イーハトーブの化石
三寒四温なんて言葉がよく聞かれる今の時期。日中は気温のプラスになる日も珍しくない。(北海道の話ですよ。)道は氷がとけてすっかり舗装が露出して、路肩に積もった雪山もギザギザな形に溶けていく。雪解け水が排水溝に流れ込む音も久しくご無沙汰な『せせらぎ』のようで癒されるような気がします。
昼休みの時間、小春日和の街中をぽてぽてと歩いて、街中の公園にいってみました。
今年は暖冬で雪が少なかったとは言え、園内にはまだ雪がたくさん残っていています。その雪もシャーベット状になっていて、露出した芝面を過剰に潤し、歩くのには少し厳しい。
何やらカサカサと音がするほうを見ると『エゾリスだ!』四方を厚い建物群に囲まれたここにもエゾリスは生きているんだなーっと少し感動。昨年のクリスマス時期ころから園内樹木をライトアップして夜間の幻想的風景を現出させていたここも照明器具やらが無造作に散乱し、その影からエゾリスが数匹行ったりきたりしていた。こいつらもしばらく人と出会っていないのか平気で近くをチョロチョロしている。
他には、まだ雪に埋もれているベンチ、水の代わりに雪で満たされた噴水、ゴミだらけの東屋、何やら大きな庭石みたいなもの… んっ?何か書いてある?
読んでみると、宮沢賢治による文らしいです。緑色の大きな自然石に実にあっさりと彫られたこの文章。
ああ ここは
すっかりもとの通りだ
木まで
すっかりもとの通りだ
木は 却って
小さくなったようだ
みんなも遊んでいる
ああ あの中に
私や私の昔の友達が
いないだらうか
よその公園林について書かれたものからの引用のようですが、この石の中で宮沢賢治の言葉が永久不変の化石となって、回りの木々や人の変化を静かにそして刻々と記憶している…そんな気がしました。
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