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2007年6月 1日 (金)

石亀、平和の海へ帰る ③

Dscf4765

『猿の惑星』…ではなく、A浜トーチカです。

 トーチカ その製作行程は…
●1m程度の深さの穴を掘る
●そこにコンクリートを流し込み自然乾燥で3日ほど置く(土台)
●土台の上に型枠を置き、コンクリートを流し壁にする
●最後に上部のふたを作る
●銃眼が覗く程度に土を被せ、草を植えて隠す。

Dscf4760  1基、おおよそ1週間で作られましたが、実際はかなり雑な造りでセメントの中に20㎝級の石までじゃんじゃん投げ入れていたそうで、たまに木杭まで入り込んでいるのが見えます。

 工兵は皆、口に出さないまでも敗戦ムードの高まった対戦末期。空腹の中、実戦にはとても使えそうもないトーチカ製作もとにかく早く終わらせたい一心での作業でしたが『負け戦』と分かっていたような状況で作業に身が入らなかったそうです。

Photo_13  トーチカ製作には、地域住民の労力も大量に投入されたことから全くの軍事機密ではなかったらしく、構造や使用目的は、ほぼ筒抜け状態で、実際の戦況は知らされないまでも何のためにここにトーチカが築かれるのか(米軍上陸の備え)は簡単に予想できました。 
 ただ、地域住民にとっては農作業との平行であったため大変だったようです。

 結果的にこのトーチカ達は戦後もこの地に残され、現在まで生きながらえています。その間、埋められて外側から伺えなかった姿も海水の浸食により白日の下に晒されました。
その姿は、まるで海原へ向かって這い出していく海亀の姿にも見えます。

 海からやってくる脅威に対して据えられたトーチカ。
この石亀たちが海へ向かうのは、いまや脅威は海ではなく陸に見たからなのだろうか…
 やがてこの群れが完全に海中に没したとき、陸はどんな世界になっているのでしょうか。

Dscf4779

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