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2007年10月11日 (木)

雛が翔ぶ ①

『枯れ木も山の賑わい』といいますが『廃屋も街の賑わい』とは、いかないようです。
廃屋やシャッターが下りたままの店舗が並ぶ街並みは、どうもいただけません。
そうは思っていても一般家庭の自動車保有率の高い現在、離れた町へ「良いもの」「安いもの」を探しに行くのは容易なことです。

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Dscf6637  いくら見苦しいとはいえ廃墟なるものは存在します。見渡す限りの草原の真ん中にポカンとサイロや古びた家畜舎が立っていて、遠方に海が見えるような絵葉書も『廃』がアクセントになっているようです。
 街並みの中の『廃』はどうでしょう。残念ながらアクセントとはいえず、単に幽霊屋敷的な印象が出てきてしまいます。なぜならば人が寄り集まる場所で人のいない家は本来の存在意義を失い、異空間化してしまうからではないでしょうか。

Dscf6642 ひとつの通りで1~2軒なら空き物件があるという程度ですが、5~6軒になるとゴーストタウンと思われても仕方がないです。その位、通りの活気はなくなります。
 この家は並びに数軒の空き物件(と言うより放置物件)と新建材のアパートに挟まれた格好で、すでに街に普通らしからぬムードを漂わせます。

Dscf6643   この家は店舗兼住宅なのでもうひとつの顔があります。「パチンコ屋」いわゆる風俗業です。それも現在のような電動式ではなく、手打ちの頃から営業していたような店です。後年は電動式を導入したようですが、狭い店内に無理やり台を並べていた規模と構造は、遊技場とはいえど、決して客にとって快適な空間とは言いがたい感があります。もちろん住んでいる人にとっても快適ではありませんが、それは商売なので、いたしかたないですね。

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Dscf6638Dscf6657   既にほとんどの台は撤去され、数台が残っている以外、配線が垂れ下がる穴だらけの店内です。破れた天井から雨がしたたるらしく、箱に残った玉も錆付いてきています。
 暗がりの奥、従業員が通る狭い通路の一角に社会の教科書で見たことがある脱穀機のような機械がありました。これはおそらく「玉磨き機」。

 パチンコ店というのは電動式が主流になって店内が眩いからなのか、陽射しが台のガラスに射すと見ずらくなるためか窓と言うのは、ほとんど無く廃墟となると今も昔もすっかり暗いところになってしまいます。ちょっと気も重くなるのでコントラストを求めて陽射しの射す方へ行ってみます。

Dscf6646  『おやーっ?』ここはドラマーハウスですか?スネアドラムが1台とシンバルスタンドが1基あります。ここで店内の音をカモフラージュにして練習していたのでしょうか?
 店に続きの住空間にしては、あまり生活感がありません。従業員の住み込み部屋のような感じです。薄暗い店内と違い明るい部屋に置かれた中途半端なドラムセット。特に川が破れているとか、古いとかではないようです。忘れるようなものでもないのに…
 壁の天井に近いところにジェームス・ディーンの写真などが貼ってありますね。どうやらジーンズに付いていたラベルのようです。
 こうして見るとジェームス・ディーンは、LeVI'Sを履いていたようですが実際映画で見られるのはLeeだそうです。LeVI'Sといえばジミーのイメージですが、ねこんは、映画評論家の小森和子さん、むしろ小森のおばちゃまといったほうがモアベターですね。

Dscf6647  この部屋で本当にドラムが使われたかどうかは計りかねますが、中・高校の学校祭といえば、にわかバンド。力関係で一番したの人が任されるのはベースだったそうですが、今でもそうなのでしょうか?

 朝日が差し込む部屋の中で黒光りするスネア。街の中で取り残されたこの建物のように賑やかな頃とは、うって変わってただ沈黙しています。

(つづく)

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コメント

パチンコ台の色彩が時代を感じさせます。
インチキ臭さくて人間臭い、そんな小さなドラマがあったような空間ですね。
昭和を感じさせる好物件です。

投稿: カナブン | 2007年10月11日 (木) 21時25分

本当に昭和は終わったのでしょうか。終わったのは明るい場所だけのような気もします。

投稿: ねこん | 2007年10月11日 (木) 22時49分

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