コンクリートの海 祈りの島 ①
明治5年。時の新政府は11月5日にある大政官布告を発した。あまりにも突然で強引な─それが知る人の少ない山の奇妙な歴史の始まりでした。
ここは札幌市の西部に位置する丸山。標高226メートルの小さな山林のその姿は周囲を建造物群に地平線まで取り囲まれていて遠巻きに見ると、さながらコンクリートの海に浮かぶ小島のようです。園内には北海道神宮をはじめ、動物園・球場などが整備されています。
この日、開花宣言はまだ発表されていませんが桜が2分咲きで多くの市民が花と焼肉に酔いしれて、香ばしい煙があちこちで立ち昇る中、一心に登山道へ向かう「ねこん」には辛い行脚でした。
登山道入口に到着。焼肉の香りをおかずにおにぎりをいただいてから装備をチェックしていざ、丸山へ…といっても市民も日常的に利用する軽登山道(散策道)ですが。
登山道入り口と言いましても少し物々しいですね。それというのもこの登山道は神宮側に弘法大師(空海)を祀る大師堂があり、山道は四国八十八ヵ所にちなんだ観音様が祀られています。そのためか、不気味な雰囲気もありますが市民もごく普通に登っていくので後ろに従って山道を登っていきました。上り口には恐ろしい表情の馬頭観音、不動明王などが祀られています。
各像の台座には番号と寄進者の名が刻まれています。主に大正・昭和期に設置されたようです。名前が刻まれていることから墓所と勘違いする人もいますが本来、四国地方に空海ゆかりのお寺が八十八ヵ所あり、師の業績をたたえて88のお寺を結ぶ1,400㎞を通称『お遍路』として現在も巡礼されています。これを模したものが日本各地に形成されて、この丸山も現在の形になりました。
登り始めてほどなく現われるカツラの大木。こんな木がところどころにあるのが「天然記念物丸山原始林」の所以です。大蛇のようにのたくりまわる太い根と観音様。「悟り」に向かって菩提樹の下で最後の瞑想に入った仏陀を連想します。
山際まで建物に囲まれた陸の小島の中にこんな大木が当たり前のように残っています。
休日であるのも伴い、老若男女・諸外国の人たちも登るこの山。体力づくりにほぼ毎日登る方もいて、この山の数奇な歴史に関して聞いてみましたが現在、それを知る人はそれほどいなかったようです。
(つづく)
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コメント
写真の分析をじっくりさせてもらいました、ユーモラスな部分がたくさんありますね!「いろはにほへと?」や頭の馬とか。
こんな素敵な場所なのに他で写真を見ることがほとんど無いのが不思議です。
なるほど、この場所で私のホラ吹きメールを受け取ったんですね。
投稿: カナブン | 2007年6月28日 (木) 19時24分
そーいえば…そんなこともありましたね。
ちょうど頂上でした。
投稿: ねこん | 2007年6月28日 (木) 21時42分