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2007年7月14日 (土)

開拓の窓から ①

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Dscf3303 町の礎が築かれたこの地区。つい数年前までは、ここも道道に面していましたが幹線道の直線化に伴ってこの辺りは町道に降格し、今では住人と除雪車とキタキツネしか通りません。最初の開拓から1世紀を越えて現在は離農跡も目立つようになりました。

 山沿いの農家跡のすぐ近くの山際に小さな小屋が見えました。たぶん農家の物置だろうと思っていたところ、スコープで見てみると窓際にカーテンと横に煙突が見えました。
「すると家?」これは何かありそうです。

傾斜のある荒畑の脇を通って近くまで行ってみるとこちらと家との間に小川だったようですがけっこう深い溝が出来ていました。融雪水か大雨の折に川底が抉られてこんなに深くなったのでしょう。ここまで来て遠くから回り込むのも面倒だしとダメモトでジャンプ!…落ちた!ら嫌なので少し登ったところから回り込みました。

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 屋根も壁も波トタンが張られて、屋根に落葉松の葉がこんもりと積もっています。
角に急ごしらえで作ったような木製のドアを見つけました。窓は無く、風で開かないように針金で固定してあります。中を伺ってみましょう。
Dscf3308 Dscf3307 『ほー!』これは、古い!明らかにここに暮らしがあったようです。壁にかけれれたままの衣類、ダルマストーブ、薬箱。そして兵隊の持ち物らしい飯ごうが壁にかかっています。
記名はありませんでしたが、場合によると戦後引揚者が入植していたのかと思い後日、地域開拓100年史を調べてみると近くの農家はありますがこの家に関する記述は見つかりませんでした。「やはり、近くの農家のものかな…」と少し納得仕掛けた時、図書館の蔵書検索でもう1冊の開拓史(80年史)の存在を確認。活版刷りで文字がずれ放題の来住者一覧をひとりひとりチェックすると浮かび上がりました。

 「昭和20年10月23日 終戦開拓者として東京都から入地。営農6年後、昭和27年4月千葉県へ転出」とあり、住所も一致します。入地の翌年、兄弟と思われる人が訪れていますが遅れること2年後に埼玉県に転出していました。飯ごうはやはり軍給物だったようです。

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Dscf3318  実に短い期間の開拓従事ですが、その6年間この小さなトタン張りの家で極寒の冬を過ごしたのでしょう。そんな自然の厳しさに限界を感じたか、目的を達して新天地を求めたのかは分かりませんが今は彼の地で子や孫に囲まれて何不自由ない暮らしを得られたことを望みます。彼らがこの地で残した功績は、実りとなって今も受け継がれているのですから…

 それにしても物持ちがいい家ですね。

(つづく)

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