屋根裏の散歩者 ②
古釘とタヌキ
錆びた釘に美を感じることがある。 人の手によって作られた釘は自然の摂理によって簡単に異質なものに変わります。 自然が作った色。 これを人工的に再現すると結構な手間がかかります。
古釘は小さなタヌキと相まってシュールなシーンを作り出します。
カメラは魔法の機械。人が認識できない一刹那を見事に切り取ります。たとえそれが動かないものだったとしても… フレームに切り取られた空間は、カメラの見事なマジックです。
自分は、ただシャッターを押しただけ…
人が出入りした様子はありませんが妙に荒れています。
単に引き払うときにこの状態にしていったのかもしれません。畳が腐らないように押入れに上げていったというのが真相のようです。
窓も玄関も施錠も板張りもないので、完全に家と決別したようです。いつか戻ることを考えて置いていったものをキチンと整理している家も多いのですが…(そのつもりで結局放置になることが多い)
家に残るいくつかのパーツがこの家に女の子がいたことを物語ります。人形がいくつか、少女向けの漫画や読み物…男の子の跡が見られないので、跡取りのいないことが離農の直接原因でしょう。
それも自然の摂理。でも、人は現在がずーっと続いていくような気がして今の積み重ねと浪費の上で年老いていきます。そして終の日に何もなしえなかったことに悔やむのでしょうか?それとも『我が人生に悔い無し』と静かに逝くのか… それが一番理想です。
でも、ねこんは、まだ探し物が見つからないような気がするのです。こうして『夢の跡巡り』しているのは、心的に探し続けているのかもしれません。
そんな旅の中、廃屋は人の営みが色濃いので感慨深い気持になります。遠野物語の【マヨヒガ】に似たイメージを持つのも、そんな心の琴線に触れる素材が多いからなのです。そんな素材が2階にありました。
素晴らしくデザイン的な時計です。数字の一部は省略されていますが、この方がデザイン的にすっきりしています。位置によってデフォルメされた感じが機能よりも美を追求しているようです。壊れていなければ付加価値のつく代物です。
横溝正史や江戸川乱歩の文庫、他にもミステリー、推理小説がふんだんに残されています。角川文庫全盛期の斬新なカバーデザインの時代です。映画界進出で映画とのタイアップ戦略で爆発的に業績が伸びていたようです。角川春樹氏が時代を引っ張っていたといっても過言ではありません。
時代がえらく前後します。官製はがきが『5円!』。今の十分の一ですね。サイロから時代は、さほど古そうではなかったのですが、郊外の農家などは、市街地のようにゴミや廃品収集はこなかったので(不定期で業者が空き瓶や鉛摘出用に廃バッテリーを収集にまわることがありました)、物置や屋根裏の広さに物を言わせて置きっぱなしがレトロ化するようです。身内の家に20年前の『冒険王』や『マーガレット』が普通にあったことがあります。(現在から見ると40年前。さすがに今はないでしょう。)
いやー廃屋って、ホントに面白いものですね。(水野晴郎風)
(つづく)
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コメント
色々なお人形がありますね、早くうちの大作の旦那を見つけてください。
表紙のイラスト懐かしいなぁ〜、本屋で表紙だけ一生懸命見てましたよ(買って読まなかった)。こうして見ると本物のイラストを描ける人って少なくなったな〜。
投稿: カナブン | 2007年11月18日 (日) 22時49分
檀那は見かけませんね…
等身大は見かけたことがありますが軍人です。
投稿: ねこん | 2007年11月19日 (月) 00時03分