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2007年12月 1日 (土)

大陸の夢 憂愁の音 【千秋楽】

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この広い庭園の散策も終盤です。
時の止まった空間の中で自分ひとりが動いていると、いつしか自分の時間感覚も曖昧になってくるようです。かれこれ、ここに着いてから3時間ほど経っていました。

Dscf9728  中国庭園と言っても実際の中国とはスケールが格段に落ちるのは否定のできない現実です。テーマパーク創造の発端は、関係者の視察か海外旅行のときの感動が強く、それを再現してみたい。多くの人に見せたいという欲求がそれを叶えさせたのかもしれません。
 バブル云々は、それに加担しただけで時代の恩恵が無ければ現実のものとならなかったでしょうか? 必ずしもそうではなかったと思います。そこに想いが無ければ動きは始まらないのです。「創り上げる」ことが夢でその後のビジョンが曖昧であったことが衰退の原因であったのかもしれません。

Dscf9732  ある意味、経営としての妥協もあったのかもしれませんが現実の模倣は、現実以上のものにならない宿命もあります。いくら現地の素材を使っても「天安門」みたいな物を現地と同スケールで作るとそれだけで終わってしまう恐れもあります。
 そのような妥協がリトルチャイナ的な庭園を誕生させましたが、中国に行ったことのないねこんには充分な施設です。

 五感の肥えた現代人は誰もが批評家のようです。
感想は、評論になり缶ビール1本、ラーメン1杯にも論じてしまいます。野球やゴルフの論議の熱の入れ方も同じようなものがありますね。

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 目の前には、最大のシンボルのタワーがそびえています。そのすぐ手前に鐘楼があります。日本のお寺の鐘楼と違って色彩や造りが派手ですね。
 中の釣鐘も日本のものとは形がかなり異なります。日中友好の記念として寄贈されたもので、時間に関係なく自由に点くことができたようです。本来、鐘を点く行為は、儀式の始まりを知らせるものでしたが、後に時を告げる役割を持ち始め「除夜の鐘」のように実際に儀礼の中心になりました。

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 余談ですが、大きな釣鐘を指1本で動かす方法を聞いたことがありました。そのやり方が【一定間隔で、釣鐘の一点を指で押す】というもの。
 普通のお寺で試してみると住職から『喝』を食らいそうなので、この機会に試してみると…本当だー。 ゆらゆら動き始める釣鐘を見上げてみると頭上にスズメバチの巣。
『おやまぁ なんて贅沢っぽい営巣でしょう』

Dscf9743  五重の塔を目前にして、その大きさに改めて感動します。法隆寺の塔より大きいかな?
1階には『南無阿弥陀仏』や『極楽世界』の表示が見えます。
 ここを極楽世界とするなら土地柄、人々は地獄に殺到して極楽の方が経営難に陥ったことになります。なんて皮肉なことなんでしょうか… 
 中に入るとエレベーターがあります。興をそがれますが施設的にいたしかたないのでしょう。上まで登ると確かに辛い。ここに来るまでも座るのも忘れて歩き通しでしたから。

 上にあがるにつれて庭園の全景が見えてきます。閉鎖されて久しいとは思いがたい景色です。すぐ近くに幹線道がはしっているにも係わらず、喧騒とは程遠い世界でした。
 塔の柵は所々朽ちてきているので、うかつによしかかる事は危険です。

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Dscf9762Dscf9764  塔の内壁、丁度エレベーターや階段のある中央部の外壁には、偉人や仏神像が展示されています。おなじみの七福神や日本の像と異なるポーズの観音様。象に乗っている像などもあります。お馴染みの仏像と違うのはそれぞれの像のほとんどが着色されてタイガーバーム公園の像のようです。
 わりと近場の宿泊施設に大観音像というのがあって、その胎内巡りをしたことがありますが、そこの像も着色されて仏像としては違和感がありました。

 この塔の仏神たちはウインドーケースの中に納められていましたが。閉鎖されてから掃除もマメにされなかったことからガラスは汚れ、中の像も薄らとしか伺うことができません。 一部、ケースが壊されたものがあり、中の像を伺うことができましたが他はガラスクリーナーでもないと見ることはできないようです。残念…
 これらの神仏像は、展示だけではなくエレベーターで上がって巡礼風に参拝しながら降りてくるという趣旨があったのかもしれませんね。ただ、日本のものと姿が異なるので馴染みが浅すぎたかもしれません。

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Dscf9801  『コーン』 先刻から度々気になっていた音がまた…さっきの鐘楼を見下ろしますがあの釣鐘の音とは思えません。あまりにも近くから聞こえたので辺りを探してみると…
 屋根の端に庵のような形の鐘がぶら下がっていました。これが風鈴のように時折、風を拾っていたようです。この音が庭園の息吹を感じさせていたようですが、それは遠い大陸に想いを馳せていたのかもしれません。

 塔の周りは、瓦や陶器の飾りなどがたくさん散らばっています。冬場、塔の上から氷塊が落ちてきて、これらを壊していったのでしょう。放置されたからというより北海道と言う土地柄、予測されたことでしょう。空しく散らばる首に悲しさも覚えました。

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Dscf9885  陽も随分傾いてきて、そろそろ現実世界へ戻る時間がきたようです。
静かな園内に乾いたモーター音が聞こえて振り返るとライトプレーンが五重の塔を旋回するのが見えました。それに応えるように塔の鐘が「コーン…ココーン…」と響き、機が離れて夕日の方に向かっていくと、静寂の街へ戻っていきました。

鐘を鳴らしていたのは大陸からの風。
そしてライトプレーンの悪戯。

サイドメニューに「大陸の夢 憂愁の音」フォトアルバムをアップしました。
12月3日

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コメント

他のサイトでは見れない写真やルイドロ独自の表現でした、楽しませてもらいました。
ドイツはあきらめたので、せめて中国には行きたいなと思ってます。
最後の飛行機には人が乗ってるんですね。

投稿: カナブン | 2007年12月 1日 (土) 20時49分

3回ほど旋回して飛んで行きました。
ちょうど塔にいたら鉢合わせですね。
鳥の視線で見られるのはうらやましいです。でも、写真だとブレブレになるかな…

ちょっと近づきすぎていた気もしました。

投稿: ねこん | 2007年12月 1日 (土) 23時51分

ここ、とても行ってみたい所だったので、感謝です。
確かにヒコーキがぶつかりそう。

投稿: アツシ | 2007年12月 2日 (日) 01時10分

アツシ様:毎度様です
この庭園は、旅行の都合でもなければ当分後回しにしていたかもしれません。
結果的にえらく感激してしまいました。
現在アルバムを準備中なのでしばし、おまちください。

投稿: ねこん | 2007年12月 2日 (日) 15時01分

こんにちは。楽しく拝見させていただきました。

開園当初は入場料1800円、8時半から20時まで年中無休でしたが終わりの頃は値上げした入場料1900円、9時から16時半まで途中から水曜定休、日中だけやっていると言う状態でした。
レストランは、朝からやっているわけでもないですしね。

車に乗ってドライブ目的地で入場料払ってさらに中華料理屋さんで高価な?料理を食べる。発送的に無理があったと思うんですが…。

かつて1988年、札幌の月寒で行われた、入場料を払い世界各国の料理を食べることの出来るという博覧会、90億円の赤字を生んだ、「世界食の祭典」と言うイベントが行われました。札幌だったらその当時でも街中で何件かは各国の料理は食べれたかと思います。まして東京では…。

それから4年後にこの施設はオープンするのですが、収支計画ってどうなっていのでしょうか?。赤字になる結末は判っていたはずなんですけどね~、バブルって恐ろしい。

この地は、このような施設を作れてしまったバブル時代を振り返ることの出来るバブル遺産と私は思っております。あ、ドイツもね。

最後に、この場所に行ったときの私はイメージは、時間が止まったような空間の中、鐘のあった近くの絵馬の願掛けの内容のインパクトが強かったことを思い出します。

投稿: 弐四四 | 2007年12月 2日 (日) 17時19分

弐四四様:コメントありがとうございます。この庭園やドイツ、あるいはカナダ。いずれもその背景に於いて誕生したバーチャル海外旅行ゾーンでした。

始めたからには中途半端な施設では、済まされないことがこの手の施設にはあります。
それを可能にしたのがバブル融資だったわけですが、その時代には入場者の多くにも時代の恩恵があり、日帰り海外旅行を可能にしました。4人家族の1泊が10万を越えるような城でもそれなりに利用者はいたのです。当時の旅行誌を見ても『1度は体験したい!』『ここで決まり!』『外せない!』などの今ではお笑い種のコピーも見られました。

結果的にこだわった施設の費用を入場料に反映したのか、Dランドには劣るがこのくらいは取れるという安易な考えが入場者の反感を買う入場料になったかは、1入場者としては計れません。

この庭園を作ったのは道外の業者と聞きます。これだけのものを作るにはこの地が適当だったようですね。少なくともこれを実現する技量はあったわけです。

映画1本見るのにも同じくらい入場料のかかる今、値段に見合うものが見られるかどうかは微妙な作品も多いです。下手をすると前評判ばかりが大げさで、ロードショーが始まると急速に噂が立ち消えてしまい「あれはどうなった?」ということもあります。

弾ける噂は最盛期からずっとあった金融バブル。その恩恵にあった人々にその危険性を自覚させるのは当時は無理だったのかもしれません。

少子高齢化、地球温暖化、資源枯渇。すべて私が小学生の頃から本で読んでいた未来予想です。
私も時代の人としてそれを自覚しませんでした。

投稿: ねこん | 2007年12月 2日 (日) 20時47分

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