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2007年7月27日 (金)

さよなら枝肉空母 その5

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 新棟も既に歳月が経ち、屋根の鋼板も錆が目立っています。あちらこちらに社名の看板や系列会社のロゴなど建物の東側外観は自己主張の発展場です。剥がれ落ちたロゴやマークの一部が戻らない日々を想わせます。

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Dscf2407  この数年の間に地元食品関連業界も様変わりしてきたようです。
 郊外の田園風景も農産物はほとんどがビート、ジャガイモ、豆類、小麦、稲作、スイートコーンなどでしたが、稲作はほとんどが姿を消して用水路や水門が形ばかりに残っています。他の作物には変化は、さほどありませんが流通用の野菜栽培が増えたように思います。ひと昔前は、せいぜい漬物用の白菜、大根がほとんどでしたが、現在キャベツ、ブロッコリーなども増加しています。

Dscf2400  肉類は一見、変わりないようですが、スーパーでは原産地表示(もちろん野菜もそうですが)されていて、アメリカ・オーストラリア・中国・インドネシア・タイ…日本は輸入大国なんだなと実感できます。街のスーパーには意外と輸入食品が出まわっていて変わったものが食べられる世の中です。ものが手に入りやすくなったというよりも流通が変わってきたように感じます。

 食販業界も生き残りをかけての企業合併、グループ化などが行われています。その過程で当然、流通形体も変化し、長年続いた業者の付き合いが突然切られるようなこともあって、この工場がその渦中にあったというような話も聞きました。

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 発電機、空調機、加工機械などがいたるところで屍のようにその身を晒しています。
これらがけたたましく、あるいはスピーディーに動き続けるさまは、稼動期を知らないものにとって想像の域にしかありません。

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 暖冬の冬。最初に入ったときに場内に聞こえるのは融雪水で水没したボイラー室周辺の水滴が落ちる音だけ。それは、命の糸が切れんとするときの弱々しい心音のように感じて耳から離れませんでした。

                                             (つづく)

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