幻の公園 Ⅱ
公共施設で、これほどの失敗作はみたことがありませんが測量とか事前調査でこれほどの有様になるのは単に設計ミスというものではないのかもしれません。河川といってもこの付近だけに流れているというものでもありません。流域の町で何らかの治水工事があれば、水際の微妙なこの公園は簡単に水没してしまうのでしょう。
ここから下流へ下ったところの町に堰堤があります。川の水位を任意に上げて水田に水を引きやすくする設備です。これによって、流域の町では稲作が盛んに行われました。
同時にこの堰堤に遡上してきた鮭が飛び跳ねて遡上していく光景が見られ、ひと昔前までは観光ガイド誌に載るほど地域の重要な観光スポットとなっていました。現在ほど北海道のような寒冷地向け品種があったわけでもなく、また近年の水田の減反政策によりこの地域の稲作は減っていきました。現在、管内で稲作を生業としている農家は無いでしょう。堰堤や水門は稲作在りし日々のなごりとして地域に存在しています。この堰堤付近の護岸工事、あるいは合流する他の河川のやはり、工事に伴う水位の変化、そういったものが関係しているのかもしれません。
公園側面は波止場のように張り出した形になり、結構な台数の車が駐車できるように整備されています。夏場はここで花火を楽しむ人達もいますが騒ぎが高じて東屋の屋根に飛び乗ってみたり、ゴミの放置、川の水を汲んで洗車など、無法地帯化しているようです。
本来の意図どうりに公園が機能していれば、あるいはこれほどの荒廃はなかったのかもしれません。
ジッと立ち尽くす東屋。 氷に囲まれて身を固くするベンチ。無秩序にはびこる雑草。
思い起こす古も無いままに、ただここに存在している公園…もうすぐその姿の大部分を再び水中に沈めていく。
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