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2008年1月 1日 (火)

物言わぬ雄弁者の群れ【其ノ二】

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赤子はわらい、 老婆はおがむ。
           シゲチャンランド

                (シゲチャンランド公式写真集より)

Dscf1699

そびえ立つ祭壇状のオブジェを見上げていたときに背後の足音に気が付いて脳裏に法衣姿のサイババが浮かびました。
逃げる理由もなく、ましてや入場料もまだ払っていない自分ですから…

Dscf1713 「やぁ、いらっしゃい。」

「あ…こんにちは」 目の前に立っているのはサイババなどではなく、蛍光迷彩ジャケットと特長靴スタイルのアウトドア風の方。宗教家ではありませんが、芸術家とも思えません…

「ちょっとお客さんのお相手をしてたものですから」

「そぅ、入場料がまだでした…」

「お帰りでけっこうですよ。ごゆっくり見て行ってください」 
とても、この祭壇を造った人には見えませんでした。

Dscf1707

Dscf1720 最初の「左手の部屋」で度肝を抜かれてしまいましたが、他の館を見ることに。

「鼻」 と名付けられた館。中はとても暗く、要所に間接照明が置かれています。細竹で作られたカーテンが入口に下げられ外の明かりが侵入するのを防いでいるようです。
柱と梁がむき出しになった屋内はクジラのような大きな生き物の体内にいるような印象があります。
そのあちらこちらに異形の生物がいて、一斉にこちらの様子を伺ってきました。

それらはすべて流木、倒木、廃品などで造られた作品達です。
とくに大げさな細工を施しているわけではないようですが、其の姿は異形でありユーモラス。ごく一部を除いて名前を持たない其のもの達は其の存在が個性であり、名前であるようです。

Dscf1709

作品には空間もまた重要な意味を持つようです。彫刻は屋内と屋外では表情が格段に異なります。
この美術館の館長大西重成(おおにし しげなり)氏は、この町「津別町」出身。

1965年 北海道立津別高等学校卒業と同時に横浜郵便局に入局
1971年

渡米、NYスクール・オブ・ビジュアルアーツに入学

1972年

帰国、東京を拠点にイラストレーションなどの制作活動を開始

1978年

東京アートディレクターズクラブ主催の美術コンペに於いてADC賞を受賞

1979年

Herbie Hancock(ハービー・ハンコック)のレコードジャケットのイラストを手がける

1979年

坂本龍一のレコードジャケットのイラストを手がける(SUMMER NERVES)

1983年

フランス・Temps Futurs社のL'art Medicalに作品が掲載される

1986年

スイス・Wizard&Genus社よりポストカードが全世界で発売される

1988年

カナダのテレビ制作会社、ACCESS NETWORKの教育番組に作品を提供

1989年

PATER'S SHOP AND GALLERY にて「Smiling time」個展

1990年

モスバーガー小冊子「モスモス」の表紙、及び中のイラストを95年まで担当
 (一時は80万部の発行部数を記録)

1993年

フジテレビ「ひらけ!ポンキッキ」のオープニングタイトルを制作

1996年

「シゲチャンランド」開設のため、北海道網走郡津別町字相生に活動拠点を移す

公式サイト:「シゲチャンランド」(「Wild Little Garden へようこそ(seven cats氏主催)」内より 一部割愛)

芸術というより広告アートの世界で主に活躍してきた大西氏ですが、その表現を現在のような廃品・廃物による立体造形に移してから、その作品群を収蔵する私設美術館の構想を模索していたようです。

その拠点を模索しながら見つけたのが故郷である津別町の相生でした。(メキシコ移住もも考えにあったとか)
大西氏は、その作品を「あいつら」と呼びます。それは、正しいのかもしれない。

Dscf1747

この美術館としての空間は、廃酪農場であったところに手を入れて開設されたところで、其の中に納められた「あいつら」は、一般的な美術館のようにもっとも鑑賞しやすい位置・高さに納められたものではなく、頭の上や足元。梁や柱の影、表に逃げ出しているようなものやら…鑑賞に来ていると言うよりもこっちが鑑賞されているような、魑魅魍魎の館に入り込んだような錯覚を覚えます。

ここを訪れる人は、様々な反応をします。

その滑稽な異形のものたちに笑う人
終始、感心と感嘆が交錯する人
神がかったものを感じる人
何かに共鳴して涙を流す人
怖くて泣き出す子
「あいつら」と同化して走りまわっている子…

Dscf1722

「マタ オカシナヤツガ キタヨウダ…」

そんな声が聞こえてくるような気がします。

(つづく)

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コメント

あけましておめでとうございます。

去年は師匠を廃墟に案内するなど、大変忙しいおもいをさせませましたね。
今年も色々連れてってください。

写真の「るいどろ」はミステリーサークルの一種でしょうか?

シゲチャンランド、今年は私も行きたいですね。

投稿: 大師匠(カナブン) | 2008年1月 1日 (火) 01時20分

あけましておめでとうございます。
ミステリーサークルの手前のキャタピラの跡が、雪国を感じさせますね。シゲチャンランド公式HPの3コマ漫画が何か温かい・・・。
ことしもよろしくお願いします。

投稿: アツシ | 2008年1月 1日 (火) 02時39分

あけましておめでとうございます。
画像を使用していただき、ありがとうございます。
るいどろの「ど」の点々は、
ジャンプしてできた足形をそのまま使うなど
大変楽しく作成させていただきました。
次はフルネームを体全体で作成したいと思っておりますので
どうぞよろしくお願いします。

投稿: haru | 2008年1月 1日 (火) 03時18分

カナブン大僧正様:昨年の師匠は女性に囲まれてウハウハの廃墟冥利に尽きる1年間だったと思います。
その熱い写真で今年も廃墟ギャルを虜にしてください。

アツシ様:あけおめです 今年も北海道廃墟界をよろしくお願いします。
除雪車の跡や音は北海道の冬の風物詩です。10㎝や20㎝でへこたれないのが北海道です。でも廃墟の除雪はしてくれないので、スノーシューとかスキーとか装備が特別になります。さすがに馬橇までは出せません。

haru様:画像提供ありがとうございます。
勢いで向こう側に倒れこまなくて良かったですね。
また、面白画像お願いします。

投稿: ねこん | 2008年1月 1日 (火) 23時47分

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