ブロークン・バック・マウンテン ①
管内にある神の住む山 霊峰T山。
山裾には「四国八十八箇所」も祀られており地域と周辺の厚い信仰の舞台となっています。
毎年、山開きの折は火渡りも行われ、独特の宗教観も繰り広げられた信仰色の強いところですが山は軽登山の地としても人気があり、山裾に開かれた参拝場も一般に開かれていて、一帯は凛とした空気の漂う不思議な雰囲気のあるところです。 その霊峰を近くに仰ぎながら一時、地域全体を巻き込み騒然とさせた新興宗教の問題もかつてあったこの地。真相はともかく静かになりました。今や林道のようなわき道に結構な数の別荘も点在して、第二の人生をこの地で楽しむ人も多く見られます。
もちろん農家も点在しますが、往年よりもその数は激減して耕作地はあれども管理している農家は見当たらないほど広大な土地。東を仰げば遠くまで田園風景が広がるこの地の脇にこの家が存在しました。
サイロを1基携えたこの廃屋は、酪農家の跡でしょう。サイロの根元に竣工年度が彫られているようですが彫り間違えたのか「四」の前の字が怪しくなっています。サイロの形状から言って「昭和三十四年」とするのが正解でしょう。
離農期は読めませんがその後、新たな居住があったようです。『ドッグ・ブリーダー』こういう業種がありますが意外な場所に意外に多い。始めは鶏小屋のように思えたのが痕跡から中に飼われていたのは犬であるようです。
一見、ペット産業に関わるにぎやかな商売が暮らしは質素であることが多く、経営も長くはなかったようです。一時期、低資金で始められ、爆発的に広がりながら需要の問題か何かで斜陽も早かったのでしょうか。看板も無く、小分けした小屋や檻はありますが運動場があるわけではなく、どこか工業的生産を感じさせるのは実情を知らない自分の偏見であるのかもしれません。
飼い主の愛情をいっぱいに受けて素直に応える犬達。その濁りの無い澄んだ目の奥には飼い主の知らない影のドラマがあったのかもしれません。たとえ筆舌しがたいことがあったとしても彼らにはとっくに忘れた昔のことなのでしょうが…
(つづく)
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コメント
ルイドロらしい個性派物件が続きますね。
「開拓の窓から」これはまさにタイムマシン、主人が今にも帰ってきそうです。一度ここに泊まって開拓の空気をじっくり感じたいよう思います。
ルイドロは牛より犬が得意とはちょっと意外です。
かなりそそられる好物件です、今時季はどんな感じでしょう気になります。
投稿: カナブン | 2007年7月16日 (月) 08時18分
『開拓の窓』の当時は斡旋された国有地に入植しましたが現在は国有林です。
緑が生い茂ると見えなくなってしまいました。
地域監修の開拓史に載っていたので近隣と交流はあったと思われます。
これだけの形で残されたのは林の中で、しかも小さな家というのが幸いしたのでしょう。そして、松葉というのは殺菌作用があって雑草や腐敗菌の繁殖を抑えていたのではないでしょうか。
ケンネルの類は中に入って始めて気がつくように廃酪農家を利用して経営していました。投資の割に見返りが大きいという触れ込みがあったのか多いように感じます。そして『吼え』対策として、えらく僻地で開業していました。
いまのところ物件では養豚場と養鶏場も持っています。馬関係はやはり師匠の方が詳しいのかねこんはまだ出会っていません。(見てはいるかもしれないが『これが厩舎だ!』というのを知らないからかな?)
投稿: ねこん | 2007年7月16日 (月) 09時00分