夢破れて山●荘 ⑤
それではDVDでは紹介されなかった危険地帯へ入ってみましょう。
ここに撮影時深入りしなかったのは、物理的に危険があったからでしょう。
さすがのストーリーテラーも物理的恐怖は苦手と見えますが…
それにしても床の没落が多い建物です。おそらく鉱泉の漏水が床下に入り込んでいたのでしょう。浴場付近が最もひどくてロビーへ向かう回廊の途中まで及んでいます。
両側の部屋はさほど影響していないので基礎の枠組みの形に浸水していったのでしょう。
しかし、ここでまた奇妙な感があるのは、建物の基礎に感じたことです
山沿いのこの地でしかも回りは水田地帯。
地中に浸透する雨水の排水が決して良いと言える地域ではないのではと思いました。簡単に水が抜けてしまう地盤であれば稲作には向かない。ましてや暗渠排水など入ってはいないでしょう。(対して水はけが良すぎる地盤はザルと呼ばれ、稲作は向かない)
当然地中に含まれる水の量が多くなりがちで、地盤は緩みやすい。
その地盤に対し、この『山●荘』は基礎に違和感があります。これだけの建物なのに基礎が低く、布基礎(主に一般住宅に取られる工法。難しいので興味のある方は調べてみてください。)らしい。奥の大広間に外から入るのに簡単にひとまたぎというのは、明らかに基礎も低く、床下換気も悪く、厚さも建物に合わない気がしました。それは地盤に対して有効な基礎工法ではなかったように感じます。(地盤の強度などにより工法は変わりますが、ある部分から建物全体が大きく傾いているのは、基礎の沈み込みと思われ、ここには適切な工法ではなかったのでは? しかし、70年代初頭の建築常識と現在は必ずしも一致はできません。少なくともいまだに立っていられるのですから)
別棟の半焼していた棟は別としてもロビー奥の崩壊は単に積雪による倒壊ではなく、基礎の沈み込みによって剥がれるように倒壊したのではないでしょうか。築年数がそれなりとはいえ、壊れ方は尋常ではありません。 近年になって欠陥住宅ということが聞かれるようになりましたが手抜き工事とは別に技術の伴わない工事があります。例えば、2階建ての住宅しか建てたことの無い業者は技術的に3階建ては可能(1階増やすだけという考えから)ですが強度計算からすると各階の柱や基礎の構造は変わって然るべきなのです。そのようにここが最適な方法による建築だったとは言い切れません。ここより古い建物が壊れず立っている現実からすると。
いずれにしても既に時効でしょう。(そこまで追求するほどプロでもないし…)
大広間に至っては、大地震の跡のような状況です。ここまでは漏水の影響は無いのでフロントの崩壊時に柱の根太(ねた)がひっぱられた結果ではないかと思われます。奥のステージ部分は無傷ですし…
壊れ方の割にいまだにこの形を保っていられるのは構造的に無理のかかった部分が剥がれたというのが妥当ではないでしょうか。いずれにしても雨風が容赦なく吹き込む形になってしまった以上、崩壊が早まるのは間違いありませんが…
さて、噂の階段より上ですね。どうやって登ろうか思いましたが…
(つづく)
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コメント
1万HITおめでとうございます!
ここの2階に行ったんですか?
wktkして待ってます(笑)
投稿: のん | 2007年8月 6日 (月) 15時15分
のん様 ありがとうございます
しばし、階段の前で考え込んでいましたが、めったに来れないんだしーと上がって行きました。
あの階段、あれだけ崩壊しながら登るとき揺れも軋みもなかったので、見た目より頑丈だなーと思いました。
投稿: ねこん | 2007年8月 6日 (月) 16時20分
やっとUPしました。
実はこの畳の歪んだ大広間行ってないんですよマジで、見つけられなかったというか、
他サイトで見てはあれっどこだろうって感じです。
投稿: カナブン | 2007年8月 6日 (月) 23時27分
よほど例(霊?)の音にブルッたのでしょうか?
ねこんには聞こえませんでした。近くから子どもの叫び声は頻繁に聞こえていましたけど。
しかし、あの階段の前でも寝転がるのは、さすが師匠です。
不安定なアングルが物件の雰囲気を色濃く演出しています。
投稿: ねこん | 2007年8月 7日 (火) 10時18分