マザーグースの教室 CLASS-C
『体育館がふたつですか?この時期の学校でそれは珍しいですね。』
『やはり、さっきの体育館では狭すぎたらしいですね。地域会館にも利用されていたようですが…』 地域有志の間で作られたもので技術的に高い建物は難しかったというところが真相かもしれません。
この工房は、廃校当時のまま受け継がれていたため、学校の備品、掲示物、卒業記念作品なども豊富に残り、存続時の子ども達の影が見え隠れしてとてもいい感じです。
どこの学校でも『学校の怪談』ネタでありがちな音楽室の大作曲家の肖像もしっかり残っています。こちらは現在、楽器の変わりに木工マシーン(バンドソーまである、かなり玄人レベルの設備)が創造の音色を奏でています。その音色が必ずしも美しいものではありませんが…
『こちらが新しいほうの体育館です』
『これは懐かしい構造ですね。私の通っていた学校も構造的にほぼ、同じですよ。』
『ここは、近くの廃校になった中学校から移設されたものなんです。』
『あ~なるほど…それでふたつになったんですか!』 校史の意外な一面です。
この学び舎は、地域住民の労力奉仕が積極的で、小動物園、炭焼き用の釜、フィールドアスレチックなども作られ、昭和56年にはソニー教育振興財団から優良校受賞(ソニー賞)を受賞したこともありました。閉校時の生徒数から考えると運動会は地域住民総参加型の年中行事だったのでしょう。小規模校にはありがちな形ですが地域一番の行事には違いありません。
今、この体育館には大量の解体材が積まれています。そして情熱的な校長先生によって生まれ変わりを待つ優等生なのです。『廃』の冠をいだきながら壊された廃材はその紋章を【廃→High】へと変貌させる。単にリサイクルなんて言葉で片付けたくない。そう思いました。
夜になると窓から差し込む月灯りに紛れて固い体をコキコキ鳴らしながら古材ジャングルやグランドを歩き回る動物たち。そんな絵を想像するとどこか“不思議の国のアリス”の世界みたい。そんな気がしました。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
子キツネ→彫刻のキツネ→私は普通のキツネをUPします。
今回のマザグーよかったよ!「詩とメルヘン」を思い出しました。
投稿: カナブン | 2007年3月23日 (金) 22時26分