あおぞら
北海道。特にねこんの住んでいる地方は、1年を通すと冬場の方が気候が安定しています。
そのため同じ道内でも雪の多い札幌などと違って、ドカ雪はひとシーズンに1、2回程度でしょうか。冬型高気圧の動き出す1月下旬頃が不安定な時期ですね。
雪は少ないですが冷え込みは尋常ではなく朝、表の温度計を見るとマイナス15℃以下も珍しいことではありません。公式な最低気温よりも下回るんですね。空気もピンと張り詰めてくるので空の青も雲の白も実に気持ちよく輝いています。
そんな初冬のまだ道が乾いている早朝、このドライブインにきました。
雪がほとんどないとは言っても霜柱は4・5センチに成長していました。「もうこんな季節なんだなぁ」。 ラジオで聞いた知識ですが霜柱は、ほとんど日本だけのものといって良いそうです。粒子の細かい火山灰土壌で水が良く通る土質のところができやすい。
そんなわけで土壌が火山灰ではない諸外国では具体的に「霜柱」にあたる言葉すら無いそうです。
性質的には、その成長メカニズムは氷というよりも雪に近いらしい。
そんな霜柱の上をザクザク歩くのも久しぶりです。小学生の頃に寒い朝、水溜りの薄氷を踏み割りながら学校へ行ったのを思い出します。
市街地から少し離れたこのあたりは、「ドライブイン銀座」と言えるほどドライブインが密集しているところです。そのうちの何件かは廃業。数軒が現役。そして廃墟化したところがあります。
この先にある、「道の駅」ができてから、その煽りで閉店したと聞きましたが、さほど近い場所でもないので、それだけが原因とも思えない。少し離れているところも含めると7軒。これだけ店が固まっていれば余力の及ばないところが先に消えていくのも無理の無いことです。1軒は、ライダー用の素泊まり宿に改装されていましたが、夏の北海道を満喫する旅のライダーもめっきり減ってしまいました。そういう簡易風宿もいつのまにか消えていきました。
ドライブインにしてはちょっと小粋な名前のここ、購買物件ということになっていますが、駐車場であった場所も背の高い雑草がうっそうとして、舗装であったのかも確認しずらいほど荒れ果てています。店舗入口付近にあったフード部分は建物から剥がれるように崩れ落ち、上方の外壁も強風に持ち去られています。内部は実際の店内部分と居住空間が3間ほど。
厨房らしきところが見当たらないので店舗部分の一角がそれだったようです。飲料販売機のようなものの残骸があるだけでテーブルや厨房用品はありません。
居住空間は不似合いに広い玄関を除くと公宅のようで家族の暮らしには、狭さを感じます。
一見、狭く見える店内ですが、2階に特別室があります。「大ホール」と上書きがありますが下に見える文字は「DISCO」。ジョン・トラボルタの「サタディーナイト・フィーバー」を思い出します。週末の夜、この空間が色とりどりの照明に照らされてシュールなかけ引きがあったのでしょうか…。
フロアは、小さなステージとDJルーム(?)のほかは通しの広い空間。ディスコとは程遠いところです。地域の集まりとしては市街地から遠いので主な利用は、キャンペーン回りの演歌歌手のミニ歌謡ショーあたりが実際の活用だったでしょう。
他所の郊外にあるドライブインに聞いたことのない歌手のサイン入りポスターや色紙、ミラーボールやお立ち台があるのを見かけることがあるので、1曲の寿命が長く、売り込みはキャンペーンが信条の演歌界では、こういった場所は重宝されたことでしょう。娯楽の少ない地方では、売り出し中の新人でも比較的人が集まるようです。
このホール室の存在が一帯の他店と異なる特徴です。キャンペーンも毎度毎度あるわけでもないので、モータリゼーションの発展に伴うスピード化が、人の足を留まらせなくなったことで真綿で首を絞められるがごとく衰退していったのでしょう。
家族の居間だった部屋。
何も残っていないかに見えた室内の壁に子どもの描いた絵が残っています。
大好きなお母さん。家で一日中誰かのご飯を作っていて、自分のご飯も作っていた。
だから、お母さんはいつもウサギのエプロン姿。
大好きなお母さんの絵は、たぶん「母の日」のプレゼント。
母は、絵をいつも見えるところに貼った…
どこまでも続く「あおぞら」
ブルーというと憂鬱なイメージなのに空のブルーはさわやかなブルー
地上の喧騒など意に介しないように雲がのんびり流れていく…
夢とか愛とか語りながらリアルが邪魔をする。
誰もそんなことになるのは望んでいないのに…
「あおぞら」を見上げることなく人は俯いていくだけなのだろうか…
大事な絵だからここに貼られたはずなのに残されてしまいました
食事でお腹は満たされるけど ココロが空くのは辛い…
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コメント
子どもが描いたとは思えないほどの画力です。
投稿: アツシ | 2008年1月12日 (土) 16時41分
「母の日」の季節になるとスーパーとかに展示してある絵は、3年生くらいになると今はレベルが違いますよ。
投稿: ねこん | 2008年1月12日 (土) 19時38分
はじめまして。
霜柱のことを調べていてこちらにたどりつきました。
それにしても素敵なブログですね。
私も廃墟好きなので。これからも遊びに来させてください。
投稿: かものはし | 2008年2月13日 (水) 10時33分
はじめまして。
霜柱のことを調べていてこちらにたどりつきました。
それにしても素敵なブログですね。
私も廃墟好きなので。これからも遊びに来させてください。
投稿: かものはし | 2008年2月13日 (水) 10時33分
遠い所(?)をようこそおいでくださいました。
どーも廃墟サイトらしくなくなっている傾向もありますが本分を忘れず精進したいと思います。
以後、お見知りおきを
廃墟は、いいですね。
朽ち忘れられる廃墟に一閃の光を当ててみたい…そんなことを考えて続けています。
投稿: ねこん | 2008年2月13日 (水) 12時35分