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2007年6月15日 (金)

緑に抱かれたユリの花 ①

Yuritop まだ、本格的な夏は先とはいえ、暑い日が続く北海道です。
 緑に覆われたこの辺りは新道が整備されて一時の喧騒から開放されたため、命の短いセミ達には天国です。この日も会話が聞きとりずらいくらいセミが命の喜びをたたえあっています。

 しかし、セミの声を聞くとただでさえ暑いのに尚更暑さが増してきます。
 余談ですが、「音のしない世界を音だけで表現する」にはどうするかご存知ですか?
 答えは明日にしますので考えてみてください。

 今回は、酪農王国十勝を離れて緑鮮やかなホテル跡にきました。
 桜の季節がついこの間だったような気がしていたのにいつのまにか葉がこんなに増えていい季節です。
 とかく、手入れの行き届いた庭では雑草は邪魔者ですがこういった『廃』の風景においては充分彩りになります。もちろん、「過ぎたるは及ばざるの如し」ですが。

Dscf5642  こちらのホテルは昭和40年代の造りとされてカレンダーなどから昭和53年ころに閉められたとされています。実際には物証からそれよりも2年は管理者の出入りがあったようです。巷ではラブホテルということになっていますが一般宿泊も可能だったようです。ただ、郊外のカーホテルとなるとどうしてもラブホテルという印象が先立ち、日常的にお客は男と女のカップルということになります。

Dscf5683  ホテルの名は「ユリの花」の意。ただそれだけではなく、管理人の奥方の愛称を名前に使っていた印象もあります。
 創業時は地域でも先駆ということもあり、素泊まりで安価な宿泊所ということも手伝って利用者も多かったようです。
 現役時、高台に建つこのホテルは雑多な木々も今ほどうっそうとした雰囲気ではなく、それなりに整理され、市街地近郊でも自然の空気を感じられる絶好のロケーションであったことでしょう。
 今も聞こえるセミの音のほかに小鳥のさえずり、遠くから聞こえるカッコウの呼び声。それら自然の賛歌は当時も聞かれたことでしょう。

Dscf5711

Dscf5645  一家は当ホテル在住で家族構成は3人。全員従業員として受付と客室清掃に従事していたのか保健所の登録人数も3人です。奥方は美術に理解のある方だったようで、画友会などからのお礼状も見かけられました。
 そのためかホテル内装にも適度に自然木があしらわれて、現在のようにムードを誇張ぎみで窓は現役時から窓を鎧戸で目張りのラブホよりも山荘的開放感があったようです。

Dscf5644_1   ただ、客室に全室、最高の日当たりを想定したため(郊外で2階でもあるためプライバシーはカーテンで充分)管理人宅の居住空間はちょっと可愛そうなくらいです。
 客室前は広いスペースを取りながら管理人宅はこじんまりとして洗濯物を干すのもままならない感がありました。

Dscf5652  昭和50年代、比較的安定した暮らしを維持できた家業に陰りが出始めました。花の盛りが過ぎたようです。
 1日の利用者が休息・宿泊を含めて2~3組にまで落ち込みます。幹線道の充実、同業の登場、お客さんの嗜好変化など…料金の値下げで集客の回復を試みますが、他所同様に宿泊施設というだけでなく付加価値をつける大胆なリニューアルを加えなければならない時期に来ていました。

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 同じころ、我が子の一生を左右する進学が控えていました。

(つづく)

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コメント

他のサイトでは夜の写真が多いですよね、これが噂のユリですか。
電話の写真を見ると各部屋が花の名前になってますね、つばきもありましたか?

投稿: カナブン | 2007年6月15日 (金) 13時42分

当のお部屋自体には部屋名の表示がなかったようでした。
アヤメやボタン等で当然椿もあると思いますが客足の減少で宿帳に記載される部屋は、常に2、3室。文字の判別がつかなくなったものもあるので実際の部屋割りが図れませんでした。

投稿: ねこん | 2007年6月15日 (金) 14時05分

こんにちわ、昨日からユリホテルのギャラリーを拝見させてもらってます!

で、トップページの「◯リ」の画像、凄過ぎ!!
(画質が超綺麗ですね!)

もしかして、ニコンのデジタル一眼カメラのD3とかお使いです?

色々な廃墟系サイトを今まで見させてもらってますけど、さすがにこのくらいの高画質な画像は初めてです!!

投稿: minamide | 2008年1月24日 (木) 07時42分

http://ruinnekon.cocolog-nifty.com/photos/yuri/index.html

こちらのトップページに記載されている画像を撮ったカメラの詳細希望でっす!m(__)m

やっぱ、ニコンのデジタル一眼レフカメラなのかな。。

投稿: minamide | 2008年1月24日 (木) 07時49分

minamide様 始めまして
そのようなもったいないお言葉を頂きますと恐縮というよりも赤面してしまいます。
「北海道廃墟椿」のカナブン師匠が読むと笑われてしまいそうです。
カメラは Fuji FinePix V-10 コンデジ(愛称:ルイン君)です。主にファインモードで撮っています。
ねこんは撮る位置を決めているだけで後はルイン君の力ですね。
写真を語れるほど感性や知識は持ち合わせていないものですから。
そして打ち捨てられた「●リ」を見捨てなかった緑と初夏の太陽がその姿を最高に見せてくれたのでしょう。
同じ場で同じものを見ていてもカメラは明らかに違う時間を切り取ります。枚数はやたらと撮るので、正直自分で撮ったとは思えないこともありますね。
先端でサイト運営している方にも「カメラじゃなくて見せ方ですよ」とお言葉を頂いてから、それを肝に命じてはいるつもり…
物件自体がこちらの意図まで分かってくれるとまでは言えませんが、撮らせてくれる所・そうでない所はあるように感じます。
霊とかは別として…

もったいないお言葉ありがとうございました。
即答できず申しわけありません

投稿: ねこん | 2008年1月24日 (木) 09時23分

こんばんわ!

びっくりしました。
最近の一般的なデジカメってこのくらいの高画質で撮れるようになったのですね。(素晴らしい)

そう言えば、この物件、結構な曰く付きだったと思います。
その後何か変わった出来事とかなかったでしょうか?
何もなければ良いのですが。

今後もこのような曰く付きの物件を探索なさられる予定であれば、「護符」をダウンロードされてお持ち下さい。(手ぶらより、ずっと増しなはずです。)

学研のページに置いてあります。
http://www.gakken.co.jp/mu/download/gofu.html

純粋な廃墟マニアの方にこのようなお話をするのは御法度で申し訳ないと思いますが、ここで霊的な現象が夜間(深夜)、度々報告されており、僕自身もこの世に霊的な存在が全く皆無だとは思えません。

「とりあえず、念のため。」と言った形で忠告させて頂きます。m(__)m

投稿: minamide | 2008年1月26日 (土) 03時23分

minamide様 返信ありがとうございます。
ご忠告ありがとうございます。肝に命じて機会があれば「護符」は使わせていただきます。

「霊」に関して肯定も否定もしません。
昔、数回説明不可能なスナップを撮ったことはあるので「目に見えない存在」は確かにあるのだと思います。
たかだか520万画素の節約モード、片手撮りなのであのような絵が撮れたのは物件の魅力。もしくは物件自体が他愛も無い真意に応えてくれたのだと思います。

『ヤマユリ』をテーマに選んだのは、『花の名を持つ場所が疚しき所になっていること』です。
「そんな場所を私なりに優しく飾ってみたい」

それをする以前に現場は緑や鳥のさえずり、初夏のセミの声に包まれたところでした。

ここにそんな忌まわしいことがあるのだろうか?

事件・噂など隣家からおおよその情報は取れました。
それで一笑に伏されるような小さなサイトですが、他所とは異なる扱いをさせていただきました。

隠れた別の真実があるのかもしれませんが、それはわかりません。事件とは別に隣家が憤慨するようなことがここを舞台にたくさんありました。

そういったことに関してのアンサーが「緑に抱かれたユリの花」なのです。

物件自体がこちらに好感を持ってくれない所もありますけどね。

敵意がないのだから 丸腰の相手のところには、こちらも丸腰で行きたいのです。だから今のところ防御はしません。そういう時間にも行きませんが…

廃墟探索といっても 無信心とか単なる観察ではないと思うので道祖神とかには、簡単なお参りはするようにしています。

生意気なことを語ってすいませんでした。

ねこん

投稿: ねこん | 2008年1月26日 (土) 11時20分

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