煉瓦長者 ①
『朱に交われば赤くなる』 赤い染料に触れるとたちどころに赤く染まるところから影響力の強いものに感化されることと例えられます。
『赤は命の色』 お稲荷さまの赤は自然の生命力、五穀豊穣を指します。
『スーパー戦隊』のリーダー格も『赤』 行動力と熱意と正義感の強さを示します。
『レンガは、なぜ赤いのでしょうか?』内容物の鉄分の量が多いと焼いたときに発色して赤くなります。要するに赤錆の色ですね。近頃は、淡い色のレンガもありますが、レンガはやはり『赤』が良い。
文明開化のときに建物に使われたレンガは、まさに文明開化の象徴として、また西洋文化を感じさせる色として当時の人々に印象付けられました。レンガが赤くなかったらこれほどまでに浪漫を感じさせる建築はできなかったでしょう。
レンガの赤が持つ浪漫は、どちらかと言えばアバンゲール(戦前派)に属するような印象があります。
アプレゲール(戦後派)側の我々は、コンクリートが象徴のようですが、レンガの赤に心の何かが共鳴するのは、血の『赤』が過ぎ去りし文明開化の浪漫を彷彿させるのかもしれません。それとも自らの魂が前世の記憶を失っても刺激的な赤の印象だけは覚えていたのかもしれません。
空の『青』と大地に降り積もった雪の『白』の中にあって、レンガの建物は、フレンチな印象を受けます。こちらは牛舎ですが、サイロも同一のレンガ製で、強度をあげるために途中まで二重構造になっています。(内包物が圧縮され下のほうに寄るので)
この地域は、レンガ工場が近くにあったのか同じような赤レンガ製の牛舎が点在します。以前はもっとたくさん作られていたのかもしれません。
一見頑丈なレンガも鉄筋などの骨材が入っていないことが多く、2×4建築のように壁自体が強度を持つように組み上げねばならず、1列づつずらして組み上げて壁の角同士を噛み込ませるランニングボンドという基本的ですが、組み方があります。倉庫によく使われていたことから柱をあまり設けられない建物には有効な工法のようです。
牛舎の屋根も赤錆がまわり同系色になって良い感じです。右側のコンクリートブロック製のものは、少々興をそがれますが添え物ということで大目に見ましょう。
内部にも赤レンガがふんだんに使われています。給餌槽、仕切りの壁(倒れてしまっている)まで贅沢に使われているのが印象的です。他所は建物外壁のみが多いのに対し、よほど大量に仕入れたのか、注文が大雑把だったのか、仕切りの壁にしたものの強度が出せず、無駄っぽかったようです。
給餌槽の上部が所々、面取りしたようになっているのは、牛がやったのでしょう。
酪農では、牛も塩っけを欲しがるので届くところにレンガ状の塩の塊『鉱塩』を置きます。
それと色が似ているらしく、ベーロベロ舐めていたようです。
この物件の魅力は、これだけではありません。まだ、画像には出ていないところがありますが、そちらは明日ということで…
(つづく)
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コメント
バベルの塔みたいですね、心憎い素敵な物件です。
廃墟ロマン派の私は、このような物件でセンチメンタルPhotoを撮ってみたいです。
投稿: カナブン | 2007年10月26日 (金) 08時17分
ああ、私のリクエスト(?)物件が次々と…。ありがとうございます。
こちらは雪の季節に訪問していたのですね。
しかし、なんと素敵な建物なのでしょう。鼻息ふんふん。
倒れた仕切りがすごく良いです。
私が古い煉瓦に興奮するのは、赤いからだったのですね。
投稿: haru | 2007年10月26日 (金) 20時36分
カナブン大僧正様:さすが見る目が違いますね。ここは、町からは危ないのと景観が悪い(?)ので取り壊せと再三言われているそうです。
はる師範様:ちょっと赤が目立つように補正してみました。
投稿: ねこん | 2007年10月27日 (土) 00時49分