拓○のピエタ(悲しみのマリア)
原形は、ルネッサンス芸術のテーマとしてミケランジェロの彫刻などに代表されるピエタ。キリストの死を悲しむマリアの姿を描いたもので、これはそのキリストが車に置き換えられた交通事故の私設警告画です。
心なしか車も事故車というよりふにゅふにゃしていて、サルバトール・ダリの絵画のようです。小柄な廃サイロながら片面いっぱいに書かれていて、かなり圧巻です。
このピエタと出会ったのは、もう一昔前のこと…夏のある休みの日の午後、暇をもてあまして友人と『牧場レストランに行こう』ということになり、南へ車を走らせました。友人が行ったことがあるそうで彼女のナビです。
いつも遠くに見える山々がどんどん近づいて山肌の木々もはっきりして、樹海のようです。しかし、いくら走ってもレストランらしきところは見えてこない。内心ナビに疑いを持ちながらも『こっちで間違いない』の言葉に従っていました。
いつしか、砂利道になって雑草が道側に覆いかぶさるようなり、畑らしきものも視界から消えていき、最後には誰が見てもダムにつきました。木々に囲まれて陽の光はかなりかげってきた…
『どこで間違ったかな…』
『おーい!!』
当然、来た道を戻りましたが日没も近い、夏場なのでかなり時間をロスしたようです。暗がりで来た道も見失い、前と燃料計を交互に見ながらの半無き状態。『どこかで道を聞こう』とその道を走り続けて建物を発見。でも廃屋だったようです。先に行こうと車を出したところにそびえ立ったのがこの『ピエタ』
暗がりにこれはかなりキツイ!『ひ~っ!』何か来てはならないところに来た気がしてメチャメチャ走り、国道に抜けることができました。
ここは、けっこう有名どころの心霊情報のあるダム湖の近く、特に関連もないこのピエタもその不気味さから心霊サイトで取り上げられていました。当時はとても飛ばすことのできない砂利道でしたが現在は、舗装路面でいまでこそ飛ばす車も多くなりましたからこの絵の真意も出てきました。
離農住居がほとんどだった付近は『週末山暮らし』の小さな別荘がやたらと建ちました。このマリアの向かいにもお洒落な家が建ち、まっすぐな一本道。ダム湖の付近も数年かけた工事で綺麗なキャンプ場になったそうです。心霊の噂もありますが、カヌーの練習やフライなどの釣りでにぎわう場所です。幽霊よりも熊の出現情報が多いので戦う準備が必要(?)。
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コメント
おはようございます。
看板化した魅力ゼロの廃サイロをたまに見かけますが、このサイロは見たいですね。
よく見るとトリックアート的にサイロに穴が開いててその中にマリアがいる設定なんですね。
白い衣装の陰影や手の描き方を見るとそこそこの画力の持ち主の作品のように感じます、文字がマツ風なのがなんと言っていいのか。
投稿: カナブン | 2007年2月27日 (火) 08時05分
カナブンさま
発見当時は、とてもスピードを出せる道ではなく、熊の方が速かったと思われます。土地が安いからなのか第2の人生の場にしている人が多そうな土地柄です。
投稿: ねこん | 2007年2月27日 (火) 12時12分