洞窟学園 ⑤
最上階へ上がる前、それ以前に外からの様子で奇妙なところがあります。
最上階の他に建物の全長の三分の一ほどの階(屋上続き)があり、そこの壁が壊されている様子…
ボイラーか何かをクレーン搬出した際の跡と思っていました。
近年に大掛かりな建物の調査が行われていたようです。
某建設設計事務所が関与したとされている鉄筋不足などの耐震強度偽装問題、いわゆる手抜き工事の事件が表面化し、全国の同建築設計事務所が設計施工した物件が調査され、問題のあるホテル・マンションなどでも同様の問題が露見。営業停止や住み慣れた所を離れなければならないなどのニュースが連日報道されました。
更に無関係の物件でも鉄筋の数、基礎体に木材などの端材が混入、シャブコン(またはシャバコン)と呼ばれる水増ししたコンクリートの使用他基本構造に適合しない建築物が調査の結果判明。
私たちが、その調査過程を目にする機会はあまりありませんが、この学校のようにこういった形で調査はなされていたのでしょう。ただ、ここは未利用ということでその程度が破壊的だったようです。
全国的に構造調査が行われた旨のニュースは伝わりますが、どこがどの程度調べられたのか、調べた後はどうするのか(鉄筋を壁裏レーダーなどを使わず目視レベルで確認すれば当然壁に穴は空くし)ということは伝わらないものです。
調査結果問題無しとされてもこのままで良しとは、決してならないでしょう。
いくつも大穴を開けられたままの屋上、そこから当然雨が侵入。調査はともかくこのまま放置では建物の崩壊が加速していくのでは? 現に雨水は1階にまで渡っています…。
事件は何となく沈静化…何となく風化。
調査は必要なことだったのでしょうが、いわれのない残酷な仕打ちをしてしまったような印象です。
各階に大量に滴り落ちるのは、雨水なんかではなく学び舎の悲痛の涙のようでした…。
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コメント
むむぅ。最後まで一気に読んでしまいました。
この物件、夢に出たことあります。
投稿: haru | 2007年11月13日 (火) 21時16分
なるほど・・・
でもこれじゃ身も蓋もないですね、使えないのか使わせないのか、それでいて解体しない。
まさに 廃墟 です。
投稿: カナブン | 2007年11月14日 (水) 00時36分
裏には大正時代創立の名門幼稚園があります。
子どもたちは毎日、箱庭のような遊び場で、そびえ立つコンクリートの壁を見て何を思うのか…?
投稿: ねこん | 2007年11月14日 (水) 12時54分