廃ボウリング場の闇に潜むもの 潜入編②
入口からロビー周辺にいます。フロントやレストラン(カウンターのみの小さなものだったようです)など残されているものが結構あります。
貸しシューズ券の自販機があります。貸し出し券の販売機でしょうか『50円』やっぱり安い。現在は300円ほどするそうですから…これが「オイルショック」を迎えた頃の価格かどうかは不明ですが、当時のガソリン価格が前年(73年)の50円程度からオイルショックを迎える翌年、100円にまで値上がりするという驚異の上げ幅で工業製品もその打撃から高騰。当時の食料品を含む流通品の価格は5割増しから2倍という現在の物価上昇率とは比べ物にならない値上げが続きました。この時もやはり当時の中東情勢が関係しました。
物不足からお金があっても買えるものがお店にあるのか?という不安にさいなまれる状況もあったそうです。
『●ボウル』の親会社は、さらに原材料の生パルプ価格の高騰から他業種よりもはるかに打撃があったようです。おりしも巨人軍、長嶋茂雄引退の年。
世相も終末観が射したのか『ノストラダムスの大予言』『エクソシスト』などの世紀末的映画やオカルト映画が公開されています。そんな世の中、ボウリングブームの衰退以前にそんなご時勢ではなくなったことでしょう。
探査に戻ります。券売機の近くにシューズ貸し出しのカウンターがありました。特徴的なのは棚に書かれたシューズのサイズ表記です。24.5㎝の表示に『10.3文』との表記もあります。1文がおよそ2.4㎝で、当時はジャイアント馬場が現役全盛期で『16文キック』なる技(?)もあったほど、単位として『文』はまだ普通に使われていたのでしょう。こういう発見は嬉しくなります。
カウンターのみのレストランは10席ほどのカウンターに囲まれた小さなところです。奥にはわりと大きな厨房があるのでカウンター席以外にもロビー部分にガーデンテーブルなど置いてオーダーを受けていたと思われます。写真でもいいから栄華のころが見てみたいですね。
この場を離れ、回りの様子を伺うと階段がありました。ロビー部分には2階があったのです。階段の造り自体はまだ、しっかりしたものですが鳩の糞だらけ。それも厚みがあるのでなるべくさけるようにしながら登っていきました。
上段の踊場からホール方向を伺うと闇のせいもありますが建物の外観以上に奥行きを感じました。
しんとした空間に時折、正面の板張りの木材が夜の冷え込みに伸縮して『ピキッ』というような乾いた音をたてます。別な言い方をすると『ラップ音』というのでしょうか?天井部分も徐々に崩落していくようで屋根裏の鉄骨が覗いています。この強固なフレームが壁や柱のほとんど無いこのホール全体を今も支え続けているのです。無機質な色合いに変わった内部に花を添えるかのような鮮やかなオレンジ色が美しい…
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コメント
なるほど、エクソシストはこのために。
友の会のイラストの作者はあの方だろうか?
なかなかしびれる展開です、どんどん奥へ行きましょう。
投稿: カナブン | 2007年5月23日 (水) 12時21分
ところで師匠と見こんでお聞きしますがジャイアント馬場氏の32文キックは可能だったのでしょうか?16文キックも目の錯覚か相手が勝手にぶつかってきたように思えましたが…
投稿: ねこん | 2007年5月23日 (水) 12時52分
32文キックではなく、確か32文ロケット砲って名前だったような気がします。
投稿: リンド | 2007年5月23日 (水) 18時31分
そーでしたか…飛んだんですか?
昔、試合中にブーツを脱がされたことがあったそうです。相手は忘れましたが。
G島の計画は順調ですか?
投稿: ねこん | 2007年5月23日 (水) 22時09分
ジャイアント馬場さんの足のサイズは実際16文なかったそうです、私はビューティーペアのファンだったため正確な文数はわかりません。
そしてなぜ相手は16文キックを受けるのか、それは我々が痛い思いをしながらも廃墟に行くのと同じです。
プロレスは鍛えた体で相手の技を受け耐える姿をお客さんに見せなくてはいけません、総合格闘技のようにただ一方的に攻めて相手に怪我をさせてまで勝つものではありません。
我々も日々廃墟と格闘してますが廃墟に勝ってはいけないのです、自分は廃墟の魅力を引出す負役でいいのです。
サイト運営も常に底辺にいる負け組でいいのです。
投稿: カナブン | 2007年5月23日 (水) 22時29分