砲弾サイロ
北海道の風景に無ければ絵にならないものはたぶんサイロでしょう。
その素材は様々で、左のような本体がコンクリートブロック製のもの。赤レンガ製。軟石ブロック製。コンクリートブロックにモルタル塗り。完全鉄筋コンクリート製など…
代表的なものはコンクリートブロック製で先端部が鉄板葺きの屋根のもので、風景写真にもよく登場します。
でも、そういった風景写真に出てくるサイロはポツーンと建っていて明らかに離農跡か遊休サイロのいずれかです。無ければ絵にならないもの、それがほとんどの場合『廃』なのです。そういった風景写真に北海道の雄大さよりも心の隅でくすぶる空虚な感じが付きまとうことは否めません。
これら全てが、すなわち離農を指すわけではなく、酪農家の経営規模拡大で搾乳頭数が増加。冬季給餌用の備蓄庫だったのも通年給餌になり、複数のサイロを持つ農家。さらに巨大な新建材製マンモスサイロの建設。それすらも手狭になるほどの飼育牛の飼育でバンカー式という古墳状に平に積み上げビニールで密閉するものが今の主流なようです。
新建材製は密閉性に優れて腐敗が少なく、内部に自動排出装置を備え当初は便利なものでしたがその機械が数年で内包物の酸にやられて稼動しなくなり、高層部まで登って手作業で排出という返ってわずらわしいものになったようです。同時に優れた密閉性が災いして作業中に発酵ガスで中毒死という痛ましい事故も聞かれました。安全性・効率性を考えると今は絵になりませんがスタック式が主流のようです。
そのため、後発型のサイロも遊休状態ということが少なくありません。
今や象徴的な存在となったサイロは、農家の庭先で余生を楽しんでいるように見えます。その地域によってサイロの形、色、素材、工法が異なって見比べると面白いものです。
今回の物件もこの地域ではあちこちに現存しますが。他所と比べると屋根までモルタルを使用するのが特徴的です。ほぼ築70年級のその姿は巨大な砲弾にも見えます。
酪農の状況を知らない旨には、鉄板葺きの先端部分を持つ代表的なサイロは住宅と思われているようですが、このタイプはどのように見えるのでしょうか?
【遊休サイロの不思議】
どういうわけか、こういったサイロの下や近くには犬(番犬)がよく繋がれています。
どうして?
今日のわんこ。 人懐っこすぎて番犬にならないサイロ守。
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