« コンクリートの海 祈りの島 ① | トップページ | コンクリートの海 祈りの島 ③ »

2007年6月29日 (金)

コンクリートの海 祈りの島 ②

Dscf3926

Dscf3945  昭和21年、登山口の大師堂の世話役が、丸山頂上で半ば土に埋もれた石を起こしてみました。
 すると、正面に「山神」、側面に「明治五年十二月」の文字が刻まれていたのでした。

 何故、この山に「山神」が存在しているのか?
 何気なくみていると、どうとも思われませんが山神は、山を仕事場にする者(造材・採石・採炭・炭焼・トンネル工事等)が祀る習慣があり、山岳信仰に端を発するものと考えられるそうです。
 すなわち、この山は何らかの作業場であったということです。
 更に「山神」は別名『十二様』とも呼ばれて1年に12人の子を産むとされ、産神の性格を持っています。農作物・林産物・狩りの獲物など山の幸を生み出してくれる守護神で女性の神です。
 「山神」の祭日は、その職業集団により月が異なりますが主に「12日」。これも十二様との関係があるようです。

Dscf3947  丸山の山神は「明治五年十二月」の彫り込みは、ありますが日付がありません。これは、正式な建立がまだ行われていないおそれがあることをものがたります。

 大師堂世話役により発見された山神は、発見場所に仮安置してお参りされていましたが、昭和31年、再び倒れるおそれもあることからしっかりした基礎が必要になり、世話役は知人を通じて札幌地区林材協会に話を持ち込みました。
 協会では、木材業者の守り神でもある「山神」を近くに祀りたい考えもあったため、同協会により、石組みの基礎台を付け、祀られることになりました。
 近年まで鳥居も据えられていましたが現在はありません。「山神」を正面に見てすぐ右方(山の南方あたり)に岩場があり、地平線まで続く、家波(本来なら「甍の波」と言いたいところ)が絶景を作ります。

Dscf3950

 山に登って感動するのは、山自体ではなく自分の足元に広がるものに対してなのですね。

Dscf3961  「山神」正式建立の話が成されていた頃、札幌史編纂委員によりこの山は明治五年当時、石材を採掘する現場となっており、碑はその人たちによって建てられたのであろうということが分かりました。
 昭和31年9月12日山神碑の復興際と明治五年以来85年にあたることから「丸山山頂山神碑創設八十五周年記念祭」が行われ、2年目以降は札幌地区林材協会が引き継ぎ毎年例祭として祀られています。

 ところで、丸山を現場とした石工達は、「山神」をこの場に残してどこへ行ってしまったのでしょうか?           

(つづく)

|

« コンクリートの海 祈りの島 ① | トップページ | コンクリートの海 祈りの島 ③ »

コメント

おはようございます、ここはこんなに素敵な場所だったんですね。
普段よく見る観光パンフなどから、その場所の魅力が伝わることはあまり無いように感じます。正統派観光地の新たな魅力を引き出すのも我々の役目かもしれません、と思ってみる。

投稿: カナブン | 2007年6月29日 (金) 08時53分

 この山は、時間の有り余っていた学生時代に何となく登って、その原生林と八十八ヵ所の雰囲気に圧倒されて、また登りたいとおもっていた所です。調べていて意外な側面があることを知り、先日確認調査しました。北海道に限ったことではありませんが時間に忘れられた奇妙な現場というのは結構あって、そういうものに出会うのは嬉しいっすね。
 難を言えば、急斜面と天然記念物保安林なので登山道外の調査がうまくできなかったことです。山際まで家があるので、降りてみると私有地というところが多いので。

投稿: ねこん | 2007年6月29日 (金) 09時59分

カナブンさん
>正統派観光地の新たな魅力を引き出すのも我々の役目かもしれません
いやホント、そうかもしれませんよ。
ちょっと意味は違ってきちゃうかもしれませんけど、
私、廃校巡りで十勝のいろんなところをまわってきて、
偶然に十勝の「隠れ観光地」を見つけたりしますし、
地元のご年配の方々が大事に守っている歴史も触れることができたり。
そういうものって、意外と地元の人も知らなくて、
どうして町外のあなたが知ってるの?って驚かれたりします。

投稿: haru | 2007年6月29日 (金) 19時38分

今回ねこん先輩がUPした場所、私には動物園しか思い浮かびませんでした。
ホント観光協会はなにをやってるのでしょう、いや私が無知だったんですね。
廃墟サイトで汚れ役をやってる身ですが、北海道を愛する気持ちは正統派の方々と同じです、
廃に関係なく北海道の魅力を見つけていきたいですね。


投稿: カナブン | 2007年6月29日 (金) 22時39分

haru様 今頃、札幌で元気に調査活動していることと思います。意外に時の忘れ形見は、たくさんありますよね。世の中のスピード化・合理化の波にもまれて色々なものを見失わないようにしたいです。

カナブン大僧正様
カナブンロード延長工事ご苦労様です。
あえて汚れ役に徹するのではなく、その誤解を向上させるのが我々の役目です。いつまでもサブカルの立場に属しているわけにはいきません。と思ってみる

投稿: ねこん | 2007年6月30日 (土) 15時05分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: コンクリートの海 祈りの島 ②:

« コンクリートの海 祈りの島 ① | トップページ | コンクリートの海 祈りの島 ③ »