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2007年2月28日 (水)

キラーカーン廃墟

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 廃墟めぐりに夢中になっていると、つい食事や水分補給を忘れてしまうことがあります。こういう気持ちになるのは何年ぶりかな~と思うこのごろ…
 今時の廃墟まわりは除雪などされているわけでもないので膝上以上の雪の中をズンズン進まねばならず、服装はスノボのウエア。以外に体力も消耗するので水分補給は重要です。
 でも、郊外や山中になると、お店はもちろん、自販機すら『廃』なことがあるので現役を見つけたときは、なるべく購入しておかないと後悔します。

Dscf1309  上の写真はお茶を買うために立ち寄った小さな市街地で見つけたものです。建物はすでに『廃』ですが入れません。おや?視線を感じると思ったら、あちこちの窓に演歌歌手のサイン入りキャンペーンポスターが貼ってあります。サインの宛名が某スーパーなので関係者の建物でしょうか…。
 その中の1人、キラーカン歌う『ふるさと真っ赤っか』…プロレスのキラーカーンのことですか?『キラーカン』とか微妙に異なっていますが…
 プロレス詳しくないので別人かもしれないですけど、本人だったら『真っ赤っか』は恐ろしいですね。悪漢が売り物のレスラーだから。どんな歌なんだろう。

今日もリングは 真っ赤っか  血しぶきあがって 真っ赤っか
  夕日みたいに 真っ赤っか   額がわれて 真っ赤っか
    
そんなオイラの 額見て  みんなの 眼も真っ赤っか
  
    オイラのハートはブルーだよ…

みたいな歌だったりして…
誰か知っていたら教えてください。

Dscf1310  演歌歌手は一曲売るのにキャンペーンの息が長いのは常識らしく、地方のホントに小さい会場や食堂みたいなところでも小まめに回るので凄い商売です。ヒットの火は地方から上がることも珍しく無いそう。
 ねこんの実家近くの小さな食堂にも年に何人か来るようで色紙を見回すと『小夏&ひょっとこ/ロックソーラン節』(ちなみに“ひょっとこ”はイケ面バックダンサー)とか名前は忘れましたが『演歌と手品』『演歌とトロンボーン漫談』『演歌と健康体操』など非常にモンドな印象を受けます。ちょっと和洋中滅茶苦茶でタイガーバーム的な感があって正直興味深い…

遅いけど北海道も春は確実に来ますよ 渥美二郎様

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2007年2月27日 (火)

拓○のピエタ(悲しみのマリア)

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 原形は、ルネッサンス芸術のテーマとしてミケランジェロの彫刻などに代表されるピエタ。キリストの死を悲しむマリアの姿を描いたもので、これはそのキリストが車に置き換えられた交通事故の私設警告画です。
 心なしか車も事故車というよりふにゅふにゃしていて、サルバトール・ダリの絵画のようです。小柄な廃サイロながら片面いっぱいに書かれていて、かなり圧巻です。

Dscf0359  このピエタと出会ったのは、もう一昔前のこと…夏のある休みの日の午後、暇をもてあまして友人と『牧場レストランに行こう』ということになり、南へ車を走らせました。友人が行ったことがあるそうで彼女のナビです。
 いつも遠くに見える山々がどんどん近づいて山肌の木々もはっきりして、樹海のようです。しかし、いくら走ってもレストランらしきところは見えてこない。内心ナビに疑いを持ちながらも『こっちで間違いない』の言葉に従っていました。
 いつしか、砂利道になって雑草が道側に覆いかぶさるようなり、畑らしきものも視界から消えていき、最後には誰が見てもダムにつきました。木々に囲まれて陽の光はかなりかげってきた…

『どこで間違ったかな…』
『おーい!!』

Pieta_1   当然、来た道を戻りましたが日没も近い、夏場なのでかなり時間をロスしたようです。暗がりで来た道も見失い、前と燃料計を交互に見ながらの半無き状態。『どこかで道を聞こう』とその道を走り続けて建物を発見。でも廃屋だったようです。先に行こうと車を出したところにそびえ立ったのがこの『ピエタ』

Dscf0357_1  暗がりにこれはかなりキツイ!『ひ~っ!』何か来てはならないところに来た気がしてメチャメチャ走り、国道に抜けることができました。
 ここは、けっこう有名どころの心霊情報のあるダム湖の近く、特に関連もないこのピエタもその不気味さから心霊サイトで取り上げられていました。当時はとても飛ばすことのできない砂利道でしたが現在は、舗装路面でいまでこそ飛ばす車も多くなりましたからこの絵の真意も出てきました。
 離農住居がほとんどだった付近は『週末山暮らし』の小さな別荘がやたらと建ちました。このマリアの向かいにもお洒落な家が建ち、まっすぐな一本道。ダム湖の付近も数年かけた工事で綺麗なキャンプ場になったそうです。心霊の噂もありますが、カヌーの練習やフライなどの釣りでにぎわう場所です。幽霊よりも熊の出現情報が多いので戦う準備が必要(?)。

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2007年2月26日 (月)

然○マヨヒガ 春を待つ

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 2007年2月。今年は、まとまった雪が数回あったものの数多の老家屋たちには過ごしやすい冬だったのかな。ここへ来るのは昨年から3度目。さほど人の名残があるわけではないのにどこか惹かれるのは、むしろ人の香りが残っていないから返って神がかっているような感が…

Mayuhiga_1

 「遠野物語」の異界譚『マヨヒガ』。人が山中で迷い、辿り着いた豪農の館。そこは、豪華な漆器などがそろう裕福そうな屋敷。囲炉裏の火には鉄瓶がかかり湯気も吹いている。人がいるようで気配はまったく無い…一度そこを訪れた人は二度とこの館に出会うことは無く、欲に駆られた者が見つけられるところでもないといわれる。そして、この家の何かを持ち帰ってきた者は裕福に暮らす幸運が与えられるそうだ…解説書を読んでいただけですが『遠野物語』の中では有名な話だそうです。

 『マヨヒガ』は『迷い家』とも呼ばれる。現実と紙一重の異界。それでいて幸運をもたらす不可思議な屋代。私が『廃墟』に向かうのは、日常から逸脱した『マヨヒガ』の異界感を求めているのかもしれません。

Dscf1759_1  『然○廃墟』は私の記憶の片隅から北海道廃墟椿を通して、私の元へ「ときめき」と「ひらめき」を持って現出した私の『マヨヒガ』だったのでしょう…彼は消えることなくそこにあり、時代の空と大地。そしてその間をうごめく者たちを静かに傍観し続けているのです。それはあたかも、孫の「おいた」を暖かく見守る祖父の姿にも似ている…そんな気がします。 しかして、この迷い家、北の動物たちも誘われてよく来ているようです。

 一日じっくり撮影して、お気に入りのBGMなんかつけたりしてスライドショーするといい感じですね。『姫神』がいいなー。自己満だけど…

神々の詩 Music 神々の詩

アーティスト:姫神
販売元:ポニーキャニオン
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2007年2月25日 (日)

然○マヨヒガ その3

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『此方の家:○舞マヨヒガ』

Dscf1081  今回は、『然○地区』から離れて隣町の『○舞地区』で見かけた屋敷です。この地区は明治36年、○水町の礎ともなるこの地区に○舞村外一村戸長役場開庁した土地でもあります。現在は離農などで戸数も激減していますが開基100年を迎えます。この家へは前記『牛の学校』へ向かう折、に立ち寄りました。

 何となく…『然○廃墟』と間取りが似ていますね。ちょいと掃除をして建具を取っ払うとほぼ同じ形になりそうな…若干違いもあってモダンな家具もあります。

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 土壁で風呂他にポスターなど人の生活がありありと見えるものが残されていました。カレンダーによると1971年頃までは暮らしがあったようです。

Naka

 玄関、間取りほぼ同じことから、建築当時の規格型であると思われますが実際には年代にズレはあるでしょう。何となく『然○廃墟』もこんな過程があったんだろな…

 次回は再び『然○廃墟』へ。今の状況を見てみます。

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2007年2月24日 (土)

然○マヨヒガ その2

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 さて、心象風景が“北海道廃墟椿”によって開花したわけですが、知っているだけに行ってみたくなりました。かなりの緑が残っているとはいえ、時はもう秋。秋晴れの日でしたが平坦な十勝平野にあっても山岳地帯が近いので辺りはゆるい秋雨が舞っています。回りは畑としての機能が残っているようで3番牧草(家畜用の乾牧草。主に三毛作)の刈り取り後で、まるで手入れの行き届いた芝生のような…。何となくネイチャーガーデンを思わせます。夏場は屋敷回りの木々の葉で覆い隠されているこの廃屋は、その全体を見せています。

Imga0154 中を伺ってみましょう。

 襖などの建具は取り外されているか、朽ちてバラバラにはじけています。家具がふたつ横倒しになっていて、くしゃくしゃになった敷物が1枚、他には古いストーブ台と流し台。奥の床の間らしきところの上部に小さな神棚に使われていたと思われる祠状の箱が…でも暮らしていた人の痕跡に何か乏しいですね…

あっ!『フライデー』発見!Dscf1754 これは住人が残した…んな訳ありませんね…後に入った人が捨てたものでしょう。

 廃墟後に人がちょくちょく来ていた痕跡がありますが、元々の住人の暮らしを感じたいところです。

 家の大きさのわりに中は広く感じられますね。戸板の類をはずしてあるからですから。これが人が集う和建築の強みでしょう。

『おっ?これは!』

非常に見づらいものですがDscf1755 絵を見つけました。星がたくさん書き込んであって『天の川』と…この辺りに近所の家は目の届くところにはありませんから、これがこの家に暮らした人々の痕跡を証明する唯一のものです。

 この辺りは元々街の灯りも届かないところで、夜は手も届かんばかりの満天の星空を見ることができたことでしょう。

(つづく)

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2007年2月23日 (金)

然○マヨヒガ その1

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 『北海道廃墟椿』 の1物件に取り上げられたこの廃屋、時の名を『然○廃墟』と呼びます。この物件が『Ruin Drop』開設の起源となったのは私と師匠カナブンだけが知っていたことです。「ブログやってみたいな」とは、数年前から思ってはいましたが自分のテーマになる素材がないというか「これでやってみたい」というものが見つからなかったことがそれまでの二の足を踏んでいた訳でしょう。

 何故、この家に見初めたかというと、ここは「ねこん」の故郷にある物件であり、師匠サイトの最初の画像でピンと来るほど記憶の中に外観があったからなのです。ここを通る道は秘湯かんの温泉に至り、実家が農家の「ねこん」は、春と秋の近所間の共同農作業慰労会で、その温泉へ向かう送迎バスの中からいつもこの廃屋を見ていたことを思い出しました。師匠に確認するとズバリ的中だったことは言うまでもありません。

 この廃屋に関して数回、新たな発見と共に触れてみたいと思います。

Photo

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