悲しみが雪のように Aコース
冬がきました。季節の空からの便りが今シーズンも分け隔てなく大地を純白に変えていきます。
春の桜の色そして若葉の緑。夏、競い合うように色鮮やかな花が咲き乱れ、緑は贅沢に広がり、秋には気温の下降に抗うように山々を暖色に染め替える。
気が付くと、使い散らしたその年の絵の具箱には『白』が1色のみ。来るべき春のために季節の芸術家は大地を元のキャンバスの色に塗り戻す。それが『冬』です。
スキー場に雪が積もりました。まだまだ絶好のゲレンデ状態には程遠い15センチほど。でも、今シーズンまとまった雪を見たのはこの日が初めてです。
でも、このスキー場に、もう雪はいらなくなりました。そうなってもう3年目です。
リフトもロッジもゲレンデもまだ、そのまま残っていて雪もちゃんと降るのに…。
もう、このスキー場は閉鎖になりました。
『●●国設スキー場』峠道の途中に位置するここによくスノーボードの練習に来ました。ねこんの住む町にもスキー場はありますが市街地から近いため、人が集中するために他所へいきました。もう一つ訳があって、当時はまだ、スノーボード自体が今ほどメジャーではなく、危ないとの理由で「コース限定」「時間限定」「ナイターのみ」「平日のみ」など制約が厳しい頃でした。意味なく飛んだり、コース途中で座り込んだりするなどの理由からスキーヤーからは『サル』と呼ばれたスノーボーダーたち。
それを全面的に受け入れたのがここでした。今にして思えばそれは、スキー場の生き残りをかけた一策だったのです。街でここの『スノボ終日全面OK!』のポスターがやたらと見かけられ、当然の如く欲求不満ぎみだったスノーボーダーたちは殺到しました。反面、スキーヤーからは敬遠される結果になったようですが、それを差し引いても十分すぎる集客はあったようです。混雑していたのでロッジでの食事もかなり待たされるほどでしたから…
利用客の減少は何もこのスキー場だけの話ではなく、大きなリゾート系スキー場でもスキー人口の減少からバブル期に乱立したホテルなどがバタバタ倒産していき、各スキー場も生き残るためスノーボーダーの規制を全廃するまでには、さほど時間はかからなかったようです。
それがリアルになった頃から利用者は他へ移っていきました。ねこんはイモ洗い状態をここで経験していたので「ノンビリ滑れていいな~」と♪気分でしたが、その頃からすでにスキー場を管理する町の議会では「存続」「閉鎖」の議論が始まっていました。
(つづく)
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