いお風呂です。浴室も組み込んだため、若干台所が狭い気もしますが家にとっては充分だったのでしょう。

しかし、旧家は家が大きくてもお風呂やトイレは別棟というのが通常でいくら極寒の北海道とはいえど、例に漏れません。後に住居がモダン化していくに従って屋内に組み込む形になっていきますが、五右衛門風呂は釜戸に火をくべいれて釜の湯を沸かすものですからこの狭い台所付近で、満足な煙抜きの窓も無い状態は類をみませんでした。しかも、お風呂場と台所が一帯という奇妙な景観。実はお風呂ではなく煮炊き用の鍋? まさかそんな…

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それが原因なのか室内。とくに居間は壁や天井が真っ黒に燻されています。
ストーブがあったあたりにも据付のタイル張りストーブ台。直径30センチほどの穴が開いていましたが用途は不明。その下には横長の空間があり、枠取りがあるため囲炉裏があったのかもしれません。でも、茅葺屋ではないので囲炉裏は考えられないかなぁ…

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Dscf3634不思議なところがあって、生業もよく読めない家。
神社が近くにあるので、その類か? と思いましたが表にかろうじて農具を確認、馬耕畑作農家だったようです。

それを感じさせないのは家の中に職業感が無かったからかもしれません。

残る雑誌から1960年代末期までは、ここで暮らしは営まれていたようです。
数十年後、ここには何か変化が起こったようでした。
(つづく)

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コメント

20000アクセス突破おめでとうございます。
ますますのご活躍を期待しております。

それにしてもこの終わり方、次回が気になりすぎます。

投稿: haru | 2008年1月 7日 (月) 00時19分

秘め事ですか、どんな辱めエピソードがあるのでしょう?

ますますやめられない趣味になりそうですね。

投稿: カナブン | 2008年1月 7日 (月) 00時49分

おめでとうございます。この更新頻度で1周年は素晴らしいですね。

変化が起こったのは、比較的最近のことなのでしょうか?風呂と台所が一緒で鉄柵・・・う~ん、見当もつきません。

投稿: アツシ | 2008年1月 8日 (火) 02時26分

ありがとうございます
今年も「らしくない廃墟サイト」を目指します。

haru様:実は答えは見つけていたんです。
でも扱いに現場が露骨なので苦慮しました。

カナ-ブン卿:ご期待に添えたでしょうか。個人的に無修正をお送りしましょうか?(元より修正済みですけど)

アツシ様:7年ほど前の出来事だったようです。
廃墟化から30数年後の出来事です。
約40年後にねこんが入ったことになりますね。

単趣味なので毎日何かしてないと気がすまない性分なのです。Mixiまで手を出していますから…

投稿: ねこん | 2008年1月 8日 (火) 21時33分

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